恋愛小説家 -32ページ目

スピンオフ

恋愛小説家
 

駅が高架になってから、

ホームの端っこに立つと東京タワーが見えることに気づいた。

中華料理屋の2階に怪しい整骨院があることも知った。

そのホームを挟んで、上り下りの電車が対面からやってくる。
 

1限がない火曜日の朝、僕らはよくそこで遭遇する。

それは9月になってからも変わりなく

その日も僕は上りの、彼女たちは下りの電車を待っていた。
 

ときどきホームで顔を合わせる気の合う二人の女の子。

彼女たちはバイト先の仲間で、一人は音楽、一人は経済を専攻している。

髪形も服装もまるで違うのに、二人は似たような趣味をしていて

同じ男に恋をしており、そのうち一人が彼と付き合っていた。
 

ちなみに、その彼というのは僕の親友であり

僕は僕で、彼の彼女(つまりホームで会った片方)に恋をしていた。
 

「みんなで飲みに行った時さ、

 途中から、二人は上手くいくだろうと思ったよね。」

 

余りものの君と僕は、よく打ち明け話をした。

似合いの男女を取り巻く、脇役みたいだと。

彼に片思い中の君と、彼女に片思い中の僕の友情なんて

複雑なようで、実はとてもよくある話だと。

 

来週のシフト入れた?試験いつから?調子はどう?

こないだ来た変な客、また来たよ。

イヤホンを片方だけ外した状態で、僕らは世間話をする。

ありきたりの会話に終止符を打つようにアナウンスが流れると

間もなく電車が入ってくる。

いつも、少しさびしい気がしていた。
 

ドアの向こうでまだ僕を見ていた二人に、軽く手を上げかけたとき

僕はある重大なことに気付いてしまった。

最後の最後、その窓が見えなくなる瞬間、

「君」を目で追っている自分に。

 

また、下り電車が先だったから。

 

君がひとたび「似合うじゃん」と評したことにより、

お気に入りに昇格したTシャツ。

一回着たら捨てるつもりでいたのに、好きになった。

ああ、そうだった。僕らはみんな気まぐれなんだ。

 

うつむき加減に君が笑っていた。

余りものの脇役が、いつしかカップルになっているとかも

実はとてもよくある話だと。

 

それなら、と思う。よくある話に続きを書いてやろう。

自分の親友に片思いしている女の子を振り向かせる、スピンオフ。

この前まで気になっていた彼女を味方につけてやる。

「あなたは私のことが好きじゃなかったの?」と

少しぐらいガッカリするなら、それはそれで一矢報いた気もするし

たぶんそれも、実はとてもよくある話だ。

神のお告げ

先月、PCを買い換えました。VAIO(白)です。

家電量販店の雑踏の中で、何色にしようか悩んだ末、

「白にしろ」というダジャレ・・・もとい、神のお告げが舞い降り

単純な私は白にしました。

「そうそう、最初から白が良かったんだわ。」と思い至り。

 

そのようにして購入したVAIOにはマウスがついていなかったので

これまで使っていたマシンの物を併用しておりました。

が、付け替えとした拍子に落とした衝撃で

そのまま左クリックが故障してしまいました。

 

「マウスなしでもなんとかなりまうす」という人もいるかもしれませんが

私はどうもマウスがないと調子が出ず、作業効率が落ちてしまうので

マウスも買い換えることにし、そして再び色で悩みました。

オレンジ、クリーム、水色?

 

しかしそこで「クリームにしてくりーむ。」という

ダジャレ・・・もとい、神のお告げにより

単純な私はクリームにしました。

「そうそう、最初からクリームが良かったんだわ。」と思い至り。

 

ちなみにVAIOにした決め手は、

デザインとキーの押しやすさが気に入ったからなのですが

指圧(?)が強すぎるのか、かちゃかちゃいう音が気になります。

そこで、専用のカバーを買おうと思います。

さて、何色にするべきか・・・神のお告げは来るのだろうか(笑)

 

たとえば、服装にしたら「オシャレな人」、

インテリアにしたら「暮らし上手な人」、

アロマにしたら「ミ」さんと「コ」さん、

生き方にしたら「素敵な人」など、

自分の発想や思い込みだけでなく人のアドバイスは有効ですね。

 

