[薬で改善する難聴も 胎児期ウイルス感染が原因]
(共同通信社 最新医療情報 2008年6月24日)
<早期発見、治療に研究班>
胎児期のサイトメガロウイルス感染が原因で、新生児1,000人に1人に
起きるという難聴。
治らないとされてきたが、出生後すぐに診断がつけば抗ウイルス薬の投与で
改善する例のあることが判明。
厚生労働省研究班が検査法や治療法の研究を始めた。
<難聴の18%>
サイトメガロウイルスは母乳や尿、唾液などを介して、多くは乳幼児期に感染
する。
健康なときなら問題はないが、免疫力が落ちるとウイルスが活性化し発熱や
肺炎などを起こすことがある。
深刻なのは、胎児期に胎盤を通じて母体から感染するケースだ。
生後数カ月たってからの感染とは違い、小頭症や脳の石灰化、出生時の
低体重、そして難聴といった合併症の恐れがある。
さいたま市にある目白大保健医療学部の坂田英明教授(小児耳鼻科学、目白大
クリニック院長)は「妊婦の約300人に1人が感染している。最近は感染した
ことのない若い女性が増えており、妊娠中に母体が初感染し、胎児に
ウイルスが移行する危険性は高まっている」と言う。
坂田教授が3月まで耳鼻咽喉科長を務めていた埼玉県立小児医療センターで、
難聴の疑いで来院した生後5日から7カ月の162人を診断したところ、38人が
先天性難聴で、このうち7人(18%)がサイトメガロウイルスに感染して
いた。
<無症状が90%>
音は外耳道から鼓膜、耳小骨を経て蝸牛に達し、蝸牛内部の有毛細胞で電気
信号に変換され脳に伝わる。
ウイルスに感染すると、蝸牛を満たしたリンパ液の組成が乱れるため、有毛
細胞を支える基底板がうまく振動せず、これが難聴の原因と考えられている。
坂田教授らは、難聴でウイルス感染している新生児6人に、抗ウイルス薬
ガンシクロビルを6週間点滴したところ、4人に変化はなかったが、2人は
聴力が改善。
治療で尿中のウイルス量が減ると、聴力が良くなるという関係も分かった。
海外でも数年前から同様の治療例が報告されているという。
早期の発見と治療が鍵となるが、問題は感染しても90%は症状が出ないため
見落とされがちなこと。
国内では既に、音を聞かせて脳の反応を調べる「自動ABR」を使った新生児
聴覚スクリーニングを7割が受けている。
スクリーニングで感染が疑われた場合、感染が胎児期か出生後を判別する
ことが重要。
坂田教授らは、出生後にかかとから採血して行う先天性代謝異常検査
(ガスリー検査)で使った濾紙や、臍帯(へその緒)の血液を検査し、治療や
療育につなげる手法を同医療センターで確立している。
<3年計画で>
診断後の治療、療育、教育は、患者のコミュニケーション能力を高めたり
心身の発達を助けたりするために大切で、継続的な支援が必要だが、十分では
ないのが現状だ。
また、サイトメガロウイルスは神経発達に悪影響を与えるため、学習障害や
注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症と診断されている子どもの中にも、
胎児期感染者がいる可能性があると指摘されているものの、実態は分かって
いない。
こうした状況を受け2008年度、坂田教授も加わった厚労省研究班が発足。
複雑な臨床経過の解明や、診断から教育までの連携・支援態勢の基礎づくり
などを、3年計画で目指すことになった。
尿で感染が判定できるスクリーニングキットの開発や、人工内耳治療の研究も
予定している。
(共同通信 影井広美)
http://www.47news.jp/feature/medical/2008/06/post-51.html
[子どもの頃に猫を飼っていた人は精神病になりやすいとの調査結果]
(IRORIO 2015年06月13日)
愛らしい外見と自由気ままな性格で我々の心を虜にする猫たち。
見ているだけでも癒されるが、その存在は意外にも人間のメンタルヘルスに
悪影響を与えており、重大な精神病の原因となっている可能性があるという。
<精神病発症者の5割は猫飼育経験アリ>
学術誌『Schizophrenia Research』に掲載された論文によると、幼少期に
猫を飼っていた人は、統合失調症やその他の精神疾患になるリスクが高い
そう。
研究者らが2125の家族を対象に、米精神障害者家族会が1982年におこなった
アンケート結果を分析したところ、大人になってから統合失調症を発症した
人の50.6%は子どもの頃に猫を飼っていたことがわかったとか。
米精神障害者家族会は、1990年代にも同様の調査を2つ実施しており、
そのときも同じような結果になっていたという。
なお、米国でも統合失調症の発症率は1.1%で、猫を飼っている家庭の割合は30~37%だそうだ。
<原因は原虫か>
猫と精神疾患の因果関係は明らかになっていないが、研究者らは、猫に寄生
するトキソプラズマ・ゴンディという原虫が人間の脳に入り込むことで、
精神病を引き起こしているのではないかと考えているとか。
なお、トキソプラズマ・ゴンディは、統合失調症だけでなくアルツハイマー
病やパーキンソン病、うつ病など多くの病気に関与していることがこれまでの
研究で明らかになっている。
<もちろんメリットも!>
ただし、だからといって猫を飼うことが絶対にいけないわけではない。
過去の調査では、猫を飼うことで心臓が健康になったり、自閉症の人が
コミュニケーション能力を磨く助けになったり、孤独感を癒してくれたりと
いったメリットも発表されている。
研究者らは、猫と精神疾患の関連性を確かなものにするためには、さらなる
調査が必要だと示唆している。
http://irorio.jp/asteroid-b-612/20150613/236745/
(IRORIO 2015年06月13日)
愛らしい外見と自由気ままな性格で我々の心を虜にする猫たち。
見ているだけでも癒されるが、その存在は意外にも人間のメンタルヘルスに
悪影響を与えており、重大な精神病の原因となっている可能性があるという。
<精神病発症者の5割は猫飼育経験アリ>
学術誌『Schizophrenia Research』に掲載された論文によると、幼少期に
猫を飼っていた人は、統合失調症やその他の精神疾患になるリスクが高い
そう。
研究者らが2125の家族を対象に、米精神障害者家族会が1982年におこなった
アンケート結果を分析したところ、大人になってから統合失調症を発症した
人の50.6%は子どもの頃に猫を飼っていたことがわかったとか。
米精神障害者家族会は、1990年代にも同様の調査を2つ実施しており、
