■中古車屋探偵 雪田正三の殺人日記

東京 福岡 マニラを結ぶ怨念の復讐連続殺人


最初から読みたいとの連絡がありました。

下記のURLから読むことができます。


http://blog.goo.ne.jp/suiri-katsuta/e/1cab9d7b1b3aa6c227aa0afb2788b6f7


勝汰 章





■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654

■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/


■まぐまぐ ランキング

http://www.mag2.com/m/0000239491.html

===================================================================-


フランコは、必死に記憶をたどっていた。

何よりも自分の犯した犯罪の大きさを実感していたと思う。

しばらくして・・・

「大越さん・・・確か・・・セブ市内から西へ50キロにある、トレドという漁村です。思い出しました。間違いないと思います。純一郎さんの知り合いで、ジョセフという男だと思います。車のエンジンを漁船に取り付ける仕事だと思います。そんなことを話していたと記憶していますが・・・」

「トレドのジョセフだな?・・・よし、早速確認してみよう・・・」と、別の刑事に指示した。

その後、3人の行方はいっこうに不明のままであり、唯一期待できることは、フランコの言う場所しかなかった。

ほどなくして、トレドという町に、ジョセフという男の所在が判明したが、連絡は取れないという。

僕たちは、トレドへ向かってみることにした。もしかしたなら、全く見当違いなのかもしれないが、今は、この情報にすがることしか手はない。

セブ中央警察の刑事たちは、山根かおるの家の捜索令状を取り、家宅捜索をしていた。





そこで、驚くものを発見したようである。

古びた本の間に挟んであったメモであった。

それは、金田栄一を殺害することのメモなのだ。20年以上前の色あせした走り書きのメモには・・・

かおるが栄一を別荘に呼び出す・・・別荘で酒を飲ませたところで、かおるが崖に酔い覚ましとして散歩に誘う。



そこに待ち構えていた海野が、栄一を突き落とす。このような内容であった。



やはり、山根かおるが誘い、海野が突き落としたということが分かった。

とにかく、3人を見つけないといけない・・・

車は、トレドへ向けてひたすら走っていた。

丁度、そのころマニラ警察では、栄一が生きていたことを、八千代、茂美、真奈美、和義に伝えられていた。

新開刑事が、全員を呼んで話したということであった。

全員は、生きていた驚きというよりも、自分たちの犯した事件の大きさに気づいたようであった。

八千代が、蚊の鳴くような声で・・・

「どうして・・・どうしてなの? 栄一さんが生きていた。何故、連絡を・・・私たちは、とんでもないことをしてしまったのよ・・・殺すことなんかなかったのよ・・・」と、茂美を見た。

「・・・そんなバカな? どうして連絡してくれなかったの? 20年間も何故? 生きているということだけの連絡でよかったのよ。そうしたなら、何人も殺すことなんかなかった・・・私は皆を巻き込んでしまって、取り返しのつかないことをしたのよ・・・どうして・・・」と、嗚咽ともつかない声をあげた。

続いて、真奈美が「栄一が生きている・・・早く会いたい・・・栄一・・・どこにいるの?・・・」

と、顔から血の気が引いていた。

殺さなくてもいい人を4人も殺してしまった。

茂美が新開刑事に尋ねた。

「栄一さんはを助けた山根かおるという女性は誰なのですか?・・・」

「御手洗晋の愛人だった女だよ。何でも、フィリピンのミタライ・コーポレーションで事務員をしていたということだ。栄一とも顔見知りで、栄一を殺害しようとした時に別荘に呼び出した女だ。しかし、突き落とされた栄一を助けたということしか分かっていない。海野は、殺したと思ったんだろうな・・・だから、御手洗晋に報告したと・・・いうことだ。おそらく、山根かおるは、殺害することには反対だったと思うが、御手洗に逆らうことはできない・・・だから、素直に従う素振りをして、海に落ちた栄一を助けたのでと思うが?・・・推測だが・・・」

「そうなのですか?八千代さん、真奈美さん、和義・・・私が誘ったばかりに・・・こんなことになってしまって・・・何と言って謝ったらいいのか・・・本当にごめんなさい・・・」

と、机に頭を押し付けて泣き伏せていた。

新開刑事は、何と言っていいのか言葉を失ってしまっていた。

しかし、何故? 栄一は、生きているということを隠していたのであろうか?

せめて、身内や徳野茂美にだけは話していてもいいのではないだろうか?

