■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

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翌朝、動きがあった。

山根かおるが部屋を出て、チェックアウトしたのだ。朝の8時であった。

驚くことに、山根かおるの部屋からは、もう一人の男が一緒に出てきたという。




ホテル側に確認すると、宿泊人数は1名となっていた。



客を装って、山根かおるの部屋に入ったとしか考えられない。が、この男は何者なのであろうか?

年のころなら、60才ぐらいだと、尾行している刑事からの報告だ。しかも・・日本人のようである。

山根かおるは、ホテルを出て、駐車場へ向かった。男は、少し後ろをついていっていた。

車に乗り込み、

それから、10分ほどして、金田純一郎の部屋が開いた。

ホテルのフロントに確認してみると、チェックアウトするということであった。

僕たちも、部屋を出てフロントへ向かった・・・

ところが・・・僕たちの動きを察知されていたのかもしれない・・・

フロントで会計を済ませると、二人は別々の方向へ走りだしたのだ。

さらに、フランコは、純一郎を逃がすために、僕たちにピストルを向けた・・・大きな声で何か叫んでいた。

僕たちは、一瞬たじろいでしまった。大越刑事や他の刑事もピストルをかまえた。

が、他の客もいて、撃つことはできない。そうこうしているうちに、純一郎は逃げ延びてしまったのだ。

唯一、取り押さえることができたのは、フランコだけであった。

ピストルをかまえたのであるが、撃つ気はなかったようであった。

あくまで、純一郎を逃がすためのパフォーマンスであった。

一方、山根かおるを尾行していた刑事も、車を見失ったという連絡が入った。

一体、ここの警察は何をやっているんだ?・・・

結局、純一郎と山根かおる、謎の男は、逃がしてしまったのだ。

「フランコ・・・純一郎は、どこに行ったんだ?・・・」と、大越刑事は、大きな声で問い詰めるが、フランコは何も話そうとはしない。

何度聞いても、無言のままであった・・・

フランコは、ダナオ警察へ連行されることになった。

海岸線の道には、検問がしかれているので、純一郎の車と山根かおるの車は、逃げることはできないと大越刑事が言う。しかし、山のほうへ向かったなら・・・と、尋ねると・・・

「山へ行く道は一つしかありません。そこの道も私たち警察が押さえています。発見されるのも時間の問題でしょう・・・心配ないと思いますよ・・」と、ラテン的で楽天的な言葉であった。

しかし、心配ないと言われても、現実に、今、取り逃がしたではないか・・・

僕は、その言葉を全く信用できないでいた。

「雪ちゃん・・・失態だよな・・・さすが・・・フィリピンか・・・」と、岩崎弁護士もあきれている。

「・・・何とも・・・早く、部屋に入って任意同行でもしていたなら・・・こんなことには・・・最悪だよ・・・目の前にいたのに・・・」と、僕は、はき捨てるように呟いた。

ここで、何やかやと議論していても何も始まらない・・・僕たちも探すことになった。

逃げられるエリアは限られている。それも車であるから、道のないところには行くことができない。

このエリアには、4本の道がある。その全てにおいて検問を実施していた。

大越刑事が、何やら携帯電話で話し込んでいる。

しばらくして・・・大越刑事が・・・

「雪田さん・・・ヘリコプターを要請しました。空からも捜索します。これで逃げることは無理です。それと・・・万が一のために・・・純一郎の車と、山根かおるの車にはレーダー探知機を昨夜のうちに付けていたのです。皆さんには話していませんでしたが、これで、どこにいても追跡できます・・・」

「えっ・・・そんなこまでやっていたのですか? それなら、居場所は簡単に見つかりますよね?」

「はい・・・私たちも、手抜きはしていませんよ・・・相手は、殺人犯なのですから・・・それと、その殺人犯に殺されるかもしれない女ですから・・・ね・・・」と、少し、自慢げに僕の顔を見た。

ラテン的で楽天的な人たちだと思っていたが、やることはやっていたのだ。

僕たちは、探知機の示す場所を見た。2台の車は海のほうへ向かっていた。

国道を外れて、海岸の方へ向かっているのだ。