PEUGEOT 206 WRC 2002年WRC参戦記録②

 

【アルゼンチン】5月16日~5月19日
1:バーンズ 950 NVB 75 ポストイベント
2:グロンホルム 943 NVB 75 ポストイベント
3:ロバンペラ 945 NQZ 75 SS10 リタイア
23:パニッツィ 327 NQZ 75 SS17リタイア

 

バーンズとグロンホルムに加え、ロバンペラをサードノミネートとした。パニッツィにもワークスカー(テストカーを組み直したマシン)が与えられている。グラベルラリー(ルーズな路面)のため、パッシブタイプのアンチロールバーを使用。

 

グロンホルムは初日にして、1分40秒3もの大差(Leg1・SS8-比較的霧の薄い時に走れたためにギヤボックストラブルと深い霧に見舞われた総合2位のマキネンと1分20秒余りも差がついた)で首位に立つ。しかしSS10で発生した油圧ポンプのトラブル(スロットルが正常に働かなくなったグロンホルムは、電気系トラブルと判断してマニュアルにシフト。デフがロックしない状態で続くSS11も走行)により大きくタイムロス。0.5秒差ながらもマキネンに逆転を許してLeg2を終えることとなった。そして迎えたLeg3、マキネンとのスクラッチファイトには打ち勝つものの、グロンホルムは失意の淵に沈んだ。Leg3開始前、エンジンの油圧が低下して始動しないマシンをドライバー達2人が押し掛けようとした際にチームスタッフが傍らにいたことが規定地外でのサービス行為と判断され、失格となったのである。バーンズは開始早々、ウォータースプラッシュに飛び込んだ影響からエンジンが吹かなくなる現象が起きるもSS3以降は僚友の影を追うように好タイムを並べ、Leg2終了時点では総合3位につけた。その後、マキネンがSS21で5回転もする壮絶なクラッシュを喫し、グロンホルムが失格になったことから首位に繰り上がり優勝ポイントをプジョーにもたらすことになるかと思われたが、フライホイールの重量違反(ラリー後の車検で20g軽いことが判明-FIAに提出する20個の内、最も軽いものを対象とするルール)から来る失格裁定が下り、ポディウムの頂点で掲げた祝杯が虚しく霧散してしまった。霧の中で行われたSS8~9でのタイムロスが大きく影響したロバンペラは、Leg1を7位と低迷。そしてLeg2最初のSS10ではエンジントラブル(2気筒が死んだ)が発生、ロードサイドで修復を試みるも打つ手なくラリーの続行を諦めた。パニッツィは燃料系のトラブルがあって大きく後退。更にオーバーヒートが加わり、2日目終盤にリタイアした。(Leg1・SS8後にガス欠が発生。その際、トランスポート区間でスタッフがマシンに接近し警告を受けた。この時は、区間終了の表示が不明確なことから厳格な規則適用はされなかったが、 結果的にグロンホルム失格への引き金となった。)

 

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【アクロポリス】6月13日~6月16日
1:バーンズ 814 NVT 75 SS13 リタイア
2:グロンホルム 810 NVT 75 2位・+24秒5
3:ロバンペラ 624 NZT 75 4位・+1分57秒6

 

バーンズとグロンホルムに加え、ロバンペラをサードノミネートとした。マシンの外観に多く変更点が見て取れる206WRCの2002年バージョンを投入。ギャレット製ターボチャージャーのウエストゲートを変更し、トルク特性とレスポンスの向上を図った。重量増大を最小限に抑えたサスペンションのモディファイを実施。(年間ホモロゲーション制約内)
 
ニュースペックの206WRCを駆り、Leg1の先頭ランナーを担ったグロンホルムはSS4でスピン。これで大きくタイムロス(エンジンストールに加えてマシンの転回に手間取って総合10番手まで後退)するも、Leg2終了時点で3位と、後塵を拝することになったフォードを本来のパフォーマンスで追いかけた。その後もLeg3で3連続ベストタイムを刻み、マクレーにプレッシャーを掛け続けての2位でフィニッシュした。センターデフの不調から不安定な挙動を示すマシンに手を焼いて出遅れたバーンズは、首位マクレーを追ってLeg3を迎えるも、SS13で左リヤサスペンションアームのボールジョイントが破損するトラブルが発生。このステージはどうにか走りきったものの、ここでリタイアとなり総合2位を捨てることになった。デファレンシャルのセンサーが故障したまま走りLeg1を4位としたロバンペラは、そのドライビングスタイル(アグレッシブでドリフト量が多い)が影響したのか、Leg2でタイヤトラブル(パンクや激しい摩耗)に襲われた。それでもLeg3で猛追してきたソルベルグを1秒差で辛くもかわし、熾烈な4位争いを制した。 

 

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【サファリ】7月12日~7月14日
1:バーンズ 334 NQZ 75 TC8A リタイア
2:グロンホルム 330 NQZ 75 CS1 リタイア
3:ロバンペラ 290 NNN 75 2位・+2分50秒9
23:パニッツィ 948 NVB 75 6位・+34分41秒0