何事も先達はあらまほしきことなり、です。

 

随想100921

恋愛小説家

 

どんぐりひろいが好き。

そんなに拾ってどうするの?と自問自答しますが活用法などありません。

栗の好き嫌いとは関係なく、その形が好きなのです。

色といい艶といい大きさといい、自然から生まれてきた

無駄のない、ころころした完成形。

食べたら確実においしくないのですが、

おままごとの世界では、これがごちそうとされるのです。

 


繕ったってしかたない。格好悪いけど隠さない。

開き直ってみるしかない。

だけど本音はいつだって怖い。

大切な人の感情を損なうかもしれない。

気まずい思いをさせてしまうかもしれない。

禁句もあるかもしれない、でも避けて通れない。

真剣であること、あるがまま。

私にはそれだけ。

背水の陣、そんな恋。



きみはほんとうにすてきだね

これからもずっとよろしくね


って、喋る世界一有名なネズミさん。

ミッキーマウスの声(日本ver.)は面白いですね。

誰が考えたイメージなのだろう?

 

君の音

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「はじめまして」

 

ああ、いい音。

私は君の声を音だとおもった。

 

その声はとても心地よく響いて

背中の真ん中、かゆいところに指先が届いたように、

空いていた隙間にすとんと入った。

 

同じコーヒーを飲み、違う種類のチーズケーキを食べて

その店を出るときには「いい声ですね」と言わずにはおれなかった。

 

それからもう何度も

たぶん聞き飽きたと思われるほど

私はその音を誉め「いい声ですね」と言っている。

 

ふつうに話す声、ふざけて笑う声、

一言一句おなじセリフを絶妙な間合いで同時に口にする声、

滅多に聞けない瞬間の声、愛をささやくいい音に満たされ、

私は「とても好きだ」と、私の音で答える。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           

随想100918

チョコレートがおいしい季節になりました。

日々、新発売が多すぎて目移りし、

エンゲル係数・・・もとい、チョコ係数が上がります。

ラムレーズンが入ったチョコの再販も、待ってます。
 

チョコレートのほか、私がつい買ってしまうものにメロンパンがあります。

メロンパンだけに特化したブログを書いたらどうかと思うほど

「出逢ったらまず買う」というぐらい食べていました。

メロンパンの移動販売車が流行っていたころのことですね。

サンジェルマンと成城石井のクリームサンドメロンパンが好きですが

甘美なようで、頭の中はカロリー計算とのせめぎあいです。

メロンパンを分析したブログがアメブロの中 にもありますね、

今後の参考にさせていただきます(笑)

 

日が暮れるのが早くなってきて寂しいけれど、9月は好きです。

風に揺れる髪。大分伸びてきました。

半月ぐらいの月が煌々と照らしていますが

すっかり真っ暗になった公園で、サッカーをする若者たちに

日本もサマータイム制を導入したらいいかも?と思ったり。

 

明け方は、ひんやりした空気に腕を抱えて

ぬいぐるみみたいな感触の茶色い毛布を押し入れから出しました。

薄手で、軽くてあったか。チョコレート色が気に入っています。

これと羽毛布団があれば、寒くなっても幸せのはず。

私は寒がりなので、冬になるとシーツまで毛足の長い、

ぬいぐるみみたいな素材になります。

ぬくぬく、ダイスキ。

湯たんぽを抱きしめて眠りたい。

 

眠るときに、良い香りを焚くと安眠できる気がします。

どのオイルにしようか選ぶのですが

バリエーションを増やそうと思います。

アロマに詳しい「ミ」さんと「コ」さんにアドバイスをもらおう。

 

そうそう、アドバイスといえば。

今度、「私の宝物」を人に紹介することになりました。

自己紹介の一環でしょうか?そういうシーンがあるようです。

日々増えていく宝物の数々に、何にしようか悩みます。

メールされた方は、どうか快く相談に乗ってください。

 

そういえば去年の冬にもこういうことがありましたね。

「私のいいところを自分以外の5人に聞く」という課題でした。

一緒に課題に取り組んでいた仕事仲間と、友達と、

思いついた身近な人たちに訊いてみたのです。 

 

