日記帳の隅
出逢った日のことは
きちんと日記に書いています
あなたの
何がどれだけ心に響いて
どんな風に私を揺さぶってきたのかを
ためらわず、できるだけ感じたままに
記録しておきたかったのです
似たように鳴る風の音を聞けば
すぐさま思い出せるように
そうしてときどき読み返して
初心に立ち戻れるように
いつかこの日記帳が
役に立つ日がくるかもしれません
あのとき
私たちは意気投合しました
黙っていても意気投合するなんて
そんなおかしな話ってないけど
嘘のような本当の話です
つないだ手は一瞬でぱっと離れていきました
けれども、あなたがどんな服を着ていたかとか
並んで歩いた歩幅など
私ったら細かいことまで
やけに鮮明に憶えているんです
はじめから好きになるってことも
分かっていたのかもしれません
日記の隅にほらご機嫌な走り書き
「素敵な人です♪」
緑色の新幹線
大学卒業を目前に控えた冬の終わり。
彼の口から、私たちが遠距離恋愛になると聞いたときは
まるで実感がなくて
「うそ~!?」と、他人事のような反応をしてしまった。
3年近く、私たちはほとんど毎日顔を合わせて
彼は家族のような存在だったし
恋人の長い不在というものがどんなものか、
私にはイメージすら湧かなかった。
その年も駆け足で春がやってきて、桜が咲いた。
毎年恒例だった花見すらできないまま
「たぶん半年で帰ってくるはず」と、あいまいに聞かされて
彼は新人研修に旅立っていった。
上野駅まで見送りに行った日、
新幹線が滑り出した後の、がらんどうのレールを見て
私は初めて大きな虚無感に襲われて、寂しいと思った。
スプリングコート一枚ではまだ肌寒い、夕暮れ時。
見送りの足で
「部屋の掃除はするから」という約束を果たすために
合鍵をぶらぶらさせて通いなれたアパートに向かった。
空っぽだと分かっているのに、
「きたよ」とポツリ、言ってみる。
彼の匂いはするのに、人の存在感は皆無で
いつも温かかった居場所が、別空間のように感じた。
私は、静か過ぎる部屋の真ん中にへなへなと座り込んで
せき止めていた感情が溢れだすのを抑えきれずに、
ようやくボロボロと泣いた。
発車のベルが鳴るホームで潤んでいたのは彼の方だった。
私は笑顔で、でも目を合わせるのが辛くて
何か言いたげな彼の口元ばかり見ていた。
あそこで今みたいに泣けたほうが、よっぽど可愛らしいのに。
この瞬間にも、緑色の新幹線は走り続けていて
私たちの間にある距離は、どんどん大きくなっているのにね。
タイムカプセル
子ども時代、クラスで一番もてたのはスポーツの得意な男の子でした。多少やんちゃでも、いきいきと活躍する彼らにはバレンタインのチョコレートが集中していたものです。分かりやすい格好良さが異性の目に留まるということでしょうか。
ちなみに女性が「理想の男性」にかかげる条件は、子ども時代にも着実に変化していくのです。スポーツ万能からインテリ方面にシフトしたり、幼いころから打算的でませた発言をするのは決まって女の子・・・なんですよね。
小学校6年生の秋に、タイムカプセルを埋めました。成人してからの同窓会で掘り起こされたのですが、一番の注目は、カセットテープでした。
一人ひとり、当時の声で「大人になった自分にメッセージを送る」という趣旨だったのですが、録音室から戻った子はみんな「告白しちゃった!」という顔をしていました。案の定、「○○ちゃんがスキ!」というカミングアウト続出という、とんでもない一本が仕上がっていたのです。
当時、私はクラスメイトのK君が好きでした。K君は目がパッチリとした、少しぽっちゃりした男の子でしたが、町内会の野球部で部長をしている、素朴でやさしい野球少年でした。
私はカセットテープに、「K君が好きです」と吹き込んでしまったので同窓会には顔を出しにくい・・・と思っていましたが、子ども時代の不始末は自分で片付けようと、恥ずかしい過去も笑ってごまかせそうな仲間と出席しました。
当時みんなの人気を集めていたモテモテだった彼らが、なんとなく普通の青年になってしまっている中で、K君の変貌ぶりは、化粧室で話題の中心になっていました。彼はすっかりスリムになり、背が伸びて、ファッションモデルになっていたのです。
そこで放送された、あのカセットテープ!
私には先見の明があったのでしょうか!?
帰り道、仲間うちで駅前のラーメン屋に立ち寄りました。カウンターに並んで座り、隣りにいたK君。これも何かの縁なのでしょう。
「ほんとに格好良くなったねぇ。
あのころ、K君が、とても好きだったんだ。」
私にしては、思い切った発言です。
でも、昔の方がもっと好きだったとは言いませんでした。
時効になったカセットの告白と、すっかり大人になった私たち。同窓会からも10年余り。いまや三十路街道を突っ走ってますよ。
★
巷では体育の日ですが、つくづく「体育」とは無縁な、我が人生。
遠い昔を振り返っても、良い思い出がありません。当然、体育会系の部活に入った記憶はございません。特に球技はからっきしで、辛うじて、水泳、マラソン、体操のような一人で黙々と行う競技だけは好きでした。
それでも10代のころは、まだまだ身体が動いたと思うのです。20代になっても、もう少しましだったと思うのです。「これを逃したら遅刻決定!」という電車に乗るために、毎朝階段を駆け上っていた時代があったのですから。
そんなこんなで、晴れて三十路街道を邁進している訳ですが、体重そのものは、10代から変わっていないのに身体が重たく感じるのはなぜでしょう。
走れない、跳べない、動けない。加えて、すぐにへこたれるようになりました。これじゃイカン!と、体育の日には毎年思うのです。
自己啓発のために、とりあえず腹筋を始めてみました。
先日メールにくっついてきた素敵な写真を、三日坊主防止のお守りにしています。ハンサムを見て、目の保養(笑)。シェアしてくれた方に「ありがとう」と、この場を借りてお礼をば。
開かずの扉
割り切った風に生きていても
君を前にすると
見返りを求めないと思っているのに
君を求める僕の気持ちが
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何ヵ月かぶりに
約束の日がだんだん近づいてきて
再会する瞬間を夢にまで見るようになって
気にしていないようでも






