食べる恋愛
カテゴリに、「食事 / restaurant」を追加しました。
ひよっこな私ごときの持論で、とても恐縮なのですが・・・
恋愛を語る上で
食べる
という行為は、とても重要な要素だと思います。
同じ空間で、着席して向きあう数時間に、私はいつも魅力を感じます。誰かと、何かを一緒に食べることで、人間同士の距離はググッと近づきますし、食事は相手のクセや好み、ふとした仕草を観察するにはもってこいのシチュエーションです。
とあるカフェで何時間もソファに座り、すれ違う人たちのドラマを見ていました。
何回目かのデートと思われる初々しいカップルや、人目もはばからずに触れ合うふたり、会話のないふたり、会話をしなくても穏やかなふたり。そこではきっと毎日のように、たくさん恋が生まれ、同じぐらいたくさんの愛が終わっています。
食べること、テーブルを挟んで起こる物語、忘れがたい一こまを表現したいと思います。つたないメモかもしれませんが・・・
なんだかこれからが楽しみです。
女は愚かでおしゃべりなのです
一度だけ、温厚な人を心底怒らせてしまったことがあります。
もらった手紙を、悪ふざけでつい女友達に見せてしまったのです。
その手紙は、真顔で読むにはきびしいほど情熱的な言葉のオンパレードで、将来の計画だとか、夢の告白とともに、<自分ともあろういい大人が、こんな娘に心奪われるとは・・・!>というような、オレ様風情の発言が際立っていました。
随所につづられた自意識過剰なフレーズに、だんだんと、それを誰かと笑ってやりたい意地悪な気分にかられました。私は「愛されていること」に過信して、ただ調子に乗り、浮かれていたのです。
「ふたり」で生きていきたいという、決意書とも取れる文面は、少なくとも笑いの種にするべきではありませんでした。「本物の想いほど、軽々しく誰かに打ち明けてはならないこと」は、相手の立場を思いやる優しささえあれば気づけたはずです。
誘惑に負けました。
若すぎた愚かな私は、ひとしきりおしゃべりをして、腹筋が痛むほど笑いころげ・・・信頼を粉々にしてしまいました。女友達とした「ここだけの話」は、波紋のように広がって行き、ついにはその人の耳にまで届いてしまったのです。自業自得としか言いようがありません。
温厚な人の豹変ぶりは、すさまじいものでした。「驕るな!」と、唾を吐くように言い捨てられた冷たい声が忘れられません。同性ならば間違いなく2、3発は本気で殴られていたでしょうし、恐ろしい顔で睨みつけられたのを最後に、あの人は二度と視線を合わせようとはしてくれませんでした。
いつしか私の方から愛したいと思っても、後の祭り。想いも時間も取り戻せません。
自分の中にある驕りや傲慢さで、大切な人を失ったのです。
知らないこと/知らなくていいこと
知らないこと または 知らなくていいこと
その人が、彼の前からどのようにいなくなったのかなど
私は知らない
確かに 気にならないといったら嘘になる
その人は確かに存在していたはずだし
彼がとても 愛した女性であることは知っている
ふたりになって たった数年で
彼のいるこの世界から
彼の笑顔もろとも連れ去るように 完全に消えてしまった
なんてこと
想像も及ばない 苦しみや痛みが
胸には今もずっと あるのかもしれない
彼のことを知りたいと願うあまり つい
知らなくていいことまで知りたいと 欲張りになってしまう
そもそも
私が知っている 彼についてなど
どれほどあるっていうの
ほんのわずかな 心からの笑顔さえ知らないというのに
知らなくていいことは
そのままそっとしておいた方が 賢明
失った存在の大きさを知れば 所詮 敵わない相手である事実が
するどく深く 突き刺さってくるだけだから
食わず嫌いの後日談
生ものはダメだと言いそびれた。
寿司屋のカウンターに並んで座ると、いつもと違う距離で、あいつの横顔を観察できる。意外な発見。
「睫毛が長いんだ?」照れてるような表情がなぜか心地良かった。
何でも頼んでと胸をはるから、調子に乗って大トロ一丁。 お寿司って思ってたよりもおいしい。
「食わず嫌いはいけないね」
濁った茶をすすり、先生のような口調であいつはニンマリ笑った。
食後の散歩は高架下の自転車置き場まで。背後からオレンジの街頭に照らされると、ふたり分の影が伸びた。
またしても微妙な距離。まるで手が繋げそうなほど近い。これがデートなのか何なのか、結局分からないままだけど・・・
触れられれば、拒む理由はない気がした。
会話が終わりに近づくたび、どちらからともなく思い出される小さな話題が尽きなかった。さびた自転車の前に立ったまま、ずいぶんと長い別れ際を、互いに切り出せない。
ひとしきり笑った後で、強い春風にふっと沈黙が間をよぎった。黙って見上げたあいつの真顔に息をのむ。 大きな瞳が、こぼれそうなほど潤んでいた。その奥から突き抜けてくるメッセージ。
<あなたがすきだ>
ずっと私のこと好きでいてくれたの
知っていたよ
隠しもしなかったものね
私たちはそこで別れた。
触れ合えないまま、ひんやりとした手を振って。
★
「あの時、ちょっと危なかったね・・・オレだって男だもん」
あいつが笑った後日談。
だからもう何年も、私の隣には別の人がいるってことを分かっているのだろうか。優しさと思慮深さが、あいつのいいところ。
<奪ってもいいタイミング>を見逃してしまうほど相手を大切に想えることが、時には仇となる。
「残念。恋ってのも、一種の生ものでしょ。
おいしいころを過ぎたら、もう食べられないのよ」
あの時、抱きすくめられたなら。
あいつを「ほしい」と思った私のことは秘密にしておこう。
期待させた仕返しに、言っても仕方のないことを、いまさら言って困らせてやるんだ。
0:00
起きてる?
