[妊娠の間隔が自閉症リスクに関連]
(HealthDay News 2015年9月14日)
妊娠の間隔が、生まれる子の自閉症リスクに関連している可能性が新たな
研究で示唆された。
研究を実施した米カイザー・パーマネンテ研究部門(カリフォルニア州)の
Lisa Croen氏によると、前回の出産から2年未満または6年以上の間隔で
妊娠した子は、自閉症と診断されるリスクが約2~3倍になるという。
これまでの研究でも、妊娠の間隔が短すぎたり長すぎたりすることによる
リスクが明らかにされており、今回の研究も同じ方向を示すものだが、
因果関係を裏付けるものではないとCroen氏は述べている。
また、この知見は出産から次の妊娠まで2年以上空けることを推奨する
世界保健機関(WHO)の勧告にも一致するという。
この研究は「Pediatrics」オンライン版に9月14日掲載され、印刷版10月号
にも掲載予定。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、自閉症スペクトラム障害
(ASD)は米国では68人に1人の小児にみられ、女児よりも男児にやや多い。
遺伝的因子と環境的因子がともに関与していると考えられている。
今回の研究では、カイザー・パーマネンテ北カリフォルニア病院で2000年
から2009年に第2子として出生した約4万5,000例の医療記録をレビューし、
ASDに分類される障害の診断コードと妊娠の間隔(第1子の出産から第2子の
妊娠までの期間)について調べた。
対象者のうち878例では、上のきょうだいがASDと診断されていた。
まず、第1子がASDではない集団を対象に分析したところ、妊娠間隔が
36~47カ月の群に比べ、24カ月未満または72カ月以上の群では自閉症
リスクが1.5~3倍となっていた。
間隔が6カ月未満の場合に、最もリスクが高いようだった。
次に第1子がASDだった集団を対象に分析すると、やはり同じ傾向がみられ、
妊娠間隔が短い場合や長い場合にASDリスクが高かった。
考えられる理由の1つとして、妊娠間隔が短い場合、脳の発達に欠かせない
葉酸が枯渇している可能性があるとCroen氏は指摘している。
米ニクラウス小児病院(マイアミ)の新生児生理学者David Mendez氏に
よると、妊娠間隔の影響についてはこれまで多くの研究が実施されており、
間隔の短さと統合失調症などの精神疾患の関連を示した研究もあるという。
妊娠間隔は子の健康に影響を及ぼし得る多数の因子の1つにすぎず、さらに
研究を重ねる必要はあるが、短い間隔での妊娠は避けるほうが親にとっても
都合がよいことが多いと同氏は述べている。
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