「小池さんは軍事政権を手本にしているのではないか」 小池都知事を刑事告発した元側近が語る“専制政治”の恐ろしさ
今月20日に告示された東京都知事選挙。小池百合子都知事(71)の学歴詐称問題について刑事告発した元「都民ファーストの会」事務総長の小島敏郎氏が語った、小池氏に投票することの危険性とは
誰しも初めての戦いでは「チャレンジャー」です。今回の蓮舫さんと同じく、小池さんも2016年の初陣では挑戦者として、当時のエスタブリッシュメントだった自公体制をリセットすべく挑みました。もっともそうした候補者は、自民や労組といった組織を基盤とする支持は得られないため、もっぱら無党派層への浸透を狙うものです。
私は小池さんを思想信条のない人だと言い続けてきました。彼女は、当選を果たすために何が必要かによって、打ち出す言葉や政策を縦横無尽に変える。これに対しては「有権者の意見を臨機応変に吸い上げている」という積極的な評価もある一方で、多くの人の期待を裏切ることになります。
「勝つための手段に過ぎない政策」
端的な例として、かつて率いた希望の党では「2030年までに原発ゼロ」という政策を掲げていました。といっても、当時は国政復帰を画策するにあたり、安倍(晋三)さんを払いのけなければならず、安倍さんと考えを異にする小泉(純一郎)さんを味方につけようと考えた。だから原発廃止となったわけで、決して信念に基づいた政策ではない。勝つための手段に過ぎなかったのですが、もう誰も覚えていないでしょう。「ゼロ公約」は響きのよいコマーシャルと同じで、「満員電車ゼロ」はJRなのか都営地下鉄なのかも不明。具体的な政策も年次計画もないただの夢でしかありません。それでも小池さんからすれば「夢を買って私に投票してくれたのだからよかったじゃない」といったところでしょう。
「専制政治」
挑戦者で始まった小池さんは8年たって権力者になり、当初掲げていた「都庁記者クラブの開放」も、今では「そんなこと言いましたっけ」と意に介さない。都民に知らせず意見を聞かず、利権集団だけで都政を動かしても誰も何も言えない「専制政治」、これが「女帝の都政」です。
組織票に支えられるエスタブリッシュメントにとって、投票率が上がっては都合が悪い。今回の選挙戦では、小池さんはほとんど表に出てこないのではないかと予想しています。自民に公明党、連合の支持まで取り付けて、投票率が下がればなおいい。公開討論会などで選挙戦が盛り上がっては困るのです。16年の初戦は無党派の票を取り込み、2期目の20年は自民票を取って安定都政を作る。そして今回は連合と組んで立憲民主党の頭と胴体を分裂させるのが目標でしょう。現在進めている「カスハラ防止条例」の制定は、連合への“毒まんじゅう”となったわけです。
私は小池さんを思想信条のない人だと言い続けてきました。彼女は、当選を果たすために何が必要かによって、打ち出す言葉や政策を縦横無尽に変える。これに対しては「有権者の意見を臨機応変に吸い上げている」という積極的な評価もある一方で、多くの人の期待を裏切ることになります。
「勝つための手段に過ぎない政策」
端的な例として、かつて率いた希望の党では「2030年までに原発ゼロ」という政策を掲げていました。といっても、当時は国政復帰を画策するにあたり、安倍(晋三)さんを払いのけなければならず、安倍さんと考えを異にする小泉(純一郎)さんを味方につけようと考えた。だから原発廃止となったわけで、決して信念に基づいた政策ではない。勝つための手段に過ぎなかったのですが、もう誰も覚えていないでしょう。「ゼロ公約」は響きのよいコマーシャルと同じで、「満員電車ゼロ」はJRなのか都営地下鉄なのかも不明。具体的な政策も年次計画もないただの夢でしかありません。それでも小池さんからすれば「夢を買って私に投票してくれたのだからよかったじゃない」といったところでしょう。
「専制政治」
挑戦者で始まった小池さんは8年たって権力者になり、当初掲げていた「都庁記者クラブの開放」も、今では「そんなこと言いましたっけ」と意に介さない。都民に知らせず意見を聞かず、利権集団だけで都政を動かしても誰も何も言えない「専制政治」、これが「女帝の都政」です。
