リテールマーケティング(販売士)2級試験の販売・経営管理の計算問題の苦手克服をアシスト!第78回,79回,80回,81回,82回,83回の過去問に全て対応!本稿の例題と同様の問題が第83回で出題!
過去問から頻出項目を独自に作成!小切手と約束手形の解説を附録に追加!毎回,販売士2級で平均点が一番低い科目を得意に変えます!
(2019年7月5日追補・改訂版)
平均点低さの原因は計算問題の出題にあります。頻出項目をチェックできるようにしています。
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重 要
試験方式が2021年度から変更になりました!
商工会議所が指定した試験会場の中から会場を選択し、その会場のPCを使用して受験するというネット方式の試験になります。
従来の「紙」の問題を読んで解答用紙に正解を記入するのではなく、「PC画面」上の問題を読んで、解答を「PC画面」に入力する形になります。
最新情報
・ネット試験予約受付開始:2021年7月14日(水曜日)午前11時から
・試験実施:2021年7月28日(水曜日)から随時
(2021年7月13日追加)
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計算問題の克服は、何度も問題を解いて慣れることと、計算式の意味を理解することです。
さらに今後、販売士1級を狙っている場合、ここで基礎を押さえておくことが、とても重要です!
現に1級を学んでいるみなさんも、基礎を見直すよい機会になるので、是非、チャレンジしてみてください!!
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※販売士2級のおすすめの学習教材、効果的な学習方法、独自の試験データの分析(過去11回分の科目別平均点から合格率にいたるまで)について書き記した記事(前編と後編)も参考にしてください。
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数あるブログの中から、ご訪問くださり、
ありがとうございます!!
販売・経営管理
貸借対照表と損益計算書の合わせ技の問題です。
すべて答えは計算式いっしょに書いてあります。
この合わせ技の問題によって、貸借対照表と損益計算書の頻出項目を網羅しています。
この合わせ技と同様の問題が第83回で出題されました(2019年4月28日追記)
貸借対照表(ある時点の財政状態)と損益計算書(ある期間の経営成績)の2つの表を使って、経営分析を行います。
貸借対照表の3つの資本
貸借対照表において「資本」は負債(他人資本)、純資産(自己資本)、総資本(負債と純資産の合計)の3つがあります。
【思い出してみよう!】
貸借対照表は「ある時点の財政状態」を示すもの。
損益計算書は「ある期間の経営成績」を示すもの。
損益計算書の5つの利益
損益計算書の基本的な問題です。➊~❺の空欄を埋める問題です。これによって、損益計算書における「利益」が分かります。その利益とは下記の5つです。穴埋め問題で出題されたりします。あるいは計算を求めらることもあります。
資本利益率
「資本」と「利益」から「資本利益率」が計算されます。その代表的なものが下記の2つ。ちなみに「資本利益率」とは企業の収益性を判定するための総合的な尺度です。 利益率が高いほど●良好。
上記の貸借対照表と損益計算書の資本と利益から算出された資本利益率はいずれも低く、良好な状態とは言えません。
ところで、資本利益率は売上高利益率と総資本回転率の2つの要素から構成されています。売上高利益率は損益計算書の5つの利益を分子にして、収益性を分析する指標です。総資本回転率は総資本が1事業年度において回転した数によって、資本の効率性を分析する指標です。
例1.人件費・減価償却費が増加し、営業利益が減少すると、資本利益率は低下します。
例2.急激に多店舗展開をすると、建物・土地という有形固定資産が増加し、売上が追い付かず、資本利益率は低下します。
例3.売掛金の回収が不能になると、現金預金が増えなくなり、流動資産が悪化し、資本利益率は低下します。
収益性の分析
損益計算書を用いて収益性の分析を行います。ここでは3つの利益率をみることで分析を行います。
売上高対売上総利益率(粗利率):売上高に対する売上総利益(粗利)(=売上高-売上原価)の割合。利益率が高いほど、利幅が大きく、●良好。
売上高対営業利益率:売上高に対する営業利益(本業での利益)の割合。利益率が高いほど、●良好。
売上高対経常利益率:売上高に対する経常利益(=営業利益+営業外利益-営業外費用)の割合。会社の収益性を総合的に判断する指標。利益率が高いほど、●良好。
上記の算出結果を見る限り、売上高対売上総利益率を除き、良好とは言えない状態です。
効率性の分析