電話していい?
ひとこと、我慢できずにメールした 深夜0時
良いですよって、返事がとどいた 0時1分
机の上でガタガタと暴れる携帯に、心臓が跳ねあがる
我慢なんてもの
最初からしなくてよかったみたいです
タルト・オ・ショコラ・フランボワーズ
意外なほど、かわいらしい店に連れて行かれた。
タルトが美味しいというそのカフェは、壁も床も、揃いのファニチャーも真っ白で、やたらまぶしい。天井まである大きなガラス窓から、タイル張りの歩道に、何事かに満たされた顔で通りを行く人々が見えた。誰もこちらを見ているわけじゃないのに、つい、ここに座る自分の姿が浮いているような気がして、うつむいてしまう。
長いこと、悩んだ末に
(カタログのようなタルトのメニューを、私はもう3周も見た。)
「決めた。私はね、コレ。あ・・・、やっぱり、こっち。」
結局最初に気になっていた、チョコレートと苺のタルトを選んだ。
「おなじだ。」
予想が外れて、彼も私と同じタルトを選んでいた。二人で同じというのが、ちょっと気恥ずかしく
「ごめん、やっぱりコレにするわ。」
私は第二希望のベリータルトに、変更した。
タルトがやってくるまでの間、他愛もない会話をしていた。そこで私は、彼がとても忙しくしており、疲れると甘いものが食べたくなるという事を知った。理由がわかると少し気の毒になってしまう。
間もなく店員がやってきて、切りたてのタルト乗せた小皿を差し出しながら訊いた。
「タルト・オ・ショコラ・フランボワーズのお客様は・・・?」
「あ、こちらです。」いいかけて止まる。
彼の手が、黙って私を示していたから、思わず「いいのに!」と、制してしまう。
テーブルにならんだ皿を交換しようとする私になどお構いなしで、目の前におかれたベリーのタルトは、優雅な動きであっという間に口へと運ばれていった。
いつもそう。
そんな風に、この人は不意にやさしさを見せる。
あの子のまなざし
スイッチが入ったように
他愛もない会話が ぷつっと途絶えた
すべりこんだホームは朝のラッシュでごったがえす
車窓から「イイオトコ観察」を始めた<あの子>
まっすぐ投げる視線は はっきりいってビーム状
念力 集中 エネルギーを注ぎまくる
ビシビシ伝わる眼力に 隣の吊革をつかむ<わたし>がたじろぐ
「あ、気づいた。」 淡々とつぶやく物憂げな横顔
(そりゃ、気づくよぉ、それだけ見つめたら!)