そのときも同じような結果になっていたという。
なお、米国でも統合失調症の発症率は1.1%で、猫を飼っている家庭の割合は30~37%だそうだ。
<原因は原虫か>
猫と精神疾患の因果関係は明らかになっていないが、研究者らは、猫に寄生
するトキソプラズマ・ゴンディという原虫が人間の脳に入り込むことで、
精神病を引き起こしているのではないかと考えているとか。
なお、トキソプラズマ・ゴンディは、統合失調症だけでなくアルツハイマー
病やパーキンソン病、うつ病など多くの病気に関与していることがこれまでの
研究で明らかになっている。
<もちろんメリットも!>
ただし、だからといって猫を飼うことが絶対にいけないわけではない。
過去の調査では、猫を飼うことで心臓が健康になったり、自閉症の人が
コミュニケーション能力を磨く助けになったり、孤独感を癒してくれたりと
いったメリットも発表されている。
研究者らは、猫と精神疾患の関連性を確かなものにするためには、さらなる
調査が必要だと示唆している。
http://irorio.jp/asteroid-b-612/20150613/236745/
[妊娠中は生肉、生ハム避けて トキソプラズマに感染の恐れ]
(東京新聞 2013年4月30日)
妊婦は生肉や生ハムを食べない方がいい。
妊娠中に、生肉などについている寄生虫「トキソプラズマ」に感染すると、
胎児の発達が遅れたり、脳神経系に障害が出たりすることがあるからだ。
感染しても妊婦の症状自体は軽く、医師の危機意識が低いことも問題となって
いる。
(細川暁子)
東京都豊島区の歯科医師、渡辺智美さん(32)は、妊娠中に寄生虫「トキソ
プラズマ」に感染した。
生後、長女(2つ)の感染も分かり、「先天性トキソプラズマ症」と診断
された。
長女は右半身に軽いまひがある。
2010年夏、結婚3年目で待望の妊娠。
順調に経過し、妊娠6カ月からは胎動もよく感じていた。
ところが妊娠9カ月で胎児に異常が見つかった。
脳室が通常の2倍以上に拡大。
母体の血液検査で感染が分かった。
トキソプラズマは哺乳類と鳥類に感染する単細胞の寄生虫。
肉眼では見えない大きさで、卵はネコ科動物の腸管の中でのみ作られる。
感染したネコのフンに触ったり、土いじりしたりすることで、人に感染する
とされる。
だが最近は、感染した動物の生肉を食べて感染する危険性が指摘されている。
岐阜県食肉衛生検査所の獣医師、松尾加代子さんが昨年調べたところ、
食肉用の牛の6.5%、豚の5.2%がトキソプラズマの抗体検査で陽性だった。
トキソプラズマは65度以上で加熱しなければ死なない。
表面が焼けた肉でも、中まで火が通らないと死滅していない危険性がある。
ただし、感染しても健康な人なら、自覚症状がないほど軽症。
日本人の2~3割は感染し、抗体を持っているとされる。
怖いのは免疫力が低下しがちな妊娠中の感染だ。
胎盤から血液を介して母子感染する恐れがあり、流産や早産につながり
かねない。
胎児の発育の遅れや、脳や目に障害が出ることもある。
渡辺さんは妊娠4カ月の時、焼き肉店で好物のユッケやレバ刺しを食べた。
その約2週間後にリンパ節が腫れたが、風邪だと思って病院に行かなかった。
長女の生後1カ月に、三井記念病院(東京)で母子の血液から感染時期を
調べたところ、生肉を食べた時期と一致した。
診察した産婦人科医で、トキソプラズマ研究の第一人者小島俊行さんに
よると、リンパ節の腫れは感染後の典型的な症状。
渡辺さんは生肉を食べて感染した可能性が高いという。
小島さんの推計では、全国で年間約500人が妊娠中に感染している。
母子感染はそのうち3割で、障害児として生まれる子は10人程度。
出生時に異常がなくても、成長とともに視力障害が出るケースもある。
小島さんは「食の欧米化で生ハムなどが普及し、生肉への抵抗が薄れている。
妊婦が生肉を食べる危険性は知られておらず、感染者が増える可能性がある」
と懸念する。
<低い産科医の危機意識>
トキソプラズマ感染では、産婦人科医の危機意識の低さも問題となっている。
感染は血液の抗体検査で分かる。
1000円程度の検査だが、全国の産婦人科の約半数では実施していない。
渡辺さんが妊婦健診を受けていた産婦人科も、検査を実施していなかった。
抗体検査で陽性なら、精密検査で感染時期を推定する。
妊娠前なら問題ないが、妊娠中が疑われる場合には抗生物質を投与して、
母子感染を防ぐ。
抗体検査を実施している練馬光が丘病院(東京)産婦人科顧問の長阪恒樹
さんは「めったに症例がないので、検査をしなくてもいいだろうと考えている
医師もいる」と指摘。
「むしろ抗体検査で陰性だった妊婦にこそ、生肉を食べたり土いじりをしたり
するリスクを教えるべきだ」と訴える。
渡辺さんも同じような悲しみを味わってほしくないと、昨年9月に患者会
「トーチの会」を設立。
啓発活動に力を入れている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2013043002000141.html
(東京新聞 2013年4月30日)
妊婦は生肉や生ハムを食べない方がいい。
妊娠中に、生肉などについている寄生虫「トキソプラズマ」に感染すると、
胎児の発達が遅れたり、脳神経系に障害が出たりすることがあるからだ。
感染しても妊婦の症状自体は軽く、医師の危機意識が低いことも問題となって
いる。
(細川暁子)
東京都豊島区の歯科医師、渡辺智美さん(32)は、妊娠中に寄生虫「トキソ
プラズマ」に感染した。
生後、長女(2つ)の感染も分かり、「先天性トキソプラズマ症」と診断
された。
長女は右半身に軽いまひがある。
2010年夏、結婚3年目で待望の妊娠。
順調に経過し、妊娠6カ月からは胎動もよく感じていた。
ところが妊娠9カ月で胎児に異常が見つかった。
脳室が通常の2倍以上に拡大。
母体の血液検査で感染が分かった。
トキソプラズマは哺乳類と鳥類に感染する単細胞の寄生虫。
肉眼では見えない大きさで、卵はネコ科動物の腸管の中でのみ作られる。
感染したネコのフンに触ったり、土いじりしたりすることで、人に感染する
とされる。
だが最近は、感染した動物の生肉を食べて感染する危険性が指摘されている。
岐阜県食肉衛生検査所の獣医師、松尾加代子さんが昨年調べたところ、
食肉用の牛の6.5%、豚の5.2%がトキソプラズマの抗体検査で陽性だった。
トキソプラズマは65度以上で加熱しなければ死なない。
表面が焼けた肉でも、中まで火が通らないと死滅していない危険性がある。
ただし、感染しても健康な人なら、自覚症状がないほど軽症。
日本人の2~3割は感染し、抗体を持っているとされる。
