【夕顔315-2】心情説明☆偏差値58☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいました。部下の惟光(これみつ)に命じて夕顔の葬儀を終え、光源氏は失意のまま二条院へと戻ります。
【今回の源氏物語】
あやしう夜深き御歩きを、人びと、「見苦しきわざかな。このごろ、例よりも静心なき御忍び歩きの、しきるなかにも、昨日の御気色の、いと悩ましう思したりしに。…」
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☆ 古文オリジナル問題~状況説明偏差値58~ ☆
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あやしう夜深き御歩きを、人びと、「見苦しきわざかな。このごろ、例よりも静心なき御忍び歩きの、しきるなかにも、昨日の御気色の、いと悩ましう思したりしに。…」
問)傍線部の心情説明として最も適当なものを、次の中から1つ選びなさい。
1.夜ごとのお忍び歩きがたて続き、世間で悪い噂になっており、主人の威厳をおとしめているのではないかと気が気でならない。
2.最愛の女性である夕顔が命を落としたことに、絶望して今にも死にそうになっている主人を見て、ひどく同情し心を痛めている。
3.たび重なるお忍び歩きが、宮中でも噂されているにもかかわらず、さらに昨日も出歩いていたので、みっともなく思っている。
4.近ごろ頻繁にお忍び歩きしていて、見苦しい上に、さらに昨日は私たち女房に心配をかけて悩ましたことを、ひどく憤っている。
5.このごろ、常よりずっと落ち着きなくお忍び歩きしていた中で、昨日は特に苦しそうだった主人の様子を、見るに忍びなく思っている。
古文の物語において、
心情説明問題は、読解問題の王道ですよね!
① まずは、傍線部一語一語の品詞分解⇒口語訳で意味把握
② 次に、傍線前後の文脈をとらえる。
③ あとは現代文の小説の解き方と一緒。
心情に至る状況(なぜその心情に至ったか)を理解する。
選択肢を一語一語本文と照らし合わせて確認する。
センター前のこの時期、
よく、上のような心情問題は、時間がかかり過ぎるので捨てろ
というマニュアルが言われたりしますが、
上のような心情問題こそ、
文脈が理解できていれば、
効率的に解けるんです!
① まずは、傍線部一語一語の品詞分解⇒口語訳で意味把握
ここでは、
■見苦しき(=「見苦し」連体形)
■わざ(=こと)
■かな(=詠嘆の終助詞)
このうち、「見苦し」の意味は、次のとおり☆
【見苦し(みぐるし)】
【形容詞:シク活用】
①見ていてつらい。見るに忍びない
②みっともない。みにくい
※『全訳古語例解辞典(小学館)』より
ネットの源氏物語訳などを見ると、
「みっともない」と訳してある場合が多いですが、
あとの文脈を考えると、私は①の意味のほうがいいと思います。
まあ、このような曖昧な部分は置いておくとして、
次を見ましょう!
② 次に、傍線前後の文脈をとらえる。
「あやしう夜深き御歩き」
⇒これに対して、女房たちは「見苦し」と思ったわけですね。
では、「見苦し」の内容は、どのようなものか。
あとに続く女房の説明を見てきましょう。
「このごろ、例よりも静心なき御忍び歩きの、しきるなかにも、昨日の御気色の、いと悩ましう思したりしに。」
【静心(しづごころ)】
【名詞】
…静かな心。落ち着いた気持ち
※『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「静心なき」とは、「落ち着いた気持ちもない」という意味。
百人一首にも、「静心なく花の散るらむ」で有名な古語ですね。
光源氏は、落ち着きのないお忍び歩きの中にも、
昨日のご様子がひどく「悩ましう」思われていたんです。
【悩まし(なやまし)】
【形容詞:シク活用】
①からだが疲れて苦しい。大儀である
②病気で気分が悪い
※『全訳古語例解辞典(小学館)』より
このような、主人の様子をみた、女房たちの心情です。
③ あとは現代文の小説の解き方と一緒。
心情に至る状況(なぜその心情に至ったか)を理解する。
選択肢を一語一語本文と照らし合わせて確認する。
では、選択肢を一語一語チェックしていきましょう。
1.夜ごとのお忍び歩きがたて続き、世間で悪い噂になっており(△ナシ)、主人の威厳をおとしめているのではないかと気が気でならない(△ズレ)。
2.最愛の女性である夕顔が命を落としたことに、絶望して(△女房は知らないはず)今にも死にそうになっている主人を見て、ひどく同情し(△スギ)心を痛めている。
3.たび重なるお忍び歩きが、宮中でも噂されている(△ナシ)にもかかわらず、さらに昨日も出歩いていたので、みっともなく思っている。
4.近ごろ頻繁にお忍び歩きしていて、見苦しい上に、さらに昨日は私たち女房に心配をかけて悩ました(×「悩まし」の主語ズレ)ことを、ひどく憤っている。
5.このごろ、常よりずっと落ち着きなくお忍び歩きしていた中で、昨日は特に苦しそうだった主人の様子を、見るに忍びなく思っている。
この手順で解いたら、
確実に、正答を導けますよね♪
【解答】 5