『ひめゆり』と沖縄戦
今年も、皆さんから頂いたご感想やSNSで読んだものの中からピックアップして、沖縄戦と向き合ってみたいと思います。
○ウチナーグチ(沖縄の方言)が歌詞に一切なく、沖縄の郷土音楽の音色や音階もないのは、明らかに後世の人、本土の人へ向けたメッセージを持っていると思う。
ツイッターで見つけたご感想です。この方の素敵な解釈にビックリ!😊確かに、この作品を観る人は沖縄の方々より本土の人の方が多いわけで、ポップオペラという次々に流れていく展開の中ではわからない言葉があってもそれについて考える暇もなくつぎのシーンがやってくる。ならば誰もがわかる言葉でストレスなく物語を紡いでいくのが良い、ということですかね。年配のお客様が、「シンガポールとカタカナ読みするのはおかしい」と指摘していたというツイートも拝見しました。これも同じ理由ではないかしら…。
わたしが初めてミュージカル『ひめゆり』を観た8年前の感想に、生意気にも「沖縄音楽も聴きたかった」というのがまずありました。観に来てくれた知人にも同じように言われたことが何度かあります。ウチナーグチについても。
出演する側になってみて、わたしが「こういうことかな?」と考えた解釈としては、、、
明治以来、本土への同化を強要された沖縄の「方言禁止・標準語励行運動」や「皇民化教育」を表しているのではないか、ということです。
皇民としての“自覚”を人びとの心のすみずみにまで徹底して及ぼそうというこの時期には、学校では方言を使用したものに「方言札」という罰札が配布されたりしました。
だからでしょうか、ひめゆり学徒の生存者の方々の手記などを読んでいても、あまり方言は出てきません。たとえば宮良ルリさんの本には、ガス壊疽菌が傷口から入り頭まで侵されてしまった少年兵が、
「アッパー、アッパー」
と八重山方言で母親を呼びながら亡くなったという記述があります。ほかにわたしが台本や楽譜、ノートにメモしてあるのは、
・幼い子が逃げるのに疲れて立ち止まっている時に母親が叱った言葉
「ウッチャンギーンドー」おいていくよ
・「アンダマース」
豚油と塩をまぜたもの。しみてひどく痛いが、つけていないとウジがわく。
・家族で集団自決しようと手榴弾を持っていた兄に向けて母が叫んだ言葉
「死ぬせーいちゃてぃんないさ。生ちかりるーうぇーかや、生ちちゅしゃさ。ぬちどぅたからやさ」
死ぬのはいつだってできる。生きられる間は生きなくてはいけない。命は宝
などです。お母さんがとっさに、方言を喋っていることが多いのかなぁなんて思います。余談ですが、お稽古場で自分が出ていないシーンを見ている時に「わたしだったらどう演じるかなぁ」と考えることも多いのですが、わたしがサチだったら、泣き止まない赤ん坊をあやす時に沖縄の子守唄を歌ってあげたくなるなぁと昨年のお稽古場からずっと思っています(そんなことをしたら益々滝軍曹にスパイだと決めつけられてしまいそうですが)。方言には母親のあたたかさというのが感じられるのかもしれませんね。
さて、方言もそうですが、沖縄の文化や歴史についてとても興味がわいたわたしは、今年沖縄出身の人物を演じることが続いたのもあり、沖縄県の歴史をかなり遡って勉強したのですが、その中でM14「沖縄の悲劇」という民衆のナンバーで歌われる
「支配され 利用され 見捨てられた沖縄」
という歌詞に込められた想いをたぐるヒントを得られました。
この歌詞は戦時中の、日本軍の作戦により本土決戦までの時間稼ぎのために捨て石にされた沖縄、という意味合いももちろんあると思います。でも、もう少し遡ってみると…
1609年、薩摩藩の島津氏が兵を出し、琉球を征服。これは、明が豊臣秀吉の朝鮮侵略以来日本との貿易を禁止していた中で、中国貿易でさかえていた琉球を支配して利用するためでした。
島津と首里政府は、中国に対しては、琉球が島津の支配下にある事を隠していました。日本との貿易をおそれていた中国に薩摩に隷属していることが発覚すれば通交を拒絶されるとみたからです。
いっぽう島津氏は、幕府や本土諸藩に対して、ことごとに琉球という“異民族国家”を領有していることを誇示していました。
沖縄人は、中国人でもなければ日本人でもない、宙ぶらりんな「琉球人」として行動することを強いられたのです。
こうして琉球王国は、島津入りから280年ものあいだ、中国貿易の利潤は薩摩にかすめとられ、民衆は薩摩と首里王府の二重の収奪、過酷な支配にあえぎながら明治維新をむかえます。
1871年の廃藩置県で、琉球はいちおう鹿児島県の所管になります。そして、沖縄が日本のみに専属していることを公然化させるため、清国との朝貢関係を断ち切らせるための処置を実行していきます。「琉球処分」です。1879年、明治政府は警官160名・歩兵大隊400名を出動させ、王族および上層士族の抵抗を抑圧し、琉球藩を廃して沖縄県を置きました。
沖縄の王族・上層士族など旧支配層は封建的特権を失うことをおそれて置県処分に強く反対しました。しかし、首里王府と薩摩藩の二重支配による過酷な搾取に苦しめられていた農民はなんらかの変革を望んで、明治政府の新政に期待を寄せていました。
ところが、民衆の期待は裏切られてしまう。置県後の県政も旧時代の重税と圧制がつづいたのです。
(山川出版社 県史シリーズ「沖縄県の歴史」より)
わたしはこのあたりの沖縄の歴史も、この歌詞には込められているのではないかと思います。
皇民化教育についてわたしが興味深かったものは、沖縄戦関係資料閲覧室で読んだ「沖縄戦と教育」という本に載っていた、沖縄師範学校の生徒たちのやりとり。
・「教育心理」の時間におもしろい豆テストがあった。出題は、
「この戦争は必ず勝つ。その理由は、
一、日本は神国だから
二、日本は地理的条件が良いから
三、日本国民は優秀性を持っているから
あなたが教壇に立った時、一〜三のどの理由をあげて生徒に説明するか」
というものであった。
「日本は必ず勝つ」これは私たちの心からの前提であった。後日友人の間でその話題が出て、「神国だから」を取り上げたと聞いて「本気で?点数がよくなるから?」と揶揄的な口調で追求したら、彼女が怪訝な顔をしたのでハッとして口をつぐんだ。
生徒たちの中で日本が必ず勝つという想いは全員一致であっても、神国だからという教えを心から信じている子もいれば、そうではない子もいたのですね。
このエピソードを読んで、わたしのはるちゃんだったらどれを選ぶかなぁと、役作りに活用させて頂きました。
いきなりマニアックな内容を思いのほか長々と綴ってしまいました(笑)
今回はこのへんで。
写真は、沖縄の食文化、ということで
ラフテーすば。もずく天ぷら。
みんなとよく沖縄料理を食べたのも良い想い出です☺️💕
あかねはる
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