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[自らの髪を抜いてしまう…「抜毛症」の女性
                   転機は27歳、生きる力取り戻す]

(西日本新聞  2017年10月26日)


働き続けることが生きる力に-。
福岡市博多区の小林香也子さん(41)が20年にわたって精神疾患や心の
不調と付き合いながら働いてきた体験を発信している。
多くの人と関わり、少しずつ生きる力を取り戻したという小林さん。
来月、北九州市の精神障害者の家族会で講話する。


小林さんは高校2年のとき、自らの髪を抜いてしまう精神疾患「抜毛症」を
患った。
明確な原因は不明。
後頭部の髪がなくなり、大学入学後は寮に引きこもった末に入退院を繰り
返し、22歳で大学を中退した。

就職活動は30社以上で不採用だった。
清掃会社などに就職したが、薬の副作用でぼーっとして長続きしなかった。

25歳ごろには抜毛症治療の服薬は終わったが、疲れやすく、精神的に不安定な
状態は続いた。



<理解してくれる会社との出合い>
転機は27歳。体調の波を理解してくれる会社に出合った。
「週1日勤務でもいい」と言う社長の下で6年間、月60~110時間と柔軟に
働けた。
結婚し、子育て中の今は、この社長が新たに立ち上げたコンサルタント会社で
月80時間前後、パートで事務を担う。

働き続けて「仕事はつらいばかりじゃない」「苦手な作業もいつかは慣れる」
と分かった。

収入を得て行動範囲も人間関係も広がった。
「人と接する中で、自己肯定感が低く、他人を否定的に捉えがちな癖に
気付き、直せた」と振り返る。


来年4月、障害者の法定雇用率(2.2%)の算定対象に精神障害者が加わり、
働く場は広がりそうだ。


小林さんは3年前から、精神障害者のための冊子に体験談を寄せ、家族会で
語っている。
「今はつらいばかりでも、その過程が無駄じゃなかったと思える日は必ず
来る、と伝えたい」





https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171026-00010002-nishinpc-soci




 

 

 

 

 

 

 

 

 

[抜毛症(トリコチロマニア)]

(Wikipedia)


抜毛症(トリコチロマニア)とは、正常な毛を引き抜いてしまう性癖によって
頭部に脱毛斑が出現する精神疾患。
抜毛癖、禿頭病(とくとうびょう)とも呼ばれる。

DSM-IV及びICD-10では、習慣および衝動の障害 の中の1項目として挙げ
られている。

本人が全く自覚せずに、無意識のうちに抜いている場合もある。



<頻度>
一説によると人口の0.5〜2%が抜毛症だとされる。
しかし、医者の考えや判断によってこの割合はかなり変化するため、あまり
正確な情報ではない。

小学生から思春期の女子に多いが、成人も発症する。

頻度としては円形脱毛症の10〜20%であるが、抜毛行為自体は学童期の癖と
してはかなり多い。

また、家庭や学校での人間関係で悩んでいる場合が多い。

知能低下はないことが多い。
大人しい内向的性格に多いとされる。



<原因>
様々な要素が複合して起こるものとされ、明確な1つの原因はない。

かつては、ストレスや不安が主な原因であると考えられていた。

しかし、最近では抜毛症は神経細胞と脳のコミュニケーションの一部に支障が
あるために起こるという説も有力である。
だが、現段階ではいずれの説も推測の域を越えてはいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[髪の毛が食べたくなる?「ラプンツェル症候群」とは]

(Mocosuku  2017年11月2日)

          執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)
          医療監修:株式会社とらうべ


童話『ラプンツェル』は、世界的に有名なグリム童話のひとつです。
この童話は映画化もされていますから、ストーリーをご存知の方は多いかも
しれません。

それでは、この童話にちなんだ「ラプンツェル症候群」という病気については
いかがでしょうか?
今回はこの「ラプンツェル症候群」について、ご紹介いたします。



<ラプンツェル症候群について>
ラプンツェル症候群とは、髪の毛が食べ物ではないと判断できる年齢で
あるにもかかわらず、自分の髪を食べてしまう精神疾患です。
グリム童話『ラプンツェル』に出てくる主人公が長い髪の持ち主であること
から、「ラプンツェル症候群」と呼ばれています。

