時間泥棒
夜中にことこと卵を茹で、殻をむきながら、
彼のことを考えていました。
昨日彼から届いたメールに、たくさん張り付いていたURLなど。
買い物に迷う私に「こんなのはどうよ?」と調べてくれた物の数々。
そういった作業が、ある程度時間を使うものであることを知っているし
リサーチしながら考えてくれていたんだなぁと
時間泥棒は感謝したのでした。
ひとつ前の冬のことです。
ある日、時間泥棒は、30分も遅れて待ち合わせ場所に現れました。
例のごとく薄着の(それもたぶん湯上りの)彼は待っていてくれ
仕事の打ち合わせが延びたとか、言い訳がましく連絡を滞った私に
「時間泥棒。あと3分。この曲が終わったら帰るつもりだった」と言いました。
思えば幸運でした、首の皮一枚で命拾いしたようなものです。
本気で帰るつもりだったんだと、私も分かっていましたから。
そしてそうなればもう、二度と待ち合わせすることもなかった。
あの日私が好機を逃していたらたぶん結果は違っていたはずです。
私はこんなとんでもない時間に、卵を茹でたりしないでしょうし、
彼もわざわざ貴重な時間を割いてまで
私の買い物に付き合ってくれてはいないでしょう。
殻をはずして、つるつるになったゆでたまごを
冷蔵庫の中で一晩寝かせて、味付け卵にするつもりです。
上手にできたら、一緒に食べたいなぁ・・・などと
スローに時間がかかる作業に興じるのも、楽しくて。
時間を盗んだり盗まれたり、心を盗んだり盗まれたり。
恋をしたら、私も彼もお互い様だと思いました。
その表情
顔に表情があるように
あなたのすべてのパーツには
一つひとつ表情があり
指先、爪先、毛先にいたるまで
存在を主張している気がする
眠っているときに
そっと手を伸ばして重ねる掌には
厚みやぬくもり、無意識の重みにまで
あなただけの表情があり
私はその存在に心底安堵する
臍の深さや大きさや
痕の残った古傷
つむじの位置
見つめる度、触れる度
「その表情が、あなただ」と私は納得し
静かな高揚と安心感に包まれる
何一つ欠けて欲しくはない
けれどもこれから先
何かを損なったり、新しい目印が増えたとしても
私はそれらのすべてを
ただ愛してしまうのだと思う
たまには本当のことを書いてみよう
ほんとの話?作り話?あれって誰のこと?
あなたとか君とかって、何人いるの?
いつも、私の書くものを読んでくれて感想をくれたりする友へ。
たまには本当のことを書いてみようと思います。
私はさっきまで、
油の分解力が最強と噂されるプーアル茶をすすりながら
夕飯に食べた豪華「ごまみそ豆乳鍋」を消化しつつ
子どもの頃の話を、あれこれ思い出していました。
どんなことが好きだったか、どんな風に過ごしていたか。
私の家族は面白い人たちだったなぁ、など。
ところで、あなたの子ども時代はどんな風だったのでしょう。
もはや見ることはできないと分かっているのに
大人になったあなたがそのまま小さくなっただけの
可愛らしいあの子が見える、そんな気がしました。
クラスメイトだったとしても、とびきり仲良しになれたことでしょう。
窓際に立って、カーテンの隙間から見た空は曇っており
どこかオレンジめいていました。月は見えません。
通りを横切る赤いランプを眺めていたら夜風の温度を確かめたくなり、
少し開けた網戸から入ってきた羽虫を5匹つぶしました。
ごめんよ、小さな命。
今はこれを書きながら、
90年代の真ん中頃、好きだった音楽を発掘して
化石のMDプレーヤーで聴いています。
その昔「これいいですよ~」と、知人にすすめたら拒絶されましたが
たとえばあなたなら、一度ぐらいは聞いてくれるでしょうか。
好きかどうかわからないけど、これ、探してあげたいなぁ。
森高千里の話で盛り上がれるぐらいなら、たぶん大丈夫。
そういえば、今年新たに手に入れた音楽もありました。
あの振動する音を聴くたびに思い出すのかもしれません。
暑くて暑くて、汗だか涙だかわからない水分をたくさん流した夏でした。
私にはどんな文章を書けるんだろう?という疑問に
あなたはいつも、とても親身になって一緒に考えてくれました。
もう何年も前から、ひとつのテーマは持っているのですが
うやむやに時間を消費している私を叱咤激励する、
たった一人でも百人分ぐらい心強い、大切な仲間。
あなたが居てくれる、それが嬉しかった。それだけで泣いてしまうほどに。
年齢も性別も性格も国籍も関係なく、そんなチームメイトがいることが、
まして、同じ時代にいてくれたことが。