効率性分析とは、貸借対照表と損益計算書を用いて、資産や負債をどのくらい効率的に活用して、売上高や利益を生み出しているかを分析する方法です。
分析で使用する指標は以下の6つです。
売上債権回転率:売上債権(売掛金および受取手形)の回収速度を示す指標。回転率が高いほど、回収速度は●速い。
現金売上が多いと、回転率は高い。信用販売が多いと、回転率は低い。
売上債権回転期間:売上債権が発生した日から回収するまでかかった平均日数を示す指標。資金回収が遅くなると、手持ちの資金不足に陥る可能性が生じます。回収が速いほど、手持ち資金に余裕が出ます。
上記の貸借対照表と損益計算書から計算すると、回収に1か月かかっていることになります。
仕入債務回転率:仕入債務(買掛金および支払手形)の支払速度を示す指標。回転率が高いほど、支払い速度は●速い。
現金仕入が多いと、回転率は高く、信用仕入が多いと、回転率は低い。
仕入債務回転期間:仕入債務が発生した日から支払までにかかった平均日数を示す指標。 債務の支払いを何日間、繰り延べできたかが分かります。この日数が短すぎると、手持ちの資金がすぐ支払いに流れてしまい、資金繰りが苦しくなる可能性があります。
上記の貸借対照表と損益計算書から計算すると、支払いをに2か月、繰り延べることができています。
棚卸資産(商品)回転率:商品販売の効率性を示す指標。回転率が高いほど、商品が●よく売れている。日配品および最寄品の取扱いが主だと、回転率が高く、専門品の取扱いが主だと、回転率は低い。
棚卸資産(商品)回転率が低下している場合、商品の在庫が過剰になっていることを意味します。
棚卸資産(商品)回転期間:商品を仕入れた日から販売するまでの平均日数。上記の貸借対照表と損益計算書から計算すると商品が売れるまで2週間かかっていることになります。
安全性の分析
安全性の分析とは、貸借対照表を用いて企業の財務上の支払能力を分析する手法です。 借金の支払能力や倒産の可能性などの安全性を確認することができます。
自己資本比率:総資本に占める純資産の割合を示す指標。純資産が少ない場合、借金の占める割合が多いことを意味します。自己資本比率は50%を超えていることが理想。30%以上は必要。上記の貸借対照表からの計算では75%を超えているので健全と言えます。
負債比率:純資産(自己資本)に対する負債合計の割合。比率が低いほど、経営状態が●良好。
固定比率:純資産(自己資本)に対する固定資産(建物・土地等)の割合。比率が低い(100%未満)ほど、過剰投資が少なく、●良好。長期支払い能力を示す指標。
上記の貸借対照表から計算すると100%を超えているので、過剰投資、気味。
固定長期適合率:長期資金で固定資産(建物・土地等)が賄えている割合。比率が低いほど、●良好。100%を下回っていれば安全だといえます。上記の貸借対照表から計算すると、88%程度で安全と言えます。
流動比率:1年以内に返済する必要のある負債(短期借入金、買掛金)で、1年以内に現金化可能な流動資産(売掛金、受取手形、棚卸資産)が賄えている割合。100%を超えていれば●安全(120%~130%)は必要。短期支払い能力を示す指標。
当座比率:流動比率と同じく、短期支払い能力を示す指標。しかし、流動比率と異なり、流動負債に対する当座資産の割合、つまり、現金預金、売上債権(売掛金および受取手形)、有価証券(上場企業の株式および社債)の割合で判断します。比率が100%を下回っている場合、短期の資金繰りが厳しい状況にあると言えます。
上記の貸借対照表から計算すると、155%なので、短期支払い能力はあると判断できます。
マーチャンダイジングの頻出問題について
ビジネスマネジャー検定試験と重複していますので、「苦手な計算問題を克服(前編)」で損益分岐点などが学習できます。
損益分岐点 (👈こちらから)
人時生産性・人時生産高 (👈こちらから)
1.事業損益の把握
(損益分岐点を取り上げています)
2.人件費の管理
(人時生産性・人時生産高を取り上げています)
をご覧ください。図と計算式、例題があります。
ストアオペレーションの
頻出計算問題について
前編では「売上についての基本問題」、「発注についての問題」、「発注作業の人時計算問題」を取り上げています。
ストアオペレーション前編 👈こちらから
後編では「人時生産性」「労働分配率」「労働生産性」についての問題を取り上げています。
ストアオペレーション後編 👈こちらから
・【附録】・
『小切手』と『約束手形』
小切手、約束手形を日常的に利用されている方は多くないのではないでしょうか?そこで、附録として、双方の特徴や違いを説明していきます。
「小切手」と「約束手形」の決定的な違い
小切手は受け取った人(受取人)がすぐに支払いを受ける(=現金化する)ことができることです。
一方、約束手形は支払期日が到来しないと、支払を受ける(=現金化する)ことができないことです。
では、小切手と約束手形についてそれぞれみていきましょう!
