NHK-Gスペシャル

「シリーズ人体~神秘の巨大ネットワーク」

「第6集 "生命誕生"の神秘 ! 胎児が母へ懸命の発信 "身を削る"母の献身」 


 
初放送 3/18(日) 21:00~21:49 
再放送 3/20(火) 24:10~24:59 [3/21(水) 0:10~0:59]

 

  
□ リブログ

 

 

□ NHK-G「シリーズ人体~神秘の巨大ネットワーク」 

これまでのブログ
「プロローグ」(2017-09-30初放送)
「第1集"腎臓"が寿命を決める」(2017-10-01初放送)
「第2集"脂肪と筋肉”が命を守る」(2017-11-05初放送)
「第3集"骨"が出す!最高の若返り物質」(2018-01-07初放送)
「第4集 万病撃退!”腸”が免疫の鍵だった」(2018-01-14初放送)
「第5集“脳” すごいぞ!ひらめきと記憶の正体」(2018-02-04初放送)
「第6集 "生命誕生"の神秘!」(2018-03-18初放送)
 

 

*

 

 

■ 司会(MC): 

タモリ・・・1989年の「驚異の小宇宙 人体」以来、28年ぶりに「シリーズ人体」の司会を務める。
山中伸弥・・・京都大学iPS細胞研究所所長・教授。2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞。
久保田祐佳アナ。


■ ゲスト出演:

木村佳乃(女優)
パトリック・ハーラン(マルチタレント)


■ スタッフ

音楽: 川井憲次

語り: 池松壮亮、久保田祐佳

声の出演: 81プロデュース

制作: NHKエデュケーショナル



 

■ 概要


体中の臓器がお互いに情報を交換することで私たちの身体は成り立っている。
そんな新しい「人体観」を、最先端の電子顕微鏡映像やCGを駆使しながら伝えるシリーズ「人体」。

第6集のテーマは“生命誕生”だ。

母親の胎内で赤ちゃんはどうやって成長して行くのか?

実は、たった一つの受精卵が赤ちゃんに育つプロセスこそ、細胞が発する“メッセージ物質”が大活躍する舞台であることが最先端の研究で分かって来た。
最初に生まれる臓器は心臓。
その後、細胞同士が次々とメッセージ物質を交わしながら、独りでに体が作られて行く神秘的な様子が浮かび上がって来たのだ。
さらに、胎内の赤ちゃんがメッセージ物質を使って、母親とまるで会話をするように情報を遣(や)り取りしていることも明らかになった。

…そんな、妊娠した当事者ですら想像も及ばない神秘的な出来事が、胎内で起こっている。
「臓器が情報交換?」と一見すれば混乱しそうなプロセスを、iPS細胞の権威である山中伸弥教授が、番組内で分かり易く説明してくれる。


また、番組内では司会を務めるタモリさんが、子宮の中を再現したセットに入り子宮の中を体験するというシーンもある。

 



今、こうした胎内のメカニズムに学び、人工の臓器を作る研究も加速している。
赤ちゃんの誕生”という奇跡を、最先端技術で実際に目に見ることができる貴重な番組。
出産を経験している方、今まさにお腹の中に赤ちゃんを宿している方、またそのご家族のみなさん…。ぜひ、チェックしてみてください。

これまで殆ど知られていなかった生命誕生の壮大なドラマに迫る。





 
■ 番組詳細

 
□ 今日のテーマは“生命誕生”。

 

 



iPS細胞や受精卵に秘められた巧妙な仕組みなどについて紹介する。

木村佳乃さん、パックンさん、山中伸弥教授の夫々の赤ちゃんの時の写真を公開。


□ 小さな“受精卵“が ”あなた”になるまでの物語

1000倍に拡大した卵子・精子の模型を使う。

 


山中教授「受精卵がりんごの大きさだとしたら、赤ちゃんは身長500mになる」と説明。

人間の卵子は、直径約0.1mm。卵子を林檎(リンゴ)サイズに拡大すると、精子は米粒くらい。
卵子と精子が合体し受精卵ができる。受精卵をリンゴの大きさとしたら、赤ちゃんは身長500m。

さらに山中教授「次々と臓器ができる仕組みに大切なもの、細胞と細胞が声を掛け合うメッセージ物質」を紹介。

受精卵の中には身体を作る精巧なプログラムが入っており、ここでも、細胞と細胞が声を掛け合う「メッセージ物質」が活躍している。

 

 

*



2016年12月、埼玉県に住む松永あつし・めぐみご夫妻を取材。
妻・めぐみさんは子宮筋腫の手術を受けたこともあり子どもに恵まれないことに悩んでいた。
卵子の数が極端に少なく、めぐみさんは体外受精を決断した。

シャーレ上での受精にチャレンジする世界初の映像を公開・・・ミオ・ファティリティ・クリニック提供。
5日間かけて細胞が100個ほどに増え子宮に着床する時期が来る。

最大の難関は受精卵が子宮の壁に根付くか? 
ここがうまく行かないと妊娠に至らない。
「hCG」と言われる物質が体内に働きかけ、母親の体は生理を起こさなくなり子宮の壁を厚くする。
ロックフェラー大学のアリ・ブリバンロー教授「受精卵がメッセージを発することではじめて、母親の体は妊娠の準備をすることができる」と説明。

めぐみさんの子宮内には赤ちゃんが根付いていた!!

