あの子のまなざし | 恋愛小説家

あの子のまなざし

スイッチが入ったように

他愛もない会話が ぷつっと途絶えた


すべりこんだホームは朝のラッシュでごったがえす


車窓から「イイオトコ観察」を始めた<あの子>

まっすぐ投げる視線は はっきりいってビーム状

念力 集中 エネルギーを注ぎまくる


ビシビシ伝わる眼力に 隣の吊革をつかむ<わたし>がたじろぐ


「あ、気づいた。」 淡々とつぶやく物憂げな横顔

(そりゃ、気づくよぉ、それだけ見つめたら!)


ところが 目と目が合ったことなど まだまだ序の口で

さらに見て 見て 見続ける

そんな目で見られたら・・・!というぐらい

視線そらすことなく ビームは容赦なく彼を焦がしつづけた


朝っぱらから 絡み合う視線は無言でエロティック

たった一駅分の愛を終えて

思わせぶりに 惑わすだけ惑わせて

地下鉄は また動き出す


そこに注がれたエネルギーは 個性そのもの

<あの子>はこうやって

恋を手に入れるのだとおもった