【帚木211-2】「思ひたまへ出でらるる」の解釈☆
勉強がんばってますかあいです。
【イラスト解釈】では、本日のイラスト訳に因んで、
解釈問題や文法・常識のツボを随時更新しています♪
↓今日の源氏物語はコレ↓
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「…ひとへにうち頼みたらむ方は、さばかりにてありぬべくなむ思ひたまへ出でらるる。…」
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【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、臣下に降格してからも継母である藤壺宮を忘れられないでいました。五月雨が続くある夜、宮中の宿直所で、光源氏は義兄で親友の頭中将と、女性論の話になり、そこに友人の左馬頭、藤式部丞が加わって、さらに話は盛り上がります(雨夜の品定め)。左馬頭が具体的な女性体験談を語り出します。嫉妬深さゆえ、指を噛むような妻と喧嘩別れし、意地を張っている間に、女は亡くなってしまいました…。
今日は、「思ひたまへ出でらるる」の解釈☆
ではいってみよ~~っと♪
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「①さばかりにてありぬべくなむ思ひたまへ出でらるる」とあるが、傍線部①を、一語一語に注意して現代語訳せよ。
京大など、国公立二次の入試問題では、
このような逐語訳の問題が頻出します。
センター試験に重点を置いている受験生が、
いちばん手こずるのがこのような問題なのですが、
いかんせん難関大学では、
逐語訳の問題ばかりが出題されています;
(;゚;∀;゚;)
浪人の方々も、現役時代、
このような問題に、もう少し重点を置いていたら…
などと、後悔してやまない人も多いでしょう;;
(;´Д`)ノ
まだ、秋口にさしかからないこの時期、
ぜひとも源氏物語イラスト訳を読んで、
逐語訳の世界に、慣れていってほしいと思います☆
:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
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「さばかりにてありぬべくなむ思ひたまへ出でらるる」
↑
ぱっと見てそれと分かるのは、
「なむ~らるる(連体形)」の【係り結びの法則】ですね。
「さばかりにてありぬべくなむ思ひたまへ出でらるる」
まずはこれに気づいて、係り結びで強調されていることを念頭に置きながら訳出してみましょう!
(o^-')b
ただ、強調というのは、訳し方も幅広いので、
別に訳さなくても、減点されることはありません。
(`・д´・ ;)
なので、
「係り結びの強調は訳さない」とマニュアル化されてる参考書もあります。
まあ、これは、個人的な価値観なので、
「~だよ」等と強調して訳しても、訳さなくても、
どちらでもいいんですが…
あくまでも、係り結びで強調されていることを念頭に!
ということです(*^_^*)
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次に、前半部、「さばかりにてありぬべく」の解釈です。
■【さばかり】
…それほど、あれほど
指示語です☆
設問を見ると、「一語一語に注意して」とあります。
「指示内容を明らかにして」「状況を分かりやすく」などの条件であれば、
「それ」「あれ」の内容まで明らかにして訳出する必要があるのですが、
「一語一語に注意して」ということなので、
指示語は指示語として訳出していきましょう!
(o^-')b
■【ありぬべく】
「ぬべし」は、確述用法です☆
【ぬべし】
…きっと~だろう、確かに~はずだ、~に違いない
(※確述用法についてはこちら→ )
「べし」については、文脈により訳し分けする必要がありますが、
(※「べし」についてはこちらも参照→ )
ここでポイントは、「あり」の意訳のしかたです。
直訳すれば、
ありぬべく
=あるに違いない、きっとあるだろう
う~ん;ビミョー
( ̄ー ̄;
「あれほどであるに違いない」なんて、
意味不明ですよね~!
(;゚;∀;゚;)
なので、ある程度、意訳する必要があります。
このへんは、単語文法だけを勉強すれば、突然身につくというものではありません。
こういう部分が、スラリと訳出できるセンスを身につけてもらうために、
毎日、源氏物語イラスト訳を読んでもらってるんですよぉ!
ここでは、
「さばかり=あれほど」、
つまり、
正妻としては、このくらいのレベルの女性で、
「ありぬべき=十分であるに違いない」ということです。
(o^-')b
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そして、後半部、「思ひたまへ出でらるる」の解釈です。
■「思ひたまへ出で」について☆
「たまへ」を謙譲の補助動詞ととらえることができますが、
あとの「出で」という動詞に着目!
「たまへ」を外せば、「思ひ出で」という形になりますね!
ヽ(゚◇゚ )ノ
なので、訳出は、
【思ひ出で(思ひ出づ)】
…思い出す
【たまへ(たまふ)】
…~ております
この2点をきちんと訳出します。
■「らるる」について☆
「らる」の識別も、入試頻出ですよね~!
(※詳しくはこちら→ )
このように、「思ふ」や「思す」、「覚ゆ」、
または「思ひ~」という連語などの心中語に、
助動詞「る」「らる」が付いたとき、
自発の意となるんです☆
(・∀・)
今回も、「思ひ出で」という心中語に付いているので、
「らるる」を自発の助動詞「らる」の連体形ととらえます。
(o^-')b
ただし、訳す順番や「たまふ」の訳し方などを、
工夫する必要がありそうですね♪
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【答え】
さばかりにてありぬべくなむ思ひたまへ出でらるる。
訳)あれぐらいの女性で十分であるに違いないと、思い出さずにはいられません。
どの語がどの訳にあたるのか、確認しておいてね♪
(*^m^*)
あいでした