NHK-Gスペシャル

「シリーズ人体~神秘の巨大ネットワーク」

「第4集 万病撃退!”腸”が免疫の鍵だった」 

 

初放送 1/14(日) 21:00~21:50 

再放送  1/30(火)24:10~24:59 [1/31(水)午前0:10~0:59]

 

 

 

 

 

□ リブログ

 

□ NHK-G「シリーズ人体~神秘の巨大ネットワーク」 

 

これまでのブログ
「プロローグ」(2017-09-30初放送)
「第1集"腎臓"が寿命を決める」(2017-10-01初放送)
「第2集"脂肪と筋肉”が命を守る」(2017-11-05初放送)
「第3集"骨"が出す!最高の若返り物質」(2018-01-07初放送)
「第4集万病撃退!”腸”が免疫の鍵だった」(2018-01-14初放送)
 


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■ 司会(MC): 

タモリ・・・1989年の「驚異の小宇宙 人体」以来、28年ぶりに「シリーズ人体」の司会を務める。
山中伸弥・・・京都大学iPS細胞研究所所長・教授。2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞。
久保田祐佳アナ。


■ ゲスト出演:

田中将大

小島瑠璃子
 

■ スタッフ

音楽: 川井憲次

語り: 池松壮亮、久保田祐佳

声の出演: 81プロデュース

制作: NHKエデュケーショナル



 

■ 概要

体中の臓器がお互いに情報を交換することで私達の体は成り立っている。
そんな新しい「人体観」を、最先端の電子顕微鏡映像やCGを駆使しながらお伝えする、シリーズ「人体」。

 



第4集のテーマは“腸”だ。

毎日の食事から栄養や水分を大量に体に取り込む消化・吸収の要(かなめ)だが、
実は私たちを万病から守る全身の「免疫力」を司っていることが、最新研究から明らかになって来た。
何と全身の7割もの免疫細胞が腸に集結し、今、話題の「腸内細菌」たちと不思議なメッセージを遣り取りしているというのだ。

一度、腸での免疫のバランスが崩れ、免疫細胞が暴走を始めると大変なことになる。
花粉や食べ物、自分の体の一部まで「敵」と誤って攻撃し、様々なアレルギーや免疫の病を引き起こしてしまう。

どうすれば、腸内細菌が出す“メッセージ”を活用してこの暴走を抑え、アレルギーなどを根本解決できるのか?
最先端の顕微鏡映像や高品質のCGを駆使して、知られざる腸の力に迫る。




 
■ 番組詳細

 
□ 今日のテーマは“腸”。

 



タモリ「う〜ん今日のテーマは「腸」か。ウンコが通るだけのただの管だろ」。
山中「腸がただの管なんてとんでもありません。最新の研究で腸は私たち全身の免疫を司るとっても大切な臓器であることが分かって来ています」。
田中「腸が免疫を司る。超すごいんです!」
山中「タモリさん腸がただのウンチが通る管なんて言ってると、時代に乗り遅れますよ。腸といえば今、大注目なのが腸内フローラ。ダイエットや美肌肥満解消まで腸内細菌が体によい効果を生み出していると話題沸騰ですよ。細菌たちを手なずけている臓器なんて人体の中でも腸だけです」。

 

 

こちらは腸の管を取り巻く無数の神経細胞を高精細に捉えた世界初の映像(上の写真、神戸大学大学院医学研究科)。
腸が持つ神経細胞は脳に次いで多い約1億個。"第二の脳"とも呼ばれている。
その神経細胞の働きで筋肉を操り、食べ物を消化吸収する複雑な動きを腸は独自に行うことができる。

 



「シリーズ人体」ではいろんな臓器が脳に頼らず活躍していると伝えして来たが、
今日の主役の腸は別格。まさに人体の中の独立国家ともいえる臓器なのだ。
実はその腸が私たちの命に関わる意外な役割を果たしていることが明らかになって来た。
それこそが免疫力を司るという大仕事。

 

  


免疫力とは冬場に怖いインフルエンザや食中毒は勿論、あらゆる病気から私たちを守る大事な力。
その働きが可笑しくなると、花粉症やぜんそくなどのアレルギー更にリウマチなどの深刻な病も引き起こしてしまう。

 


そんな大事な免疫力を保つために腸が利用しているのが

…腸はまるで水戸黄門が助さん(腸内細菌)と格さん(免疫細胞)の二人を従えているように、全身の免疫力をコントロールしていることが分かって来たのだ。


最先端の研究で見えて来た腸の驚くべき実像に迫る。
どうすればこの命を全うできるのか?
体の中には巨大な情報ネットワークが存在する。
臓器同士のダイナミックな情報交換。
命を支える臓器たちの会話に今こそ耳を傾けよう。


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□ 大リーガー・田中将大 強さの秘密は「腸」にあり!
 

