■■ NHKスペシャル 「シリーズ人体  ~神秘の巨大ネットワーク」

■ 司会(MC): 

タモリ・・・1989年の「驚異の小宇宙 人体」以来、28年ぶりに「シリーズ人体」の司会を務める。
山中伸弥・・・京都大学iPS細胞研究所所長・教授。2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞。
久保田祐佳アナ。

■ 出演:

石原さとみ

博多大吉
北島康介




 
■■ プロローグ

初放送 9/30(土) 21:00~21:59

再放送 10/3(火) 24:10~25:09 [10/4(水) 午前0:10~1:09]

    〃   2018/1/3(水) 8:15~9:14

 

 

リブログ

 

 

 

 

 

■■ 「第1集 "腎臓"が寿命を決める」

初放送 10/1(日) 21:00~21:49

再放送 10/4(水)25:00~25:49 [10/5(木)午前1:00~1:49]

   〃   2018/1/6(土) 10:05~10:54



■ 予告動画

 

■ 番組内容


□ 腎臓に関するスタジオトーク。

タモリ「おしっこを作っている所としか」。
山中先生 「1日のおしっこって1~2リットル位。でも実際には腎臓の中では1日に180リットルもの量ができている」。
タモリ 「エエーッ ! 」

第1集の主役は「腎臓」だ。





□ 大注目! 驚異の体内世界。長寿のカギは腎臓にあり。

“尿を作る臓器”ぐらいにしか考えられず、目立たぬ存在とさえ言われる腎臓。
実は今、世界中の科学者たちが熱い視線を送るNO.1の臓器だ。競うようにしてそのパワー解明に乗り出している。
何と腎臓が寿命を決めていると言うのだ。
最先端の科学はこれまでベールに包まれていた腎臓の驚くべき姿を次々と明らかにしている。

これは腎臓の内部。尿を漉(こ)し出す場所を立体的に捉えた世界初の3D電子顕微鏡映像。
直径およそ0.2ミリ。ここに寿命まで決めてしまう大切な仕組みが秘められていた。

 



実は腎臓は人体の司令塔の役割を果たしている。
常に全身の臓器に向かってメッセージを伝える物質を出し続けている。
身体中に情報を発信しながら、様々な臓器の働きをコントロールしているという驚きの姿。

腎機能が低下していると、カリウムが体に溜まり、高カリウム血症になりやすい。痺(しび)れや不整脈といった症状。低カリウム血症となり、脱力感、不整脈などの症状が現われる。

そんな腎臓のパワーを活かすことで、様々な病気の治療に革新が起きている。例えば、脳卒中や心筋梗塞の原因となる重症高血圧の患者、多臓器不全で死の間際だった患者の症状が一挙に改善できるという驚きの成果が報告され始めている。

さらに健康長寿のカギを握っている"或る物質"を腎臓が調節していることまで分かって来ている。

尿だけ作っていると思ったら大間違い。身体の中に広がる巨大な情報ネットワークの要として、今、大注目を集めている腎臓。

腎臓に秘められた驚異の世界を観に行こう。
世界初となる3D電子顕微鏡や、8K顕微鏡ライブイメージングによって撮影されたミクロの映像。
そして、フル4Kのコンピューターグラフィックス(CG)を交えながら、腎臓の驚異的なパワーに迫って行く。


□ 大注目!驚異の体内世界 長寿のカギは腎臓にあり

腎臓に関するスタジオトーク。

タモリ「腎臓は地味じゃないか・・・。運動していて腎臓を意識している・・・」。
北島康介 「腎臓に気を遣ってトレーニングしたことはないですし、地味だなという印象」。
石原さとみ  「なんかデトックス(体内に溜まった毒物・老廃物を排出)という意味では凄く大事な感じがする」。
タモリ 「女性はデトックスが好きだね。私は悪い物を食べてないから意識しない」。
石原さとみ 「そう言われればそう。何を悪いと思っているのかな」。
タモリと北島康介 「意識しない『腎臓地味派』」。

 

 

山中先生と石原さとみと久保田祐佳 「意識する『腎臓大事派』」。

山中先生 「臓器同士の会話という観点から、腎臓は脳・心臓と全くヒケを取らない。尿を作る以外にたくさんの仕事をしており、タモリさんのようなスーパースター」。
タモリ 「大事派に替わろうか」。


□ 体内パワーを引き出せ!長寿のカギは腎臓にあり

腎臓を懸命に鍛えている人たちが居る。

標高2100mの高原地帯に在る米国のフラッグスタッフ。
日本代表の水泳チームが長年高地トレーニングして来た場所。
今回の協力者であるリオ五輪競泳金メダリストの金藤理絵選手は、東京オリンピックを目指す次世代のアストリートたちを連れてやって来た。
練習では泳ぎ終わった直後に酸素飽和度を調べると、選手たちは88~89%の酸欠状態となっていた。
ところが2週間後においては正常の数値96~99%となっており、高地順応が起きていた。

 


