【夕顔207-2】廃院の預かりの子について☆
古文常識は、一気に覚えても忘れてしまって意味がありません。
毎日触れる古文のなかで、少しずつ、定着させていきましょう。
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光源氏は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下した。帝の後妻である藤壺宮(ふじつぼのみや)が亡き母に似ていると聞き、思い焦がれるようになる。一方、中流階級の空蝉(うつせみ)と一夜限りの恋を経験し、光源氏は、現恋人の六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)にも、正妻の葵上(あおいのうえ)のもとにも心が向かないでいるのだった。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう夕顔の君に心惹かれ、こっそり通うようになる。ある夜、光源氏は夕顔を廃院に連れ出し、2人で時を過ごす。宵も過ぎた頃、何か異様な気配がし出します…。
【今回の源氏物語】
この院の預りの子、むつましく使ひたまふ若き男、また上童一人、例の随身ばかりぞありける。
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☆ 古文オリジナル問題~古文常識~ ☆
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この院の預りの子、むつましく使ひたまふ若き男、また上童一人、例の随身ばかりぞありける。
問)傍線部「この院の預かりの子」の説明として、該当するものを二つ選べ。
1.廃院に住まっている老人の孫。
2.廃院を管理している上童。
3.廃院の管理人の息子。
4.光源氏のもとで暮らしている上童。
5.光源氏が親密に召し使っている。
「預かり」という古文常識と、論理的思考を問う問題。
こういう、知識偏重ではなく、
ちょっと考えさせられる問題が、今後多くなってくると思います。
このブログで、古文のそういう傾向の問題にも
慣れていきましょうね!
(。´・∀・)ノ゙
【預かり(あづかり)】
【名詞】
①任されること。担当
②管理人。担当者
③平安時代、役所の管理をする者
※Weblio古語辞典より
こういう古文常識は、
あまりにもマイナーなものは入試問題では注釈がつきますが、
難関大学になると、これくらいは注釈がつかない可能性もあるので
できるだけ多くの古文に接して、覚えていきましょう。
源氏物語の夕顔の場面では、
「預かり」=管理人という意味で、何度も登場しました。
今回は「預かりの子」ですので、
この管理人の子ども(息子)ということです。
1.廃院に住まっている老人の孫。(×)
2.廃院を管理している上童。(×)
3.廃院の管理人の息子。(○)
4.光源氏のもとで暮らしている上童。
5.光源氏が親密に召し使っている。
そして、次に問題なのは、
この院の預りの子、むつましく使ひたまふ若き男、また上童一人、例の随身ばかりぞありける。
この4つの節の並列です。
4人の人物がいるのか…否か…?
実は、多くの解釈本では、イラスト訳で示したように、
この院の預りの子、むつましく使ひたまふ若き男、
…というふうに、最初の読点(、)の部分を同格で訳してあります。
::(゚Д゚≡゚Д゚);;
実は、ここが同格か否かは、
この部分だけ見ても分かりません。
ですが、今回の問題は…
問)傍線部「この院の預かりの子」の説明として、該当するものを二つ選べ。
「二つ選べ」とあるので、
Aこの院の預りの子、Bむつましく使ひたまふ若き男、Cまた上童一人、D例の随身ばかりぞありける。
A=B、つまりAとBが同格となることが
選択肢から分かるんです!
【むつまし(睦まし)】
【形容詞:シク活用】
①親しい。仲が良い。親密である
②慕わしい。懐かしい
※Weblio古語辞典より
重要古語「むつまし」の意味をきちんと捉え
選択肢を吟味しましょう!
(o^-')b
4.光源氏のもとで暮らしている上童。
5.光源氏が親密に(○)召し使っている。
正解…3・5