専門的には「食毛症」といい、まれな病気ですが、患者は10代の女性に多いと
いわれています。



<ラプンツェル症候群は「異食症」の一種>
食毛症は、食べ物ではないものを継続的に摂取してしまう「異食症」の一種
です。

米国精神医学会が出版し、日本の臨床現場でも用いられている『精神疾患
の分類と診断の手引き第5版(DSM-5)』によると、次に該当する場合は
異食症と診断されます。
 ・少なくとも1カ月間にわたり、非栄養的非食用物質を持続して食べる
 ・非栄養的非食用物質を食べることは、その人の発達水準からみて不適切で
  ある
 ・その摂食行動は文化的に容認される慣習でも、社会的にみて標準的な
  慣習ではない
 ・その摂食行動が他の精神疾患〔例:知的能力障害(知的発達症)、
  自閉症スペクトラム症、統合失調症〕や医学的疾患(妊娠を含む)を
  背景にして生じる場合、特別な臨床的関与が妥当なほど重篤である

今回取り上げる「食毛症」は、毛髪や毛糸、毛布などを好んで食べてしまう
病気ですが、異食症患者の中には、紙、石、砂、土、消しゴム、絵の具、
チョークなどを食べてしまう症状の人もいます。



<ラプンツェル症候群の原因>
食毛症をはじめとする異食症は、次の因子が関係していると考えられて
います。
 ・鉄や亜鉛などの摂取不足
 ・鉄欠乏性貧血
 ・回虫感染症
 ・精神発達遅滞
 ・自閉症スペクトラム障害
 ・精神疾患
 ・精神的ストレス


また、食毛症のケースでは、抜毛(ばつもう)行為(自分の体毛を抜く)を
繰り返す、「抜毛症」との関連が指摘されています。
抜毛行為をする理由の多くは、日常生活におけるストレスや孤独感、寂しさを
紛らわすためといわれています。

ですので、食毛症もストレスや孤独感などが原因であると考えられています。

ところで、ランプンツェル症候群になって毛髪や毛糸などを食べ続けても、
身体に悪影響はないのでしょうか?



<ラプンツェル症候群が身体に与える影響>
毛髪を食べ続けると、胃液や粘液の作用により、胃の中で食べ物などと
結びつき、石のような固まりができることがあります。
これを「毛髪胃石)」といいます。

毛髪胃石は、できた直後に自覚症状はみられません。
ただし、ある程度の期間を経て毛髪胃石が大きくなると、腹痛や悪心、
おう吐、食欲不振、腹部不快感、体重減少などの症状が現れるように
なります。
また、腸閉塞や潰瘍、穿孔(胃に穴が開くこと)などを合併することも
あります。

できてしまった毛髪胃石は、薬での治療は困難で、内視鏡手術や開腹手術が
必要です。



<ラプンツェル症候群の治療>
毛髪胃石や身体疾患を合併した患者さんには、症状にあわせた内科的あるいは
外科的な治療が行われます

ただし、根本的治療には、心理カウンセリングなどの精神的なケアが欠かせま
せん。
これまでの症例には、発症後、本人と両親に対して心理カウンセリングを
行うとともに、発症のきっかけであるいじめ問題を解消したことで症状が
見られなくなった、という報告もあります。

「自分の髪を食べてしまう」という行為は、とても奇妙に感じられるかも
しれませんけれど、それは本人が発するSOSのサインなのです。

ラプンツェル症候群の人は、10代やそれよりも若い層に多いため、本人に
自覚がないケースも多々あります。

皆さんの周囲に、髪を食べてしまう行為を繰り返している人がいたら、まずは
そのSOSサインを察知し、話を聞いてあげてみてください。






https://www.excite.co.jp/News/column_g/20171102/Mocosuku_42410.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[サザエさん症候群]

(Wikipedia)


サザエさん症候群とは、日曜日の夕方から深夜、「翌日からまた通学・仕事を
しなければならない」という現実に直面して憂鬱になり、体調不良や倦怠感を
訴える症状の俗称である。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[こんなにも面白い医学の世界 第26回 中華料理店症候群]

(レジデントノート  2016年11月号掲載)


食欲の秋ですね。
ということで今回は「食」に関するお話をします。

王将という中華料理の店があって、われわれもよくお世話になりますが、
中華料理店症候群という、あまり有難くない名前の疾患があるのを知って
いますか?


