Little Friends -582ページ目

チュン太へ…②

(続き)親たちは、場所を変えながら、チュン太を呼び続ける。
チュン太の声も姿もない。

僕は親の後を追いながら、最悪の事態になってしまったことをはっきりと悟った。

力強く屋根まで飛んだものの、すぐ近くにカラスがいたのだろう。あのチビスズメでは、悲鳴をあげた次の瞬間には絶命したに違いない。

親たちは店の裏の電線にとまって、なおもチュン太を呼び続けている。

その姿を見上げたまま、僕はチュン太が現れないかと必死で願い続けた。

親たちが飛び立った。場所を変えるのではなく、一目散に飛んでいってしまった。あきらめたのだ。

親があきらめた以上、もうなすすべがない。

…涙が出てきた。

小さな命を助けたつもりが、死に追いやってしまった。

しかも、親に再会できた直後に命を落とすという、最悪の結末になってしまった。

チュン太を見つけた時、すぐに写メを撮った。恰好のブログネタができた、と思ったからだ。

実は、小さな命に真剣に向き合っていなかった。

そんな不純な気持ちだから、あんな小さな子スズメすら助けられなかったのだ。

悔やんでも悔やみきれない。

ブログなど、やめてしまおうと思った。(続く)

チュン太へ…①

チュン太が死んだ。

はっきり確認できないが、状況から考えてそう判断せざるを得ない。

アイツを死なせたのは僕だ。

あの日曜日、さんざん迷ったあげく、チュン太にたらふくパンを食べさせてから、リュックに入れてマックスバリュに向かった。

もし親がいれば、風が強くなければ、親のもとに帰そうと思った。

チュン太を見つけた場所に行くと、親らしきスズメがいる。リュックからチュン太を出すと、すぐに気づき、僕を威嚇しながら近くに寄ってきた。チュン太も、親を呼んでいる。

チュン太を指に乗せると、すぐに羽ばたいて、親が両側から寄り添うように屋根に飛んでいった。昨日とは違って、ちゃんと飛べた。

よかったなぁと屋根を見上げた瞬間、「ギャー」という声。屋根から転げ落ちるように飛び出したスズメが二羽、そして同時に横切った黒くて大きな影。

カラス!

カラスの姿は一瞬で見えなくなったから、何が起きたのがわからない。でも、あの悲鳴はチュン太を捕まえた時にも聞いた。

まさか…。

親が僕を見つけ、威嚇する。でも、僕のもとにはもうチュン太はいない。

親もそれに気づいたらしく、短く何度も鳴き始めた。ヒナを呼ぶ声だ。(続く)

新々・わが家の扶養家族~チュン太⑨

(続き)バカスズメどもが争うようにチーズ蒸しパンを食べる様子を、チュン太は網戸にへばりついて見ている。

チュン太はさかんに鳴いて呼びかけるが、外にいるバカスズメどもは、ちら、とチュン太を一瞥しただけで、あとは夢中でパンを食べている。

人間なら、

「キミ、どこの子?」

くらい気にかけるが、鳴声で自分の子供ではないと判断したとたん、大人のスズメたちは冷酷に無視する。野生の世界とは、厳しいものだ。

中には、チュン太を威嚇するヤツすらいる。

これじゃ仲間入りどころか、袋叩きに遭いかねない。

必死で鳴くチュン太がかえってかわいそうになり、窓とカーテンを閉めた。

いっそ、マックスバリュに連れて行って、親を探すか?

でも、昨日よりは元気になったとは言え、この飛び方じゃ…。完全にガッちゃんだもの。しかも、今日はかなり風が強い。(続く)