【若紫144-2】☆東京大学古文の記述対策☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬、物の怪による夕顔の急死…。光源氏の恋は成就することなく、尽きせぬ恋慕を重ねていくのでした。
ただ今、第五帖「若紫の巻」です。夕顔が亡くなった翌年、光源氏18歳の3月(春)に、瘧病にかかって、その加持祈祷のために、北山に訪れ、そこである僧都の屋敷を垣間見、泣いているかわいい少女若紫を目にしました。その後すぐに僧都が光源氏を訪ね、自分の僧坊に招きました。光源氏は若紫のことを詳しく聞き出します。その夜、僧都宅で、眠れずにいた光源氏は、僧都家の女房に手引きを頼み、尼君と対面して若紫の後見を願い出ますが、あえなく断られてしまいます。
【今回の源氏物語】
「今年ばかりの誓ひ深うはべりて、御送りにもえ参りはべるまじきこと。なかなかにも思ひたまへらるべきかな」
など聞こえたまひて、大御酒参りたまふ。
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☆ 国公二次対策~オリジナル問題~ ☆
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「今年ばかりの誓ひ深うはべりて、御送りにもえ参りはべるまじきこと。なかなかにも思ひたまへらるべきかな」
など聞こえたまひて、大御酒参りたまふ。
問 ここでの、僧都の真意を考察せよ。
☆東大古文の難解解釈問題☆
このようなヒカッケ問題が出されるかは分かりませんが
もし、こう聞かれたときは
…なんて、この言葉の奥に隠された真意をさぐるには
必ず、何らかの根拠が
必要になってきます!
ここでは――
御迎への人びと参りて、おこたりたまへる喜び聞こえ、内裏よりも御とぶらひあり。僧都、世に見えぬさまの御くだもの、何くれと、谷の底まで堀り出で、いとなみきこえたまふ。
「今年ばかりの誓ひ深うはべりて、御送りにもえ参りはべるまじきこと。なかなかにも思ひたまへらるべきかな」
など聞こえたまひて、大御酒参りたまふ。
直前の僧都の行為を見ても
光源氏に対する、好意的なもてなしのことしか
書かれていません。
このような場合、
「真意を」…と聞かれても
「その裏の意味を探れ」と言われているわけではないのです。
この言葉と事情事体が「真意」のはず。
したがって
下手に裏の意味を考えたりせず
素直に、僧都の言葉通りに訳出していけばよいのです。
背景知識を踏まえ
古典を古典として読む
長い古文になるほど
俯瞰的に全体像を読み取ろうとして
現代的な読者の感覚が入り込んでしまいます。
でも――
古典には、古典の世界の常識があるんです。
ここでは、
仏教的価値観が日常生活に染み渡っている
その状況を、先入観を入れず、
きちんと読み解いていくことが肝心です。
まずは、箇条書きでもいいので、自力で書いてみましょう。
そして、模範解答を見て
どんな書き方で説明すればよかったのか、
論理的な流れはズレていなかったか、
自分の答案と照らし合わせてチェックしていきましょう。
【答え】