これは、1968年に、中華料理を食べた人が、頭痛、歯痛、顔面の紅潮、
頸部や腕の痺れ、動悸などの症状を訴え、Chinese restaurant syndrome
として権威ある医学雑誌であるLancetに掲載されました。

これは、中華料理に多く含まれる化学調味料のグルタミン酸ナトリウムが
原因ではないかと疑われ、翌年には動物実験で視床下部などへの悪影響が
指摘されたため、世界保健機関などにより1日の摂取許容量に制限が
もうけられました。

グルタミン酸ナトリウムを使った調味料の1つが「味の素」で、うま味を出す
ための化学調味料として知られています、
私が子どもの頃、味の素をおかずに大量に使うと、体に悪いからとしかられた
ものですが、時期的にちょうどこの頃です。


実は、その後、アメリカで臨床試験が行われ、中華料理店症候群になった
ことがある被験者にグルタミン酸ナトリウムを大量に含む食事を与えても
症状が再現されず、グルタミン酸ナトリウムと中華料理店症候群の関係は
証明できませんでした。
その後も追試が行われ、通常の料理に使う量では人間に対する毒性が確認
されず、その研究結果が2000年に発表され、悪名高い中華料理店症候群は
現在では学術的には否定されています。


しかし、グルタミン酸そのものには、血管を収縮させる作用があり、
「The MedlinePlus Medical Encyclopedia」では、今でもグルタミン酸
ナトリウムを含む食品を片頭痛の原因の1つとしてあげています。

日本救急医学会の専門医試験にも、急性頭痛をきたす物質として出題されて
います。


グルタミン酸はAMPA受容体やNMDA受容体といったイオンチャネル型
受容体に作用してナトリウムイオンやカルシウムイオンの透過性を高め、
神経の興奮をきたすことが関係するといわれていますが、頭痛をきたす
メカニズムについてはわかっていないそうです。

ちなみに、グルタミンも同じアミノ酸ですが、別のものです。

グルタミン酸はアンモニアを介してL-グルタミンに変換されますが、この
L-グルタミンはよく先生たちも使う胃薬のマーズレン®の主成分です。


また最近、中華料理店で出される火鍋で一酸化炭素中毒が多く起こる
ことから、これを、新しい中華料理店症候群、と呼ぶ人たちもいます。






https://www.yodosha.co.jp/rnote/trivia/trivia_9784758115773.html





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[こんなにも面白い医学の世界 第39回 ゴッホの絵が黄色っぽい理由]

(レジデントノート  2017年12月号掲載)


先日、「朝起きたらものが黄色く見えるんです」と驚いて救急車を呼んだ
患者さんが来られました。
救急隊はさまざまな病院に交渉したけれど、精神科をあたってくれ、などと
散々断られたそうです。
患者さんはバイタルサインも安定しており、精神的にも落ち着いた方で、
頭部打撲などのエピソードはありませんでした。


ものが黄色く見えるのは「黄視症」といい、色視症の一種であり、大切な
原因の1つに薬物の副作用があります。
この患者さんは心房細動でジギタリスを処方されており、この副作用を疑って
コンサルトしました。
後にわかったことですが、やはり血液中のジギタリス濃度は高値であり、
内服を中止することによって色覚異常もなくなったそうです。


ご存知のように、ジギタリスはNa-K ATPaseを阻害し、細胞内にNaを蓄積
させ、結果的にNa-Ca交換が止まり、細胞内Ca濃度が上昇して強心作用を
示します。

生理学の復習ですが、網膜には視細胞があり、桿体細胞と色覚に関係する
錐体細胞に分けられます。
錐体細胞は、R錐体、G錐体、B錐体の3種類があり、それぞれR(赤)、
G(緑)、B(青)を感じます。
光が来ないときは暗電流(Naの流れ)が発生し脱分極しているのですが、
光が来るとその流れが止まり、色を感じるようになります。
ジギタリスはNaの流れ、つまり暗電流を止めて視細胞の機能不全を
もたらしてしまいます。
R錐体、G錐体は比較的薬物の影響を受けやすいため、赤色と緑色の色相が
知覚されにくくなり、その反動でものが黄色く見えてしまうといわれて
います。


ゴッホの作品には黄色が多く用いられ、本来緑であるはずの草木なども黄色く
描いていますが、これはゴッホはてんかんがあり、当時はジギタリスが
てんかんに対して処方されていたため、この副作用のせいではないか、と主張
する学者がいます。