怖いのは免疫力が低下しがちな妊娠中の感染だ。
胎盤から血液を介して母子感染する恐れがあり、流産や早産につながり
かねない。
胎児の発育の遅れや、脳や目に障害が出ることもある。
渡辺さんは妊娠4カ月の時、焼き肉店で好物のユッケやレバ刺しを食べた。
その約2週間後にリンパ節が腫れたが、風邪だと思って病院に行かなかった。
長女の生後1カ月に、三井記念病院(東京)で母子の血液から感染時期を
調べたところ、生肉を食べた時期と一致した。
診察した産婦人科医で、トキソプラズマ研究の第一人者小島俊行さんに
よると、リンパ節の腫れは感染後の典型的な症状。
渡辺さんは生肉を食べて感染した可能性が高いという。
小島さんの推計では、全国で年間約500人が妊娠中に感染している。
母子感染はそのうち3割で、障害児として生まれる子は10人程度。
出生時に異常がなくても、成長とともに視力障害が出るケースもある。
小島さんは「食の欧米化で生ハムなどが普及し、生肉への抵抗が薄れている。
妊婦が生肉を食べる危険性は知られておらず、感染者が増える可能性がある」
と懸念する。
<低い産科医の危機意識>
トキソプラズマ感染では、産婦人科医の危機意識の低さも問題となっている。
感染は血液の抗体検査で分かる。
1000円程度の検査だが、全国の産婦人科の約半数では実施していない。
渡辺さんが妊婦健診を受けていた産婦人科も、検査を実施していなかった。
抗体検査で陽性なら、精密検査で感染時期を推定する。
妊娠前なら問題ないが、妊娠中が疑われる場合には抗生物質を投与して、
母子感染を防ぐ。
抗体検査を実施している練馬光が丘病院(東京)産婦人科顧問の長阪恒樹
さんは「めったに症例がないので、検査をしなくてもいいだろうと考えている
医師もいる」と指摘。
「むしろ抗体検査で陰性だった妊婦にこそ、生肉を食べたり土いじりをしたり
するリスクを教えるべきだ」と訴える。
渡辺さんも同じような悲しみを味わってほしくないと、昨年9月に患者会
「トーチの会」を設立。
啓発活動に力を入れている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2013043002000141.html
[トキソプラズマが脳を“乗っ取る”メカニズム明らかに スウェーデン研究]
(あなたの健康百科 2012年12月25日)
世界人口の4分の1~3分の1が感染しているといわれるトキソプラズマ
だが、免疫に異常のない健康な人の場合、感染しても特に重大な症状が現れる
ことなく慢性感染に移行することが知られている。
しかし、この慢性感染期に感染者の行動や人格に変化が起きるという研究
結果が数多く報告されている。
スウェーデン・カロリンスカ研究所のAntonio Barragan氏らは、PLoS Pathog
(2012; 8: e1003051)に掲載された報告の中で、トキソプラズマが神経伝達
物質であるγ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA)を介して、脳に進入する
メカニズムを明らかにした。
この同じメカニズムが、トキソプラズマによる脳の“乗っ取り”にも関与して
いる可能性があるという。
<“乗っ取り”で異常行動の報告>
トキソプラズマは寄生虫(原虫)の一種で、人間をはじめ哺乳類や鳥類などに
寄生するが、オスとメスの成虫になって卵(オーシスト)を産む「有性生殖」
が行える終宿主はネコ科の動物のみ。
肉の生食や飼い猫の糞便との接触などから経口感染し、日本人の保菌率は
10%程度だという。
多くの場合、自覚症状のない不顕性感染だが、実際は免疫の力が及びにくい
筋肉や脳でシストと呼ばれる丈夫な袋を作って休眠状態になり、無性生殖に
よってゆっくりと増殖する慢性感染に移行する。
この慢性感染期に、人間では総合失調症や双極性障害にかかりやすくなると
いう報告や、男性では、集中力散漫、規則破り、危険行為、反社会的行為、
女性では異常に社交的、男性関係にふしだらになるなどの報告は少なくない。
今年7月には、トキソプラズマに感染した人では自殺や自傷行為のリスクが
上がると報告された。
また、トキソプラズマに感染したネズミではネコに対する恐怖心が消え、逆に
ネコの尿のにおいに引き付けられるようになるという。
しかし、トキソプラズマによる脳の乗っ取りが実際に起こっているという
物質的な根拠は、これまで知られていなかった。
今回のBarragan氏らの研究も、それを直接証明したわけではないが、トキソ
プラズマが全身に広がるメカニズムを研究する中で、初めて根拠の候補となる
物質を見出したのだ。
<感染した樹状細胞がGABAを産生>
トキソプラズマは、あらゆる種類の細胞に感染することができるが、皮肉な
ことに本来トキソプラズマを排除すべき免疫系の門番である樹状細胞にも
感染し、その移動能を高め、全身に感染が広がることは知られていた。
Barragan氏らは、その仕組みを調べた結果、骨髄性樹状細胞がGABAの産生、
分泌、受容ができること、トキソプラズマへの感染が引き金となって、骨髄性
樹状細胞がGABAを分泌すること、それによって自身の移動能が活性化される
ことを、培養細胞を使った実験で明らかにした。
一方、動物実験では、薬剤でGABAの産生を抑制するとトキソプラズマに感染
した樹状細胞の移動能は高まらず、トキソプラズマの脳への蓄積も減少する
ことを発見した。
以上の結果から、トキソプラズマは感染した樹状細胞にGABAを強制的に
作らせ、GABAによって高まった移動能を利用して全身へと広がるという
メカニズムが明らかとなった。
<脳内でのGABAの乱れが原因か>
GABAはブレーキの役割を果たす抑制性の神経伝達物質として、多くの
脳機能に関わっている。
脳内のGABA量が乱されると、グルタミン酸など興奮性の神経伝達物質との
バランスが崩れ、精神障害や行動異常を引き起こすことが知られている。
今回の研究では、脳へと広がったトキソプラズマが、感染した樹状細胞に
よって直接運ばれたのかどうかは明らかにしていない。
しかし、もしそうだとすれば、脳へ進入したトキソプラズマ感染樹状細胞が
脳内のGABA量を乱すことで、何らかの神経作用を及ぼしている可能性は
高いと考えられる。
Barragan氏は、今回の発見について「これまで解明されなかったトキソ
プラズマ感染による複雑な症例に、ようやく説明がつけられるようになるかも
しれない」とコメントしている。
(サイエンスライター・神無 久)
http://kenko100.jp/news/2012/12/25/02
