恋愛小説家 -30ページ目

あの頃君は若かった

あの頃君は、そして私も若かった。


恋愛小説家
 

かわいい写真が何種類かある。

二人してピースをしたり、おすまししたり、

2001年だって、ずいぶん前だ。


あの頃だって、私たちは十分大人だと思っていたけど

実はそれほどではなかったようで、今はお互い、けっこう変わった。

別々でも、遠からず似たような道を行き、紆余曲折。

高校のころも、そう。私たちは特に気が合ったんだ。


「オンナのかわいい」ほどあてにならないものはないとか言うけど

大丈夫。あなたは絶対かわいいと思う。

昔むかしのこと。

一緒にいたら、雑誌に出ないかと誘われたよね。

あの時、主役はあなただったんだよ。


物静かでいて、とても面白い。

授業中にダジャレの書かれた紙切れが回ってきて、

笑いをこらえるのに必死だった。

誰よりも勇気のある、芯の強いところも知ってる。


私はといえば、相変わらず。

でも、例の特技(あごにペンを挟めるという、まるで意味のない技)を

人前で披露できるぐらいは、きもち開放的になったかも。


先を越したと思ったら越されていたって訳。

ずるいなぁ、置いて行かないでよ。

お互い、がんばろう。ずっと仲良しでいよう。

人生はこれからが面白いんだから。

revival

リバイバルというのは、昔の音楽や映画が再流行することを指しますが

人の意識や生命の蘇生にも、リバイバルを使うのですね。

 

・・・なんてことを思ったのは

長湯につかって足指の間をマッサージして

軽く部屋を片付けて、キャンドルを灯し

薄焼きクッキー、チョコサンド味をつまみながら

熱々のルイボスティーを飲んで

ひざに遠赤のレッグウォーマーをつけて

レ・ミゼラブルを聴いているから。

 

生き返る。

フリースでもこもこ。

見た目はなんですが、生き返ります。

 
恋愛小説家

 

仮釈放の身では、何をやってもうまくいかないと腐り

一夜のほどこしを受けた神父の家から、銀食器を盗んで逃亡した主人公。

案の定すぐにつかまってしまい、また投獄は免れないと思った矢先。

駆け付けた神父は、「彼は私の客だ」と、周囲に言い放ちます。

 

その食器は彼が盗んだものではなく、私があげたんだ。

それに、これも忘れて行ったじゃないか、友よ。

と、銀の燭台まで持たせてくれる。

 

