[自らの髪を抜いてしまう…「抜毛症」の女性
転機は27歳、生きる力取り戻す]
(西日本新聞 2017年10月26日)
働き続けることが生きる力に-。
福岡市博多区の小林香也子さん(41)が20年にわたって精神疾患や心の
不調と付き合いながら働いてきた体験を発信している。
多くの人と関わり、少しずつ生きる力を取り戻したという小林さん。
来月、北九州市の精神障害者の家族会で講話する。
小林さんは高校2年のとき、自らの髪を抜いてしまう精神疾患「抜毛症」を
患った。
明確な原因は不明。
後頭部の髪がなくなり、大学入学後は寮に引きこもった末に入退院を繰り
返し、22歳で大学を中退した。
就職活動は30社以上で不採用だった。
清掃会社などに就職したが、薬の副作用でぼーっとして長続きしなかった。
25歳ごろには抜毛症治療の服薬は終わったが、疲れやすく、精神的に不安定な
状態は続いた。
<理解してくれる会社との出合い>
転機は27歳。体調の波を理解してくれる会社に出合った。
「週1日勤務でもいい」と言う社長の下で6年間、月60~110時間と柔軟に
働けた。
結婚し、子育て中の今は、この社長が新たに立ち上げたコンサルタント会社で
月80時間前後、パートで事務を担う。
働き続けて「仕事はつらいばかりじゃない」「苦手な作業もいつかは慣れる」
と分かった。
収入を得て行動範囲も人間関係も広がった。
「人と接する中で、自己肯定感が低く、他人を否定的に捉えがちな癖に
気付き、直せた」と振り返る。
来年4月、障害者の法定雇用率(2.2%)の算定対象に精神障害者が加わり、
働く場は広がりそうだ。
小林さんは3年前から、精神障害者のための冊子に体験談を寄せ、家族会で
語っている。
「今はつらいばかりでも、その過程が無駄じゃなかったと思える日は必ず
来る、と伝えたい」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171026-00010002-nishinpc-soci