(あなたの健康百科 2012年12月25日)
世界人口の4分の1~3分の1が感染しているといわれるトキソプラズマ
だが、免疫に異常のない健康な人の場合、感染しても特に重大な症状が現れる
ことなく慢性感染に移行することが知られている。
しかし、この慢性感染期に感染者の行動や人格に変化が起きるという研究
結果が数多く報告されている。
スウェーデン・カロリンスカ研究所のAntonio Barragan氏らは、PLoS Pathog
(2012; 8: e1003051)に掲載された報告の中で、トキソプラズマが神経伝達
物質であるγ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA)を介して、脳に進入する
メカニズムを明らかにした。
この同じメカニズムが、トキソプラズマによる脳の“乗っ取り”にも関与して
いる可能性があるという。
<“乗っ取り”で異常行動の報告>
トキソプラズマは寄生虫(原虫)の一種で、人間をはじめ哺乳類や鳥類などに
寄生するが、オスとメスの成虫になって卵(オーシスト)を産む「有性生殖」
が行える終宿主はネコ科の動物のみ。
肉の生食や飼い猫の糞便との接触などから経口感染し、日本人の保菌率は
10%程度だという。
多くの場合、自覚症状のない不顕性感染だが、実際は免疫の力が及びにくい
筋肉や脳でシストと呼ばれる丈夫な袋を作って休眠状態になり、無性生殖に
よってゆっくりと増殖する慢性感染に移行する。
この慢性感染期に、人間では総合失調症や双極性障害にかかりやすくなると
いう報告や、男性では、集中力散漫、規則破り、危険行為、反社会的行為、
女性では異常に社交的、男性関係にふしだらになるなどの報告は少なくない。
今年7月には、トキソプラズマに感染した人では自殺や自傷行為のリスクが
上がると報告された。
また、トキソプラズマに感染したネズミではネコに対する恐怖心が消え、逆に
ネコの尿のにおいに引き付けられるようになるという。
しかし、トキソプラズマによる脳の乗っ取りが実際に起こっているという
物質的な根拠は、これまで知られていなかった。
今回のBarragan氏らの研究も、それを直接証明したわけではないが、トキソ
プラズマが全身に広がるメカニズムを研究する中で、初めて根拠の候補となる
物質を見出したのだ。
<感染した樹状細胞がGABAを産生>
トキソプラズマは、あらゆる種類の細胞に感染することができるが、皮肉な
ことに本来トキソプラズマを排除すべき免疫系の門番である樹状細胞にも
感染し、その移動能を高め、全身に感染が広がることは知られていた。
Barragan氏らは、その仕組みを調べた結果、骨髄性樹状細胞がGABAの産生、
分泌、受容ができること、トキソプラズマへの感染が引き金となって、骨髄性
樹状細胞がGABAを分泌すること、それによって自身の移動能が活性化される
ことを、培養細胞を使った実験で明らかにした。
一方、動物実験では、薬剤でGABAの産生を抑制するとトキソプラズマに感染
した樹状細胞の移動能は高まらず、トキソプラズマの脳への蓄積も減少する
ことを発見した。
以上の結果から、トキソプラズマは感染した樹状細胞にGABAを強制的に
作らせ、GABAによって高まった移動能を利用して全身へと広がるという
メカニズムが明らかとなった。
<脳内でのGABAの乱れが原因か>
GABAはブレーキの役割を果たす抑制性の神経伝達物質として、多くの
脳機能に関わっている。
脳内のGABA量が乱されると、グルタミン酸など興奮性の神経伝達物質との
バランスが崩れ、精神障害や行動異常を引き起こすことが知られている。
今回の研究では、脳へと広がったトキソプラズマが、感染した樹状細胞に
よって直接運ばれたのかどうかは明らかにしていない。
しかし、もしそうだとすれば、脳へ進入したトキソプラズマ感染樹状細胞が
脳内のGABA量を乱すことで、何らかの神経作用を及ぼしている可能性は
高いと考えられる。
Barragan氏は、今回の発見について「これまで解明されなかったトキソ
プラズマ感染による複雑な症例に、ようやく説明がつけられるようになるかも
しれない」とコメントしている。
(サイエンスライター・神無 久)
http://kenko100.jp/news/2012/12/25/02
[トキソプラズマ感染、女性の自殺リスク高める可能性 デンマーク研究]
(AFPBB News 2012年07月06日)(発信地:ワシントンD.C.)
【7月6日 AFP】
ネコのふんで広がるトキソプラズマ原虫に感染した女性は自殺傾向が高まる
――デンマーク女性4万5000人を対象に行ったこのような研究論文が、
米精神医学誌「Archives of General Psychiatry」の最新号に掲載された。
論文の主筆者、米メリーランド大学医学部のテオドール・ポストラチェ氏は、
「トキソプラズマが原因で女性たちが自殺に走ると確証を持っては言えない
が」としたうえで、「感染とその後の女性の自殺傾向との関連が十分予測
できる発見があった」と語った。
チームは両者の関連性を裏付ける研究をさらに続けるという。
世界のおよそ3人に1人がトキソプラズマに感染しているとみられている。
トキソプラズマ感染は統合失調症や行動の変化に関連があるとされているが、
脳や筋肉細胞内に潜伏している間は何の症状もないことも多い。
トキソプラズマが宿主とするネコのふん尿の処理、洗浄が不十分な野菜や
生肉、不潔な水を摂取した人が感染する恐れがある。
論文の要約によると、トキソプラズマに感染した女性は感染していない女性と
比べて自殺を試みる割合が1.5倍高かった。
トキソプラズマ抗体レベルが高いほど、自殺リスクも高まるという。
精神疾患の既往症がある人とない人では、ない人の方がトキソプラズマ感染と
自殺を試みたことの関連性がわずかに高いと推定されたが、その差は顕著な
ものではなかったという。
トキソプラズマ感染のリスクについては、米オピニオン誌「Atlantic」が
3月にトキソプラズマは人間の感情に影響を与える可能性があるとした
チェコの生物学者ヤロスラフ・フレグル氏の主張を取り上げて注目を集めた。
この記事のタイトルは「How Your Cat is Making You Crazy(ネコはいかに
あなたを狂わせるか)」というものだった。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2888098/9218822
(AFPBB News 2012年07月06日)(発信地:ワシントンD.C.)