 

バーンズとグロンホルムに加え、ロバンペラをサードノミネートとした。パニッツィは、プジョー・スポールからのエントリーとされた。ボディシェルやダンパー類は強化型を使用。長距離におよぶステージ設定のため、ガソリンタンクの容量を拡大。ブル・バーはバンパー内に内蔵。シュノーケルとウイングランプ装備はサファリ特有の仕様。バーンズのみ、クーリングダクトを追加装備。

 

グロンホルムはラリー開始わずか17kmでエンジントラブル。ECUとプラグを交換するが効果無くリタイア。高速セクションでふらつく挙動に不安を抱いてスロースタート(CS1を12位)としたバーンズは、ダンパーが抜けたCS3にてショックからのオイル漏れによる出火(停車して消火)がありタイムロスが増大。その後はペースアップを図りLeg1を8位、Leg2ではベストタイムを刻み順位を5位まで上げてくるも、CS8でクロスメンバーのボルトを破損(左フロントタイヤが効かない状態で50kmのロードセクションを走った)したことから、サービス目前にあった段差の有るダスト溜まりにスタックしてしまう。チームスタッフがほぞを噛んで見守る中、深い砂や3輪状態のマシンと格闘するバーンズであったが、こうなってはリタイア以外に道は無かった。ロバンペラはライバル達のリタイアにも助けられ、Leg1を4位としてナイロビに帰ってきた。その後、Leg2で首位マクレーに2分26秒差まで迫るも、Leg3最初のセクションにおいてダストに阻まれ失速。これではプジョー陣営の期待を一身に担う(僚友2人はリタイア)状況下、2位堅持に専念せざるを得なかった。パニッツィはCS1でリヤのアンチロールバーを曲げてしまい、自ら修理を余儀なくされた。これで大幅なタイムロスを喫するも、最終的に2回(CS8・CS11)のベストタイムを記録し、6位で走りきった。
 
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【フィンランド】8月8日~8月11日
1:バーンズ 938 NVB 75 2位・+1分27秒3
2:グロンホルム Z-6935 1位・3時間17分52秒5
3:ロバンペラ Z-6936 TC14 リタイア

 

バーンズとグロンホルムに加え、ロバンペラをサードノミネートとした。(ロバンペラのコ・ドライバーガボイト・シランダーに変更-リスト・ピエティライネンが急性脳溢血手術のため-) ボジアンレーシングから出場予定のパニッツィが、右肩の骨折および靭帯の損傷で欠場。アクティブアンチロールバーはグロンホルムのみがSS12まで使用。(グラベルでの使用は初めてとなる)

 

ダスティな路面を出走順トップ走るハンデに耐えて上位との差を詰めたいグロンホルムであったが、SS8でコース上にあった岩をヒット。左フロントを傷めたことからタイムを落として初日を3位で終えた。しかし僚友の失速によりLeg2・SS13で首位に立つと、後は盤石の走りで地元戦3連覇へと突き進んだ。フライングフィンのチームメイトふたりを抑えきりたいLeg1首位のバーンズは、SS12・オウニンポウヤでジャンプの着地に失敗(ノーズを激しく地面に打ち付け、インタークーラーパイプを破損)、ダーボ圧を失った。これで1分近くをロスしたことにより、ノンスカンジナビアンによるフィンランド勝利は崩れ去った。僚友に対して遜色のないタイムを刻んでSS12終了時点で待望のトップに立ったロバンペラであったが、次ぐSS13のスタート直後に、小岩をヒットしたことで右フロントタイヤがパンク。このラリー最長ステージを3輪で走行(ムースが働かずリムだけの状態となった)せざるを得なくなったことがサスペンションのダメージに大きな影響を与えて、戦線を離脱するに至った。 
 
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【ドイツ】8月22日~8月25日
1:バーンズ 943 NVB 75 2位・+14秒3
2:グロンホルム 950 NVB 75 3位・+1分19秒1
3:ロバンペラ 945 NVB 75 SS19 リタイア

 

バーンズとグロンホルムに加え、ロバンペラをサードノミネートとした。(ロバンペラは、パニッツィのために準備されたマシンで出走-パニッツィはケガで欠場-) アクティブアンチロールバーは3台すべてに搭載された。ブレーキディスクは、ブレンボが持ち込んだ新しいタイプのもの(冷却性能が向上)が装着された。

 

SS3で油圧系統がダウン(サービスで修理に手間取り30秒のペナルティ)して出端をくじかれたグロンホルムは、シトロエンを駆るセバスチャン・ローブに、SS9~11の3連続ベストで詰め寄るも3位。ブレーキ不調からLeg1を総合2位としたバーンズ。モーゼル河畔の嗌路や雨中のバウムホールダーといった表情の違うターマックコースにおいて、最後までローブにプレッシャーを掛け続けたが及ばず。 油圧系の不調、パワステのトラブル、パンクなどで失速したロバンペラは、SS19でフェンスにリヤをヒット。これで左リヤホイールを破損し、サスペンションにもダメージを負ってリタイアとなった。

 

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