組織票に支えられるエスタブリッシュメントにとって、投票率が上がっては都合が悪い。今回の選挙戦では、小池さんはほとんど表に出てこないのではないかと予想しています。自民に公明党、連合の支持まで取り付けて、投票率が下がればなおいい。公開討論会などで選挙戦が盛り上がっては困るのです。16年の初戦は無党派の票を取り込み、2期目の20年は自民票を取って安定都政を作る。そして今回は連合と組んで立憲民主党の頭と胴体を分裂させるのが目標でしょう。現在進めている「カスハラ防止条例」の制定は、連合への“毒まんじゅう”となったわけです。
軍事独裁政権かと見紛うような言い回し
私は「文藝春秋」(24年5月号)で小池さんの学歴詐称をあらためて告発しましたが、本人は1976年10月にカイロ大学を卒業したとしているのに、会見で示された卒業証書には学位授与は12月とある。さらに、これを誰も問題にしていないのだから不思議です。
先頃は公約について「首都防衛」と口にし、これまでも「粛清」「排除」といった発言がありましたが、いずれも軍事独裁政権かと見紛うような言い回しです。彼女がカイロで過ごした5年余りは、人格の形成に大いに影響したことでしょう。青年期の体験や思想は、その後の言葉の選び方に色濃く反映されます。あるいは民主主義ではなく、エジプトのサダトの軍事政権を手本としているのではないかとさえ感じます。
私は今回の選挙公報の「カイロ大学卒」という記述の有無を見る前に、50年近くにわたって「首席で卒業」とうそをついてきた小池さんを刑事告発しました。そうした虚飾に周囲はあっさりだまされ、本人は味をしめてマスメディアを使いながら生きていくという人生の方向性が決まった。それなのに世間は「うそなのだろうけど証明できないから仕方ない」と諦めてしまっている。これは大変なピンチです。専制政治とは、有権者による諦めに支配されることで進んでいくのです。
小島敏郎 元「都民ファーストの会」事務総長
私は「文藝春秋」(24年5月号)で小池さんの学歴詐称をあらためて告発しましたが、本人は1976年10月にカイロ大学を卒業したとしているのに、会見で示された卒業証書には学位授与は12月とある。さらに、これを誰も問題にしていないのだから不思議です。
先頃は公約について「首都防衛」と口にし、これまでも「粛清」「排除」といった発言がありましたが、いずれも軍事独裁政権かと見紛うような言い回しです。彼女がカイロで過ごした5年余りは、人格の形成に大いに影響したことでしょう。青年期の体験や思想は、その後の言葉の選び方に色濃く反映されます。あるいは民主主義ではなく、エジプトのサダトの軍事政権を手本としているのではないかとさえ感じます。
私は今回の選挙公報の「カイロ大学卒」という記述の有無を見る前に、50年近くにわたって「首席で卒業」とうそをついてきた小池さんを刑事告発しました。そうした虚飾に周囲はあっさりだまされ、本人は味をしめてマスメディアを使いながら生きていくという人生の方向性が決まった。それなのに世間は「うそなのだろうけど証明できないから仕方ない」と諦めてしまっている。これは大変なピンチです。専制政治とは、有権者による諦めに支配されることで進んでいくのです。
小島敏郎 元「都民ファーストの会」事務総長
「自分の都合の良いように言葉をもてあそぶな」 キャスター・吉川美代子が小池都知事を辛口批判
今月20日に告示された東京都知事選挙。現職の小池百合子都知事と対抗馬の蓮舫議員はともに元キャスターだが、キャスターの吉川美代子氏が分析した両候補者の弱点とは
***
蓮舫さん自身に何かを伝えたいという気持ちがあるのは分かるのですが、相手を納得させる話し方ではありません。青筋を立てて、とにかく大きな声で主張をする。発言内容も断定的だし、これみよがしみたいな印象を受けます。
言葉がボールだとしたら、相手の心のミットをめがけて投げかける。そのように話せるのがベストですが、蓮舫さんの場合は心のミットにスパッと入る言葉を投げるのではない。相手に向かってどこでもいいからと何球も全力投球してしまう。そうなれば、相手はボールを受け止められないどころか避けてしまいますよね。
