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ある昼下がり

平日の昼下がり





「今いけますか?」




美容院に飛び込みで
入っていく事が多い僕

(いろんな人に聞いて ある程度のリサーチはしておりますが)



髪がボサボサの
三十路の男がいきなり入っていくと
必ず 現場は騒然とする。





「宇宙人が来た」








笑顔がぎこちない受付




鏡越しでこちらを見つめるスタイリスト






「おやまあ、珍しい客が訪れた」と
老眼鏡をはずし 
手元の編み物を置きかける 
バックヤードにいるオーナー










非常事態宣言発令



巣を破壊されかけているアリたち






マニュアルがあるのかないのか




オーナーの目配せを

スタイリストがチェックし





それを鏡越しで受付にサインをおくる









この間  6秒






ひきつった笑顔のアシスタントは




「カットだけですか」と問いかけ



「そうです」という声を聞いたオーナーは


「なら よろしい」と再び耳たぶを触るサイン







よそよそしく通される宇宙人











新規客なのに



居酒屋だったら

「御新規さーん、2名」なのに





しーーーーん





鏡越しで見つめる客たち




「みちゃだめよ…」と
鏡の視界を遮るカット中のスタイリスト







アシスタントが
どうでもいい話をしだしす







「誰かの紹介ですか??」から始まり







本当にどうでもいい話








「へー、ふーん、そうなんだー」





向こうは僕の話を聞き出すつもりなのだろうが
多くの場合 いつしか自分の話にすり替わっていく










「へー、ふーん、そうなんだ、で どうなったの??」




質問しなくちゃならない間合いに引き込まれ




シャンプーの間もその話を聞かされ



「温度はどうですか?」

「かゆいところはないですか」




短いピットインの後に 
また その会話が続く。






と思ったら会話が強制終了され
梯子を外された気分










「いっちょ上がり」







目が悪い僕は回転寿司のように


スタイリストのほうへ導かれ





会話が成立したことに
「でかしたぞ」アシスタント




「信長さま
 草履あっためときました」












貧乏くじを引いた感のある
スタイリストが現れる





a, おまえ行けよー
b,いやだって お前いけよー
c,俺 次入ってるし無理 無理










「今日はどのように??」


明らかに腰が引けているaさんが
尋ねてくる





「スタイリストさんの

おまかせでお願いします」






「はい?」







「おまかせで」







というやりとりが今回のテーマの寸劇













なんでもそうだけど

僕は基本的に 全部任せる


その人のセンスを見てみたいから


やりたいようにやってもらいたいから









そこで美が合致すれば
言うことない





美容室ジプシーから卒業できる。




これはうれしい




普段 帽子かぶってるし
失敗しても 
別に1カ月すりゃ問題はない





「誰誰さんみたいに」とか

雑誌の切り抜き持ってきて 
「この通りにして」

「前とおんなじで」




そんなんばっかりで

俺のクリエーティビティは

どこで活かせばいいんだー






多くが要望に閉じ込められ
創造性を試す機会がないのよん

と知り合いの美容師が言っていたので








「すきにしていいよ」







なのに



慌てふためく。





喜ばない 


まったく喜ばない



むしろ困惑している

「だからいやだって言ったのに」









卑猥な感で

「めちゃくちゃにして」


といってるわけではない。






「すきにしていいよ」


なのに。











するとどうであろうか、
鏡の前に置いている雑誌に
助けを求めだす





「一緒に見てみて~、ほらここ。ここに行こうよ
 絶対楽しいよ おススメって書いてっしー 」

「ほら、こんなんが最近はやってて」


マニュアル本に頼る男のようだ







「あんれま、PENとかブルータスとか読んでる
イケてるあなたが、そんなあなたが
 関西一週間に頼っちゃうの?」




と独創的なデートに期待しているお嬢さんが
悲しくなるくらい 悲しくなる








レ二クラみたいな

ギャロみたいな


ガガまでは行かないにしても

ケイトモスみたいな個性的な方々




きっと感性が豊かなのだろう。
アンテナが高いんだろう




デップみたいのんだけは
食傷気味で見るだけで
ゲップが出そうになるが

デップなのに
ジャニーズになってて
アラレちゃんだね

んちゃ



なのに



「あなたを表現して」

というと凍りつく。



時々 
「いやー初回はね、ほらイメージがあるじゃないですか??
 お客様が、ほら お客様の好みっていうか。」


もちろん デザイナーは打ち合わせもして
企画 ラフ デザイン と落とし込むし一発本番ではない。




でも髪形は別に費用対効果なんぞない

あったとしたら大行列ができるだろう





行くだけで もててしまう美容院

    
そんなのない。

あったら行きたい。





要はセンス


その人の髪形を通じて
美容師のセンスが発揮される


そのセンスを選んでいるから
その切られ手はオシャレといわれるんだと思う


その結果
「どこで切ってんの??」となるわけで






