O.K.D | 愛染恭介のやぶからぼう日記

O.K.D

「お客様は神様ではなく人間なのです。」

まだベルク通信を始める前、高円寺のむげん堂による「むげん堂通信」を読んで参考にさせて

頂いていたのだけど、そこに書いてあったシマさんの言葉に「そうだそうだ」と頷いたものだった。

当時、マナーの悪いお客さんに対するお願いがあり、お客は人間だからこそ真摯に接するべし

的なことが書いてあった。


ところで現在のベルクは「ベルク本」が多くのメディアに採り上げて頂いてくれたお陰で、

連日大盛況、大変忙しい日々を過ごさせて頂いているが、今までの常連さんが居辛くなるほど

一見さんが増えて、店にとってはありがたい悲鳴なのだけど、かなりマナーの悪い方もちらほら

見うけられるので、そこは「真摯」に対応させてもらっている。


外国、とりわけ英語圏の方は、いろいろ要求して当たり前的なところがある。

日本人からすれば「わがまま」と捉えられそうなところもあるが、店としたってなるべく要求に応えたいから

「出来る」ことと、「出来ない」ことをしっかり伝えれば、お互いの関係は良好だ。


国に関係なく、すぐキレてしまう人はいるけれど、何かあるとすぐ「Fuck You!」と叫んでしまう

感情を抑えきれない白人がいた。さすがに3回目のF×××で出禁にさせて頂きましたが。

それにしても、いくらお客だからといってFuck Youを簡単に口にして良いのだろうか。

高校の時、友人が筆箱に「Fuck You」と書いてあったのを、イギリス人の教師が見つけ

「お前!この意味が分ってんのか~!!」と激怒し、その言葉の効果の程を目の当たりにした。


そこいくと日本語で、この言葉を言えば喧嘩になる、という強い言葉が見当たらない。

「バカ」「アホ」はぜんぜん。愛情すら感じる。「死ね」はさすがにかちんとくるか。

昔台湾の方にこれを言ったら喧嘩になる、という言葉を教わった。

何と言うか今になっては覚えてないが、意味としては「お前の母さん、犬に喰われろ!」だった。

母親を侮辱する、というのは全国共通なのかもしれない。

ガルシア・マルケスのルポで、コロンビアのギャング団の少年達は、キリスト信仰はないがマリア崇拝がある、

というのを読んだことがある。なにせ男達は四六時中戦争しているし、父親でさえ敵になることがある。

裏切られないのは、母親だけ、ということからきているらしい。

敵の母親だけは狙わない。だから男たちの寿命は短く、街には女たちばかりが溢れる。

それほどマザーは、侮辱されてはならない存在なのだ。


よ~し、新しいアルバムのタイトルの候補ができたぞ。十代の頃のアイドルだった

ジョニー・サンダースのL.A.M.F(Like A Mother Fucker)に対抗して

O.K.D(Omaeno Kaasan Debeso)

けんか言葉はさびしい人間たちのコミュニケーションだ。