先日の採集品のお話しです。
山奥で1つ綺麗なのが得られて、
そのまわりを探したらもう1つありました。
落ちていたので状況からして崩落品になります。
どれくい昔にガマから出て落ちていたのでしょうか?
その時代を想像するとロマンを感じます。
2つは見た目そっくりな質感と色合いです。
同一晶洞産の兄弟で間違いないでしょう。
煙水晶というよりは、
これはもう黄色に近い色合いです。
煙水晶が退色して薄くなった色は、
もとの色よりも残念な場合が多いですが。
これはなかなか綺麗なものに見えます。
マイコレとしても飾れますし、
ここまで綺麗なのはあまり見かけないものです。
その辺に売っている「天然シトリン」よりも、
ずっと綺麗な透き通った黄色をしています。
もとの結晶が高品質というのもありますが、
色の抜け方がちょうど良かったというのもあります。
いちおう先に言っておきますが、
これらがシトリンかどうか?という話題ではありません。
(素敵で楽しいからシトリンと書いているだけです)
今日はこの煙水晶の色の抜け方(退色や変色)について、
ちょっと書こうかなと思います。
すでに当たり前のように、
「色が抜ける(退色)」と言っていますがー
実際煙水晶を野ざらしにしておくと、
個体にもよりますが数ヶ月~数年で色が薄くなっていきます。
じゃあどの煙水晶もみんな黄色くなるのか?
と言えばそうでもなくて、
その色がそのままで薄くなる場合もあります。
元々がかなり色の薄い煙水晶だと、
ほとんど透明に近くになることもあります。
変化の仕方は産地や個体によって全然違います。
退色のパターンはいろいろあるのです。
じゃあ煙水晶って、
「どんな条件の結晶なら黄色に退色(変色)するの?」
うーんこれ単純そうで難しい問題です。
色の話だけをするなら「茶色味の強い煙水晶」が、
紫外線で退色すれば黄色っぽくなるような気がします。
これも実はそうなのかもしれませんが、
本当に原因はそれだけでしょうか?
煙水晶は「カラーセンター」という発色メカニズムです。
これを1行で説明すると、
水晶内の結晶欠陥(分子欠陥)である鉄イオンやアルミイオンの電荷数の違いで色が煙や紫になります。
その性質を利用することで例えば、
煙水晶を加熱処理することでシトリンの色にできます。
また放射線を当てて煙色を濃くすることも可能です。
この「加熱処理」の処理工程が、
自然界の環境でも起きているのではないか?
そう考えると、
退色(変色)の原因の候補がまだ幾つか出てきます。
まず普通に「地表面に出る」ことで、
太陽光に長時間晒されて加熱されることが想像できます。
真夏の直射日光が最大の高温になると思いますが、
そうめちゃくちゃな温度にはなりませんね・・・
でも黒に近い水晶は他の石より温度は高くなるでしょうし。
数ヶ月~数年の温度変化は積算で考えると馬鹿になりません。
まあ数十度程度の熱でシトリン化するかはわかりません。
うーんじゃあ、
もっともっと高温の状態が存在したのではないか?
山を歩いたりズリを掘っていると、
山によっては「炭(すみ)」見つかりませんか?
あれは昔落雷などで、
山火事が起きた痕跡だとおもいますがー
当時山火事の炎に山の斜面が包まれたら、
地表面や山土が相当な高温に晒されたことでしょう。
そこに崩落の煙水晶が地表付近にあったならば、
最高で数百度の加熱を経験したかもしれません。
大規模な山火事はレアなイベントではありますが、
この場合過去に一回でも起きればよいわけです。
ちなみに今回の採集品については、
たぶん過去に山火事があったと思われるエリアでした。
そんな感じではありますが、
まあ実際はこれもわかりませんけどね。
どうなんでしょう??
でも加熱と紫外線の両方を、
退色の原因に考えるのはありだと思います。
きれーやなぁおまえたち。
君たちはなんでそんな色になったんや??
それを直接確実に知る術はありませんが・・・
同一晶洞産の結晶を使って、
実験とかしても面白いかもしれません。
し と り んっ ♪(。-ω-)zzz. . .