恋愛小説家 -56ページ目

giraffe

恋愛小説家
 

首長の恐竜たちが集まっているみたいに

クレーンがたくさん働いていました。

 

 

臨海工業地帯のクレーンを初めて見たときに、

「あ、きりん」と思ったのです。

それから何度見ても、私の眼に映る彼らは

「きりん」でしかないのです。

 

誰かに何度も訴えては

「あ、そう」と

あっけなくスルーされ続けた主張です。

 
それを

「あのクレーンさ、」と話しかけた途端に

「きりん?」と答えを結んだあなたは

私と同じ眼を持っているのですね。

 

もしも私の眼が見えなくなったとしたら

そのすてきな顔が見られなくなるのは悲しい。

 

けれども

あなたの言葉で形容される世界ならば

暗闇の中でも美しく映り、

きっとすべて

共有できるんだろうと思いました。

 

あなたが、とても好きです。

 

それだけでうれしい

いつも私がどんなことに

喜びを見出しているかといえば

それはそれは、とても簡単なことで

 

朝、コーヒーを淹れて飲む。

甘いものが好き。

その習慣がおそろいだったとしたら

うれしいな・・・とか

 

どこにいても、何をしていても

この世界にはあなたがいる。

それだけで十分に

生きててよかった・・・とか

 

なんて風に思っていたら

「それだけでうれしい」のフレーズが頭に浮かびました。

 

いつも思っていることなのに

君に会うと忘れてしまう

顔をみているとうれしい

声をきいているとうれしい

それだけで それだけで

うれしい。

 

本当に、そう。いい詞です。

THE BOOMと矢野顕子さんのバージョン

直視するのに照れるほど若い、MIYA(ボーカルの人)。

 

高校生のころ、クラスメイトと二人で

日比谷の野外音楽堂へBOOMのライブに行きました。

 

今や音楽のジャンルを飛び越えて

独自の路線を行ってしまっていますが

それは、彼らの結成何周年記念かのライブで

「昔から僕らを好きでいてくれた人には懐かしい、

最近僕らを好きになってくれた人には新鮮な曲を」と

 

「島唄」でブレイクしたばかりというタイミングやら

リリースしたてのアルバムをほとんど無視した選曲で

スカの軽快な音と社会風刺が入った

ホコテンのバンドブーム当時の曲を演奏してくれました。

夏の野音に響いた「星のラブレター」。

気持ちのよい夜でした。

 

 

ときどき私を思い出してくれたなら

それだけでうれしい。

 


Kiss Me

私たちは

何度となく遠回りをして

たくさん歩いて

一日だけで何年分かを取り戻すぐらいに

いろんな場所でキスをした

 

一粒ごとのときめきは

まるでドロップの缶

何色が出てくるか

カラカラ音をたてて振ってみる

甘く楽しい気持ち

 

きっとあなたが思っている以上に

私ははしゃいでいたし

少し離れたところから眺める

「あなたがいる景色」に

胸いっぱいになっていた

 

そんな気持ちを知ってか知らずか

少年みたいないたずら顔で

あなたは私にキスをする

 

Kiss me, beneath the milky twilight
Lead me out on the moonlit floor
Lift your open hand
Strike up the band and make the fireflies dance
Silver moon's sparkling
So kiss me
 

Sixpence None The Richer 「Kiss Me

随想 100217

2時間ほど、凝り固まっていた全身を解してもらいました。

お友達価格だというのに、とてもていねいにありがとう。

「本日一番の重症患者」と言われましたが

ひょっとしたら「今週一番」かもね(笑)

 

スピリチュアルなサロンではありません。

ただ人に触れながら、「気」や「不調のサイン」のようなものを

察知してしまう力に長けている友人。

私の「気」にマイナスの因子は無いものの

今はいろいろ抱え込みすぎているようだと言う彼女は

天性のヒーラーではないかと思います。

 

そうね、いろいろ抱えているかもしれない。

だけど楽しみで仕方ないことがあるの。

 

それから、しばらく横になったまま

二人で将来の夢みたいなことを語りました。

30代の私たちが将来の夢を語ることは滑稽でしょうか?

いいえ、幾つになってもいいのです。

人生には「今さら手遅れ」なんてことはありません。

 

素晴らしいアイデアがたくさん飛び出して

いい話を聞かせてもらえて、嬉しくなりました。

 

来月で還暦を迎える母のことを思いました。

壮大ではなくても、絶えず夢や希望を持っている人です。

昨年、定年退職を待たずに一足先にリタイアし

夏には運転免許を取り、何かしら準備していました。

 

聞けば、春になったら東北の湖畔へ引っ越すと決めたとか。

屋根やら部屋やらを自力で修繕しながら

雪深い土地でスローライフを送るそうです。

リアル版「北の国から」みたいに!?