ほかにも、有名なものでは、バイアグラの内服後にものが青く見える
「青視症」というのもあるそうです。
インターネットで調べると、バイアグラの錠剤に色をつける色素のためだと
いうデタラメの説明をしているものがありましたが、cGMPを介する錐体
細胞の働きの異常が原因であることが推測できます、


みなさんは「視界が黄色い」と訴える患者さんを、すぐに精神科にコンサルト
したりしないでくださいね。





https://www.yodosha.co.jp/rnote/trivia/trivia_9784758115964.html



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[歴史上の人物を診る:ゴッホの異常行動を考える]

(朝日新聞  2011年10月20日)
(日本大学医学部病態病理学系微生物学分野 早川智教授)

ゴッホ(1853〜1890年)


19世紀のフランスには、新古典派から印象派を経て、20世紀に開花する
キュービスムやシュールレアリスムなど新たな美の潮流が次々現れた。

その中でもひときわ大きな存在感を示すのが、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ
であろう。
ゴッホの前にも後にも(意識的な模倣は別として)彼のような画風は存在
せず、一連の作品は美術史の中でも孤高を保っている。
しかし現在でこそ絵画市場で最も高値の付く画家であるが、生前にはほとんど
評価されず1枚しか売れなかったという。

ゴッホは、1853年3月30日オランダ南部ズンデルトの牧師の家に生まれた。
16歳で美術商の伯父が経営するグーピル商会に勤めるが、失恋を機に離職。
次に補助牧師を目指したものの、人間関係のトラブルでこれも中断。
画家になることを決心したのは27歳の時。
ブリュッセルで個人的に師についたが満足できず、翌年にはアントワープの
美術学校に入る。
1886年には芸術の中心地だったパリに移住し、2年後にはゴーギャンと
アルルで共同生活を開始する。
しかしじきに不和となり、自画像の耳の形をからかったゴーギャンへの
腹いせに、自らの左耳を切り取って女友達に送り付けた。
見かねた周囲の勧めもあって、サン=レミ=ド=プロヴァンスの精神科病院に
入院。
退院後は精力的に創作活動を行うが、1890年7月27日、パリ郊外の
オーヴェル・シュル・オワーズで腹部を銃で撃ち、2日後に死亡した。
享年37。



<奇行の原因>
ゴッホの奇行は生前から有名で、その生涯と独自の作風は後年に病跡学者の
格好の材料となり、現在までに、「双極性障害」「統合失調症」「緑内障」
「メニエール病」「神経梅毒」などの仮説が提唱された。

メニエール病では幻聴やめまい、耐え難い耳鳴りのために自らの耳を鼓膜が
破れるまでたたく例があり、ゴッホの耳切りもその延長ではないかとする説も
ある。
ただ、メニエール病では切断した耳を送るという行動は説明できない。

様々な精神神経症状を説明する場合、梅毒説は好都合である。
実際、ゴッホが同時代のロートレックやゴーギャン同様、娼婦との交渉を
好んでいたこと、17〜19世紀フランスでは梅毒が猛威を振るっていたこと
などから感染していた可能性は高い。
だが晩年まで彼の外観にゴム腫やバラ疹などの皮膚所見は見られない。

もう1つ、アルコールや薬物中毒の可能性もある。
ゴッホや同時代の芸術家が愛飲したアブサンは、ニガヨモギのテルペノイド、
ツヨンを含み、幻覚作用や錯乱作用があるとされる。
しかし毎晩泥酔する画家は数多いて、その中でもゴッホの芸術的境地は異彩を
放つ。
もっとも、最近ではよほど大量に摂取しなければツヨン自体にそれほどの
毒性はないとされている。



<黄色が最も美しい>
英国のアロンソは、ゴッホの主治医だったガッシュ博士がジギタリス治療を
得意としており、ゴッホは適応外かつ過剰な投与を受けたのではないかという
仮説を提唱している。
視野が黄色く見える「黄視症」はジギタリス中毒の教科書的な症状の1つで
ある。
ゴッホがオランダやパリで過ごしていた時の絵は暗い色調であるのに対し、
南仏に移って突然画風が変わったのは、南欧の夏の光や日本の浮世絵の影響に
加えて、ガッシュ博士の治療が始まったためであるという。
面白いことにこの時期のゴッホによるルーベンスの模写は、原画に比べて
著しく黄色がかっている。
しかしゴッホ自身、弟のテオに宛てた手紙に「黄色が最も美しい」と記す。
単なる黄色好きかもしれない。

