トーア復元研究所へのご依頼は
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では昨日の「色の三原色」の話から戻って、2着目のジャケットの変色直しです。 最初はこういう状態でした。 ひどく黄色味が目立っています。
黒いボールペンのようなシミを取ろうとしみ抜きしたら周囲が黄ばんでしまった、という感じです。
そこで、昨日の知識を基に考えると、まず黄色味を紫色を乗せることで消します。 その後、周囲の色に合わせて淡いベージュ色を乗せていくことで黄ばみを見えなくするのです。 ちなみにベージュ色は「黄色+オレンジ+黒」の3種類の染料を分量を調整して作ります。 黄色が多ければ明るいベージュに、黒が多ければ暗いベージュになります。 オレンジが多ければ・・・・ それは絵の具か何かで試してみてください(笑)。
ではその結果、出来上がったのがこちらです。
ほとんど目立たなくなりました。 これならご依頼主も安心してお客様にお返しできるでしょう。
今回、変色の原因はお聞きしませんでしたが、染み抜きが原因だったとすると、それってけっこうよくあるケースなのです。 染み抜きしたら、それまで無かった黄ばみが出現する・・・ということは、例えば漂白剤を付けた後、中和が不十分だった、とかもともと衣類に使用されていた染料が染み抜き剤と反応した、などいろいろ考えられます。 クリーニング業者で「うちは染み抜きはやりません」と言っているところは、おそらく過去にそういう経験をして弁償が続いた・・・などがあったのかも知れません。 それほど染み抜き一つとっても大変難しい作業だと言えます。 一方、色掛けが出来ることで、脱色、変色をある程度直すことが出来るので、染み抜き技術+色掛けというのは、セットで覚えなければならない技術だと言えます。
ではまた明日。 別のご依頼品をご紹介いたします。
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