山中教授「映像で着床直後の受精卵がhCGを出すのは感動的、私たち誰もが受精卵のときにhCGを出した」と説明。


□ 生命誕生の謎が解けて来た! 人体を作る驚異の仕組み

着床した受精卵は体内でさまざまな細胞に変化。
受精卵から枝分かれし、色んな臓器が作られる。
山中教授が発見した「iPS細胞」「ES細胞」は受精卵に非常に近い性質を持っており実験室で培養もできる。
スタジオにドミノが用意されタモリがドミノ倒しに挑戦。
山中教授「生命誕生はまさにドミノ式全自動プログラム」と説明。
 

□ 生命誕生!精巧な人体を作る “ドミノ式全自動プログラム”

カロリンスカ研究所のケニス・チェン教授は最初の臓器が生まれる秘密に挑んでいる。
分裂を始めたばかりの人のES細胞を使い、メッセージ物質「WNT(ウィント)」を与えることにより、1週間後に細胞が拍動し始めた。最初に生まれるのは心臓。

ES細胞は心臓の細胞に変化したのである。
ケニス教授は「受精卵の中でもメッセージ物質が細胞を導き、臓器を作って行く分かって来た」と話す。


横浜市立大学・先端医療科学研究センターの武部貴則教授は人のiPS細胞から作った心臓の細胞を観察。拍動する心臓の横に肝臓らしき細胞が出現した。

調べてみると、心臓の細胞が隣の細胞を刺激し肝臓を作り出したことが分かった。
受精卵の細胞がある程度まで増えると、一部の細胞が「心臓になって」というメッセージを送る。それを受け取った細胞は、心臓に変化を始める。心臓は「肝臓になって」というメッセージを出し、それが近くにいる細胞に届くと肝臓が生まれる。その後メッセージ物質を互いに出し合い、臓器が次々と作られて行く。


武部教授「人体の中では、単一の臓器だけ作ることは全く起きない。いろいろな臓器、近くにあるもの遠くにあるもの、みんな会話をしていると思う」と説明。

 

 

*

 


松永めぐみさんの体内では受精5週目で心臓が動き出していた。

山中教授「すべての細胞がメッセージを出します」と説明。
枝分かれのそれぞれにメッセージ物質が必要で何種類もが複雑に絡み合って進んで行く。

メッセージ物質のタイミングや濃度が少しズレただけでも、うまく行かなくなる。

 




□ あなたを育てた“ミクロの会話” 子宮の中には驚きの世界が!

もう一つの難関は大きく育つこと。
子宮の模型を使いタモリが子宮内の赤ちゃんを体験。
山中教授「胎盤こそ生命誕生のカギ」と説明。

 

胎盤も赤ちゃんの細胞でできている。妊娠3カ月目の赤ちゃんは必要な栄養と酸素を胎盤に頼っている。

胎盤が子宮に付着すると、子宮の壁には穴(血管の出口)が開く。ここから母親の血液が胎盤に流れ込み、酸素や栄養が運ばれる。
番組では子宮の穴を「恵みの窓」、胎盤に生えた白いものを「赤ちゃんの木」と呼ぶ。
胎盤の中には「赤ちゃんの木」と呼ばれる赤ちゃんの血管が通っている。一方で上にはお母さんの子宮の壁であり、血管の出口が存在し、様々な栄養素を含んだお母さんの血液が流れている。この木から赤ちゃんは栄養を吸収しているとされ、酸素の受け渡しなどが行われている。


山中教授「母と子の間のメッセージ物質のやり取りが大事」と説明。
子宮の模型に入ったタモリ「なかなか気持ちいいですよ。こういう店流行るんじゃないかな」とコメント。

 




□ あなたを育てた“ミクロの会話” 壮絶!成長に秘められたドラマ

妊娠4カ月目を迎えた松永めぐみさん。
赤ちゃんは身長10cm程で、妊娠中期の「恵みの窓」の直径は、妊娠初期の10倍以上に広がって、大脳など様々な臓器が形成され始めて来ていた。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校のスーザン・フィッシャー教授は子宮の血管の出口に着目。
母親の子宮の壁で赤ちゃんの細胞が大量に見かり、フィッシャー教授「赤ちゃんの細胞が母親の子宮に入り込み血管を探し出し、その血管を突き破る」と説明。

 

妊娠4カ月頃の胎盤では「赤ちゃんの木」が大木に育って、木の先端は黒ずんでいる。
赤ちゃんが大きくなったため、母親の血液が足りなくなり、酸素と栄養が行き渡っていないのだ。

「赤ちゃんの木」は「もっと大きくなりたい」というメッセージ物質「PGF」を出す。それを母親の子宮が受け取ると、母親の体は「恵みの窓」を広げ、与える血液の量を増やす。
「木」の枝が成長して先端が子宮に届くと、枝は血管の壁を突き破って子宮に潜り込んでいく。そして血管の壁が壊され、「窓」がさらに大きく広がる。「木」が受け取った大量の酸素と栄養は、へその緒を通して赤ちゃんに送られる。

 

パックンさん「赤ちゃんとお母さんが共同作業で頑張って来ている」とコメント。


山中教授「赤ちゃんの細胞が突き破って行く現象は、人間に極近い仲間だけの特徴」と説明。脳を大きく発達させるためだと言われている。
妊娠中の女性は、骨が脆(もろ)くなりやすい。これは赤ちゃんがカルシウムを求めるメッセージを出すからだという。


しかしながら、悪阻(つわり)の原因は、未だに解明されていないのだ。驚く。

 

 

*



めぐみさんは過去に子宮筋腫を発症しており手術で子宮の壁が薄くなっていた。
赤ちゃんが求める大量の血液を送り続けることができるのが不安を抱えていた。


2017年7月21日、めぐみさんは帝王切開で健康な女の子を出産した !!

木村佳乃さん「全ての母親に感謝したい。生まれ変わっても女性になりたい」と感動。

パトリックハーランさん「元受精卵の1人として、この先も頑張りたい」とコメント。