田中選手は「小さい頃は体が弱かったが、食あたりになったことはない」と話した。
腸丈夫!CGマーくんを紹介。
腸の長さは成人で約8.5m、広げると畳20畳分。表面は絨毛がある。
腸を毎日通過する食事として田中選手の妻・里田まいさんの晩ご飯を紹介。
腸は病原菌・ウイルスが入ることもあるとして外敵に晒(さら)されやすい場所。
現在では腸は免疫力を司る臓器としても注目されている。

NYのメジャーリーグで活躍する田中投手はヤンキースのエース。
強さを支えるのは強靭な肉体。「体調不良で試合を休んだことはない」という。
免疫力を高めている秘密を腸内映像から探る。
腸はピンクで透明な粘液に覆われ、絨毛に覆われている。
絨毛内部の毛細血管は網の目のように走る。
栄養は絨毛から血液へ運ばれ全身に巡る。
腸には腸内細菌・免疫細菌が存在する。
粘液を顕微鏡で拡大すると見える。

 



腸内細菌群(フローラ)は約100兆個。
免疫細胞は絨毛内部に存在し、腸壁にも多く存在し、病原菌・ウイルスを排除する。
全身に2兆個存在し、7割が腸内側にある。
腸表面には腸内細菌が漂っている。
病原菌が入って来ると免疫細胞が攻撃サインを出し、腸壁が受け取ると殺菌部室を発しウイルスを殺す。

□ あなたの”腸“は大丈夫?免疫細胞を「訓練」せよ!

腸は免疫細胞を訓練する仕組みがある。
免疫細胞は腸表面の絨毛のない窪(くぼ)みから侵入できる。
腸壁の内側には免疫細胞が存在し、窪みから入って来た腸内細菌・病原菌などを、免疫細胞のもとに運び敵・味方を学習させている。

 

  
 

訓練によりインフルエンザ・肺炎などに対抗する力を備え、血液の流れに乗り全身に行き渡る。
スタジオでは、「毎週のように腸・細菌の論文が発表されている」と話した。

□ あなたの”腸”に異変!? 急増する「免疫の暴走」

腸は免疫を育てるが、免疫が暴走するとアレルギーなどの病気になる。
その陰に腸の異常があることが研究により分かって来た。

 


イギリス・ロッキンガムのナタシャさんは五輪を目指していたが、4年前に汗・涙などで体中に激しいアレルギー症状が出る病気に罹(かか)り、250回以上も深刻ショック状態で病院に運ばれている。
食物アレルギーもあり、ブロッコリーなど数種類のみの食材が安全に食べられる。
症状を引き起こしているのが免疫の暴走。
暴走した免疫細胞の映像を紹介。
免疫細胞を以上興奮させ体の細胞などを攻撃させるためアレルギー症状を引き起こす。

ナタシャさんは25種以上の薬を飲んでいるが症状を押さえられず、「何時、死ぬか分からない恐怖と闘いながら暮らすのは辛い」と話す。
専門家が便の検査をしたところ腸に異変があることが発覚した。
いくつかの腸内細菌が通常よりかなり少なかった。

 



□ クロストリジウム菌

尾崎真由さんは4年前に多発性硬化症を発症した。
手足の痺(しび)れが寝ている間も常にあり、症状が進むと失明などの危険もある。
原因は暴走した免疫細胞が脳を敵と勘違いし攻撃している。
山村医師が便を分析し、患者の腸ではいくつかの腸内細菌が少なくなっていた。
アレルギー・多発性硬化症の双方で特定の腸内細菌が減少していることが分かった。

研究者の多くが腸内細菌異常が関わっていると考え出した。
タモリは若い頃ビールアレルギーだったが治った。
小島は犬アレルギー。
田中「アレルギーは今までないが、妻は最近、アメリカンチェリーなどがダメになった」と話した。
アレルギーは突然発症すると解説。