【7月6日 AFP】
ネコのふんで広がるトキソプラズマ原虫に感染した女性は自殺傾向が高まる
――デンマーク女性4万5000人を対象に行ったこのような研究論文が、
米精神医学誌「Archives of General Psychiatry」の最新号に掲載された。
論文の主筆者、米メリーランド大学医学部のテオドール・ポストラチェ氏は、
「トキソプラズマが原因で女性たちが自殺に走ると確証を持っては言えない
が」としたうえで、「感染とその後の女性の自殺傾向との関連が十分予測
できる発見があった」と語った。
チームは両者の関連性を裏付ける研究をさらに続けるという。
世界のおよそ3人に1人がトキソプラズマに感染しているとみられている。
トキソプラズマ感染は統合失調症や行動の変化に関連があるとされているが、
脳や筋肉細胞内に潜伏している間は何の症状もないことも多い。
トキソプラズマが宿主とするネコのふん尿の処理、洗浄が不十分な野菜や
生肉、不潔な水を摂取した人が感染する恐れがある。
論文の要約によると、トキソプラズマに感染した女性は感染していない女性と
比べて自殺を試みる割合が1.5倍高かった。
トキソプラズマ抗体レベルが高いほど、自殺リスクも高まるという。
精神疾患の既往症がある人とない人では、ない人の方がトキソプラズマ感染と
自殺を試みたことの関連性がわずかに高いと推定されたが、その差は顕著な
ものではなかったという。
トキソプラズマ感染のリスクについては、米オピニオン誌「Atlantic」が
3月にトキソプラズマは人間の感情に影響を与える可能性があるとした
チェコの生物学者ヤロスラフ・フレグル氏の主張を取り上げて注目を集めた。
この記事のタイトルは「How Your Cat is Making You Crazy(ネコはいかに
あなたを狂わせるか)」というものだった。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2888098/9218822
[妊娠女性はトキソプラズマに注意]
(HealthDay News 2011年5月16日)
トキソプラズマ症は、妊娠女性が感染すると胎児に危険をもたらす寄生虫
感染症である。
米国小児学会(AAP)は、女性が妊娠中にトキソプラズマ症になるリスクを
軽減するため、以下のことを勧めている:
・毎日のネコのトイレ掃除はほかの人に頼む。
・やむを得ず自分でペットのトイレを掃除する場合は、手袋を使用し、
終わった後はよく手を洗う。
・洗っていない野菜、生肉、土や砂に触れた後は必ず石鹸で手を洗う。
・加熱の不十分な肉を食べない。
・肉を料理する前に数日冷凍する。
これによって、感染の確率を大幅に減らすことができる。
・包丁とまな板は使用後に湯と洗剤で念入りに洗う。
・野菜や果物は食べる前に洗うか、皮をむく。
・生水を飲まない。特に外国に行った際は注意する。
http://www.healthdayjapan.com/
(HealthDay News 2011年5月16日)
トキソプラズマ症は、妊娠女性が感染すると胎児に危険をもたらす寄生虫
感染症である。
米国小児学会(AAP)は、女性が妊娠中にトキソプラズマ症になるリスクを
軽減するため、以下のことを勧めている:
・毎日のネコのトイレ掃除はほかの人に頼む。
・やむを得ず自分でペットのトイレを掃除する場合は、手袋を使用し、
終わった後はよく手を洗う。
・洗っていない野菜、生肉、土や砂に触れた後は必ず石鹸で手を洗う。
・加熱の不十分な肉を食べない。
・肉を料理する前に数日冷凍する。
これによって、感染の確率を大幅に減らすことができる。
・包丁とまな板は使用後に湯と洗剤で念入りに洗う。
・野菜や果物は食べる前に洗うか、皮をむく。
・生水を飲まない。特に外国に行った際は注意する。
http://www.healthdayjapan.com/
[医療関係者でも誤解、妊娠中に胎児へうつる2つの感染症
トキソプラズマとサイトメガロウイルス―患者会が訴え]
(あなたの健康百科 2013年10月30日)
妊娠中はさまざまな感染症に気をつけなければならないが、その中でも母子
感染で子供に重大な障害が残ることがあるのが、先天性トキソプラズマ症と
先天性サイトメガロウイルス症だ。
両感染症に悩む患者や家族の団体「トーチの会」は、10月26~27日に
札幌市内で開かれた第45回日本小児感染症学会のシンポジウムで、
これら2つの感染症について「医療関係者でも感染経路などについて誤解が
ある」とし、正しく理解した上で患者を指導するよう求めた。
<無症候や軽い症状が多く見過ごされがちに>
先天性トキソプラズマ症の原因となるトキソプラズマは、ネコ科動物の糞や
家畜の肉、土中などに潜む原虫で、口から感染すること(経口感染)が多い。
世界で30%以上の人が感染しているとの試算もあるが、成人感染では無症候か
軽い風邪の症状で終わることが大半だ。
先天性サイトメガロウイルス症の原因となるサイトメガロウイルスも日常
生活で接することは珍しくなく、母乳や唾液、尿、性行為などで感染する。
日本では成人の半数以上が免疫を持っているとされ、健康であれば感染しても
特に問題は起きない。
ところが、いずれも妊婦が初めて感染した場合は深刻な問題につながる恐れが
ある。
妊娠時期で異なるがトキソプラズマは10~70%、サイトメガロウイルスは
30~50%の割合で胎児に感染するとされ、最悪の場合は流産や死産に
なったり、脳に障害が残ったりする。
出生時に問題がなくても、子供が成長するにつれて視力や聴力に何らかの
障害が現れてくるケースもある。
<"極めてまれ"だった先天性トキソプラズマ症>
現在はこれらの問題が明らかになってきたが、1985年の全国調査で先天性
トキソプラズマ症が「極めてまれなケース」と指摘されたことから、長らく
重要視されてこなかった。
歯科医でトーチの会代表の渡邊智美氏は、妊娠中にトキソプラズマに感染した
体験を交えながら、母子感染症対策の問題点を説明した。
渡邊氏は、妊娠30週頃に近所の医療機関で受けた妊婦健診で胎児の「両側脳室
拡大」が認められたが、健診にトキソプラズマに感染しているかどうかを
検査する項目がないことから、原因が特定されないまま周産期医療センターへ
転院となった。
そこで行われた妊娠36週目の血液検査で、胎児の先天性トキソプラズマ
感染症が判明。
胎児の症状悪化を予防するために分娩まで薬(スピラマイシン)の服用を
続け、妊娠38週5日に帝王切開で出産したという。
<感染経路を風疹のように誤解>
同会北海道支部長の吉田美知代氏も、妊娠27週頃から胎児の発育不全が
認められたが、生後1カ月まで先天性サイトメガロウイルス症と分からな
かった経験を告白。
サイトメガロウイルスは空気や飛沫では感染しないにもかかわらず、医師から
他の妊婦がいる場所へは近づかないよう指導され、子供が1歳になるまで
ほとんど外出を控える生活を強いられたという。
吉田氏は「医療関係者でもサイトメガロウイルスに対し、風疹のような
飛沫感染があると誤解があった。
正しく指導することが当たり前なのに、それができていなかった」と嘆いた。
渡邊氏は、妊婦の啓発用パンフレットなどにトキソプラズマやサイトメガロ
ウイルスの母子感染に関する記述がないことに触れ、「感染の可能性が高く
重い障害が残る恐れがあるにもかかわらず、正しい知識を得る機会がない」と
訴えた。
また、過去の全国調査結果を根拠にこれらの先天性感染症に無頓着な医療
関係者が少なくないと指摘し、妊婦や妊娠希望者などへの抗体検査や感染児の
障害に対する早期発見・治療などを充実させる対応策を提案。
同会の活動にも触れ、公式サイトで母子感染予防パンフレットが無料でダウン
ロードできることなども紹介した。
最後に「最も簡単で安価であり、効果が期待できる母子感染症の予防対策は
啓発・教育」と述べ、医療現場の協力を求めた。
http://kenko100.jp/articles/131030002666/
トキソプラズマとサイトメガロウイルス―患者会が訴え]
(あなたの健康百科 2013年10月30日)
妊娠中はさまざまな感染症に気をつけなければならないが、その中でも母子
感染で子供に重大な障害が残ることがあるのが、先天性トキソプラズマ症と
先天性サイトメガロウイルス症だ。
両感染症に悩む患者や家族の団体「トーチの会」は、10月26~27日に
札幌市内で開かれた第45回日本小児感染症学会のシンポジウムで、
これら2つの感染症について「医療関係者でも感染経路などについて誤解が
ある」とし、正しく理解した上で患者を指導するよう求めた。
<無症候や軽い症状が多く見過ごされがちに>
先天性トキソプラズマ症の原因となるトキソプラズマは、ネコ科動物の糞や
