[軽視できない女性の片頭痛、子供の乳児疝痛リスクも上昇 米研究]
(あなたの健康百科 2012年2月28日)
一般に、男性よりも女性で頻発するとされる片頭痛。
遺伝傾向が強く、家族歴(近親者がその病気にかかったことがある)を持つ
人が8~9割にも上るとの研究報告もある。
米国神経学会は公式サイトで、女性の片頭痛に関する2つの研究報告について
紹介。
片頭痛を持つ母親から生まれた子供では乳児疝痛(※)発症リスクの上昇が
認められ、片頭痛の女性ではうつ病発症リスクの増加が確認されたという。
いずれも、第64回米国神経学会(4月21~28日、ニューオーリンズ)で
詳細が発表される予定だ。
<乳児疝痛リスクが2.5倍>
米カリフォルニア大学頭痛センターのAmy Gelfand氏らによると、健康な
新生児がミルクなどを飲んだ後に激しく泣くのは、摂取物による胃腸障害が
原因と考えられてきたが、50年以上にわたる数々の研究では関連が確認されて
いないという。
そこで、同氏らは、乳児疝痛がピークを迎えるとされる生後2カ月の定期
健診時に、初産の女性154人を対象に面接を実施し、母親の片頭痛の既往と
子供の乳児疝痛の関係を検討した。
その結果、乳児疝痛の発症率は、片頭痛の既往がない女性の子供では11%
だった一方、片頭痛の既往がある女性の子供では29%と、約2.5倍高いことが
分かったという。
成人の片頭痛患者は子供の頃に嘔吐や目まいに悩まされた経験を持つ人が
多いというが、今回の研究結果からGelfand氏らは、乳児疝痛がこうした
小児周期性症候群の初期症状ではないかと推測している。
<本人のうつ病リスクは40%増加>
一方、米ブリガムアンドウイメンズ病院のTobias Kurth氏らは、うつ病が
認められない女性3万6,154人を
(1)前兆のある片頭痛
(2)前兆のない片頭痛
(3)過去に片頭痛あり(1年以内を除く)
(4)片頭痛がない
の4群に分類し、片頭痛とうつ病発症との関連を検討した。
(1)~(3)の該当者は6,456人(18%)だった。
平均で14年間追跡した結果、3,971人(11%)でうつ病の発症が認められた。
片頭痛のない人と比べ、片頭痛経験者ではうつ病発症率が約40%高かったと
いう。
なお、前兆の有無による差は確認されなかった。
Kurth氏らは「片頭痛とうつ病発症の関連を検討した中でも最大規模の研究の
1つ」とし、今回の結果が、うつ病の発症リスクや予防について医師が片頭痛
患者と話すきっかけになってほしいと訴えている。
<※乳児疝痛>
生後3カ月頃までの子供が夕方に激しく泣き出し、あやしても泣きやまない
ことが数日間続く症状。
原因は、発作性の腹痛と心身症の両面が考えてられているが、きちんと解明
されていない。
「乳児コリック」「3カ月コリック」「夕暮れ泣き」とも呼ばれる。
http://kenko100.jp/news/2012/02/28/01