どの教科書でも、「日本文化のあけぼの」的な内容から始まっていると思う。

最初に見たときは、

 

「え? 日本史なんだけど?」

 

そう思いました。

日本史なのに、アフリカの原人の話から始まるんだ…って。

 

まぁ、いきなりポンと日本列島に日本人が降って湧いたんじゃないもんね。

そりゃーそうだ。

中学でやったけどな…とも思ったけどさ…。

 

でも、人間が日本列島にやってきた記述は、少ないよね。

 

山川出版社の『日本史探究(詳説日本史)』には、

「アフリカ大陸で生まれた新人が東アジアに到達したのは、およそ5万年前の後期旧石器時代で、日本列島にはおよそ3万8000年前に渡ってきたとされている」って。

 

これでも、山川の記述量は多い方です。

 

ともかく、日本史にも関わらず、

人類の誕生、猿人とか原人とかね、そういうところから授業が始まるっていうのが、

違和感だったの。

 

だけど、わかった。

なぜ、人類の誕生からスタートするのか。

 

宗教の否定だ。

 

人間は、イザナギ・イザナミから生まれたわけではない。

アダムとイブから生まれたわけでもない。

 

そういう神話の否定。

 

歴史は、宗教でも神話でもなく、科学なのだという宣言。

 

アゲハは、そう思っているよ。

 

 

 

なぜそう思うに至ったのかというと、

10年ぐらい前、韓国のキリスト教のグループに勧誘されたのよ。

音楽フェスやるから、来ないかって。

 

ガチの宗教音楽にも興味あるし、ゴスペルも興味あるし、

韓国の文化も知りたかったし、のこのこついて行ったわ(笑)

浅墓だよね~

でも、キリスト教だなんて一言も言わなかったんだもん。

 

東中野の駅で待ち合わせをして、移動したら…

あぁ、教会…宗教か…まいったな…

と、テンション下がりました。

 

ま、でも、行きました。

序盤は、まあ楽しかったですね。

しかも、昼食を御馳走になるのですが、めっちゃ美味しい。

マジでおいしい。

そしてみんな優しい。

 

そのなかの日本人メンバーの方が、

私の職業を知って、

「日本の歴史を学びたい人もけっこういるから教えてほしい」

と頼んできたの。

 

それはOKしたわけですが、

彼女と会うたびに、徐々に宗教濃度があがっていくわけ(笑)

ミュージカルが好きだと言えば、「レ・ミゼラブルはキリスト教の話なんだよ~」

日本史の男色の話をすれば、「ローマは男色が盛んだったから滅びたんよ~」とか。

 

結局すべてそちらの方に話を持っていくから、

もうなにも雑談したくなくなった。

 

講話にも出たよ。

 

講師(牧師?)の方は、こんなこと言うの。

「日本人はキリスト教信者が少ないから神戸の地震が起きたんです」とか

「日本人の自殺率が高いのは、キリスト教を信じていないから」とかさ…。

非科学的だよね。

 

つーか、そうした話をすると、聴衆(信者)が「あ~(なるほど)」

と、感嘆の声を上げるのよ。

 

バカ?

 

ついに、アダムとイブの話になって、気付いたのよ。

 

(この人たち、人間はアダムとイブから生まれてきたって、本気で信じてる?)

(バカで済む話じゃないや。やべぇ、離れよ…)

 

そういう結論に至りました…。

しかし、私も一応歴史家のはしくれなので、

やべぇと思いつつも、

 

(待てよ…。人類がアダムとイブから生まれてきたって信じてるなら、

進化論とか、猿がだんだん背筋伸ばしていくような図、受け付けないんじゃね?)

 

と、私の歴史アンテナが受信したのです。

 

で、「進化論」をウィキで調べてみちゃうと、

キリスト教、イスラム教、エホバの証人といった宗教に拒絶されてます。

(カトリック=ローマ教皇は、1996年に認めたみたいです)

 

さらに「進化論裁判」も立項されていて、

20世紀になってから裁判がアメリカで複数。

 

ちょっと前まで、アメリカで教科書裁判といえば、

「進化論を教科書に取り入れて子供たちに学ばせるなんてけしからん」

「神への冒涜」

「進化論を教科書に記載するなら、平等にアダム・イブの話も載せろ」

という主張が裁判所で展開される、進化論裁判を指すようです。

 

現在、このように進化論を拒絶し、アダムとイブ神話を信じているキリスト教の方がどのくらいいるのかわかりませんが、

 

「アメリカといえばニューヨークとかシリコンバレーとかハリウッドとか思い出すけど、そういう都会じゃなくて、地方に行けば、人間はアダムとイブから生まれたって信じてるおじいちゃん・おばあちゃんがけっこう多い」

 

みたいなエッセイを読んだことあるわ。

誰のどの本か、まったく覚えていないけどwww

 

というわけで、あの、猿が背筋を伸ばしていく図は、

「宗教や神話は否定しまーす」

「歴史は科学でーす」

そういう宣言だと思っている。

 

だから、アゲハは思うの。

アウストラロピテクスとか、ホモ=エレクトゥスとか、

舌を噛みそうな長いカタカナとか覚えなくってもいいのよ。

 

猿らしきものが長い時間をかけて人類へと進化した、

これを視覚的にパッと見で確認できる。

これだけで神話・宗教を否定する意識が育っていくのよ。

 

アダムとイブとか、そういう美しい話じゃないってこと。

 

だからアゲハも、その進化の図を皆さんの目に焼き付けとくわ。

各教科書のなかでも、とびっきり猿っぽい、東京書籍の『日本史探究』掲載の図よハート

 

 

(追記)

勧誘されたキリスト教については、反論を五か条にまとめて、レポートの形式で宗教は信じない旨をアピール。なお、歴史の教室についてはオファーがあればやるけれど、進化論からやりますと宣言。今にいたるまで何の接触もありません。