やることなすこと忘れて、たまには蘇生。

いいと思います。必要なのです。

静かにしていても、忘れてはいません。

がたんがたん

小さいころはね

東海道線と横須賀線が並んで走っていると

どこまで一緒にいられるんだろうか

どこで離れていくんだろうかと思っていたよ

追いつけ追い越せと2台の車両が競争すると

向こうの窓にもこちらを見ている人が乗っている

見ず知らずの大勢なのに

いつか別れる場所がくるとバイバイするのがさびしく思えたの


今はね

東横線と目黒線だったりが

やっぱり追いかけっこをしているのを眺めては

運転席の後ろから離ればなれになるタイミングを見届けてる

並んでいてもそれぞれのレールを行くしかない分岐点があるから

どこまで一緒にいられるんだろうか

どこで離れていくんだろうかと思っているんだよ


バイバイしても走っていよう

またどこかで並べるように


そんな感じが

ずっと前に商店街のベンチに肩を並べて座って
買ったばかりのコロッケとか、かじったことがあったね。
そんな感じが素敵だと思ったんだ。

お茶した直後なのに、
焼きたてパンには抗えず
計画性のない私でごめんね。
だけど誰かを巻き込んだり
半分こできるから嬉しくて、つい。

そうだよ、嬉しくてはしゃぐのは
何も子どもだけじゃない。
大人のくせにはしゃげることが分かるから
あなたの前だと、余計に愉快で仕方ない。

そんな感じが好きだと思ったんだ。

らしいとからしくないとか

今週は抱えていた仕事もスッと進み

周囲の人とも、だいぶコミュニケーションがとれるようになり

やるべきことも先回りできるしツーカーに近づいている、

そんな気がする今日この頃。

とはいえ疲労感はどうしても否めず。


逆行しているようですが、こんなときは掃除に限ります。

少し寝てスッキリしてから、洗濯をして、拭き掃除をして、物をしまうだけ。

だけど本当に心安らぐ。

ごちゃごちゃ、がちゃがちゃが苦手なのです。

それは物質的なことだけでなく、考えごとや、ノルマにしても同じで

蓄積されると、とたんにペースが乱れてしまう。弱点でしょうか?


掃除機のうなり声を聞きながら

「あなたらしい」の「らしい」について考えていました。


人に好意を抱かせるような人が、何かポジティブなことをすれば

「あの人らしい」と、感心されるのと相反して

人に煙たがれている人が、何かネガティブなことをすれば

「あの人らしい」と、呆れられるものです。

どちらも「やっぱりね」と。


では、

良い人が悪いことをしたときと、

悪い人が良いことをしたときはどうなんだろう?

「らしくない」とか、「意外だね」と片付けられてしまうのでしょうか。

実は「らしい」というは、当人以外の勝手な思い込みでしかないのに。


「え、そんな風なことをするんだ!?」というのは、単なる新発見にすぎず。

あなたらしい。良くも悪くも、あなたらしい。

コロンブスがアメリカ大陸を発見したなんていうけれど、

もともとそこに大陸はあったし、先住民は住んでいたのです。


温和な人が怒っている。

強気な人が泣いている。

冷静な人が熱くなる。

寡黙な人が大声で笑う。

無敵のヒーローだって恐れている。

それでいいよ、あなたらしい。

読んで字の如く

中途半端な時間に活動して、もう一度眠るの繰り返し。

睡眠がとぎれとぎれでも、元気なのが幸いです。

玄関に鎮座していた、アスマル(アスクル改め)の段ボールをやっと畳み

部屋がざらついていた原因を究明。

振れば振るほどジーンズから出てくる砂粒に

「うちでのこづち」を思いだしました。

グラウンドで、ほんの少し座っただけなのに。

 
手元に残された数時間。

本当はやりたかった仕事がありました、でも別件対応中。

あと10分で終わらせて、もう2時間寝てやるんだから。

やると決めたらちゃんとやる。

小さいことでもコツコツと、焦らない、焦らない。

 

夜中に掃除をし、夜中にみかんを食べ、

夜中に食器を洗い、空が白んできた。

 

でもやっぱり、どこか気楽であります。

金曜日でよかった。

 

 

ひとかたまり、手元に残された数時間ほど。

これだけの「長さ」を使って、どこまでできるか考えたとき

あなたと意見が一致して嬉しかった。

 

行けるところまで行って、帰ってこよう。

 

どこに行って何をする、そんな目標を一応据えてみても

道が混んでいれば思った通りに行かないかもしれない。

「でもそれも旅だと思う」という意見も同じで、良かった。

行き当たりばったりでもその道程はちゃんと、旅、だもの。

 

この気楽さがいい。

たった今気付いたけど、読んで字の如く。

気持ちが楽しくなるから「気楽」っていうことに、納得。

 

手さぐり

仕事用にカメラを買って10ヵ月が経つというのに

説明書をまともに読んでいません。

おかげで使い方が分かっていない機能が、いろいろある模様。


そんな中、先日やっと判明した新機能(もとい、世の常識)をさっそく活用。

とても低い場所から見上げねばならない写真を

地面に寝そべることなく撮ることができました。ワーイ!