ゴッホ没後100年に、生前のゴッホを知っていた長寿記録者のジャンヌ・
カルマン夫人(当時113歳)が、「汚い格好をした変な人だった」と証言して
いる。
ゴッホが変わり者で周りから受け入れられなかったことは間違いないが、
彼の異常行動は芸術上の表現と分けて考えるべきだろう。





(早川 智 日本大学医学部病態病理学系微生物学分野教授)





http://www.asahi.com/health/rekishi/TKY201110200253.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[川崎病が近年急増…
        発症から10日以降も熱続けば、心臓血管に瘤できやすく]

(読売新聞  2017年12月25日)


全身の血管に炎症が起こる川崎病の患者数が近年急増し、2015年には最多の
1万6323人に上った。


東京都練馬区に住む小学2年の男児(8)は3歳の時にかかり、首のリンパ
節が腫れて痛み、高熱が9日間続いた。
今も心臓の血管に後遺症があり、毎日薬を飲んでいる。
川崎病の今を探る。
(鈴木希)


<乳幼児に多く、原因不明…冬に患者数増加>
川崎病は、4歳以下の乳幼児に多い。
主な症状は、
  〈1〉発熱
  〈2〉両目の充血
  〈3〉唇が赤くなり舌がイチゴ状にぶつぶつになる
  〈4〉発疹
  〈5〉手足が赤く腫れ熱が下がると指先の皮がむける
  〈6〉首のリンパ節が腫れる
の6項目。
うち5項目以上で診断され、それに満たない場合は不全型とされる。

川崎病は、小児科医の川崎富作さんが1960年代に世界で初めて発表し、
この名がついた。

発症後、心臓の冠動脈に 瘤(こぶ) ができやすいのが特徴で、患者の
約2%に後遺症が出るといわれる。
瘤により将来的に血管が狭まったり、血栓が詰まったりして、心筋梗塞や
狭心症になる危険がある。


患者は、医師や国民に認識が広がり数が増えた1970~1980年代にも、
1万人以上となることがあったが、その後も増え続けている。

発症の原因がわからず、増加の理由も不明だ。

全国調査によると、冬に患者数が増加し、季節ごとに変動が大きい。
親子や兄弟で川崎病を経験するケースもある。

調査を行う自治医科大教授(公衆衛生学)の中村好一さんは、「何らかの
感染が引き金となり、遺伝的に感受性の高い人が発症する可能性がある」と
話す。


この男児は、当初、ロタウイルスに感染。
下痢などとともに川崎病の症状も出て、熱は40度を超えた。
病院で、炎症を抑える免疫グロブリン製剤の点滴を2回行ったが症状は
治まらず、発症から10日目にステロイド薬を使うと熱が下がった。

その後、冠動脈に瘤ができ、10ミリまで大きくなった。
今は、血栓ができないように血を固まりにくくする薬を飲み、大きなけがを
しないよう気をつけている。


瘤は、発症から10日以降も熱が下がらないと、できやすくなる。
早く炎症を止め、10日目までに熱を下げるのを目標に治療する。



<治療には長短>
免疫グロブリン製剤で8割程度の患者は熱が下がる。
下がらない場合、免疫グロブリン製剤の追加、ステロイド薬の使用、
インフリキシマブの使用、血中の特定の成分を取り除く 血漿交換などが
ある。
インフリキシマブは、「生物学的製剤」という種類の薬でリウマチ治療薬
などとして知られるが、2015年に川崎病にも使えるようになった。

ただ、ステロイド薬は瘤ができてからでは悪化させる可能性があり、
血漿交換を行うには数日かかるなど、どの治療も長短がある。


多くの患者を治療してきた横浜市立大学病院の小児科医、伊藤秀一さんは、
「免疫グロブリンを使った治療が効かない場合、その患者に有効な治療法を
迅速に見極め、10日目までに熱を下げることが数十年後の患者の健康に
つながる。異常に気付いたら早めに受診してほしい」と語る。


男児は、両親とともに川崎病の勉強会に参加している。
母親は、「将来、病気のことを自分で医師に説明できて、薬も飲み続けられる
よう、しっかり理解してもらいたい」と話す。





https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171225-OYTET50032/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[“箱根経験者”和田正人「ぬけぬけ病」投稿がトレンド入り
                    駒大・工藤の異変で問題提起も]