もしかしたなら、栄一にも身を隠しておかないといけない理由があったのかもしれない。

僕たちの車は、トレドの町に着いた。さびれた漁村である。

トレド警察の連絡で、ジョセフという男の住居は分かっていたので、その家へ向かった。

漁港のはずれに家はあった。近所に不釣合いな大きな家であった。近所の人に尋ねると・・・

船のエンジンを日本から輸入しているという。フィリピンの小型漁船は、日本の車のエンジンを再利用しているケーが多いのだ。

その関係で、純一郎と知り合ったのかもしれない。

近所の聞き込みで、普段は事務所にいるというのだが、その事務所には不在であった。



女の事務員がいたのだが、朝からどこに行ったのかは知らないという。

携帯電話にかけても留守電のままだという。このエリアは、携帯の圏外になる場所が多いという。

僕たちは、ジョセフの立ち回りそうな場所を尋ねて行ってみたが、しかし、その場所にもいなかった。



車がないので、車で出かけていることは間違いない。

トレド警察の協力で、トレドの町中に検問が始められた。




残念ながら、トレドの町には、交通防犯ビデオというものはない。




僕たちは、車で走り回ることしかできないでいた。





■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654

■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/


■まぐまぐ ランキング

http://www.mag2.com/m/0000239491.html


====================================================================




何故? 山根かおるに連絡をした純一郎が、栄一が生きているということを知ったのだろうか?

山根かおると、栄一は一体どういう関係なのであろうか?



純一郎は、山根かおるを殺害するためにセブ島に来たのは間違いないと思う。

そうなると、山根かおるに連絡をしたことで、栄一が生きているということを知ったと推測することが自然かもしれない。それで、殺害することを止めて、万が一を考えて、ダナオのホテルで会うことにしたと?・・・

この推理が、一番の的を得ていると思う・・・




フランコの取調べは続く・・・




海野幸秀を殺害したのは、純一郎とフランコであり、その後、闇のルートを使って、韓国に渡り、そこからフィリピンへ空路入ったということであった。それについては、僕たちの推理していたことと同じである。

フランコは、浅田保夫、つまり、自分の父親を殺すことに同意していたのかということの疑問があった。

「フランコ・・・実の父親を殺害することは知っていたのか?」

「純一郎さんから聞きました。何の抵抗もありませんでした。幼いころから、ひどい虐待を受けていたし、僕の心の中では父という感覚はなかったのです。母にも暴力をふるっていたし・・・そんな父親なら・・・いっそ、死んでくれたほうがいいと思っていました。その時は耐えるしかなかったのです。酒を呑んでは暴力・・・外に女を作って母を泣かせていました。ひどい時には、愛人を部屋に入れて・・・昼間から関係を持っていたこともありました。そんな父親ならいらない・・・早く、死んでほしい・・・母にも僕にも体中に無数のアザがあります。全て、父のやったことです。そして・・・勝手に日本に行って・・・離婚しろと母に言ったのです。それを聞いて僕は喜びました。これでやっと父との関係が切れると・・・しかし、母が新しい人と結婚すると聞くと、母にお金をせびったりしていたのです。最低の男でした。こんなことなら殺してしまいたいと・・・」

「・・・それで・・・純一郎が殺害することに同意した?・・・」

「そうです・・・この男がこの世からいなくなればと・・・母も僕も幸せになれる。それで、純一郎さんの仲間になったのです。栄一さんは僕のことを本当に可愛がってくれました。虐待から助けてくれたことも何度もありました。その栄一さんを殺そうとしたことが絶対に許せなかった。僕が協力することは何もないかもしれない、でも、何か協力したかったのです・・・純一郎さんの傍にいて・・・何かを・・・したかった・・・」

「それで、今は父親を殺されたことに後悔はないのか?・・・」

「・・・後悔なんてありません・・・あんな男は生きている価値なんかない・・・死んで当たり前だ・・・」

と、恐ろしい目つきで大越刑事を見た。



フランコという男は、普段は優しい男だと身辺調査ではあったが、父親に対しての感情は、僕たちの想像する以上のものがあったのだろう。


「フランコ・・・お前の父親を殺害することに同意したとしても、他の人を殺すということにも抵抗はなかったのか?・・・お前には関係のない人なんだぞ・・・」

「抵抗なんかありません・・・栄一さんを殺そうとした人は、皆、敵なんだ・・・敵だ・・・」

「しかし、栄一は生きていた・・・どう思っているのか? 栄一は死んでいなかったのだぞ・・・」

「関係ない・・・殺そうとしたことが許せない・・・関係ない・・・」と、大粒の涙を初めて流した。

体は大きく震えていて、少しではあるが、自分のしたことの恐ろしさが理解できたのかもしれない?