つづき





マニュアル本をしまっていただき

「いいから切っちゃいなよー」と促す宇宙人。





そこからはまるで
研修医のオペのよう。





さっきまでの
軽いノリはどこかへ飛んでいき



会話なんて生じない















コホー、コホー、コホー









僕の呼吸器の音だけが
二人の空間に響く







僕もつまらない会話を
気遣いしなくていいから助かる








固唾をのんで


遠くからみるアシスタント




「がんばれ」と呟くオーナー








オペ終了














「どうですかね」

不安そうに耳元でささやく
スタイリスト




メガネを渡され

ぼんやりとした視界が

今 はっきりと見えだした


















どこでもみる髪形が
鏡に映っている





前の美容院と一緒だ






独創的な普通だ。












「いーんじゃないんですか」答える僕









「この髪形が似合ってると思いますよ」と


さっきまでの不安を食べきったのか
ご満悦なスタイリスト









「やったーやったーやったーわん」

喜ぶアシスタント




「あいつ、やるじゃん」

ロッカーの影から腕を組みながら
感心するスタイリストb、c





めくっていたブラインドから指を外し
「やれやれ」と呟く地球軍オーナー






店には平和が戻り
小鳥たちがさえずり
花が咲き

サウンド オブ ミュージック





宇宙人は消え去り
二度と現れることがなかった




めでたし めでだし










とならなかった店が一店舗だけある。





このスタイリストさんのセンスは
うなってしまう


神戸は三宮にある astria



店が忙しすぎて
お伺いできませんが



安達さん
元気ですか??

読んでいたら 呼んでください


忙し過ぎて
僕は死にそうです






神戸JCの山澤先輩
CHESTさん
近々 宇宙人のふりして行かせて頂きます







つづく









つづく

オービス 出頭編

ハガキが届き




ありあまる心当たりのため



免停覚悟で 交通機動隊へ出頭




小さい ブースに呼ばれ


早速 

写真との照合











あれ?

うん?

えー?

いやぁ




4人の機動隊員さんたちが

入れ代わり立ち代わり面会




4人に凝視されたまま





髪の毛あげて

髪耳にかけて


上向いて

ピアス外して・・.




とモデル顔負けのポージング要求







私のアリバイ証言だけでは


まだ

確証の持てない隊員さんは





疑っているわけではないんですけどね




妹にもアリバイ確認のでんわ









「あのぉ、

間違いなく わたしですから」





「いやぁ 万一身代わりとかあったら、警察もタイヘンなんよ」





「あぁ、なるほど。ですよねー。」











どっかの映画じゃないが


自分で自分の存在を証明するってむずかしい。





他の人あってのじぶん



他の誰でもないからじぶん






ってことなのかな。











やっと、罪を償う権利を与えられて




次は 交通裁判だとさ。













つづく

女性 プロ論


昨日は神戸青年会議所のイベント

「青春の居酒屋」に朝まで参加





仮入会中の人間が
3つグループに分けられ




そのグループごとに
知恵と汗を絞り 
本会員の前で「出し物」をする






チームワークを
求められるJC入会への第一関門








その準備に明け暮れた
この三週間



メインは「天使にラブソングを2」

あの名曲 HAPPY DAYを皆で合唱







毎晩 毎晩
深夜まで練習


まるで
タイ焼き君


練習拠点
ポーアイにある交友印刷さんから
逃げ出し神戸港に飛び込みたくなった









立ち仕事が終わった後の
深夜までの立ち練習は
非常につらいが






「それがどうした」


と鬼軍曹は
1000本ノックを繰り返す








「もう駄目っす」

鬼軍曹は 
そんな言葉さえも
吐かせぬまま
ノックを繰り返す


バイオリン奏者の
鬼軍曹は 
本当に妥協を知らない


やはりプロは違う。
生半可ではない。


もう狂気の沙汰

三枚目のお札を投げたが
鬼軍曹は追いかけてくる


和尚さんは見知らぬふり






「もう一回」


この言葉は
「後一回で終わりだよ」
とも とれるが

それが100回くらい続く

しばらく
夢にまで出てきそうだ










こんな行間がないくらい

ぶっとおし










昔どこかで聞いたことのある
たとえ話


地球を制圧できたら満足するのが男

地球を制圧したら 違う星をほしがるのが女






本質をとらえている






より良いユートピアを追い求める女の「性」

そこに「プロ」という肩書がつくと
もう止まらない。



一人で
翼君と岬君が放つ
「ツインシュート」を打つようなもの。










小次郎もびっくり


もう誰にも止められない


幼き頃よく見た夢






乗ってる車の
ブレーキが
とまらなかった

免許をもってないのに
運転している

起きると汗びっしょり


そんな感じ





そんな
鬼軍曹のお陰で
大好評であった僕らの演目



ありがとう




優勝だけじゃなく
「プロ根性」を
見せて頂いたことにも





ありがとう



ラグビー部夏合宿の

ランパス100本よりも
スクラム100本よりも

今の僕のためになっている














つづく