361話目
昨晩HALと愛し合って、起きた時にも愛し合った。
あたしの心は、HALの愛で満たされていた…。
HALは昔の話をしてくれた。
「セックスというものはただの行為」だったと。
「でも愛美さんは違う。女の人をここまで大事に思ったことはない」と言ってくれた。
そして、「こんな愛を知らないわたしでもいいですか?」と聞かれ、あたしは約束した。
「いつまでも愛し続けます」と。






362話目
今日はクリスマスイブ。
HALは仕事で、24日も25日も会えない。
クリぼっちだ。
と思ったら、泊まりがけのクリスマスパーティーに誘われた!
マモルと風とDAIと一緒の車に乗る。
どこに行くかは内緒と言われ、山梨・長野方面の中央道を走る。
談合坂SAで降りたら、突然風があたしの手を繋いできた……!?






363話目
あたしの手を握ってきたのは、風ではなくユウトだった。
DAIとマモルと、テレながら握手していた。
ユウトも「友達」が欲しいのだろう。
ユウトとDAIは、後部座席で爆睡した。
マモルと二人きりで話していたら、マモルがいきなり「ごめん眠くなったから外へ行く」と車を路駐させて道端で座り込んだ。
体調悪いのかとあたしも外に出てマモルを見たら、マモルは泣いていた。
この道も、亡くなった彼女のひかるさんを捜して通った道だったらしい。
マモルはいつも、みんなに優しくて愛を与えていた。
そしていつも、明るくて笑顔だった。
あたしはマモルを抱きしめた……。






 364話目
マモルも元気になり、山梨のとんでもなく綺麗なホテルに着いた!
部屋は風とDAIとあたし!?
一応元カレなんですけど……。
とはいえ、風もDAIもあたしの事別に女として見てないというか、あっけらかんとしていた。
何事もなければいいんだけど。
夕食はパーティー会場で豪勢な食事と聞き、
たくさん食べたいからと、あたしはデパスを飲んでしまった……。






365話目 
夕食の時間になり、会場へ行こうと廊下に出ると、隣の部屋からSugarと友愛が出てきた!
お互い来てるの知らなくて、驚いた!
でも凄く嬉しかった。
こうやって大切な仲間たちとクリスマスパーティーだなんて!
そして、あたしは美味しい料理よりも真っ先に高級シャンパンを手に取った。
とんでもなくいいお酒らしい。
それが無料で飲めるなら、いっぱい飲まなくちゃ勿体ない!
あたしはデパスを飲んだあとに、お酒を飲んではいけないということも知らずに
乾杯をした……。






366話目
アイナさんと久しぶりに再会した!
アイナさんはHALの黒い噂をたくさん聞いたから危険人物だと見なし、HALを諦めて他の一通り婚約したらしい!
レイジが来て、赤ワインをあたしにくれた。
レイジと仲良く話してるのを見て、アイナさんは「レイジさんの事好きなのね!頑張ってね!」と耳打ちしてきた。
勘違いされてしまった。
それにしてもシャンパンも赤ワインも白ワインも美味しすぎる!
あちこちからシャンパンやらワインやらを奪い取り、一気飲み、それを繰り返した。
楽しくて楽しくて仕方がない!
あたしはどんどん暴走して行った……。






367話目
あたしは、地獄のように泥酔していたらしい。
大暴れして、大笑いして、号泣して、叫びまくって、風に抱きついて、ぶっ倒れて、そしてトイレで吐きまくっていた。
アイナさんがずっと女子トイレであたしを介抱していたらしい。
由美誘拐事件の時に会ったS2も会場にいて、
S2は本業は内科医だから、HALの病院と連絡を取ってなんとかあたしは回復した。
それでも、急性アルコール中毒一歩手前だったらしい。
デパスを飲んだあとに酒を飲むなと怒られた。
安定剤飲んでお酒を飲むと、猛烈に酔いが回るとのこと。
そしてまた眠りにつき、ホテルの部屋で風とあたしは二人きりだった。
今度は風があたしを介抱してくれていた。
そして、風は「愛美はHALさんと付き合ってても幸せになれていない」「俺が愛美を幸せにしてあげたかった」と、キスをしてきた。






 368話目
風にキスをされ、押し倒されて……
あたし達は、最後まで「愛し合った」
前にも愛し合った事はある。
だけど、その時あたしはHALとも付き合ってなかったし、風も夢叶と付き合っていなかった。
あたし達はお互い、恋人がいるというのにセックスをしてしまった。
完全な「浮気」だ。
クリスマスプレゼントをお互いに渡した。
風がスマホをいじり始めたからまたいじめ相談か、と思いあたしはシャワーを浴びた。
部屋に戻ると風はベッドのうえで倒れていた。
焦って見に行くと、目を開けた風は
マリアに交代していた。






369話目
風のLINEが鳴る。
風は夢叶に別れたいとLINEをしていた。
夢叶が「やだ、別れたくない。理由を教えて」と。
そのタイミングで、風はマリアに交代した。
マリアに「あなたは彼氏と別れるんですか?責任を取れない軽はずみなことはしないで下さい」と責められた。
そして、マリアはたった今、あたしと風が愛し合った風の記憶を消すと言った。
確かにそうだ。これは浮気ではない。
本気だった。風は夢叶に別れを告げた。
なのにあたしはHALと別れられないのならば……
あたしはマリアに「お願いします」と言った…。






370話目
風は、あたしと愛し合った思い出を
全て、忘れた……。
これで良かったんだ。あたしはHALと付き合ってるんだから。
だけどその話を聞いた友愛は、あたしに同情してくれた。
「好きな人と愛し合った記憶を忘れられるのは私なら耐えられない」と。
素直にその気持ちが、嬉しかった……。
あたしが昨日迷惑かけまくった人たちに、謝罪して回った。
でも案外みんな、「あんな愛美ちゃん初めて見て面白かった」と笑っていた。
風は、あたしが酔い潰れた事も記憶がなかった。
これで、良かったんだ、これで……。