「フランコ・・・早く純一郎を見つけたい? どこか思い当たる場所はないか? お前は以前、セブにいたのだろう。どこか潜伏していそうなところはないか?・・・」

「・・・もしかしたら・・・以前に純一郎さんが、言っていたことを思い出しました。どこかの漁村に友人がいるというのです。町の名前は・・・思い出せない・・・小さな町だと聞いたことがあります。えぇーっと・・・何だったかな・・・確か・・・セブ島の西のほうだと思いますが・・・」

と、言って考え込んでいる。

僕たちは、フランコの言う町にいることを期待するしかないと思った。セブ市内には非常検問がしかれているので、車で動いていたなら必ず発見できると思う。



そして、借りていたレンタカーの会社と車種とナンバーが分かった。

白色のコロナセダンだということだ。すぐに、全島に非常線がはられた。

もし、山根かおるや金田栄一の秘密の家でもあったなら発見することは難しい。



そうではないことを祈るしかないと思った。

ただ、第五の殺人が起こることはない。それだけが唯一の救いでもあった。








■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654

■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/


■まぐまぐ ランキング

http://www.mag2.com/m/0000239491.html


==================================================================


「私も疑いました・・・しかし、嘘をついているようには思えないのです。刑事の勘というものです。確かに、日本で4人が殺害され、その全員は栄一殺害に関係していたことは事実だと思います。しかし、これからの殺人については、確定的なものは、候からの話だけなのです。山根かおるが、栄一を別荘に呼び出して、そして、海野が突き落としたということは?・・・」

「それは、そうですが・・・仮にそうだとしたならば、八千代や茂美、真奈美は知っていないということになります・・・電話では、もどかしいので・・・とにかく、これからセブ中央警察へ行きます・・・」

横で、何が起こったのかという顔をしている、岩崎弁護士を連れて向かった。

「雪ちゃん・・・何がどうなったんだ?・・・栄一は殺されていなかったのかい?」

「フランコの言うには、そういうことらしいよ・・・しかし、信じられない・・・20年以上も栄一が生きていたなら、八千代には何らかの連絡があってもいいだろう・・・20年だよ・・・20年間も隠れていたことになるよ。それは、どう考えても不自然だと思わないか? 岩ちゃん?・・・」

「隠れないといけない理由があったとしたら?・・・そうするだろうな・・・何かの理由が・・・」

「理由?・・・理由か・・・そんなのは考えても分からないよ・・・理由にしても、20年だよ・・・」

僕たちの乗ったタクシーは、セブ中央警察に着いた。

「遅い時間に・・・どうぞ、こちらです・・・」と、大越刑事がフランコのいる部屋に案内してくれた。

どうやら、フランコは、片言の日本語は話せるらしい。

「フランコ・・・どういうことだ? 栄一は生きているというのか?」と、僕は尋ねた。

「生きている・・・死んでいない。フィリピンで生きていたよ・・・」

「どういうことだ・・・もう一度、訳を話してほしい?・・・」



「山根かおるさんから聞いたよ。崖から落ちたけど死んでいない。かおるさんが助けたよ・・・かおるさんはいい人だよ。栄一さんもいい人だよ・・・今まで栄一さんが生きていたことは知らなかったよ・・・」

僕は、フランコの目をしっかりと見た・・・確かに、嘘をついているような目ではないと思う。





フランコの言っていることは嘘ではない。ということは、栄一と純一郎は一緒にいるということだ。

大越刑事が、続けて、タガログ語で聞いた。

「今、3人はどこにいるのだ?知っているのだろう?・・・」

「知りません・・・僕は、ただ、助けただけです。ホテルに着いてから、皆で色々と話していました。でも、ホテルの駐車場に警察の車を見つけました。それで、張り込まれていると分かったのです。だから、何とかして逃げようと考えたのです・・・」

「・・・ピストルはどうして手に入れた?」

「栄一さんが持っていた・・・」

「そうか・・・で、海岸へ行ったのは何故だ?」

「別の車を確認に行ったんだ。セブから来る時にレンタカーを借りたけど、途中で、もう一台のレンタカーを借りたんだ。それを、海岸の林の中に隠しておいた。もし、警察が来ても逃げられるように・・・」

