■勝汰章の著作刊行本


 「笑顔になるための246のことば」

  悲しみを乗り越える時に・・・

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■まぐまぐ ランキング

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今、思うと、昨夜、純一郎が出かけて、海岸のほうへ行ったのは、車を林の中に完全に隠す準備をしていたのだ。

この日が来ることを予感していたと思う。

しかし、この謎の男は一体誰なのだ?

僕たちは、何の収穫もないままに、セブ警察へ戻るしかなかった。

セブ島の空港や、港への検問も強化された。しかし、個人の船をチャーターしたなら、簡単に島外に行くことはできる。僕たちは、完全に細い糸を切られたと感じていた。

「雪ちゃん・・・もう駄目だよ・・・な・・・どこかに逃げてしまったよ・・・」

と、岩崎弁護士が言う。

「えぇ・・・しかし、とんだ茶番ですよ・・・本当に・・・だから、田舎警察は信用できない。ここまで追い込んでいて・・・」と、僕は、苦虫を噛んだような顔をした。

マニラ警察にいる、新開刑事へも連絡をした。

事の成り行きを話すと・・・だから・・・この国は・・・・と怒り心頭である。

「雪ちゃん・・・俺が行けばよかったな? しかし、どうして・・・そんなホテルに行ったのだい? 殺すなら、どこでもいいじゃないか?それと、フランコは、何かしゃべったのか?・・・」と、新開刑事。

「そこなんですよ・・・無駄なことだと思っています・・・全く意味が分かりません・・・それと・・・フランコは、一言も話さないということです。今は、セブ中央警察の留置所にいますが・・・完全にだんまりです」

「そうか・・・こっちは、全員の取り調べが終わったよ。八千代と茂美と真奈美の話したことの整合性はある。殺害を提案したのは、徳野茂美だ。実行犯は、金田純一郎に間違いはないと思う。それにしても・・・やりきれない事件だよ。親子と愛人の息子が共謀して殺害した。それに・・・栄一を慕っていたフランコまでが・・・それにしても、金田栄一という男は、皆から慕われていたということだな・・・不思議な男だよ・・・まぁ・・・俺もそういう男だがな・・・ハハハ・・・なぁ・・・雪ちゃん?・・・」

「新開さん・・・何を言っているんですか・・・まだ、事件は終わっていない・・・しかも、始まろうとしているんですよ。そんなのん気なことは・・・」と、僕はあきれてしまった。

「あぁ・・・そうだったな・・・どうも現場にいないと緊張感がないな・・・俺は・・・ハハハ・・・俺の悪い癖だ・・・それと、明後日には、八千代と茂美と真奈美を日本へ連れて行くことになった。本庁からの命令だよ。ビビアンは、明日にでも釈放されるということだ。しかし、何だな・・・事件が終わっていないのに、日本に戻るとは情けない・・・代わりに、本庁から刑事が、マニラ署に来ることになるらしい・・・俺の役目は、ここまでということだよ。で、雪ちゃんは、どうする?残るか? 帰るか?・・・」

「何を言っているんですか? 事件は終わっていない・・・本庁なんて関係ないでしょ・・・新開さんらしくないですよ。誰かが、3人を連れて帰ればいいことでしょう? 僕は、解決するまでいますよ・・・でも、本庁の刑事が来たなら、僕はどうなるの・・・?」

「雪ちゃんのことは話しておいたよ。セブ島にも別の刑事が行くことになっている。担当の多摩西部署の刑事だ。心配はないよ。ここまでの経緯は、雪ちゃんのほうが詳しいから、雪ちゃんの指示に従うことと、大越刑事にも協力するように伝えている。心配はない・・・」

「何だか・・・新開さんが帰るとなると寂しいですよ・・・本庁は関係ないんじゃないですか?」

「本庁・・・関係ない・・・そんなことを言ってみたいものだよ。定年も近いし・・・あまり、ヘタなことをすると、定年後の再就職がな?・・・今回だけは、本庁国際課の命令だから無理だよ。俺も、飯を食っている以上は、本庁に逆らうと・・・飯が食えなくなる・・・あぁ・・・雪ちゃんは自由でいいなぁ・・・」

と、新開刑事は、今回ばかりは観念したようであった。

しかし、例の3人はどこに潜伏しているのだろう。その後、何の連絡もないままに一日が終わろうとしていた。