鍛えられているのは心臓ではなく腎臓なのだ。
人体で酸素が足りなくなると腎臓が反応し、或る物質、「EPO」(エポ)と呼ばれる"酸素が欲しい!!"というメッセージ物質を生成。
骨髄へと入り込んで、酸素を運ぶ赤血球の増産が行われ、全身の筋肉に酸素が運ばれて持久力の増加へとつながる。
金藤選手もリオ金メダル時に血液中の赤血球割合がピーク(45%超)に到達しており、その立役者は腎臓だった。

腎臓は体内にメッセージを送る物質を出すために、情報ネットワークは構築されており、10万Kmも有る血管網がルートとされる。
血管が一際密な!! 腎臓は、体内の情報ネットワークの要として、命の根幹に関する数多くのメッセージ物質を出して身体のコントロールをしている。

 



腎臓に関するスタジオトーク。
北島康介 「高地トレーニングを行っていたが、腎臓に関することは何も知らなかった」。
タモリ 「腎臓の恩を忘れているわけなんだね」。
山中先生 「エポ (酸素が欲しい、血圧上げようというメッセージ) は日常でも少しずつ出ている。母はエポを作れないと重度の貧血になる」。

 




□ 高血圧が治る!最新治療 長寿のカギは腎臓にあり

ドイツのライプチヒ心臓センターではターゲットは高血圧であり、世界で10億人以上が悩まれているとされている。
心臓専門医のフィリップ・ルーツさんは高血圧の治療で腎臓の外科手術、腎臓の神経の一部を焼き切る腎デナベーション手術を行う。
血圧を監視しコントロールするのも腎臓の仕事であり、「レニン」と呼ばれる血圧を上げようとするメッセージ物質が要因に当たり、レニンの増産で全身の血管に収縮変化が起こり、血圧が上がるとされている。
最近ではレニンの出し過ぎで高血圧の原因になっていることが判明し、手術で正常化すれば下げられることも分かって来た。

前の病院では血圧を下げる薬を何種類も同時に飲んでいたが、打つ手無しと言われたため、ライプチヒ心臓センターに来て腎臓外科手術を受けたユルゲン・ミッデンドルフさんは血圧が正常に戻り、妻と一緒に健康になった。
フィリップ・ルーツさん 「腎臓は、尿だけ作っていると思ったら大間違い。血圧コントロールの中心的役割など、あらゆる臓器と語り合いながら重要な仕事をしている」。

山中先生 「肝心要という言葉は元々は肝腎要だった」。
タモリ 「だから二つもあるんだ」。


□ 長寿のカギは腎臓にあり 血液管理 驚きの仕組み


腎臓は、血液を取り仕切る司令塔、血液管理者となっている。心臓が送り出す血液の約1/4は腎臓に配分している。
赤血球と血圧の仕事だけじゃなく、血液中の塩分・カルシウム・マグネシウム・カリウム・リン・水素イオン・尿酸などの正常値を保っている。

 



山中先生 「例えば、カリウムはバナナに含有量が多いが、血液中のカリウムが多過ぎると不整脈などが起きることもある」。


□ 長寿のカギは腎臓にあり ミクロの世界 驚異のドラマ

体内において、血液の管理者である腎臓は果たしてどうやって大仕事をやってのけているのか?
顕微鏡撮影の達人・・・旭川医科大学准教授・甲賀大輔さん、
生体撮影の天才・・・自治医科大学教授・西村智さん、
医学CGのスペシャリスト・・・クラウス・エンゲル博士(ドイツエッセンのエボニック社CEO)、
などの協力を得て、これまでヒミツのベールに包まれていた腎臓を丸裸にする大プロジェクトを立ち上げた。

握り拳(こぶし)ほどのサイズしかない腎臓。

 


その断面を顕微鏡で見ると、管のようなものがビッシリ詰まっている中に所々不思議な形をした丸いものがみえる。
これは0.2ミリの複雑に絡み合った血管の塊「糸球体」。尿を漉(こ)し出す場所。

表面にはタコのように足を伸ばした奇妙な細胞がたくさん張り付いており、足と足が絡み合っている。

 

 

この「糸球体」は、一つの腎臓に約100万個 x2 存在する。人体で最も複雑で精巧な構造とも言われている。

 


更に、腎臓の中には太い血管がビッシリ。大量の血液が届いていることがよく分かる。
老廃物を含んだ血液(静脈)から、尿を作ると同時に、あらゆる成分を絶妙に調節した血液も送り出している。
その神業はどう行われているのか。驚くべき仕組みが見えて来た。


「糸球体」はフィルターの役目。壁は小さい穴だらけ。

赤血球のような大きな物は通らない。

 

 

血液から漉し出された老廃物やその他の成分は通れる穴。

 


尿の元となる原尿から、本当の尿を作るとともに血液の成分調節までやってのける神業(かみわざ)。
原尿が通る管の中は洞窟のような不思議な世界が延々と続いている。それが「尿細管」

 


尿細管の壁を見るとビッシリ細かい毛が生えている。

それが「微絨毛」(びじゅうもう)。ここで身体に必要な成分だけを選び取り血液に戻す作業をしている。

 