ところが 目と目が合ったことなど まだまだ序の口で
さらに見て 見て 見続ける
そんな目で見られたら・・・!というぐらい
視線そらすことなく ビームは容赦なく彼を焦がしつづけた
朝っぱらから 絡み合う視線は無言でエロティック
たった一駅分の愛を終えて
思わせぶりに 惑わすだけ惑わせて
地下鉄は また動き出す
そこに注がれたエネルギーは 個性そのもの
<あの子>はこうやって
恋を手に入れるのだとおもった
痛い失恋
目覚ましが鳴ったと思ったら、メールだった。あと10分の睡眠を邪魔されて、携帯を手探る。先に触れた眼鏡をつかんで鼻先にひっかけた。「誰よ?」と思ったら、ユウからだった。
『朝っぱらからいきなりごめん。河さんと別れた。
何があっても、はなれないような気がしていたのに
どうして今ごろ、大事だって気付くんだろう・・・
今はすごい後悔。
あきらめたくない・・・』
なんてこった、おかげで目が覚めたよ。河さんは私達よりも少し年上で、お堅い職業の「いい大人」なのに、傍から見ていて気の毒なほどユウにベタぼれで、それでいて「愛されている」と自覚している彼女に振り回されっぱなしだった。
それにしても、悲しい。ワガママを愛らしいと思ってもらえるボーダーの先は、「かわいさ余って憎さ100倍」の世界。ユウだって、別れのやりとりを、5年前にしていれば何もこんなに傷つかないのに。結婚しない主義が共通項だった自由なふたり。それがいつしか30歳を越えて、(もしかしたら・・・)と思い始めていたユウには、あまりにも痛い。
2000年の春だった。
大倉山駅のホームで、私は渋谷行きの電車を待っていた。急行の通り抜ける風で顔にかかった髪を撫で付けていたら、ユウから電話がかかってきた。
「石川くんと別れた。」
石川くんは、確か、ユウがバイトする居酒屋に来ていた常連さん。背が高くて優しい顔の、二十歳そこそこのエンジニアで、同窓会で酔いつぶれて嘔吐物まみれのユウを迎えに来て、背負って帰ったことがあった。
「一緒に住んでるんでしょ?どうしたの」
「最近、そうでもないの。出てくよって言ったら 『出てけばいいじゃん』っていうから本当に出て行こうとしたら、『ヤダ』ってキレたの。あの石川くんが、キクまで捨てるとか言い出してんの」
ふたりは猫を飼っていた。子猫だったキクに一目ぼれした石川くんが、なけなしの13万円で買ったという、グレーのアメリカンショートヘアだった。ひたすら温厚というイメージの好男子だったはずなのに、これはどうした。
「猫を捨てるとは、けしからんね」
「うちはペット禁止のマンションで、私が連れて行けないの分かってて、脅してるみたい」
ユウは、10歳の頃からの親友だ。私は渋谷行きの電車を乗り過ごして彼女の話を聞いていた。どのようにして、ふたりの間に溝が生まれていったのか、どんな言葉を交わしていたのか。
<石川くんから離れた心は、戻らない>
結論はとうに決まっているのは分かっていた。1週間後、ユウはキクと一緒に実家へ戻っていったし、その半月後、彼女は河さんと出会ったのだ。
私は話をきいてあげることしかできない。きっと河さんの愛は、戻ってこない。ユウだって、感じているでしょう?出会っただの、別れただのと、連絡をよこすときは何かが起きたときばかり。そんな気まぐれな女には、少なくとも、私のような「親友」が必要だってことを光栄に思うよ。
はじまり はじまり
このごろ
言いたいことが山盛りで 何かが私の中ではじけつつあり
うずうずする思いを鎮めたくて 新たにブログを開くことにしました。
★
仕事のミーティングで、心くすぐる逸話の数々を耳にしました。
「オンナは30代からが楽しいのよ」って話は、やけに説得力がある。
情熱あふれる人々の多くはパワフルウーマンで、
クリエイティブかつ、大胆で耀いてみえる「大人たち」。
酸いも甘いもしっているようで、うぶだったり
危険なことにそそのかされているようで、真剣だったり
苦しい恋をしているようで、最高にきれいだったりと・・・
話の横を、スルッとすり抜けるついでに
かさかさになっていた私のハートに火をつけていった。
冬の枯れ草が山火事になるように、
あれよあれよという間に、燃えだす闘志。
おろおろとバケツリレーしていたんじゃ間に合わないです。
いっそキャンプファイヤーするみたいに
燃えている心のまわりで開き直ってダンスしてみたくなり
愉快なこと、この上ない気分になって・・・ノセラレマシタ。
やる気になったら女は強い。
痛みも歓迎、だって生きている気がするから。
細々やっているライターには
小説という作品を生み出す人はすばらしく、
エベレストの山頂ぐらい、そびえたつ高さに立っているようにみえるし
そもそも私はまだ何も創り上げていないけれど
小さな仕事の一つひとつだって、確かにこの手が書いたものです。
書いていて楽しいとか、人の心に伝えたい温度を、いつも忘れちゃいません。
計画を練りすぎて、土壇場で足がすくむ弱虫さんから、一歩まえへ。
構想なんてもの、「これから」大きく広げていけばいいから、
まずは、いっぽ。
★
語るならば、やはり永遠のテーマで。
退屈と感じる暇なんてない・・・そんな人生がいいです。
ごちそうさま
コーヒーを淹れてくれた
白いカップのふちに金色の線
なんて華奢で美しい造形
熱いコーヒーに
わたしの唇から
口紅の きらきら光る粉が浮く
知っていました
このカップは、特別なもの
あなたの人生の祝いに
贈られたもの ですよね