トーア復元研究所へのご依頼は
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脱色したスカートを染める
ご依頼品の到着
今回は大阪のクリーニング屋さんからのご相談でした。 「洗ったらところどころスカートの色が抜けてしまったんですが、直りますか?」というお電話の後、ご依頼品が到着しました。
開けてみましょう。
中には丁寧なお手紙も・・・
余談ですが、私もクリーニング会社のクレーム担当をしていたので、こういう丁寧なお手紙を見ると思うのですが、こういう立場の方は得てして現場の運営や人事管理などで大忙しで、クレーム対応は隙間時間や残業で対応するしか無いのが一般的だと思います。 昼間の現場管理の際もこういったクレーム品があると気が気ではありませんし、その対応が残業で、となると仕事中もずっと気が重いものです。 その上、残業でこのようなワープロソフトで書いたような立派な手紙を作成することなど、心労が増すばかりだったのを覚えています。 なので、こういった丁寧なお手紙を見ると、「あぁ・・・もう手書きでもいいし、電話で口頭で内容を伝えて、後は品物だけ送ればもっと気が楽になっただろうなぁ・・・・」と大変気の毒に感じてしまいます。
お店から「返品」されてきたようです。 つまりお客様が「こんな風になってなかった!」とお怒りモードだということが分かります。 工場内で洗ってすぐ気づいたなら、「返品」というタグは付きませんから・・・
全体にひび割れたような脱色が発生しています。
このような脱色が起こる原因は、クリーニング工程で脱水(ドライクリーニングの場合は脱液と言う)を強く行ったためです。 短時間、例えば10秒程度であれば、このような脱色はまず起こりません。 ところがドライクリーニングの機械はプログラムで普通数分間の脱液を行いますから、これ一点だけクリーニング処理して、脱液の時にすぐ止めて洗濯機から出す、という方法を取らないとなりませんが、実際問題、そこまでスカート1点に気を使ってクリーニングすることは困難です。 結果、このスカートのように脱液で脱色するものは、即、事故品となってしまうのです。
フォクシーのスカートです。 これはご依頼主も焦ったことでしょう・・・
では明日からこのフォクシーのスカートに発生した脱色を直す工程をご覧に入れましょう。 今回は「全体染め」でスカートの色を元に戻そうと思います。
染料にスカートを丸ごと浸ける
では大きな容器に大量の染料を調合し、その中にご依頼品のスカートを丸ごと入れてしまいましょう。 詳しくはこちら。
乾燥後、アイロン仕上げして完成
一晩干してから翌日アイロンでシワなどを伸ばせば全体染め完了となります。 写真付きの詳しい解説はこちら。
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