PEUGEOT 206 WRC 2003年WRC参戦記録②
【アクロポリス】6月4日~6月8日
1:グロンホルム 814 NVT 75 TC8A リタイア
2:バーンズ 810 NVT 75 4位・+2分6秒6
3:ロバンペラ 624 NZT 75 6位・+3分44秒7
1:グロンホルム 814 NVT 75 TC8A リタイア
2:バーンズ 810 NVT 75 4位・+2分6秒6
3:ロバンペラ 624 NZT 75 6位・+3分44秒7
グロンホルムとバーンズおよびロバンペラをワークスノミネートとした。暑く過酷なイベントに備え、大型のラジエターとエアコンディショナー(Leg1のみ*)を装着。(*エアコン用に追加したウォータースプレーがホモロゲーション外とクレームされたため) グロンホルムは4PSほどのパワーダウンと重量増加を嫌って唯一エアコンを装着せず。フロントのウンドスクリーンに陽射しを避けるためのコーティングが施された。
路面コンディションの悪さに悩まされたグロンホルムは、SS4でスピンして3位から6位に後退。すぐリカバリーして3位に復帰したものの、SS8後に燃料系のトラブル(メインとサブのふたつに分かれている燃料タンクの配管を間違って接続-サブタンクに残っていた14リットルのガソリンがエンジンに送られずサービスに向かうロードセクションでストップした)が発生してリタイアとなった。先頭ランナーという不利な出走順、さらにはギヤボックスのトラブル(3速を失う)で出遅れたバーンズはLeg2でも交換したはずのギヤボックスが不調(レギュレーション上、ギヤボックスの交換が叶わず)となったが、最終日にスピードの上がらないマキネンをかわして4位を得た。序盤で久しぶりにキレた走りを見せたロバンペラであったが、SS10で2~3速を失い1分40秒以上をロス。結果として6位完走を果たしたものの、大きな失望が残るラリーとなった。




【キプロス】6月18日~6月22日
1:グロンホルム 943 NVB 75 SS8 リタイア
2:バーンズ 950 NVB 75 TC10A リタイア
3:ロバンペラ 290 NNN 75 2位・+4分14秒0
1:グロンホルム 943 NVB 75 SS8 リタイア
2:バーンズ 950 NVB 75 TC10A リタイア
3:ロバンペラ 290 NNN 75 2位・+4分14秒0
グロンホルムとバーンズおよびロバンペラをワークスノミネートとした。マシンの仕様は前戦アクロポリスに準じたものであるが、クラッチをザックス製からAP製に変更している。前戦で装着したエアコン用の追加ウォータースプレーをFIAが許可しなかったため、エアコン機能が低下。
Leg1の最終SSでトップタイムをマークし首位を奪ったグロンホルムであったが、Leg2開始早々のSS5でプロペラシャフトを破損。次ぐSS6において全輪の駆動を失ったことから、ラリー続行を諦めた。先頭ランナーのハンデに加えて駆動系(ギヤ&デフ)のトラブルやオーバーヒートに悩まされたバーンズは、SS10後のロードセクションにおいてエンジンが音を上げ、リタイアへと追い込まれた。SS4でギヤがたびたび3速にスタックするトラブルに見舞われて、首位をグロンホルムに譲ったロバンペラ。SS7~8でオーバーヒートから時折セーフティモードにシフトするエンジンに悩まされながらもLeg2以降の首位ソルベルグと競い合ったが、その差を詰めきれず。2位完走に切り換えたSS16ではドライブシャフトが破損し、最後は2輪駆動となったが、2秒8差でそのポジションをローブから守りきった。