面白いと思ったのは、同じ質問をしたときに

真剣に考えて答えてくれる人、面倒くさそうな人、笑ってお茶を濁す人。

いろいろな回答が寄せられたのは、共有してきた時間の長さとは無関係で

相手にとって自分がどういう存在であるかを暗に示しているようでもあり。

 

「相手を必要以上に緊張させない、

 身構えさせない空気をまとっているように思います。」 
 

ありがとう、と思った一言がありました。

 

青い車

今年の秋は、免許の更新です。


その昔、実家では唯一の免許保持者だった父と

「仮免許練習中」という手書きの紙を張り付けて

ヤニの染みついた車で、近所の広い駐車場まで出かけました。

寒い2月の朝、たった一度の親子練習。
 

家族そろって車で遠出するといっても、年に数回あるかないか。

川崎から横浜まで、1時間ほどのドライブだったと思いますが、

子どもだった私にはやけに長く感じられたものです。

親孝行という訳ではなく、それがなんとなく私の「役」であるような気がして

免許を取ったら替わってあげられるだろうか?と思っていました。

 

高校時代のアルバイトは、免許を取るために貯金していました。

33万円一括払い、追試があっても追加徴収されないパックを選び

(今、ひったくりにあったら悲劇だわ・・・)と、ダークな想像をしながら

現金を入れた封筒を手に、自転車を立ちこぎして教習所へ向かいました。

進路が決まってからは高校よりも教習所!というぐらい通いつめ、

心配していた追試にも遭わず、おそらく最短で免許を手にしました。

18歳の春です。

 

駐車場が道幅の狭い私道に面していたということもあり

私が父の車に乗ることはほとんどありませんでした。

結局、ハンドルを握ることもないまま、

間もなく、念願の免許は単なる身分証明書として

財布の定位置をキープするようになり、自動的に金色になりました。

そして今年は何度目かの更新。

5年使うものですから「いい顔」をしなくちゃです。

 

今でこそ運転大好き、男前(?)に裏道も長距離も走る私ですが、

軌道に乗るまでは緊張しっぱなしで、身体が直角になっていたのも懐かしい。

初めてキーを回した感触、初めて近くのスーパーに行けたときの感動たるや。

たまに思い出し、自分の歩みに微笑みたいものです。

初めて自転車に乗れたとき、初めて水の中で目が開けたとき、

そういう小さい(小さすぎる)一歩を積み重ねてきたことを、ときどき。

 

そうです、初めてあなたに逢った日のことも。

 

 

スピッツ「青い車

 

最近、この曲を聴く機会があって、当時の記憶がフラッシュバックしました。

 

奇しくも、初めて乗ったのは青い車でした。

緊張しすぎて直角に曲がった身体で

せめて少しぐらいリラックスできるようにと、何度も聴き口ずさんだ曲。

知らない町で、学校に、買い物に、探検にも行けるようにしてくれた曲。

 

君の青い車で海へ行こう

おいてきた何かを見に行こう

もう何も恐れないよ

つまらない宝物を眺めよう

偽物のかけらにキスしよう

今変わっていくよ

 

同じ音楽に、同じひとりの人生に

新しい思い出や記憶が重なっていくから面白い。

そういえば私の手には、つまらない宝物だらけだし

本物でも偽物でも、有名でも無名でも、世間の評価も

そんなことは何の意味もないことで

人も物も、その人が大切だと思うならばそれでいいのだと思います。

 

平凡な私だとしても、

誰かにとっての「特別」になれることがあるように。

acquaintance

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めずらしく、車掌室が開いていました。

今も昔も、こういう光景が楽しい。

のりもの好きな人ならば、きっとときめく光景ではないかと思います。
 

毎日利用する駅の、毎日乗る、同じ時刻の列車。

・・・の同じ車両の、同じドア。

 

だんだん知ってしまう、同じ顔ぶれ。

だんだん知ってしまう、服装や持ち物や習性。

読んでいる本、使っている携帯、立ち位置ひとつ。

今日はあの人いないなぁ。なんて飛ばす意識はお互い様。

 

昨日などは、帰りに朝もあったお姉さんと遭遇。

向こうは無意識でしょうが、

とても目立つ、キリン模様のリュックが印象的でした。

 

