『ザ・フラッシュ』IMAX【第2弾】
この記事(『ザ・フラッシュ』IMAX【第1弾】)で書ききれなかったことを今回は全て書きます。
そのため完全ネタバレ全開ですので、
映画『ザ・フラッシュ』を未鑑賞な方は鑑賞後にお読みください。
映画を見終わった感想は、とにかく大大大満足!
たくさん笑って、しんみり泣いて、意外な展開に思わず「えーっ!」と声をあげ、
私の名作映画の必須条件を全て揃えていた。
私の映画の高い評価基準
- 途中で寝落ちしない
- 思わず「うわっ!」とか「ウォッ!」っと声を上げる
- 笑いと涙がある
タイトルキャラのフラッシュは、
『ジャスティス・リーグ』(2017)のメンバーの中でも、
↑左から2番目のグリーン・ランタン(イドリス・アルバ)だけは『ジャスティス・リーグ』本編には未登場↓
主役はスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、アクアマン止まりで、
フラッシュはサイボーグと並んで脇キャラ。
正体のバリー・アレン(エズラ・ミラー)も軟弱キャラに設定され、
そのフラッシュが単体タイトルの映画なんかで、どれだけ観客動員が期待できるのか。
そんなことは送り出し側も重々承知なので、
特にワーナー
DCEU(DCエクステンド・ユニバース)映画は、
ディズニー/MCU作品群に比して当たり外れが激しく、
最近は大爆死を避けるため、『バットガール』のように、完成しても公開しない作品さえあった。
そうした厳しい状況下で経営陣も、「フラッシュ単体の映画なんてわざわざ観るかよ」という観客の嗜好を見越して、
「マイケル・キートン演ずる1990年代ティム・バートン版バットマンと、
短髪でマン・オブ・スティール仕様スーツのスーパーガール(サーシャ・カリエ/カジェ)も出てきます」と、
ポスターや予告編で公開前からかなり煽(あお)っていた。
なので本編鑑賞前から、本作はマルチバース作品、
以前ならパラレルワールド作品、
あるいはタイムトラベル/タイムパラドックス作品だとは容易に察しがついていた。
なんだけど、その概念のフル活用ぶりが凄まじく、
「マルチバースものなら、せめてこれぐらいのことはやってくれよ」とこちらが予想している、
その遥か上を軽々と飛び越えていく。
たとえば『ブラックアダム』(未見)には、
ヘンリー・カヴィルのスーパーマンが登場。(注意:ネタバレ動画 クリックするとネタバレします)
ガル・ガドットのワンダーウーマンが登場。(注意:ネタバレ動画 クリックするとネタバレします)
等々、最近はDCEU映画へのヒーロー客演/カメオ出演は当たり前だが、
『ザ・フラッシュ』にも当然、マイケル・キートンのバットマンと、
サーシャ・カリエ/カジェのスーパーガール以外にも、
それはもう、これでもかってほどに、関連キャラが出てくる出てくる!
『ブラックアダム』や『神々の怒り』の客演なんて、
最低限のダウンサイジングに過ぎず、
一方こちらはとにかく大盤振る舞いで、
観客の「なんで〇〇は出てくるのに△△は出てこないの?」という疑問や不満は払拭(ふっしょく)される。
発想の原点は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、
あちらがスパイダーマン映画3シリーズの20年間を総ざらいしたのに対し、
こちらはフラッシュの映画の歴史を総ざらいしたところでタカが知れているので、
これを機にDCEU作品の在庫一掃に努め、
なんならヒーロー統合計画にミソがついたザック・スナイダーの『ジャスティス・リーグ』路線なんかよりうんと前、
アメコミからの実写映画化といえばマーベルではなく断然DCだった1970年代末か、
それよりいっそ遡(さかのぼ)れるだけうんと前からやってみようと、やり残しのない徹底ぶりにただただ驚く。
これこそまさに、アレックス・ロスが『ジャスティス・リーグ』のイメージポスターに描いた精神の見事な復活!
過去に逆行して過ちを帳消しにしても、息絶える人の運命は変えられないという定理は、
おそらく『タイムマシン』(2002)とその原作が下敷きになっている。
1890年代のニューヨーク。大学教授のアレクサンダーは最愛の恋人エマと幸せな日々を送っていたが、エマにプロポーズした直後、強盗に襲われてエマを失ってしまう。
エマを取り戻したいと願ったアレクサンダーは自室に篭り、4年の歳月を費やしてタイムマシンを完成させると、過去を変えることでエマを救おうとする。しかし、何度時間を遡って行動を変化させても彼女はなんらかの事故に巻き込まれて死亡し、どうしても死を回避することができない。
DCEU映画のフラッシュと言えば、MCUでの『X-MEN』クイックシルバーに相当するが、
そのクイックシルバー/ピーター・マキシモフ(エヴァン・ピーターズ)の意外な血縁の暴露がある、
1983年を舞台にした『X-MEN: アポカリプス』(2016)では、
「シリーズ3作目ってガクンと落ちるね」と、『ジェダイの帰還』を観終わったミュータント学生たちが率直な感想を述べたり、
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)では、
トム・ホランドのスパイダーマンが(ジャイ)アントマンと戦う時、『帝国の逆襲』の戦法を真似たと打ち明けたりと、
MCUにとどまらず、他の映画作品にも触れていた。
本作『ザ・フラッシュ』もそこら辺は抜かりなく、
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だとか、
『ジェダイの帰還』の電撃皇帝だとかを絶妙にもじっている。
加えて特筆すべきは、視覚効果の明快さで、
観念的なイメージ画像に落ち込むことなく、
今何が起こっているのかを、具体的かつ明確に映像化していることにも好感度上がりまくり!
もうほんと、何も言うことはありません!
DCEU映画の直近作『シャザム!~神々の怒り~』もかなりの高評価だったけど、
本作の凄さと比べるとかすんでしまう。
ーーと言うご意見もいただいたが、
「メインディッシュをテーブルの上に何十皿も積むような作り方」は、
『ザ・フラッシュ』では大成功。
1977年の東映版スパイダーマンが登場すると話題になったが、
いざ本編を観てみると、そうしたスパイダーマンの雑多なバリエーションはモブ(群集)扱いで、
寝落ちしてしまったこともあり、正直どこに出てきたのかわからず、
劇的効果はサッパリで、こんな無駄な盛り付けならやらない方がマシと言うのが正直な感想だった。
同様の趣旨で、両作は似たり寄ったりでどっちもダメとひとまとめにする意見・感想も見受けたが、
私にとっては『ザ・フラッシュ』と『アクロス』は雲泥の差だし、
最近のYouTubeレビューはアメリカでも日本でも、とにかく「爆死」「大コケ」作品を面白おかしくあげつらうと再生回数を稼げるため、『ザ・フラッシュ』についても「どうしてこうなった?」的な論を展開してるみたいだけど、そう言う奴らはホントに『ザ・フラッシュ』を鑑賞してから動画を作ったのかよと文句を言いたい。
今回は以上です。
『ザ・フラッシュ』は制作側のもうこういう話はやめたいって意思にも取れる内容でしたけど(ギャグテイストは自分は好きで良かったですが)
映像表現としては『スパイダーバース2(アクロス)』は確実に現在世界最高で、日本最高の新海誠あたりの10年くらい先を行っちゃってる感じですが、こっちはその見飽きた話が主題
しかも「続く」で終わってしまいました…
マーベルもDCもメインディッシュをテーブルの上に何十皿も積むような作り方には限界があると思うけどなあ…
2日で2作一気にみたら、心身疲れきりました。