「そういうことか・・・」と、大越刑事は、ため息をついた。

全ては、最悪の場合を考えて行動していたのである。セブ動物園のそばに車を放置したのも、事前にそこに、別のレンタカーが置いてあったということも分かった。

かなり用意周到に準備されていたのだった。

しかし、一つ大きな疑問が残る。






■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654

■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/


■まぐまぐ ランキング

http://www.mag2.com/m/0000239491.html


====================================================================


「雪ちゃん・・・ちょっといいか?」と、岩崎弁護士が言う。

「何?・・・」

「実は・・・徳野茂美のことだよ。俺は、茂美の担当弁護士だが、さっき、弁護士会に連絡して俺はおろさせてもらったよ。前に茂美を担当した弁護士がアメリカから帰ってきたということで、彼が担当することになった。だから、とりあえず、俺は、雪ちゃんに協力することと、フィリピン観光をしようと思っている。そういうことだ・・・」

「・・・うん・・・それはいいけど、観光はないよ・・・まだ、事件は終わっていない・・・本当に悠長な気持ちでいられる岩ちゃんが羨ましいよ・・・」

「観光・・・言葉のあやだよ・・・協力するから・・・ハハハ・・・」

と、笑った。そして、今夜は、セブ市内のホテルに泊まることになった。

もう、外は、暗闇につつまれていた。




深夜になって大きな展開があった。大越刑事からの電話で起こされた。


「雪田さん・・・純一郎たちの乗ったと思われる車が発見されました。セブ動物園のそばの道に放置されていました。その車はレンタカーでした。ホテルでの指紋をとっていましたので、車の中の指紋と一致したのです・・・しかし、どこに潜伏したのかは不明です。署員が全員で捜索しています。警察犬での捜索をしましたが、別の車に乗り換えた可能性があります。かなり、用心深く行動していると思われます・・・」

「そうですか・・・僕たちにできることがあったなら遠慮なく言ってください・・・・」

しかし、どんなに考えたとしても不可解な行動である。何故、ダナオのホテルに宿泊したのだろうか?

山根かおるを殺害するのであれば、こんな手の込んだことをする必要はない・・・

僕の頭に中は、完全に混乱してしまっていた。

電話が鳴っても、岩崎弁護士は、すやすやと寝息をたてている。この人は、何があっても動じない・・・

そして、また、眠りにつこうとした時であった。

大越刑事からの電話だ。


「雪田さん・・・フランコが話し始めました。簡単に説明します。純一郎は、山根かおるを殺害しようとは思っていないのです。警察に追われていると感じていますから、山根かおるをダナオのホテルに呼び出したのです。そして、私たちが到着するかなり前に話は終わったというのです。話の内容は、純一郎の父親の栄一についてです。私たちは大きな間違いをしていたのかもしれません。候燐長の言葉を信用しすぎていたと思います。早く、候の話の裏を取っておけばよかった・・・」

「えっ・・・どういうことですか何が間違いなのですか?・・・」僕は大きな声になっていた。

その声で、岩崎弁護士も目が覚めてしまった。

「はい、候の言うことには、栄一は落とされて殺害されたということですよね?しかし、違うのです・・・候は、落とされて殺害されたということを聞いただけです・・・誰も見ていない・・・確かそういうことですよね?」

「ええ・・・そうです。海野幸秀によって殺害されたと・・・違うのですか?」

「違います・・・フランコの話だと、栄一は死んでいないというのです。昨日、山根かおると一緒にいた男だというのです。それが・・・金田栄一だと・・・」

「・・・そんなバカなことはないでしょう? 栄一が殺害されたから復讐が始まったのですよ。そんなバカなことはないですよ。フランコがいい加減なことを言っているに違いない。もし、そうだとしても、何故?山根かおると一緒なのですか?山根かおるは、栄一を殺害しようとした一味の一人なんですよ・・・そんなバカな・・・」







■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654

■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/


■まぐまぐ ランキング

http://www.mag2.com/m/0000239491.html


=====================================================================


今、思うと、昨夜、純一郎が出かけて、海岸のほうへ行ったのは、車を林の中に完全に隠す準備をしていたのだ。

この日が来ることを予感していたと思う。

しかし、この謎の男は一体誰なのだ?

