[テノール歌手 秋川雅史さん 扁桃の肥大(2)声に障害 留学切り上げ]
(読売新聞 2014年11月20日)
イタリア留学中は、オペラの先生に付き、語学学校にも通った。
「イタリア人と口げんかができるようには、なりました」
4年目の1996年2月の朝、喉の痛みで目がさめた。
かぜが原因の痛みとは違った。
口の中が腫れ、真っ白になっていた。
日本から持ってきた抗生物質の薬を飲んだりした。
しばらく休み、歌の練習を再開してみたが、一定の高い音域を歌うと、声に
ガリガリと雑音が入った。
その音域になると、歌声が激しく乱れる。
プロを目指すには致命的だった。
2か月ほど我慢したが、一向に治らないので、一時帰国。
喉の奥の扁桃の腫れがあり、切除手術をした。
これで良くなるだろうと思い、イタリアに戻ったが、声の障害は全く改善
されなかった。
もう1年留学したかったが、切り上げて正式に帰国した。
音声障害専門の耳鼻咽喉科を、いくつも回った。
「扁桃の腫れがきっかけで、声の障害が起きた」と説明した。
しかし、専門医らは「声と扁桃に因果関係はない」と否定。
逆に、「歌い方、声の出し方が悪いからだ」と言われた。
治療方法が見つからず、歌えない日を耐え忍ぶしかなかった。
宅配便の荷物の仕分けなどのアルバイトをして、食いつないだ。
「きちんとした手術をすれば、必ず治る。また歌える、と信じていました」
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