【ドイツ】7月23日~7月27日
1:グロンホルム 283 NNN 75 2位・+3秒6
2:バーンズ 952 NVB 75 3位・+19秒7
3:パニッツィ 286 NNN 75 10位・+3分39秒6
1:グロンホルム 283 NNN 75 2位・+3秒6
2:バーンズ 952 NVB 75 3位・+19秒7
3:パニッツィ 286 NNN 75 10位・+3分39秒6
グロンホルムとバーンズおよびパニッツィをワークスノミネートとした。マシンの仕様は前戦キプロスに準じたもの。グロンホルムは原因不明の肘痛によりレッキ開始直前まで入院。パニッツィは、ラリー前のテストでコースアウトして肋骨を骨折。(大事には至らず、イベントには出場)
Leg1を首位と9秒4差の2位としたグロンホルムは、安定しない空模様のLeg2でタイヤ選択を誤り(SS12~13で「ローブより天気が敵」と心理戦を仕掛けたグロンホルムは、大きくカットしたタイヤを選択するも、予想した雨が降らずタイムをロス)、車高を上げるという秘策を用いた首位のローブを捉えきれず。その後も、SS17でジャンクションをオーバーシュート(縁石をヒットして右フロントホイールにダメージ)したり、SS18でハンドリングが狂って失速したりするなど、ローブに3秒6届かず(SS19-突然の降雨による混乱やSS22-首位ローブの誤ったペース配分があって両者のタイム差が肉薄)惜敗した。SS1~2の連続ベストでラリーの主導権を握ったバーンズであったが、続くSS3~4で左フロントタイヤからのバイブレーションに悩み2位に後退。しかしSS5&7でベストを刻み、緊迫したLeg1の首位争いを制した。しかしLeg2、タイヤの激しい摩耗(SS9)、コースオフ&ミスコース&エンジンストール(SS11)、タイヤ選択ミス(SS12~13-予想に反し完全ドライとなったステージでカットしたドライタイヤを選択)などで集中力が切れたバーンズは5位まで陥落。それでも最終日、土壇場でマクレーをかわし3位まで順位を戻した。パニッツィは遅い出走順のハンデ(前走車がインカットすることで、路面にグラベルが乗り汚れてしまう)から、荒れた路面にブレーキング時の挙動を乱されてタイムが伸びず、首位から18秒差の9位でラリーをスタート。その後もサスペンションのセッティング、タイヤ選択、ブレーキのフィーリングなどが裏目に出て、失望の10位。







【フィンランド】8月6日~8月10日
1:グロンホルム BQ-480 SS15 リタイア
2:バーンズ 334 NQZ 75 3位・+1分00秒1
3:ロバンペラ BQ-481 SS12 リタイア
1:グロンホルム BQ-480 SS15 リタイア
2:バーンズ 334 NQZ 75 3位・+1分00秒1
3:ロバンペラ BQ-481 SS12 リタイア
グロンホルムとバーンズおよびロバンペラをワークスノミネートとした。307WRCの登場が確定的なことから、206WRCに新しいトライはされず。ジャンピングスポットに備えた対策として、サスペンションを硬めにセッティング。(ダンパーも変更)
SS12で首位に立ったグロンホルムは、一騎打ちとなったマルティンを突き放そうとしたSS14において右フロントホイールが脱落(ホイールベアリングの破損が原因)してしまい、ステージフィニッシュ後にリタイア。グロンホルムの脱落やマルティンのマシントラブル(電気系の不調)など追い風が吹いたバーンズであったが、グロンホルムと同じホイールベアリングのトラブルがSS17で発生して確実に2位を獲る決断をした。しかし、最後の最後(SS23)でソルベルグに逆転を許し、その座を明け渡した。ロバンペラはSS2でサスペンションの破損(岩に右フロントをヒット)からスピンし、木に激突。これで20分以上を失うと、最後はハイスピードでコースオフし、リタイアを喫した。


【オーストラリア】9月3日~9月7日
1:グロンホルム 624 NZT 75 TC9B リタイア
2:バーンズ 810 NVT 75 3位・+1分53秒0
3:ロバンペラ 814 NVT 75 7位・+4分3秒9
1:グロンホルム 624 NZT 75 TC9B リタイア
2:バーンズ 810 NVT 75 3位・+1分53秒0
3:ロバンペラ 814 NVT 75 7位・+4分3秒9
グロンホルムとバーンズおよびロバンペラをワークスノミネートとした。(バーンズがプジョーを離れて、スバル入り-トミ・マキネンは引退-することが発表された。) 前戦でホイールベアリングが壊れたことから、ベアリング関連のパーツアッセンブルを新しくした。(すべて分解され、厳密な締めつけトルク管理がなされて組み直された)
首位に立つグロンホルムはSS8、イン側の溝に左フロントタイヤを引っ掛けてリアまでも脱輪させてしまった。コース復帰のため17分もの時間を失い(路面が柔らかかったことが災いした)、24位まで後退してしまってはラリーを続ける意味を持てなくなり、SS9を終えた後のサービスにおいてリタイアを決めた。ソルベルグとローブの異次元バトルについていけないバーンズは、タイトル獲得のため3位を守るラリーとした。ロバンペラは序盤のブレーキトラブルでリズムが崩れ、上位争いに顔を出すことなくラリーを終えた。