僕たちは、何の収穫もないままに、セブ警察へ戻るしかなかった。

セブ島の空港や、港への検問も強化された。しかし、個人の船をチャーターしたなら、簡単に島外に行くことはできる。僕たちは、完全に細い糸を切られたと感じていた。

「雪ちゃん・・・もう駄目だよ・・・な・・・どこかに逃げてしまったよ・・・」

と、岩崎弁護士が言う。

「えぇ・・・しかし、とんだ茶番ですよ・・・本当に・・・だから、田舎警察は信用できない。ここまで追い込んでいて・・・」と、僕は、苦虫を噛んだような顔をした。

マニラ警察にいる、新開刑事へも連絡をした。

事の成り行きを話すと・・・だから・・・この国は・・・・と怒り心頭である。

「雪ちゃん・・・俺が行けばよかったな? しかし、どうして・・・そんなホテルに行ったのだい? 殺すなら、どこでもいいじゃないか?それと、フランコは、何かしゃべったのか?・・・」と、新開刑事。

「そこなんですよ・・・無駄なことだと思っています・・・全く意味が分かりません・・・それと・・・フランコは、一言も話さないということです。今は、セブ中央警察の留置所にいますが・・・完全にだんまりです」

「そうか・・・こっちは、全員の取り調べが終わったよ。八千代と茂美と真奈美の話したことの整合性はある。殺害を提案したのは、徳野茂美だ。実行犯は、金田純一郎に間違いはないと思う。それにしても・・・やりきれない事件だよ。親子と愛人の息子が共謀して殺害した。それに・・・栄一を慕っていたフランコまでが・・・それにしても、金田栄一という男は、皆から慕われていたということだな・・・不思議な男だよ・・・まぁ・・・俺もそういう男だがな・・・ハハハ・・・なぁ・・・雪ちゃん?・・・」

「新開さん・・・何を言っているんですか・・・まだ、事件は終わっていない・・・しかも、始まろうとしているんですよ。そんなのん気なことは・・・」と、僕はあきれてしまった。

「あぁ・・・そうだったな・・・どうも現場にいないと緊張感がないな・・・俺は・・・ハハハ・・・俺の悪い癖だ・・・それと、明後日には、八千代と茂美と真奈美を日本へ連れて行くことになった。本庁からの命令だよ。ビビアンは、明日にでも釈放されるということだ。しかし、何だな・・・事件が終わっていないのに、日本に戻るとは情けない・・・代わりに、本庁から刑事が、マニラ署に来ることになるらしい・・・俺の役目は、ここまでということだよ。で、雪ちゃんは、どうする?残るか? 帰るか?・・・」

「何を言っているんですか? 事件は終わっていない・・・本庁なんて関係ないでしょ・・・新開さんらしくないですよ。誰かが、3人を連れて帰ればいいことでしょう? 僕は、解決するまでいますよ・・・でも、本庁の刑事が来たなら、僕はどうなるの・・・?」

「雪ちゃんのことは話しておいたよ。セブ島にも別の刑事が行くことになっている。担当の多摩西部署の刑事だ。心配はないよ。ここまでの経緯は、雪ちゃんのほうが詳しいから、雪ちゃんの指示に従うことと、大越刑事にも協力するように伝えている。心配はない・・・」

「何だか・・・新開さんが帰るとなると寂しいですよ・・・本庁は関係ないんじゃないですか?」

「本庁・・・関係ない・・・そんなことを言ってみたいものだよ。定年も近いし・・・あまり、ヘタなことをすると、定年後の再就職がな?・・・今回だけは、本庁国際課の命令だから無理だよ。俺も、飯を食っている以上は、本庁に逆らうと・・・飯が食えなくなる・・・あぁ・・・雪ちゃんは自由でいいなぁ・・・」

と、新開刑事は、今回ばかりは観念したようであった。

しかし、例の3人はどこに潜伏しているのだろう。その後、何の連絡もないままに一日が終わろうとしていた。









■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654

■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/

■まぐまぐ ランキング

http://www.mag2.com/m/0000239491.html


====================================================================


ここで、疑問が持ち上がった・・・

山根かおるは、何故?逃げたのであろうか?・・・逃げる必要はないのだ・・・

殺害の共犯として・・・逃げたのだろうか?

御手洗や浅田、倉重、さらには海野が殺されたということは知っているはずだ。

次に、殺されるのは自分だと思っていても不思議ではない。

だったら、警察に話して保護してもらうほうが一番安全なのではないのか?