家畜の肉、土中などに潜む原虫で、口から感染すること(経口感染)が多い。
世界で30%以上の人が感染しているとの試算もあるが、成人感染では無症候か
軽い風邪の症状で終わることが大半だ。
先天性サイトメガロウイルス症の原因となるサイトメガロウイルスも日常
生活で接することは珍しくなく、母乳や唾液、尿、性行為などで感染する。
日本では成人の半数以上が免疫を持っているとされ、健康であれば感染しても
特に問題は起きない。
ところが、いずれも妊婦が初めて感染した場合は深刻な問題につながる恐れが
ある。
妊娠時期で異なるがトキソプラズマは10~70%、サイトメガロウイルスは
30~50%の割合で胎児に感染するとされ、最悪の場合は流産や死産に
なったり、脳に障害が残ったりする。
出生時に問題がなくても、子供が成長するにつれて視力や聴力に何らかの
障害が現れてくるケースもある。
<"極めてまれ"だった先天性トキソプラズマ症>
現在はこれらの問題が明らかになってきたが、1985年の全国調査で先天性
トキソプラズマ症が「極めてまれなケース」と指摘されたことから、長らく
重要視されてこなかった。
歯科医でトーチの会代表の渡邊智美氏は、妊娠中にトキソプラズマに感染した
体験を交えながら、母子感染症対策の問題点を説明した。
渡邊氏は、妊娠30週頃に近所の医療機関で受けた妊婦健診で胎児の「両側脳室
拡大」が認められたが、健診にトキソプラズマに感染しているかどうかを
検査する項目がないことから、原因が特定されないまま周産期医療センターへ
転院となった。
そこで行われた妊娠36週目の血液検査で、胎児の先天性トキソプラズマ
感染症が判明。
胎児の症状悪化を予防するために分娩まで薬(スピラマイシン)の服用を
続け、妊娠38週5日に帝王切開で出産したという。
<感染経路を風疹のように誤解>
同会北海道支部長の吉田美知代氏も、妊娠27週頃から胎児の発育不全が
認められたが、生後1カ月まで先天性サイトメガロウイルス症と分からな
かった経験を告白。
サイトメガロウイルスは空気や飛沫では感染しないにもかかわらず、医師から
他の妊婦がいる場所へは近づかないよう指導され、子供が1歳になるまで
ほとんど外出を控える生活を強いられたという。
吉田氏は「医療関係者でもサイトメガロウイルスに対し、風疹のような
飛沫感染があると誤解があった。
正しく指導することが当たり前なのに、それができていなかった」と嘆いた。
渡邊氏は、妊婦の啓発用パンフレットなどにトキソプラズマやサイトメガロ
ウイルスの母子感染に関する記述がないことに触れ、「感染の可能性が高く
重い障害が残る恐れがあるにもかかわらず、正しい知識を得る機会がない」と
訴えた。
また、過去の全国調査結果を根拠にこれらの先天性感染症に無頓着な医療
関係者が少なくないと指摘し、妊婦や妊娠希望者などへの抗体検査や感染児の
障害に対する早期発見・治療などを充実させる対応策を提案。
同会の活動にも触れ、公式サイトで母子感染予防パンフレットが無料でダウン
ロードできることなども紹介した。
最後に「最も簡単で安価であり、効果が期待できる母子感染症の予防対策は
啓発・教育」と述べ、医療現場の協力を求めた。
http://kenko100.jp/articles/131030002666/
[妊娠の間隔が自閉症リスクに関連]
(HealthDay News 2015年9月14日)
妊娠の間隔が、生まれる子の自閉症リスクに関連している可能性が新たな
研究で示唆された。
研究を実施した米カイザー・パーマネンテ研究部門(カリフォルニア州)の
Lisa Croen氏によると、前回の出産から2年未満または6年以上の間隔で
妊娠した子は、自閉症と診断されるリスクが約2~3倍になるという。
これまでの研究でも、妊娠の間隔が短すぎたり長すぎたりすることによる
リスクが明らかにされており、今回の研究も同じ方向を示すものだが、
因果関係を裏付けるものではないとCroen氏は述べている。
また、この知見は出産から次の妊娠まで2年以上空けることを推奨する
世界保健機関(WHO)の勧告にも一致するという。
この研究は「Pediatrics」オンライン版に9月14日掲載され、印刷版10月号
にも掲載予定。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、自閉症スペクトラム障害
(ASD)は米国では68人に1人の小児にみられ、女児よりも男児にやや多い。
遺伝的因子と環境的因子がともに関与していると考えられている。
今回の研究では、カイザー・パーマネンテ北カリフォルニア病院で2000年
から2009年に第2子として出生した約4万5,000例の医療記録をレビューし、
ASDに分類される障害の診断コードと妊娠の間隔(第1子の出産から第2子の
妊娠までの期間)について調べた。
対象者のうち878例では、上のきょうだいがASDと診断されていた。
まず、第1子がASDではない集団を対象に分析したところ、妊娠間隔が
36~47カ月の群に比べ、24カ月未満または72カ月以上の群では自閉症
リスクが1.5~3倍となっていた。
間隔が6カ月未満の場合に、最もリスクが高いようだった。
次に第1子がASDだった集団を対象に分析すると、やはり同じ傾向がみられ、
妊娠間隔が短い場合や長い場合にASDリスクが高かった。
考えられる理由の1つとして、妊娠間隔が短い場合、脳の発達に欠かせない
葉酸が枯渇している可能性があるとCroen氏は指摘している。
米ニクラウス小児病院(マイアミ)の新生児生理学者David Mendez氏に
よると、妊娠間隔の影響についてはこれまで多くの研究が実施されており、
間隔の短さと統合失調症などの精神疾患の関連を示した研究もあるという。
妊娠間隔は子の健康に影響を及ぼし得る多数の因子の1つにすぎず、さらに
研究を重ねる必要はあるが、短い間隔での妊娠は避けるほうが親にとっても
都合がよいことが多いと同氏は述べている。
http://www.healthdayjapan.com/
(HealthDay News 2015年9月14日)
妊娠の間隔が、生まれる子の自閉症リスクに関連している可能性が新たな
研究で示唆された。
研究を実施した米カイザー・パーマネンテ研究部門(カリフォルニア州)の
Lisa Croen氏によると、前回の出産から2年未満または6年以上の間隔で
妊娠した子は、自閉症と診断されるリスクが約2~3倍になるという。
これまでの研究でも、妊娠の間隔が短すぎたり長すぎたりすることによる
リスクが明らかにされており、今回の研究も同じ方向を示すものだが、
因果関係を裏付けるものではないとCroen氏は述べている。
また、この知見は出産から次の妊娠まで2年以上空けることを推奨する
世界保健機関(WHO)の勧告にも一致するという。
この研究は「Pediatrics」オンライン版に9月14日掲載され、印刷版10月号
にも掲載予定。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、自閉症スペクトラム障害
(ASD)は米国では68人に1人の小児にみられ、女児よりも男児にやや多い。
遺伝的因子と環境的因子がともに関与していると考えられている。
今回の研究では、カイザー・パーマネンテ北カリフォルニア病院で2000年
から2009年に第2子として出生した約4万5,000例の医療記録をレビューし、
ASDに分類される障害の診断コードと妊娠の間隔(第1子の出産から第2子の
妊娠までの期間)について調べた。
対象者のうち878例では、上のきょうだいがASDと診断されていた。
まず、第1子がASDではない集団を対象に分析したところ、妊娠間隔が
36~47カ月の群に比べ、24カ月未満または72カ月以上の群では自閉症
リスクが1.5~3倍となっていた。
間隔が6カ月未満の場合に、最もリスクが高いようだった。
次に第1子がASDだった集団を対象に分析すると、やはり同じ傾向がみられ、
妊娠間隔が短い場合や長い場合にASDリスクが高かった。
考えられる理由の1つとして、妊娠間隔が短い場合、脳の発達に欠かせない
葉酸が枯渇している可能性があるとCroen氏は指摘している。
米ニクラウス小児病院(マイアミ)の新生児生理学者David Mendez氏に
よると、妊娠間隔の影響についてはこれまで多くの研究が実施されており、
間隔の短さと統合失調症などの精神疾患の関連を示した研究もあるという。
妊娠間隔は子の健康に影響を及ぼし得る多数の因子の1つにすぎず、さらに
研究を重ねる必要はあるが、短い間隔での妊娠は避けるほうが親にとっても
都合がよいことが多いと同氏は述べている。
http://www.healthdayjapan.com/
[子どもの虫歯の意外な原因とは?]