 

私は心配しているようで、実はそんなに心配していません。

借りる家には部屋がたくさんあるらしく

むしろ、すでに定宿にさせてもらう気満々です。

 

自分のみならず、今はちょうどたくさんのことが動いている。

幸運の予感を信じて、前に進むまでです。

 

Alice's Adventures in Wonderland

時計を気にして走るウサギを追いかけて

穴から落ちたらそこは不思議の国

何から何までおかしなことばかり

(逆にまともなことがない!

 

擬人化された癖のあるキャラクターと

ちょっと生意気でかわいいアリスと一緒に

物語を旅した少女時代

 

大人になったらば

ワンダーランドな夜の公園で

いつまでも終わらないお茶会をしましょう

 

 

昨日は一日雨が降り続け、寒かったです。

傘をさし、ビルだらけの東京を歩きながら

頭の中を巡っていたテーマソングは

John Lennonが歌っている「Stand by Me」でした。

 

When the night has come
And the land is dark
And the moon is the only light we see
 
No, I won't be afraid
Oh, I won't be afraid
Just as long as you stand

stand by me

 
空から見たら私の傘も

街を行き交う小さな彩の一つだったことでしょう。

 

私が雨に濡れないように

半分以上こちらに傾けられた傘のことや

あなたの濡れた右肩を思い出すだけで

灰色の空に虹がかかって見える気がしました。

 

博士に訊きたいことがある

確かに、科学的に説明できないけれど

「無意味ではない」偶然はたくさんあります。

 

無意識のうちに意識と行動が調和していること、

同じことを考えたり、発言したりしていることなど

個人的でない、人とかかわる同調を生み出す力、

「意味ある偶然の一致(シンクロニシティ)」を説いたユング。

 

学校の帰り道、チョコボールが食べたいと思っていたら

母がチョコボールを買って帰ってきてくれたこと。

(それもキャラメル味だった!)

同じ箱の中で暮らす家族ですもの、

そんな偶然は、ある意味必然なのかもしれません。

 

ところが

生まれも育ちも年齢も、積み重ねてきた経験も違うのに

あなたと私の間にある偶然は数え上げたらきりがない。

 

目の付け所、思っていたこと、発する言葉、笑いのツボ

着ているもの、歩調、好きな場所、選ぶものなど

面白いほど重なるあれこれは

もはや偶然と呼べる粋を超えていて

 

きっと、私たちが知り合う前から何度となく、

人知れず一致し続けていたんだろうなと

疑う余地もないのです。

 

ユングが健在ならば研究熱に火がつくぐらい

私たちは似ていると、冗談めいたことを思います。

博士に訊いてみたいです。

「そんなことって、あるのですか?」と。

 

あなたと居ると

昨日泣いた悲しいことに

明日また涙をこぼしてしまったとしても

明後日には潤むぐらいで我慢できるかもしれないし

明々後日ぐらいにはなんとか笑えているかもしれない

 

毎秒、毎分、毎時間

毎日、毎週、毎月、毎年と

時間がつながって ゆるゆると続いていく
 

あなたの道も、私の道も

満たされたり足りなかったりしている

苛立ち悲しみ、感情をもてあましても

流れに掉さし「今」を 懸命に生きている

 

沈んでいた日々も忘れちゃいない

あの日の大きな悲しみが

隣に居る人をたまらなく愛おしいと思う力をくれた

唯一の存在を尊ぶことを学ぶために

未熟な出会いや別れを経験する必要があったんだろう

 

しあわせも不幸せも

無駄なものは一つもない

 
恋愛小説家
 

20年暮らした、今はもうないオンボロ平屋が好きでした。

中でも、庭が格別に。

 

縁側の前にシロツメクサが群生していて
四葉を探してずっと座りこんでいた子どものころ。

いい風が吹いていたこと

草抜きアルバイトのお駄賃と溶けたアイスキャンディー

見知らぬ虫が飛び出してきて尻餅をついたこと

 

春夏秋冬、何かしらの花の匂いがしていました。

とても懐かしく、とても愛おしい。

 

あなたと居ると

なぜかその庭を思い出すのです。

 

聞けば今日は新月のバレンタインデー。

「普段伝えられないことを伝えてもいい解禁日」

ということですので

口下手な私ですが、お月様が見ていない隙に

ありったけの思いを伝えてみようと思います。
 

随想 100213

目の前に文庫本が3冊あって、どれから読もうか悩みます。

その中の一冊について、確か以前読んだことあったようなと

もやもやした引っ掛かりが気になっていたのですが

まさか、人間そんなことも思い出せないはずはないですよね。

が、しかし。そんなはずありました。

空から、たらいが落ちてきたような衝撃。

 

ときどき、こうやって物忘れが進んでいることに不安を感じます。

恐るべし記憶の欠落。私の脳内、大丈夫なのでしょうか?

