ロジカルシンキング
子会社に出向していたとき、そこの社長がすごくこだわる性格だったので、すごく苦労した。会議は昼の13時に始まって24時に終わるなんてこともざらで、一つ一つの案件を徹底的に吟味された。かなり万全な準備をしても、思いもよらない視点から判断され、絶句してしまうこともしばしば。一度で案件が通ることはほとんどなく、継続審議案件がどんどん積み重なっていった。会議参加者は、議論でひどく打ちのめされた敗北感と長時間の会議により疲労困憊となる。特に管理者でメンタル不全となる人が続出していた。
深く強く考える姿勢は今でも驚嘆するところが多いが、スピードを重視するIT系のしかも小規模の会社で、この意思決定の遅さは致命的だと常々考えてきた。現在その会社は、IT企業の割には急成長しなかったものの、着実に少しずつ成長を続ける会社として存続している。その会社発足の趣旨(とんがった新しい技術を元に市場を席巻する)からは大きく外れているが、それはそれで、成功と言えるのかもしれない。
このような議論を重んじる社風と当時の論理的思考本ブームにより、その会社でもロジックツリー、ミッシーといった用語が連発されるようになった。「何を考えるかをまず考える」なんて言葉も頻出し、今となっては小賢しい会社だと思うが、何かものごとを進めるためには(僕は基本的にはものごとを進めるのが仕事だと思っている-それは時には撤退を進めることになるかもしれないけど)この思考法が必要なので僕も必死だった。
後になって、論理というものは前提が違えば、その過程がいくら正しくても間違った結論を導くということを身をもって学ぶことになった。確かにロジカルシンキングは大切だが、それ以上に意思決定者が納得して受け入れることのできる前提に何をおくかという、「察知力」というか「空気を読む力」がより重要だと最近では考えるようになっている。
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間違い探し
長男の影響を受けてか、最近3歳の次男も絵本などの間違い探しに興味を持ち始めている。休日にゆっくり眠っていると、「上と下ではどこが違う?」などといきなりたたき起こされて結構困っている。また、幼児向きの割には意外と難しく、ついつい面倒くさくなって、「こいつが人として間違っている」とか「この本の出版方針が間違っている」などとヤケクソな答えを言っては子どもたちを困惑させ、奥さんに叱られている。
いまさらの話だが、先日「レイトン教授と悪魔の箱」をクリアした。前作と同様に、ミステリアスなストーリー展開と巧みな演出、謎解き問題の適度な難易度と非常にゲームバランスがいい。最近、DSで特にやりたいゲームがなかったが、本作は久しぶりに、やりがいのあるゲームだった。
本作で新たに導入されたシステムとして、2枚の写真の間違いを探すという謎が追加されている。この謎が子どもたちには好評で、嬉々として解いていた。帰省の新幹線の中で、子どもたちが退屈してけんかを始めたので、やむなくDSを出してこの謎を実演したところ予想通りのハマリようだった(ふだんは子どもの前ではゲームを極力しないようにしているのだが、今回は非常事態と自分を納得させている-奥さんには白い目で見られたが)。
さすがに子どもたちは頭がやわらかく、結構間違いを見つけてくれた。さらに長男はスライドパズル(ボールやあるパーツを出口から外に出すという、旅館などでよくおいてある木でできたパズルと同じ方式のもの)も得意で、僕が解けない問題も知らぬ間に解いていて何度か驚かせられた。これを機に子どもたちがゲームにはまらないか、少し心配だが、3歳の子どもから、40前のおじさんまで、一緒に楽しめるゲームはそう多くはないので、そういう意味でも本作の完成度は高いと思う。
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デメキング
未完に終わった、または完成までに長い時間がかかったために伝説的存在となった作品がある。
代表的なものは音楽でいうとビーチ・ボーイスの「smile」。2004年にブライアン・ウイルソンが完成させるまで、37年もの間未完の傑作とされていた。その他にザ・フーの「ライフハウス」なんかも未完に終わったが故に話題になった作品だ。映画で言えば、スター・ウォーズのエピソード1~3および7~9。1~3はご存知の通り製作されたが、後にジョージ・ルーカスによりスター・ウォーズシリーズは6部作と訂正されているので、7~9が製作されることは多分ないだろう。小説で言えば、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」に続編の構想があったという話。これは、もし実現していたとしたら是非読んでみたかった。
これらの作品と並び称してよいかどうか少し悩むが、いましろたかし先生の「デメキング」も長らく未完の大作と一部のマニアの間で盛り上がっていた作品だ。「20数年後の未来の自分から来た(ように思える)メッセージを元に、謎の怪物デメキングと戦うための準備を上京して黙々と行うストイックな主人公」という設定はいかにも面白そうだ。
いましろたかしさんは「ハーツ&マインド」や「ザ・ライトスタッフ」といった、持たざるもの(才能、容姿、経済的に明らかに不利な人たち)の空回り気味の日常生活を時にハイテンションに、時にゆるーく描く作風が特徴で、僕は学生時代にこれらの本を先輩から借りてずいぶん影響を受けた。この「デメキング」でもそのようなどうでもよい日常がたんたんと描かれ、随所に、未来の怪獣の襲来を予感させるような伏線が張られていく。怪獣襲来の予感だけ高めておいて怪獣自体はほとんど描かれることなく、突然連載終了となったために長らく伝説的存在となっていた。15年の歳月を経て、昨年完結版が発売されたが、これを完結と読んでいいのかどうかは賛否がわかれるところだ。しかし、この完結のさせ方はある意味伝説となるだろう。
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