(MEDLEY 2015年10月27日)
<日本の研究チームが76,920人の子どもを分析>
喫煙と虫歯の関係はこれまで報告されていました。
今回の研究では、子どもが受動喫煙(他の人が吸ったタバコの煙を吸うこと)
していると、虫歯になる確率が高くなるかもしれないことを報告しました。
<妊婦の喫煙、乳幼児の受動喫煙と虫歯の関係を検証>
今回の研究は、神戸市で2004年から2010年に生まれた子ども76,920人を
対象に分析しました。
妊娠中の母親の喫煙と生後4ヶ月時点での受動喫煙について調査し、その後の
子どもの虫歯との関係を検証しました。
<4ヶ月時点での受動喫煙は子どもの虫歯発生の危険性を2倍以上に>
以下の結果が得られました。
3歳時点でのカリエスの危険性は14.0%(家族に喫煙者なし)、20.0%(家で
喫煙しているがタバコの煙を吸っている根拠がない)、27.6%(タバコの煙を
吸っている)であった。
傾向スコアで調整したハザード比は、2つの曝露グループで家族に喫煙者が
いない子どもと比べて、それぞれ1.46(95%信頼区間1.40-1.52)、2.14
(95%信頼区間1.99-2.29)であった。
受動喫煙が確かめられた子どもは、家族に喫煙者がいない子どもと比べて、
虫歯、歯の欠損、歯を埋める治療を行う危険性が2倍以上高いという結果で
した。
また、受動喫煙をしている根拠はないが家族が家で喫煙している子どもでは、
1.46倍でした。
しかし、妊娠中の喫煙と関連は認められませんでした。
虫歯は甘いものを食べるとなりやすい、ということは理解されていますが、
今回の研究結果のようにタバコとの関連はあまり知られていないかもしれま
せん。
子どもの歯の健康のためにもタバコに注目する意味があるのかもしれません。
https://medley.life/news/item/562a11e5f591e18468ac592e
(MEDLEY 2015年10月27日)
<日本の研究チームが76,920人の子どもを分析>
喫煙と虫歯の関係はこれまで報告されていました。
今回の研究では、子どもが受動喫煙(他の人が吸ったタバコの煙を吸うこと)
していると、虫歯になる確率が高くなるかもしれないことを報告しました。
<妊婦の喫煙、乳幼児の受動喫煙と虫歯の関係を検証>
今回の研究は、神戸市で2004年から2010年に生まれた子ども76,920人を
対象に分析しました。
妊娠中の母親の喫煙と生後4ヶ月時点での受動喫煙について調査し、その後の
子どもの虫歯との関係を検証しました。
<4ヶ月時点での受動喫煙は子どもの虫歯発生の危険性を2倍以上に>
以下の結果が得られました。
3歳時点でのカリエスの危険性は14.0%(家族に喫煙者なし)、20.0%(家で
喫煙しているがタバコの煙を吸っている根拠がない)、27.6%(タバコの煙を
吸っている)であった。
傾向スコアで調整したハザード比は、2つの曝露グループで家族に喫煙者が
いない子どもと比べて、それぞれ1.46(95%信頼区間1.40-1.52)、2.14
(95%信頼区間1.99-2.29)であった。
受動喫煙が確かめられた子どもは、家族に喫煙者がいない子どもと比べて、
虫歯、歯の欠損、歯を埋める治療を行う危険性が2倍以上高いという結果で
した。
また、受動喫煙をしている根拠はないが家族が家で喫煙している子どもでは、
1.46倍でした。
しかし、妊娠中の喫煙と関連は認められませんでした。
虫歯は甘いものを食べるとなりやすい、ということは理解されていますが、
今回の研究結果のようにタバコとの関連はあまり知られていないかもしれま
せん。
子どもの歯の健康のためにもタバコに注目する意味があるのかもしれません。
https://medley.life/news/item/562a11e5f591e18468ac592e
[歴史上の人物を診る:マラリアとみられる熱病で没した平清盛]
(メディカル朝日2011年8月号)
(日本大学医学部病態病理学系微生物学分野教授 早川智先生)
平清盛(1118~1181年)
日本でも西洋でも、従来の権力構造を打ち破り、新しい時代を作った人物は
しばしば独裁者として悪役にされる。
平安末期、武家として初めて太政大臣となり、江戸時代まで700年続く武
家政治を開いた平清盛もその一人であろう。
有名な『平家物語』の冒頭では、秦の趙高、漢の王莽、梁の周伊、唐の
安禄山とならぶ謀反人にされている。
実際には、外祖父として権力は握ったものの、天皇家自体に取って代わろうと
する意図はなかったようである。
<平家の棟梁>
平清盛は中級公家であった平忠盛の長男として、1118年に生まれた。
保元・平治の乱で源氏をおさえ、絶大な武力と経済力を背景に中央政界に
進出。
1167年に太政大臣となり、娘の徳子を高倉天皇の后とした。
さらに徳子の生んだ幼い安徳天皇を即位させ、一族を高位高官につけて
西国30余国を知行国とし、500の荘園と大輪田泊(神戸港)による貿易を
独占した。
しかし、晩年には彼と一門の強権政治に朝廷や公家が反感を持ち、各地で
源氏が挙兵するさなか、熱病で死去した。
『平家物語』巻第六では「入道相国、やまひつき給ひし日よりして、水を
だにのどへも入給はず。身の内のあつき事、火をたくが如し。(中略)
比叡山より千手井の水をくみくだし、石の舟にたゝへて、それにおりて
ひへたまへば、水おびたゝしくわきあがて、程なく湯にぞなりにける」と
ある。
高熱を癒すために水風呂に入れるとお湯になったというのである。
平家物語はフィクションであり、たぶんに脚色されているが、右大臣九条兼実
(1149~1207年)は『玉葉』で「治承5年2月27日 禅門(清盛)頭風を
病むと云々」「閏二月三日 禅門の所悩、殊に進み」「四日 夜に入り伝へ
聞く、禅門薨去す」とした。
藤原定家(1162~1241年)も『明月記』で「去る夜戌の時(午後8時)、
入道前太政大臣已に薨ずるの由、所々より其の告げあり。或は云ふ、臨終動熱
悶絶の由」と記した。
高熱の原因としては、肺炎(服部敏良)、脳出血により視床下部性発熱