何はともあれ、またつながってよかった。
 

クラブのジャックって何のこっちゃ?と聞かれました。

ジャック、クイーン、キング。

トランプの絵札には全員モデルがいるそうですが

クラブのジャックは、円卓の騎士、ランスロットです。

 

バレンタインデー直前だというのに

男友達へのメールにハートの絵文字を入れたら、

勘違いされたと笑う、罪作りな友人。

勘違いも何も、彼女からのメールはいつもハートだらけです。

女同士なら日常茶飯事。その感覚の違いですね。

ちなみに私はdocomoユーザーですが(しかも化石機種)、

小さなこだわりといたしましては、

特定の絵文字は決まった人にしか使いません。

少人数で理解しあう共通言語のようなものを、

こっそり使うのが楽しいです。

 

 

小学6年生のころ、とある賃貸マンションの階段下スペースに

粗大ごみ置き場から拝借してきたちゃぶ台や毛布、

自宅から紙皿やコップを持ち込んで

秘密のアジトを作っていました。

 

入り口よりも大きなスチールラックまで拾ってきて、

ドライバーで分解して中で組み立てなおし、

ここで暮らせるんじゃない?と笑いながら

ぎゅうぎゅう詰めで、常に3~4人の子どもが集まっていました。

 

玄関のドアは、サントリー烏龍茶のダンボールで

アルファベットで「OOLONG-CHA」と書かれていた気がします。

TEAではなく、CHAと。80年代のことです。

クラスメイトの通称ロンちゃんに恋していた親友と

「オーロンチャン!」と、顔を見合わせ大笑い。

 

毎日、暇さえあればアジトに集まり、遊んでいました。

お仏壇から拝借したろうそくとマッチで、

おやつのかっぱえびせんを焦がしながら恋の呪文を唱えたり

ただの危険な不良小学生です。

悪気は、少しありました。

 

そこで親友と一冊のノートを作りました。

「ダルロ語」という、二人だけの隠語帳です。

何ページにも渡る多彩なボキャブラリーを創造しました。
でも、全部の言葉をダルロ語で表現するのは難しくて

名詞や動詞以外は日本語に準じたものでした。

「ジイサンはリルー」、みたいに。

※ジイサンはロンチャンのこと、リルーは某有名進学塾。

そういう時代でした。
 
ある日アジトへ行くと、

野良猫を一掃する作戦が終わったあとの町のように

そこは空っぽになっていました。

すべてのものが、うたかたの夢のように消え去り

烏龍茶のダンボールも、時計も、怪しい雑誌も

みんな失われていました。 

きっとマンションの管理人が頑張って片付けたのでしょうが

私たちには、ただそれだけの意味ではありません。

 

「あの棚、よく外に出せたよねー。」

 

夕暮れ時、しらじらと解散しながらも

アジトはもう無いのだということは非常に悲しく、

私たちは昨日よりも、ほんの少し大人に近づいたのです。

 

クラブのジャック

恋愛小説家
 

アーサーやランスロットのように

あなたをいつまでも見守っています

 

アーサー王の物語は知らなかったから

帰り道に図書館に寄って帰りました

私はグィネヴィア王妃ではありません

だけど なかなかどうして

気障な台詞ではありませんか

 

トレイン

そうしてまた朝がきて
音楽を聴きながら仕事をして
めずらしく日本茶なんか入れて考えていたら
 
やっぱりだ
どうにもそわそわ落ち着かない
 
秒単位で
寄せて引いて巡ってくる
言い尽くせない事柄に
もう何も食べられないし
食べたいとも思わない
チョコレートも目に入らない
 
新聞に書かれた常識も
世間を騒がすスキャンダルも
地球に迫る環境問題も関係なく
これは事件だ!
 
「見えないもの」を証明することは
本当に困難で
何も言えずに口を噤んでも
それを伝えたいと思いなおす
 
胸が痛いなら
痛みまで味わいつくしてみるか
頭をかきむしって 苦しいぐらい
君のことを考えることも
きっと必要な時間だし
それを求めているんだ
 
いつだって
未知の存在に怯えている
大人しく時計の針が回るのを
見つめていることがとても辛い
 
あえて勘違いしてみるなら
見えない糸が引き合っている
そう信じてみようと立ち上がる
 
笑っちゃうなあ
いったい幾つになったんだろう
約束ひとつしていないのに
今すぐ 君のところへ行こうだなんて
 
恋愛小説家
 
動き出せ 僕の中の 少年のようなピュアなハート
飛び出せ 僕の駅へ 草かき分け走り出せ
 
ケツメイシ 「トレイン