[テノール歌手 秋川雅史さん
扁桃の肥大(4)睡眠たっぷり 規則正しい生活]
(読売新聞 2014年12月4日)
2006年のNHK紅白歌合戦に初出場した。
全国的にはまだ無名だったが、朗々と「千の風になって」を歌い上げた。
一夜にして、スターになった。
「クラシックの良さを多くの人に知ってもらいたい。紅白は長年の夢でした」
翌月のCD売り上げがトップに。
その年の最大のヒット曲となり、年間売り上げは112万枚。
クラシック系歌手として初の1位、ミリオンセラーとなった。
東日本大震災の避難所を見舞った。
行方不明者が多く“千の風”を嫌がる人もいると思い、この曲は遠慮した。
だが、聴衆全員のアンコールで「千の風になって」を歌った。
会場が沸き、そして泣いていた。
「大災害の中で歌は無力と思ったが、社会貢献できることを実感しました」
今夏、オペラに初挑戦し、活動の幅を広げた。
健康管理は厳格だ。
睡眠は8時間。
食事の時間を決め、生活のリズムを崩さない。
40歳までは、25メートルプールを息継ぎしないで泳いだ。
今は近所を2キロ、10分で走る。
飲酒は大イベントの後だけ。
ただ、毎年参加する故郷の「西条祭り」では、だんじり(山車)の担ぎ手と
なり、大酒も解禁だ。
「歌声を2年間失った体験は、何もなく順調にくるよりも、人生の幸せが
わかるようにしてくれました」
(文・斉藤勝久、写真・工藤菜穂)
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