(大坪雄三)などの説もあるが、最も受け入れやすいのはマラリア説
(橋本雅一、吉川英治)である。
<マラリア 日本でも>
マラリアは古代より知られる原虫感染症である。
熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアの主に
4種類があり、特に熱帯熱マラリアは重症になりやすい。
熱発作が主症状で、悪寒や震えを伴った1~2時間の発熱期の後、高熱が
4~5時間続く。
この時に頭痛や吐き気を伴い、重症例では意識混濁がある。
熱発作のパターンは初期には不規則であるが、熱帯熱マラリア以外は、
マラリア原虫の生活パターンに一致した規則的な熱型になってゆく。
マラリアは熱帯病であるが、かつて広く温帯に分布した。
日本でも8世紀初頭の大宝律令で「瘧」として、10世紀の『倭名類聚鈔』に
「衣夜美」「和良波夜美」の名で記載されている。
戦前には沖縄、九州のみならず、本州での発症もまれでなかったが、公衆
衛生の向上により1962年以降の国内報告はない。
マラリアに対してはなかなか有効なワクチンができない。
マラリアの抗原性が頻繁に変異し、複数の抗原性を持ったタイプが同時に
感染する。
加えて、原虫自体が宿主の免疫学的拒絶をエスケープするため、抑制性
サイトカインや制御性T細胞を誘導する。
一方で、高熱を伴う症例ではTNF-α、IFN-γなどTh1に加え、IL-6、
IL-10などのTh2サイトカインも上昇して、いわゆる「サイトカインの嵐」
が起きる。
<最大のライバルも>
享年64の生涯を後白河院や、摂関家、ライバル源氏との戦いに明け暮れた
武家の棟梁にとって、畳の上の死とはいえ、吾が身のうちの修羅道で迎えた
最期であった。
さらに、最大のライバルだった後白河法皇も数年後に同じ病で生命を落とす
ことになる。
http://www.asahi.com/health/rekishi/TKY201206190192.html
(メディカル朝日2011年8月号)
(日本大学医学部病態病理学系微生物学分野教授 早川智先生)
平清盛(1118~1181年)
日本でも西洋でも、従来の権力構造を打ち破り、新しい時代を作った人物は
しばしば独裁者として悪役にされる。
平安末期、武家として初めて太政大臣となり、江戸時代まで700年続く武
家政治を開いた平清盛もその一人であろう。
有名な『平家物語』の冒頭では、秦の趙高、漢の王莽、梁の周伊、唐の
安禄山とならぶ謀反人にされている。
実際には、外祖父として権力は握ったものの、天皇家自体に取って代わろうと
する意図はなかったようである。
<平家の棟梁>
平清盛は中級公家であった平忠盛の長男として、1118年に生まれた。
保元・平治の乱で源氏をおさえ、絶大な武力と経済力を背景に中央政界に
進出。
1167年に太政大臣となり、娘の徳子を高倉天皇の后とした。
さらに徳子の生んだ幼い安徳天皇を即位させ、一族を高位高官につけて
西国30余国を知行国とし、500の荘園と大輪田泊(神戸港)による貿易を
独占した。
しかし、晩年には彼と一門の強権政治に朝廷や公家が反感を持ち、各地で
源氏が挙兵するさなか、熱病で死去した。
『平家物語』巻第六では「入道相国、やまひつき給ひし日よりして、水を
だにのどへも入給はず。身の内のあつき事、火をたくが如し。(中略)
比叡山より千手井の水をくみくだし、石の舟にたゝへて、それにおりて
ひへたまへば、水おびたゝしくわきあがて、程なく湯にぞなりにける」と
ある。
高熱を癒すために水風呂に入れるとお湯になったというのである。
平家物語はフィクションであり、たぶんに脚色されているが、右大臣九条兼実
(1149~1207年)は『玉葉』で「治承5年2月27日 禅門(清盛)頭風を
病むと云々」「閏二月三日 禅門の所悩、殊に進み」「四日 夜に入り伝へ
聞く、禅門薨去す」とした。
藤原定家(1162~1241年)も『明月記』で「去る夜戌の時(午後8時)、
入道前太政大臣已に薨ずるの由、所々より其の告げあり。或は云ふ、臨終動熱
悶絶の由」と記した。
高熱の原因としては、肺炎(服部敏良)、脳出血により視床下部性発熱
(大坪雄三)などの説もあるが、最も受け入れやすいのはマラリア説
(橋本雅一、吉川英治)である。
<マラリア 日本でも>
マラリアは古代より知られる原虫感染症である。
熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアの主に
4種類があり、特に熱帯熱マラリアは重症になりやすい。
熱発作が主症状で、悪寒や震えを伴った1~2時間の発熱期の後、高熱が
4~5時間続く。
この時に頭痛や吐き気を伴い、重症例では意識混濁がある。
熱発作のパターンは初期には不規則であるが、熱帯熱マラリア以外は、
マラリア原虫の生活パターンに一致した規則的な熱型になってゆく。
マラリアは熱帯病であるが、かつて広く温帯に分布した。
日本でも8世紀初頭の大宝律令で「瘧」として、10世紀の『倭名類聚鈔』に
「衣夜美」「和良波夜美」の名で記載されている。
戦前には沖縄、九州のみならず、本州での発症もまれでなかったが、公衆
衛生の向上により1962年以降の国内報告はない。
マラリアに対してはなかなか有効なワクチンができない。
マラリアの抗原性が頻繁に変異し、複数の抗原性を持ったタイプが同時に
感染する。
加えて、原虫自体が宿主の免疫学的拒絶をエスケープするため、抑制性
サイトカインや制御性T細胞を誘導する。
一方で、高熱を伴う症例ではTNF-α、IFN-γなどTh1に加え、IL-6、
IL-10などのTh2サイトカインも上昇して、いわゆる「サイトカインの嵐」
が起きる。
<最大のライバルも>
享年64の生涯を後白河院や、摂関家、ライバル源氏との戦いに明け暮れた
武家の棟梁にとって、畳の上の死とはいえ、吾が身のうちの修羅道で迎えた
最期であった。
さらに、最大のライバルだった後白河法皇も数年後に同じ病で生命を落とす
ことになる。
http://www.asahi.com/health/rekishi/TKY201206190192.html