1.『小切手』について
小切手とは、振出人が銀行に宛て、所定の金額を支払うことを委託する形式の有価証券です。
【前提条件】
1.銀行に「当座預金口座」を開設すること。
2.銀行と「当座取引契約」を結ぶこと。
3.銀行から「小切手帳の交付」を受けること。
4.当座預金口座に支払いに「必要な残高」があること。
注釈:
当座預金残高を超えて当座預金を引き出すことはできませんが、当座借越契約を結ぶと、所定の限度額まで残高を超えて引き出すことができます。
【使用方法】
小切手の振り出しには、小切手に下記の必要事項が記載されていること
1.小切手であることを示す文字
2.小切手の金額と支払委託
3.支払人の名称
4.支払地
5.振出日および振出地
6.振出人の署名、または記名・押印
注釈:
受取人の記載は任意事項であり、記載がなくても小切手として有効。
【支払受取方法】
小切手に記載された振出日を除く、10日営業日以内に、振出人の取引銀行で、小切手と引き換えに、小切手に記載された金額を受け取ります。
2.『約束手形』について
(約束手形 表面)
(約束手形 裏面)
約束手形とは、振出人が受取人に所定の金額を、所定の期日と場所で支払うことを約束する手形で、有価証券です。
【前提条件】
1.銀行に「当座預金口座」を開設すること。
2.銀行と「当座取引契約」を結ぶこと。
3.銀行から「約束手形の交付」を受けること。
注釈:
約束手形は当座預金口座の残高に関係なく、振出金額を設定できます。
【使用方法】
約束手形の振り出しには、約束手形に下記の必要事項が記載されていること
1.約束手形であることを示す文字
2.手形の金額と支払の約束
3.満期
4.支払地
5.受取人の名称
6.振出日および振出地
7.振出人の署名、または記名・押印
【支払受取方法】
約束手形の振出日から2~3か月後の支払期日に振出人の取引銀行に、約束手形を呈示し、約束手形に記載された金額を受け取ります。
約束手形の呈示、つまり支払の呈示の期間:
1.一覧払手形
(所持人が約束手形を支払呈示した日を満期とする手形)
振出日から満1年
2.確定日払および日付後定期払などの手形
満期日およびそれに続く2取引以内の日
【手形の裏書】
裏書とは、手形行為の一種で、手形に裏書することにより、手形を他人に譲渡することができます。この行為を手形の裏書譲渡といいます。
裏書する際、最初に手形受取人が第1裏書人となります。その第1裏書において手形の所持人(=被裏書人)となった者が第2裏書人となります。
裏書はその所持人が連続していることで、現在の所持人を明確にすることができます。
・【附録】・
マーチャンダイジング
値 入
例題:
1.値入額は〔ア〕から〔イ〕を引いたものです。
2.原価値入率は売価値入率より常に〔ウ〕い。
3.値入額9,000円で売価値入率30%のとき、仕入原価は〔エ〕円です。
4.仕入原価15,000円の商品に、売価30,000円を設定したとき、売価値入率は〔オ〕%です。
5.仕入原価18,000円のとき、値入率(原価基準)が30%ならば、売価は〔カ〕円です。
6.売価を36,000円に設定したときの値入率(原価基準)が30%とすると、仕入原価は〔オ〕円です。
解法と解答:
1.値入額=〔ア.売価〕-〔イ.原価〕
2.原価800円、値入額400円の場合
原価値入率は売価値入率より常に〔ウ.高い〕。
3. 9,000円(値入額)
-----------------=0.3(売価値入率)
Χ(売価)
9,000円(値入額)
-----------------=30,000円(売価)
0.3(売価値入率)
9,000円(値入額)=30,000円(売価)-Χ(原価)
Χ(原価)=30,000円(売価)-9,000円(値入額)=21,000円
原価〔エ.21,000円〕。
4.30,000円(売価)-15,000円(原価)=15,000円(値入額)
15,000円(値入額)
-----------------=0.5(売価値入率)
30,000円(売価)
売価値入率〔オ.50%〕。
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販売・経営管理は毎回、平均点が低いので、ここで少しでも点数を稼げれば、合格へ近づけます。
繰り返し問題を解くこと、慣れること、計算式を理解してください!
本試験では、ファーストインプレッションを大切にしてください。
みなさんの頑張りが報われことを願っています。
合格の栄冠を勝ち取ってください。