腸内細菌は100兆個以上存在する。人体の細胞より多く、1000種類ほどある。バクテロイデス菌などが有名。
免疫暴走での病気を発症していた女性らの腸内では「クロストリジウム菌」が共通して少なくなっていた。100種類ほどあり、免疫制御の役割を持つ種類もある。

□ アレルギー難病を防げ!”腸”が生み出す脅威のパワー

クロストリジウム菌が少ないと病気になる可能性がある。

 



腸の中で…謎を解く鍵が免疫研究の世界的権威・坂口志文氏によって発見された。
外敵を攻撃するのが仕事と思われていた免疫細胞の中に、全く違う役割を持つ特別なものがいることを見つけたのだ。
その発見はノーベル賞級と目されるほど、世界中の研究者を驚かせた。

坂口氏の研究で、暴走している免疫細胞に対し暴走を抑える物質を発する腸内細菌「Tレグ」が発見された。
クロストリジウム菌がメッセージ物質を発し、免疫細胞をTレグに変化させる。
Tレグは血流に乗り全身に広がり、暴走する免疫細胞を鎮める全身の免疫力をコントロールしている。

前出のイギリス・ロッキンガムのナタシャさんらは、Tレグを増やすクロストリジウム菌が少ないと、そして細菌が免疫物質を制御するとも考えられている。
シリーズ人体では臓器がメッセージ物質を遣り取りしていると伝えたが、
腸は全身の免疫をコントロールするため細菌を利用している。

□ 腸でアレルギーが治る?! 日本人に秘められた”腸能力

 



どうやって免疫の暴走を抑えるためのクロストリジウム菌を増やすのか?
アレルギー症状が収まるという神奈川・曹洞宗大本山總持寺で修行する若い僧侶ら60人からアレルギーが治ったという報告が続出した。
修行僧ら20人の便を調べた。修行僧らの腸にはクロストリジウム菌が存在しており健康な腸内細菌を持っている。
毎日食べている精進料理に含まれる食物繊維でTレグを生み出せる。
クロストリジウム菌が多いマウスに食物繊維を多く与えるとTレグが増え、食物繊維の少ないエサを与えた場合、Tレグは余り増えなかった。

キノコ・木の実や根菜など日本の食材には食物繊維が多い。
長い年月で日本人の腸には食物繊維を好む腸内細菌が多いと考えられている。
服部さんの最新研究では日本人の腸内細菌が優れた力を持つことが明らかになった。
免疫力をコントロールする物質を出す能力が欧米の方に比べ日本人は多い。
現代日本人はアレルギーなどの免疫暴走による病が増えており、食生活により変化したのではないかと考えられている。


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アレルギーには腸が関係していると強く示している。
腸内細菌との共存は人類が進化の家庭で会得して来たが、60年ほどの食生活の変化で代わり、免疫の暴走という形で出ている。
精進料理でない通常の食生活で食物繊維を摂ることができる。
里田さんの料理で精進料理に近い食物繊維を田中選手は摂取していた。

□「免疫力」最新の発見が次々と!万病を撃退する腸のパワー

全身の免疫力をコントロールする腸の驚くべきメカニズム。
腸メカニズムの解明で病気治療も変わろうとしている。
多発性硬化症で苦しむ尾崎さんは臨床試験に参加し、免疫のブレーキ役 Tレグを生むメッセージ物質を人工的に作ったものを摂取している。

動物実験ではTレグ量の変化があり、臨床試験を受けている11人中9人でも多くなっていた。
腸が免疫をコントロールする力を取り戻すことによって、難病を克服できる可能性が示された、難病の根本治療法が出て来ると山村氏は語る。

誕生の瞬間。私たちの腸には様々な細菌が初めて入って来る。
たくさんの中から良い細菌だけを選んで育てて行く、最初の一歩。
腸の機能は生まれた時、母乳でビフィズス菌が成長するところから始まる。
それを皮切りに、私たちの腸は大切な腸内細菌を選んで住まわせ、全身の免疫本部としての機能を次第に成熟させて行く。
腸はあなたが日々食べるものを糧(かて)として腸内細菌たちを養い、全身で働く免疫細胞を育て上げている。
ミクロの世界で交わされ続けているたくさんのメッセージが、今、この瞬間もあなたの命と健康を支えている。