無数のポンプ。成分(塩分・カルシウム・マグネシウム・カリウム・リン・水素イオン・尿酸など)毎に違うポンプ。
身体に今必要ならば積極的に血液に戻す。その戻す量を変化調節している。

 

 




□ 長寿のカギは腎臓にあり 神秘の巨大ネットワーク

スタジオで、腎臓の世界を解説。
山中先生 「血液の成分調節は、腎臓が全て判断しているのではなく、他の臓器の会話を聞いて行っている」と話す。
腎臓の凄さの極め付きは、再吸収の量は腎臓だけの判断ではなく、全身にある様々な臓器(脳・甲状腺・副甲状腺・心臓・肺・肝臓・胃・腸・骨・・・)からのメッセージ(会話)を元に行われている。
腎臓は、原尿の量1日180リットル。メッセージを読み解き再吸収の量を決めている。
握り拳ほどの腎臓、その仕事量は膨大である。
尿として身体の外に出る(日頃、腎臓の仕事として見ている)のはたったの1%。残り99%が再吸収されている。

タモリ 「今後の尿検査の時はちゃんと丁寧に尿を採ろう」。石原さとみ 「丁寧というのが今一良く分かんない」。北島康介 「尿検査って粗末に考えがちだった」。


□ 発見!寿命を決める物質 神秘の巨大ネットワーク

動物には決まった寿命がある。
寿命と身体の大きさは比例するが、これに当てはまらない動物に、ハダカバネズミ、コウモリ、そして人間がある。どうして長生きできるのか?
これには、血液中の「リン」の量が影響している。少ない動物ほど長寿。
リンは肉や豆などに含まれる重要な栄養素。不足すると呼吸不全・心不全・骨軟化症・狂病。多過ぎると老化を加速。

発見のきっかけは、日本人研究者(自治医科大学分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部 黒尾誠さん)が発見。
リンの増加が、老化が加速する理由は現在解明の途中であるが、血液中のリンが増えると血管の石灰化が起こり全身の血管が固くなることがその一因とされている。
逆に、腎臓の働きを健全に維持することができれば、長生きが可能である。
腎臓は、骨からのメッセージを聞いている。骨は、リンの貯蔵庫として、その量を監視する役目を担っている。

山中先生 「リンだけでは説明できないこともあるが、一つの指標」。


□ 長寿のカギは腎臓にあり 多臓器不全を未然に防げ!

複雑な仕組みで全身を管理している腎臓。
先進国の入院患者の中で、5人に1人が急性腎障害であることが分かった。
なぜ、腎臓以外の病気の患者まで、腎障害を起こすのか。

心不全・肝硬変・COPD(慢性閉塞性肺疾患)・高血圧症・糖尿病・・・重要な疾患が起きる
⇒ネットワークの要の腎臓の働きに悪影響⇒腎臓に異変⇒全身の臓器に悪影響⇒多臓器不全。

〇腎連関」という医学界のキーワード。「脳腎連関」「心腎連関」「肺腎連関」「肝腎連関」など、腎臓は臓器同士が連携するネットワークの要。
腎臓を守りさえすれば、救えた命が多くあることも分かっている。

欧州集中治療医学会の研究委員長ルイ・フォルニさんは「急性腎障害(AKI)は世界的な問題。少し治療を変えるだけで、助かる可能性がある患者が毎年大量に亡くなっている。ヨーロッパだけでも年間20万人規模。腎臓が弱っている患者さんには、普段なら飲んだ方が良い薬でも一旦止めなければならない」。

処方薬が、弱った腎臓に最後の一撃を加えていることが分かって来たのだ。
大量の血液が流れ込んで来る腎臓は、最も多くの薬に晒(さら)される場所。複雑で精緻な臓器故に、薬からのダメージを受ける宿命。

病院では心臓の心拍計を付けるように、腎臓を見守る計器を付けるようにすべき。
腎臓は一度やられてしまうと取り返しがつかない。

山中先生 「腎臓の機能不全が多臓器不全の切っ掛けになる」。
石原さとみ 「私、何かあると薬を飲んでしまうけれど、その所為(せい)でどこかを救うために腎臓さんに負担が掛かっていると思うと・・・」。
山中先生 「薬は腎臓に非常に大きな負担を掛ける場合があるので、余分な薬は飲まない方が良い」。
北島康介 「アスリートは外側ばかり鍛えるのではなく、内に秘めたものにも気を配り知っておくことが大切」。
タモリ「今まで胃に優しいとは聞いたが、腎臓に優しいと聞いたことが無い」。
山中先生 「胃は痛いと悲鳴を上げてくれるが、腎臓は我慢強いが故に・・・」。
タモリ 「これからは出て行くオシッコに有難うと」。


英国南部ウェスト・サセックス州のワージング病院では、全ての患者さんに腎臓を見守るシステムを導入した。
京都大学医学部付属病院では、腎臓以外の患者さんに主治医と連携しながら腎臓内科医が積極的にコンサルし、治療薬の量などを細かく調節するという、
いわば人体をネットワークとして捉え直した治療を始めている。