ただそれだけで気分は上々。


私は目が極端に悪いのですが

先週、おそらく14年ぶりにメガネを作れるかどうか相談しました。

「作れるか」というのは、過言ではなく。

本当に作れるかどうかが微妙なぐらいの、強近視なので

物理的に作れたとしても、使えないかもしれないということです。


もしもメガネを作るならば、運転できるように・・・と思っていたのに

レンズの厚み、重さ、使い勝手、視界のゆがみなどから

それはちょっと難しいようでした。

もはや見栄えを云々言えるなんて、贅沢な話らしく。


視力を測定する間、裸眼にならなければいけないとのことで

久しぶりに、公共の場でコンタクトレンズをはずしました。


これが、実に怖かった。


大地震が来たら、逃げられないでしょう。

誰かが手を引いてくれなければ、出口も見つからない。

輪郭ではなく色で判断するしかない。

音と匂いだけが鮮明な世界で、心細くて目を閉じました。


そしてカメラの話にもどって。

私は視力が悪く、おまけに乱視もあるので

いざという時、ピントを合わせるのに時間がかかってしまいます。

そこで、仕事で使う時は、焦点だけは自動で合うようにしているのですが

でもやっぱり機械を過信したらいけないようです。


マニュアルであれこれ試して

時間をかけて撮った中にほど、いい写真があるような気がしました。

デジタルでもなくフィルムを入れて、現像されるまで結果が見えない

不便だった時代の方が、もっと何でも真剣勝負だった・・・。

誰の顔も見えないようなぼやけた空間は

緩んだ気持ちを引き締めるきっかけになりました。


裸眼のときは、目で見ようとしません。

表情がやわらかくなるのは、そのためかもしれません。




ひとりでいても

後ろ髪を引っ張られて何度も振り返り何度も手を振る

小さな笑顔が見えなくなると宙にぶらりんの腕に吐息をつく

 

「見送られるより見送る方が好き」そう思っていたけれど
本当はいずれも同じことで
握手して別れた最初の日から分かってるのに繰り返した

 

あなたが幸せでいることを願わずにはいられない

 

恋愛小説家

こちら側の世界

朝、肌寒くて目が覚めて、時計を見て、

起きあがってパーカーを着て、PCを開き

昨日そのまま放置してしまった机を片付けて、

音楽をかけ、熱いココアを飲んで、座って、あなたのことを考えている。


たとえば

「朝、肌寒くて目が覚めて」から「座って」までが一緒でも

あなたが「いなかった」なら、私は今頃何を考えて、

次に何をしているだろうかと。
 

私の世界にあなたがいなかったとしても

心臓は動き続けて、隅々まで酸素を送り続けるだろうし

よく働きよく遊び、よく食べ、夜が来れば寝て、朝が来れば起きる。

けれども、立った途端めまいに見舞われるように

宵闇に見慣れた曲がり角を見落としてしまうように

急に足元がおぼつかなくなり、迷子になってしまうんだろう。

 

自分の立っている場所がどこだか解らない戸惑い。

“向こう側の世界”を想像したら胸が軋み、泣きたくなった。

そんなの、嫌。
 

こちら側の世界では、あなたが私に

「最近、喜怒哀楽がはっきりしてきたんじゃない?」と言う。

そうかな?そうかもしれない。だから、否定はしなかった。

でもこれは最近変わったというより、

私はもともと「そうだった」のかもしれず

何かの拍子に切られてしまったスイッチが

別のきっかけでONになっただけなのかも、と思う。
 

確かに私は、笑いたいときに笑い、涙も堪えず、

好き嫌いを主張し、へそを曲げた。

もちろん、大人の分別ってものは弁えているつもりだけど

まるで子どもの頃に戻ったように。


するとあなたは私の小さな仕草に声を上げて笑い、

こちら側の世界の空気を、陽気な音色で震わす。

あったかい。気恥ずかしい。狂おしく甘い。

生きているって、たぶんそういうことだ。

 

Buena Vista Social Club - 「Chan Chan

落下傘

ベランダにころころ咲いたパラシュート

秋晴れ青空に並ぶ折りたたみ傘に

役立ってくれてありがとうと礼をいう


屋根のある場所とない場所を行ったり来たり

そのままでいいのにと言っても

濡れた傘を閉じるたび

丁寧にしわを伸ばして丸めてくれた指先


ありがとう

もうすっかり乾いたよ

雨の散歩も楽しかったね

 
恋愛小説家