よりによって同じ駅、ご近所さんも潜んでいるはずで

こんなとこから派生する恋やご縁もあるはずであり、

狭い社会、身近な社会をほほえましく

また、おそろしいと思う瞬間があります。

 

雨ばらばら

すれ違いざま、どこか軽薄に聞こえた学生の笑い声。
「あの店長、イカレてんだよ。
馬鹿みたいにクーラー効いてる、駅前のファミマぁ。」

ざらっと耳に残った上擦り声。
真偽のほどを確かめるべく、立ち寄った噂の現場。
うん、店長はクールビズに賛同していないご様子ですが
イカレたほどではありませんね。

駅で見かけた若者のシャツに、気になる文字。
「LIFE IS GAME - GAME IS NOT LIFE」
何のこっちゃ…?でも、そうかもしれない。
だってさっきから進行方向を見上げると、
真っ暗、というか、砂嵐のような濁った色をしているのです。
傘が無いのに、ゲリラ豪雨。
朝の天気予報を信じたのですが、困ったな。

予約していた本を引き取りに、図書館に寄りたかったのに
バケツをひっくり返したような雨の中です。

しかしいざ乗り換え駅に着けば雨は上がったあとでした、

週末とは打って変わり、大人ばかりの静まりきった図書館で

ようやく順番が回ってきた1Q84の3冊目を借りました。

上生菓子

 
色とりどりの、季節の和菓子。

柚子、柿、栗、兎、満月などを象った
甘いあまい、餡のかたまり。

「残り物には福がある」
誰も選ばなかった淡雪寒が私の第一希望でした。

塩煎餅とセットで持ち帰ります。
夜になったら、緑茶を啜りながら愉しみます。

和菓子が好きな人と、苦手な人と
ほどほどに好きな私と、色んな人を想いながら
半分になった9月を味わいましょう。

ワクワクして、鞄がいつもより軽く感じます。

もういいんだよ。

のんびりすごすことを、たまには必要とするのかもしれません。

チューブに入っていない生姜を買ってすりおろすとか、

日が暮れるまでウダウダごろごろするだとか。

生産性のない休日?それもまた良し。


ひょんなことから、昔の写真を見ました。

子ども時代の自分を見たら、超がつくほどブサイクで笑いました。

そのブサイク具合は、まさに不器用だった自分自身の内側を映しているようで

笑いながら、泣けてきました。


写真の中の私も、笑っているのです。

でも「ちゃんと笑えているかな?」と思いながら、作った表情はどれも同じ。

いい子でいないといけない気がして、愛されたいと願っていて、

楽しいことを楽しんでいいのか不安で、ぎこちなくて、

我ながらちっとも可愛らしくない。

たぶん笑い方を知らないで、笑っていたのですね。

なんだか少し切なくなりました。くたくたと力が抜けました。

大人になった私が教えてあげたい。

もういいんだよ。


社会人一年生のころ、野球ファンだった上司に連れられて

シーズンになると、横浜スタジアムで野球を観ました。

屋外で飲むビール、崎陽軒のシュウマイ弁当、吉野家の牛丼弁当。

どれもやたら美味しくて、吹く風が気持ち良いのです。


どのチームの誰選手など、私にはひいきの人はいませんでしたが

ファンの集団に囲まれ、応援のしきたりに従って立ったり座ったり

鳴り物をガンガンならすのは、テレビと違った爽快感があるのでした。


対戦チームのピッチャーが交代するときにかかっていた

「涙くんさよなら」という曲。今も健在なのでしょうか・・・?

歌詞を拝借。



涙くんさよなら さよなら涙くん
また会う日まで
君は僕の友達だ
この世は悲しいことだらけ
君なしではとても
生きて行けそうもない
だけど僕は恋をした
すばらしい恋なんだ
だからしばらくは君と
会わずに暮らせるだろう

涙くんさよなら さよなら涙くん
また会う日まで

涙くんさよなら さよなら涙くん
また会う日まで
君は僕の友達だ
この世は悲しいことだらけ
君なしではとても
生きて行けそうもない
だけど僕のあの娘はね
とってもやさしい人なんだ
だからしばらくは君と
会わずに暮らせるだろう

涙くんさよなら さよなら涙くん
また会う日まで
また会う日まで



ね、もういいんだよ。