そして秋が来て、誕生日まで1ヵ月を切りました。
あまり数字にはこだわりませんが
四捨五入で30歳でいられる、最後の年になります。
清らかな流れを水底まで見通せるよう、
日の当たる場所に立っていたいものです。
雨が降ったなら、しとしと雨音に耳を澄まして。
夜更かしはいけないのに、こうしてはいられないと
胸のワクワクを書き留めています。
ああ、歯磨きをしたのに、お菓子を食べてしまいました。
口づけほどに甘い甘い苺味でした。
ありがとう、おやすみなさい。
I always heard that love's supposed to be
more than a word and more than just a dream
someone to share your every joy and pain
someone who's there for sunshine and the rain
「The Other Side of Love 」 坂本龍一 featuring Sister M
少し離れて見てみたら
ありがとう。
メールアドレスが変わったことを、親しい人にも言わずにいたら
ところどころに綻びが。ああ、本当にすみません。
故意に引きこもっていたわけではなく、ただの甘えと怠慢です。
なかなか、前に進めていない私。
ならば問題はどこにあるのかを洗い出してみよう、そう思います。
なかなかでも、全然前に進めていないわけではない、そう思うから。
そんな折、かつて毎日サーブレシーブアタック!と
鬼のようにな勢いで打ち合っていた仕事仲間と再会。
みんなまるで違うのに、一つになる空気は違わない。
私もまるで違うけれど、たぶんいい方に、違っているんだ。
そうだ、目の前ばっかり見ないで
少し離れて見てみたらいい。そんな気がしました。
時間を取られる物事があります。
どうしてもそこはショートカットできない部分があります。
厳しいなぁ、それが蓄積されるとストレスにもなる。
歯磨きを手抜きしていたら、頑固な歯石がくっついていた、
柔らかな垢が、いつしか外れない塊になってしまった。
・・・ちょっと違うけど、イメージはそんな感じ。
ときどき歯医者さんに行って、自発的にクリーニングしないとダメなんだ。
でも本当は、毎日きちんと、
自分で歯磨きすればいいだけのことなんだ。
何を選んで、何を手放すべきなのか、
その判断を見誤ってしまわないように。
海外にいるわけでもないのに
こんなに音信不通になってしまったことなんて
どれぐらいぶり?今はとても、話がしたい。
その声はたぶん、私のセラピーなのです。
ありがとう、母の写真を拝借。
男前なオンナ
男脳と女脳がどうとかいう本が流行ったとき、
見事に半々という結果がでた私のアタマ。
男と女の真ん中。言われてみれば、確かにそうかもしれないわ。
地図は読めるし回さない。
おしゃべりはほどほどに好きです。
聞き役になることが多いけど、特定のひとにはよく話をするね。
乗り物も運転も大好き。家電の配線にオロオロしない。
休み時間、連れだってトイレに行かなかった。
ロジカルに物事を片付けるクセがあるかも。
抱きしめるのも、られるのも好きです。
「仕事と私、どっちが大事なの?」って。
両方大事で、いいと思います。
「誕生日に仕事になったらどうする?」
これまた、どうするも何も。
そういう時は、恨み言など言いっこなしでしょ。
ジメジメしないでさわやかに送りだしたいもの。
全部終わってから、一緒に乾杯できたらいいな。
人生は面白いほど試練の連続で
そんなもしも話をしていると、その通りになったりするし
約束がふいになれば、残念ではありますが、けれども。
幸いにも、私たちは織姫と彦星ほど逢えない二人じゃないし
君が私のことを大事にしてくれているのは十分知っているから、できる。
“男前なオンナ”らしく、元気に見送ってあげるのが
私なりの愛情なのだと思っているけど、伝わるかな?
たとえば、あなたに誰か、大切な人がいるとして。
その人がシゴトニンであることを、誇らしいと思い
「行ってらっしゃい」と「おかえりなさい」を言えるとすれば
それは実に幸せなことだと思います。
君は君で、物事にあまり執着しない私に
「そんな程度の思いなのか」と、誤解しないように。
本当に半分が男脳で構成されているとしても
もう半分の女脳は誰のためか、考えてみて。
お預けになった幸せは倍になって跳ね返るはずだから
乾杯するの、楽しみにしているんだから。
それじゃ、またね。
Do what makes you happy.