そして、同じように海岸へ向かっている。何故だ・・・・?

僕たちも、その場所へ車を走らせた。

金田純一郎は、山根かおると事前に連絡を取っていたのだ。それも、金田栄一の息子だと自分の素性を出して・・・

山根かおるにしてみれば、青天の霹靂であったに違いない。

20年も前、過去として封印していた殺人。その殺された栄一の息子からの連絡は、どんなにか驚いてしまったと思う。

僕たちの車は、二人の車に追いついた。が、車の中には誰もいない。空にはヘリコプターが捜索している。

だが・・・ホテルで会い、そこで話をし、殺害したなら済むことではないのか?

それが、何故・・・海岸まで呼び出しているのだろうか?

僕は、また大きな疑問が頭の中で膨らんでいた。

僕たちは、車が放置されているあたりをくまなく探したが、発見することはできない。

空のへリコプターからも発見できないと無線が入った。

海岸の傍は、大きな熱帯の樹木が茂っている。この中に入り込まれたのなら空からの捜索も難しいと思う。

車を発見してから、1時間が経過しようとしていた。

僕は、大越刑事に警察犬を依頼したのだが、警察犬が来るまでは、3時間以上かかるという。

どこだ・・・どこに隠れているのだ・・・?

僕たちが必死で探している時に、3人は別の車に乗り換えていたのだ。

そんなことは何も知らないで・・・・捜索は続いていた・・・

一台の車に乗り換えた3人は、検問外へと逃げていたのだ。トランクの中に、純一郎と山根かおるが身を隠し、謎の男が運転していた。やすやすと検問外へ出られたのだった。

ダナオ警察の検問は、残念なことに、男2人と女1人という連絡になっていて、検問でも見過ごしていた。

こんなところで・・・楽天的になってどうするんだ・・・と・・・僕は、心の中で叫んでいた。









■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654

■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/


==================================================================




翌朝、動きがあった。

山根かおるが部屋を出て、チェックアウトしたのだ。朝の8時であった。

驚くことに、山根かおるの部屋からは、もう一人の男が一緒に出てきたという。




ホテル側に確認すると、宿泊人数は1名となっていた。



客を装って、山根かおるの部屋に入ったとしか考えられない。が、この男は何者なのであろうか?

年のころなら、60才ぐらいだと、尾行している刑事からの報告だ。しかも・・日本人のようである。

山根かおるは、ホテルを出て、駐車場へ向かった。男は、少し後ろをついていっていた。

車に乗り込み、

それから、10分ほどして、金田純一郎の部屋が開いた。

ホテルのフロントに確認してみると、チェックアウトするということであった。

僕たちも、部屋を出てフロントへ向かった・・・

ところが・・・僕たちの動きを察知されていたのかもしれない・・・

フロントで会計を済ませると、二人は別々の方向へ走りだしたのだ。

さらに、フランコは、純一郎を逃がすために、僕たちにピストルを向けた・・・大きな声で何か叫んでいた。

僕たちは、一瞬たじろいでしまった。大越刑事や他の刑事もピストルをかまえた。

が、他の客もいて、撃つことはできない。そうこうしているうちに、純一郎は逃げ延びてしまったのだ。

唯一、取り押さえることができたのは、フランコだけであった。

ピストルをかまえたのであるが、撃つ気はなかったようであった。

あくまで、純一郎を逃がすためのパフォーマンスであった。

一方、山根かおるを尾行していた刑事も、車を見失ったという連絡が入った。

一体、ここの警察は何をやっているんだ?・・・

結局、純一郎と山根かおる、謎の男は、逃がしてしまったのだ。

「フランコ・・・純一郎は、どこに行ったんだ?・・・」と、大越刑事は、大きな声で問い詰めるが、フランコは何も話そうとはしない。

何度聞いても、無言のままであった・・・

フランコは、ダナオ警察へ連行されることになった。

海岸線の道には、検問がしかれているので、純一郎の車と山根かおるの車は、逃げることはできないと大越刑事が言う。しかし、山のほうへ向かったなら・・・と、尋ねると・・・

「山へ行く道は一つしかありません。そこの道も私たち警察が押さえています。発見されるのも時間の問題でしょう・・・心配ないと思いますよ・・」と、ラテン的で楽天的な言葉であった。

