【夕顔209-2】「~べきよし」の「べき」は命令?
学べば学ぶほど奥深いのが、古文。
マニュアルを覚えて終わり…ていうのは、狭い勉強法です。
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光源氏は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下した。帝の後妻である藤壺宮(ふじつぼのみや)が亡き母に似ていると聞き、思い焦がれるようになる。一方、中流階級の空蝉(うつせみ)と一夜限りの恋を経験し、光源氏は、現恋人の六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)にも、正妻の葵上(あおいのうえ)のもとにも心が向かないでいるのだった。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう夕顔の君に心惹かれ、こっそり通うようになる。ある夜、光源氏は夕顔を廃院に連れ出し、2人で時を過ごす。宵も過ぎた頃、何か異様な気配がし出します…。
【今回の源氏物語】
「…人離れたる所に、心とけて寝ぬるものか。惟光朝臣の来たりつらむは」と、問はせたまへば、
「さぶらひつれど、仰せ言もなし。暁に御迎へに参るべきよし申してなむ、まかではべりぬる」と聞こゆ。
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☆ 古文オリジナル問題~文法~ ☆
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この前、ある参考書を見ていたら、
「『―べきよし』の『べき』は必ず【命令】と覚える」
というのが出てきてました。
ですが、果たしてそうでしょうか…?
「…人離れたる所に、心とけて寝ぬるものか。惟光朝臣の来たりつらむは」と、問はせたまへば、
「さぶらひつれど、仰せ言もなし。暁に御迎へに参るべきよし申してなむ、まかではべりぬる」と聞こゆ。
問)傍線部「べき」の文法的意味として、最も適当なものを一つ選べ。
1.推量
2.意志
3.可能
4.命令
5.婉曲
たしかに、古文で「―べきよし」と出てきたら、
「―せよとのこと」と訳すと、しっくりくる場合が多いですが、
必ずしもそうなるとは限らないのです!( ゚∀゚; )
今回の傍線部を直訳すると、
「暁に御迎へに参るべきよし申してなむ、まかではべりぬる」
「明け方にお迎えに参るつもりだということを申して、退出いたしました」
こんな部分の「べき」を
命令「参れということ」などと訳したら、
意味が真逆になってしまいますよね!
【よし(由)】
【名詞】
①理由。いわれ。わけ
②口実。言い訳
③手段。手だて
④事情。いきさつ
⑤趣旨
⑥縁。ゆかり
⑦情趣。風情
⑧そぶり。ふり
※Weblio古語辞典より
古文は、ゼッタイそうと決めつけず、
前後の文脈をイメージさせて言葉を選ぶ訓練なのです!
正解…2