誰に送るでもなく、またはいつでも誰かに手紙を書けるように、
きれいなレターセットをいくつも集めていた母。
私もそれにあやかるように、レターセットを集めていました。
中でも、Hallmarkのカードやシールが好きでした。
Hallmarkの本拠地であるアメリカに行けば、
モールやスーパー、ドラッグストアなどどこでも見かける王冠のマーク。
見ているだけでも楽しくて、直営店や売り場で足を止めてしまうのです。
趣味の良しあし、色柄や言葉遣い、
印刷されたくだらないジョークなどもひっくるめて
欧米文化に触れられた、グリーティングカードの数々。
上等なものから、ちょっとお下品なものまでバラエティ豊かです。
メールではなく、あえてカードを贈る文化がいいなぁと思っていました。
クラスメイトに誕生日カードを探しに行けば
「お父さんへ」「お母さんへ」「おばあちゃんへ」「おじいちゃんへ」
「姉妹へ」「兄弟へ」「親友へ」「ボーイ/ガールフレンドへ」・・・など
最初から送り先が特定されている専用カードがあったり、
カレンダーのイベントに応じた季節ごとの限定カードが売られていたり。
(その最たるものはクリスマスですね)
円形の、むらさきのカードを買ったのは、いつのこと?
丸くなって寝ているとぼけた猫の柄が好きで、円盤状のデザインも好きで
それを入れる専用の封筒のタテヨコ比も好きで
書かれていたメッセージも、好きだった。
Do what makes you happy,
happy birthday.
くつろげる場所に行きたければ行けばいいし
旅したければすればいいし
美味しいものが食べたければ食べればいいし
好きなものをひたすら追求すればいいし
しあわせになれることをすればいい。
このメッセージが心にピッタリ来たので
私は自分のためにカードを買いました。
けれども、自分よりもこのメッセージが似合いそうな人がいたら
満を持して贈りたいと思っていました。
カードが誰かの手に渡るかなんて、
お店でそれを手にしたときには考えもしなかった。
ですが不思議な縁で、引き合った誰かのもとに渡っていくのでしょう。
くじ引きみたいに?それとも、最初から決まっているの?
そんな未知の複線があっちこっちに溢れているから、
先のことは分からないから、
宝探しみたいで、人生は面白いのだと思います。
裏目表目
運よく、ひとつ前の電車に乗れました。
ところが今朝は雨のためか乗り継ぎが裏目裏目に出て、
ぎりぎりセーフでデスク前。駆け込みにてPC起動。
分刻みで、タイムマネジメント力のなさにがっくり。
でも、これも何かの思し召し。
ウラの裏はオモテ。
楽しいことは隠れてる。
メロンパン
いかん!お硬いオフィスで何回か白目に…
生産性が無さすぎたので明日は仕事の鬼になりますよ。
意識を失い倒れる予感がしました。
そろそろ怪しいドーピング(ドリンク剤)に手を出しそうです。
朝、乗り継ぎに5分あったので
駅ナカのパン屋に入りました。
2つのメロンパンを前に悩み、
結局ふたつ買い、電車には乗り遅れ
おまけに多過ぎて1つ残しました。
なにもかもが裏目で、無駄だったのかというとそうではなく
後で食べようと思うとしあわせでした。
でも、隣で10歳下の先輩が残業するというので
メロンパンは彼女の手に渡りました。
それもまた、しあわせ。
眠いけど、しあわせ。
さてと。私は少し宿題です。
隣り合わせ
あなたは昨日とまるで同じに見えるし
去年と何も変わってないみたい
でも5年前や5年先とは結構違うんだと思う
生まれた日から毎日写真を取って並べたら
人がどんな風に育ち成長し
歳を重ね老いていくか分かるだろうね
隣り合わせの2枚は同じに見えても
何枚か飛ばしてみたら違っているんだろうね
今日が幸せで終わったなら
明日も幸せかもしれない
隣り合わせの2日は同じに見えるから
その愛おしさに気付きにくいもの
日が昇り、沈み、また明日が来る
本当はその全部がぜんぶ
大切なのだと思うよ
季節が廻れば、誕生日はやってきて
「年齢」という数字が一つ増えるけれど
特別なのは何もその一日だけじゃなくて
「オギャー」と世界に飛び出してきてから
静かに息を引き取るまでの、長い線の上で
あなたはずっと続いている
だから毎日が愛おしい
あれ、こんなところにホクロあったっけ
いつできたんだろ、きっとあったんだよ前から。
くすくす自問自答するみたいに
知らぬ間にずっと
そばにいたい気がした

