日本の伝統武道とは、年齢がゆくほどに進化発展し、若い元気な者達を全く寄せ付けない強さを持つことだと考えています。試合のあるスポーツ関係は引退も早いので仕方がありません。歳をとれば次第に筋肉も衰え力も低下するのがスポーツの現実です。気の力とか霊力パワーが本当に存在すれば歳をとっても心配ありませんが、現実的ではありません。日本伝統の(体術)といわれる相手の力を抜いてしまう技術と内なる気力の発展こそ、年齢がゆくほどに進化発展し、若い元気な者達を全く寄せ付けない強さを持つものだと私は考えています。合気道にはその可能性があります。最後に合気道を選んでよかったと思います。
   

一つの道を究めれば全てのことに生かせること。上達にはある程度の法則性があり、一芸に秀でる過程で物事の本質と法則を体得することができれば、他の分野にも応用が利くということ。合気道は日本国内において数少ない総合武道です。体術ではありますが、剣を操作すれば合気の剣、杖を操作すれば合気の杖と言われます。体=剣術=杖術 合気道は武術だけでは無く、生理学や物理学、心理学、ツボ(医学)等も知識として取り入れないと成立しないことに気づくことで「一理に達すれば万法に通ず」と言う表現に説得力が増してきます。昔の武士は医学、薬学に詳しい人も存在しました。戦場の怪我の手当は重要です。戦国の世から平和な江戸時代になり、武士を辞めて医者として生計を立てた人が多いと聞きます。戦国以前の上級武士は武術、薬学、文学等に精通していたそうです。足利学校はそうした人達の学校だったようです。

 
相手の欠点や失敗を攻撃して逆鱗に触れて怒らせることは極力避けるべきですが、悪人に攻撃されて、逆らいすぎて もっとひどい目に合うこともありますから気を付けたいものです。私の護身術教室では攻撃されたらさりげなく手ほどき、体ほどき等で距離を置き逃げるように指導しています。反撃することはかえって逆鱗に触れますので気を付けてください。 

また、稽古相手に対する技のかけ方は丸く動く方向に収めることとし、逆らうように力で技をかけると抵抗されます。子供の頭をなでる時には後頭部からおでこに向かってなでることが普通ですが、おでこから後頭部に逆なですると逆鱗ほどではないですがいい子だと褒められている気持にはならないでしょう。全て丸く収めれば良いと思います。

YouTubeに強くもたれたら動かないと本音を言っている合気道愛好家のブログを見て 困ってしまった。武道を名乗っている、しかも、教えていたとしたら困ります。そういう愛好家、指導者と一緒にされてはたまったものではない。強くもたれて何もできない人は即、退場をお願いします。本気で頑張っている人達にとって役に立たない合気道という悪い噂はすぐ広まりますので迷惑です。合気の技術は多種多様ですが、相手の力を抜く 抜きの技術も含まれます。稽古相手に稽古を理由に注文をつけてはいけません。植芝開祖の最初の頃は、強く握らせてから技を掛ける そして次に応用技に移行していったと聞いています。


  
下手(したで)に出るとは相手に対してへりくだって対応することですが、武術では相手が掴んでくる時に相手の手が上になるように掴ませることが優位になります。その手に乗るな、とも表現しますがこの手に乗らせられたらしめたもの、あとは合気をかければ好きな技に移行できます。また、その逆に相手の手の上に乗り全体を押さえれば上手に制すことができます。

世の中には似て非なるものがあふれている。なんでも鑑定団の人気は本物と信じて出品したものが偽物と判定され、驚きの低価格で盛り上がる。本物の場合は「こんなに高くて誰が買うの」と私はいつも不思議に思ってしまう。中国で購入した逸品や江戸時代の日本画の多くはほとんど贋作なのでそれはそれで面白いが中国製品は今も昔も変わらずに贋作なのが面白い。しかし、真似のできない商品も日本には出てきている。ローレックスは真似ができても、日本製のソーラー電波時計は真似できない。日本の生きる道は他国に真似ができない品で勝負していくしかない。日本の合気道を真似した似て非なるどこかの国の発○道のように別物と言われないように和合、調和、結びを大切にした武道の精進を怠らないようにしたい。
 

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武道の身を切るとは「よく見て判断する。状態を見きわめる」時に使用されます。詳しく言うと相手の状況、状態、気持ち、殺気等を冷静に見る、観る、診る、観察して瞬時に判断して行動をとる。相手の攻撃にたいして身をすこし切るくらいの入り身転換で躱(かわ)すのは上泉新陰流(皮を切らして肉を切れ・肉を切らして骨を切れ・骨を切らして命を取れ)の特権ではありません。体術には必要な動きです。見切り発車と言いますが見切り入り身、転換ができないと相手の攻撃に対して遅れを取ってしまいます。身切り発車、つまり皮を切らすくらいのタイミングと距離、そして反射の動きを理解する必要が出てきます。考えて対応していては遅いのです。
   

合気道の演武を見ていると受けが師範の周りを大きく回っていたり、受けが必死に合わせていたり、師範と受けの距離が離れている演武をよく見かけます。それとは真逆のほとんど回っていない、師範の無駄な動きが無い、師範と受けの距離が密着している演武も見られます。昔、合気道は畳二枚の中で一教から五教、四方投げ等の技をかけることが理想だと聞かされたことがあります。道場の上からドローンで演武の動画が撮れれば面白いと思います。師範の軸や運足、受けの動き、畳4枚の範囲内で演武しているかをチェックできるので稽古に役立てると思います。演武場所が広くても、たとえ多人数掛けだとしても、せめて四畳位の広さで演武できればと思います。