しかも蓮舫さんは、一音一音をハッキリと言おうとしているから、口にものすごく力が入っている。唇周りがこわばっているというか、尋常じゃない力が入っているのが見て分かります。
人が心からの言葉を伝えようとすれば、発音とかに気を配る余裕などなく、必死に表現しようとする姿勢になります。たとえ言葉がハッキリとしていなくても、声がかすれていたとしても、心から発している言葉は、相手の心のミットにダイレクトに入っていくものなのです。
相手を小馬鹿にしたような態度
それに対して小池さんは、ニュースのタイトルになりそうな言葉をパッと思い付くのには長けています。
環境大臣時代の「クールビズ」、都知事になってからは「3密」など、印象に残るフレーズをパンと掲げます。しかし、それは相手の心のミットをめがけてボールを投げているのではなく、ボールを投げるフォームの格好良さだけ気にしているように見えます。
真剣に考えた心からの発言であれば、今とは違う話し方になるはずです。誠実に説明を尽くして伝えようとするのが政治家の役割ですよね。また会見の映像を見ていると、上から目線で相手を小馬鹿にしたように話しているのが垣間見える。質問への回答を言い終えた後とか、目は笑っていないのに、口角だけニッて上げていますよね。そういうところにも居心地の悪さを感じます。
そもそも有権者の命や生活が関わることを話すのに、標語のようなフレーズがスラスラと出てくること自体が変ですし、ワンワードでズバッと言い切ることはできないはずです。
それなのに小池さんは新聞やテレビで取り上げられるスローガン的な言葉を発して、なんだか言葉遊びをしているようで心に響かない。自分の都合の良いように言葉をもてあそぶなって思ってしまいますね。
吉川美代子 キャスター
「週刊新潮」2024年6月27日号 掲載
蓮舫さん自身に何かを伝えたいという気持ちがあるのは分かるのですが、相手を納得させる話し方ではありません。青筋を立てて、とにかく大きな声で主張をする。発言内容も断定的だし、これみよがしみたいな印象を受けます。
言葉がボールだとしたら、相手の心のミットをめがけて投げかける。そのように話せるのがベストですが、蓮舫さんの場合は心のミットにスパッと入る言葉を投げるのではない。相手に向かってどこでもいいからと何球も全力投球してしまう。そうなれば、相手はボールを受け止められないどころか避けてしまいますよね。
しかも蓮舫さんは、一音一音をハッキリと言おうとしているから、口にものすごく力が入っている。唇周りがこわばっているというか、尋常じゃない力が入っているのが見て分かります。
人が心からの言葉を伝えようとすれば、発音とかに気を配る余裕などなく、必死に表現しようとする姿勢になります。たとえ言葉がハッキリとしていなくても、声がかすれていたとしても、心から発している言葉は、相手の心のミットにダイレクトに入っていくものなのです。
相手を小馬鹿にしたような態度
それに対して小池さんは、ニュースのタイトルになりそうな言葉をパッと思い付くのには長けています。
環境大臣時代の「クールビズ」、都知事になってからは「3密」など、印象に残るフレーズをパンと掲げます。しかし、それは相手の心のミットをめがけてボールを投げているのではなく、ボールを投げるフォームの格好良さだけ気にしているように見えます。
真剣に考えた心からの発言であれば、今とは違う話し方になるはずです。誠実に説明を尽くして伝えようとするのが政治家の役割ですよね。また会見の映像を見ていると、上から目線で相手を小馬鹿にしたように話しているのが垣間見える。質問への回答を言い終えた後とか、目は笑っていないのに、口角だけニッて上げていますよね。そういうところにも居心地の悪さを感じます。
そもそも有権者の命や生活が関わることを話すのに、標語のようなフレーズがスラスラと出てくること自体が変ですし、ワンワードでズバッと言い切ることはできないはずです。
それなのに小池さんは新聞やテレビで取り上げられるスローガン的な言葉を発して、なんだか言葉遊びをしているようで心に響かない。自分の都合の良いように言葉をもてあそぶなって思ってしまいますね。
吉川美代子 キャスター
「週刊新潮」2024年6月27日号 掲載