しかし、心配ないと言われても、現実に、今、取り逃がしたではないか・・・

僕は、その言葉を全く信用できないでいた。

「雪ちゃん・・・失態だよな・・・さすが・・・フィリピンか・・・」と、岩崎弁護士もあきれている。

「・・・何とも・・・早く、部屋に入って任意同行でもしていたなら・・・こんなことには・・・最悪だよ・・・目の前にいたのに・・・」と、僕は、はき捨てるように呟いた。

ここで、何やかやと議論していても何も始まらない・・・僕たちも探すことになった。

逃げられるエリアは限られている。それも車であるから、道のないところには行くことができない。

このエリアには、4本の道がある。その全てにおいて検問を実施していた。

大越刑事が、何やら携帯電話で話し込んでいる。

しばらくして・・・大越刑事が・・・

「雪田さん・・・ヘリコプターを要請しました。空からも捜索します。これで逃げることは無理です。それと・・・万が一のために・・・純一郎の車と、山根かおるの車にはレーダー探知機を昨夜のうちに付けていたのです。皆さんには話していませんでしたが、これで、どこにいても追跡できます・・・」

「えっ・・・そんなこまでやっていたのですか? それなら、居場所は簡単に見つかりますよね?」

「はい・・・私たちも、手抜きはしていませんよ・・・相手は、殺人犯なのですから・・・それと、その殺人犯に殺されるかもしれない女ですから・・・ね・・・」と、少し、自慢げに僕の顔を見た。

ラテン的で楽天的な人たちだと思っていたが、やることはやっていたのだ。

僕たちは、探知機の示す場所を見た。2台の車は海のほうへ向かっていた。

国道を外れて、海岸の方へ向かっているのだ。










■勝汰章の著作刊行本

 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654


■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/


■まぐまぐ ランキング

http://www.mag2.com/m/0000239491.html




==================================================================-


深夜になっていた。

山根かおると、フランコの動きはない。山根かおるの部屋の前の部屋と、純一郎とフランコの部屋の前の部屋にも刑事が張り込み、様子を伺っているので、どのような動きがあったにせよ、確実に分かる。

僕は、一つの疑問が頭をよぎった。

もし、純一郎が山根かおるの車に、爆破の細工をしているのではないかと?・・・

そうであれば、山根かおるの車を調べてみたならば・・・いいのではないか?

しかし、深夜であり、車への細工を見つけることは困難だと思った。それと、車を調べている光景を、フランコにでも発見されたなら、全ては終わってしまう。

これから、どうしたものかと思案していた。

一方、マニラ署での取調べは終っていた。

徳野茂美とベニーノ真奈美は、おおかたの事実関係を白状していた。

大半の動機が解明されたことになる。

しかし、まだ、事件は終わってはいない。

深夜の2時になった。ホテルの駐車場で見張っていた刑事から、純一郎が戻ってきたと連絡が入った。

僕たちは、ざわめいた・・・。

純一郎は、エレベーターに乗り、部屋へ向かったという報告だ。

僕たちは、純一郎の部屋の前の部屋で待機していた。ほどなくして、エレベーターのドアの開く音がした。

コツコツと靴の足音が近づいてくる。

部屋の前で立ち止まり、ドアをノックしている。ドアが開いた・・・

僕は、少し開けたドアから外を見た。

・・・写真と同じ人物だ・・・間違いない・・・まぎれもなく、金田純一郎だ・・・

少しではあるが、フランコの横顔も見ることができた。

ドアが閉まり、二人は中にいることは間違いない。

「大越刑事・・・これから、どうなりますか?」と、僕は、武者震いしていた。

岩崎弁護士は、ソフアーに座って、テレビを見ながらタバコを吸っている・・・




殺人犯人がいるのに・・・それにしても図太い神経だ?

「任意聴取という形でもいいと思いますが、拒否されたなら・・・とにかく、様子を見るしかないと思います。それと、あの部屋からは逃げられないと思いますから、明日、部屋を出たところで任意同行をしたいと思っています。そちらのほうが間違いないでしょう?・・・今、踏み込んで、ピストルでも持っていて、部屋の中に閉じこもったりしたなら大きな問題ですから・・・」この、大越刑事の判断が大きなミスの引き金になってしまうのだ。

僕は、大越刑事の言う通りにするしかないと思った。

僕たちは、交互に仮眠をとった。しかし、岩崎弁護士は、ずっと眠っている。

それにしても、何故? 純一郎は出かけたのであろうか? それも・・・どこに?・・・