(スポニチアネックス  2018年1月3日)


第94回箱根駅伝で、青学大が総合4連覇へ向けて選手が快走を続ける中、
日大陸上部時代に箱根駅伝に出場した経験を持つ俳優・和田正人(38)の
専門的内容のツイッターがトレンド入りした。

和田はこの日のツイッターで、6区の青学大・小野田と東洋大の今西の走りに
ついて“実況”したほか、山下りで逆転した青学大について「勝ち方を知って
いる常勝軍団の横綱相撲が始まりそうな予感」などと投稿。
以降、実際に青学大が独走状態となっている。



そんな中、話題を集めたのは、駒沢大の7区・工藤の走りに関するツイート。
13位で出た工藤だったが、前半途中から蛇行し始め、太ももを手で叩きながら
前進。
フラフラになりながらも8区の白頭にタスキをつないだ。

和田は工藤の異変について「20年くらい前から、突如として長距離界に
蔓延し始めた、片脚の力が抜ける例のヤツかもしれない。未だ原因も治療法も
不明」「実は私も大学2年で発症。未だ抜けるような違和感がある」と
つづり、この状態を「長距離界では『ぬけぬけ病』などと呼ばれている」と
説明した。

これを受け「工藤選手」がトレンド入り。

和田はさらに「長距離ランナーを襲う謎の病。メジャーな病として世の中に
問題提起する事により、何かしらの改善方法が現れるかもしれない。まずは
知ってほしい。数々の名ランナーを引退へ追い込んだこの出来事を」と
問題提起。
このツイートにも賛辞が集まっている。




http://news.livedoor.com/article/detail/14110698/



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[一冊の漫画が難病研究の推進力に]

(あなたの健康百科  2017年12月27日)


<『宇宙兄弟』生まれの基金を筋萎縮性側索硬化症の研究へ>
累計発行部数1,900万部超を記録する人気コミック『宇宙兄弟』に登場し、
難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究を行うキャラクター・伊東せりか。

彼女の名を付けたALS研究基金、「せりか基金」の第1回授賞式が12月15日、
東京都で行われた。
式では、基金の助成金300万円が交付された東京大学大学院薬学系研究科細胞
情報学教室・藤澤貴央氏と、250万円が交付された国立遺伝学研究所・浅川
和秀氏が自身の研究について説明した。



<"作品への共感"が活動の源>
はしか(麻疹)予防にマジンガーZ、目の病気の啓発に南方仁(医療漫画
『JIN-仁-』の主人公)-。
さまざまな病気の啓発活動にアニメや漫画を活用する取り組みは最近よく
見られるが、「せりか基金」はそういった多くの例と異なり、作品のファンが
積極的に関わっている点が特徴である。

今回の助成金が、作中、ALSで父親を亡くし、その治療薬の開発を目指す
宇宙飛行士・伊東せりかや作品自体を支持、応援する人らによる寄付や
チャリティーグッズの購入によってまかなわれたこともその1例といえる。


授賞式では、藤澤氏、浅川氏がALSの発症に関わる遺伝子や蛋白質の研究に
取り組んでいることを報告。
両氏とも『宇宙兄弟』のイラストやワンシーンなどをふんだんに使用して、
式に出席したALS患者や作品のファンなどに自身の取り組みを紹介した。

藤澤氏は、日本人でALSが発症する原因の1つとされるSOD1という遺伝子に
注目し、この遺伝子が分解される仕組みを研究しているとした。

一方、浅川氏はALSになると運動に関わる細胞にTDP-43という蛋白質が
異常に集まることに着目。
透明な体を持った熱帯魚ゼブラフィッシュを詳しく観察し、細胞とTDP-43
との関係を調べているという。

また、『宇宙兄弟』の作者・小山宙哉氏がビデオメッセージを寄せ、「作品
では、ALSは治る病気だというつもりで描いている。現実のALSも治る病気に
なるよう願っている」とALS研究の進展に期待を寄せた。


基金では、来年以降も助成金などでALS研究者を支援していく方針であると
いう。
『宇宙兄弟』への共感を原動力に、ALSを"治る病気"にするための挑戦が続き
そうだ。





http://kenko100.jp/articles/171227004469/#gsc.tab=0