ここはいいところ

ここはいいところ

「ここはいいところ」の「ここ」は私が行った場所であり、人生の一場面でもあります。
人生という旅のなかで、自分がよかったと思ったところやことを記録し、人に伝わればいいなと思います。
1か月に2~3回は新しいブログを書きたいと思います。

 図書館と俳句の話です。興味のない方はスルーしてください。

 

 図書館にはほんとうにお世話になっています。建物に入っての閲覧、貸出だけでなく、インターネットによる資料の検索は毎日のように行い、レファレンス(調べ物・相談)を利用させていただいたこともあります。昨年、現代俳句協会評論賞に応募した河原枇杷男、今年応募した石原吉郎についての評論を書いたときには大変お世話になりました。

 

 図書館で一番使うのは菊名駅から徒歩7分くらいの横浜市立港北図書館です。1980年にそれまで区役所だった建物を図書館にしたもので、菊名地区センターと併用です。老朽化していますがスタッフはキビキビと的確に動いています。この図書館では映画会を視聴したことはありますが、閲覧席には座ったことはなく(いつか座りたい)、貸出だけです。しかし、市立中央図書館はじめ、他の区の図書館の資料を港北図書館で借りることができます。また、他の図書館で借りた本を港北図書館に返すこともできます。また、横浜市立図書館は2022年4月1日に貸出冊数が6冊から10冊になりました。今日現在、歌集を中心に7冊借りています。年に1回くらい桜木町の市立中央図書館へ行くのも楽しみです。途中の古書店、天保堂苅部書店に寄るのも楽しみです。もちろん、野毛の飲み屋街や駅前の「ぴおシティ」地下の飲み屋に入ることも楽しみです。

 

 神奈川県立図書館は2館ありますが、利用するのは川崎図書館ではなく、人文科学、社会科学系の桜木町駅から徒歩8分くらいの県立図書館です。市立中央図書館は桜木町駅西口から西へ野毛山動物園方面へ行き野毛山のふもとにありますが、こちらは西口から北へ行き、西へ曲がって坂を登り、紅葉が丘にあります。

 コロナ禍で『河原枇杷男全句集』を読みたくて困っていたときには大変お世話になりました(下記のブログに顛末)。下の写真は県立図書館のカウンターに本を立てたところです。

 また、石原吉郎論を書くときに、『石原吉郎全集』(全3巻)を探しましたが5万円以上と高額で、はじめは港北図書館から全集を借りていましたが、月報がない場合があり(この全集も月報は参考になります)、検索して確認の上ここまで来て借りたこともあります(その後、15000円の古書店があり購入)。青少年センター、音楽堂といっしょに使う駐車場も便利です、借りた本は横浜駅から徒歩3,4分の県民文化センターの返却ボックスに返却することもできます。

 河原枇杷男の俳句 | ここはいいところ (ameblo.jp)

 

 国立国会図書館も登録して、行くだけでなく、自宅でもいろいろ調べられ、たいへん助けられています。河原枇杷男で2回、石原吉郎について書くためには3回行きました。

 

 公益財団法人俳人協会が運営する俳句図書館は新宿区大久保にあります。2014年3月に高知県室戸で俳句を始めた私は、その年の5月の東京出張のおりに俳句図書館でどうやって俳句を学習したらいいか聞き、NHKの俳句講座を始め、全国的な結社に入りました。

 2月には、石原吉郎が昭和30年代に雲俳句会に所属して書いた俳句や評論は『石原吉郎句集』に掲載されていますが、その現物『雲』を見るために行って、発見がありました。句集に掲載されている句の初めての掲載は措辞が2箇所違っていたのです。このことについては、現代俳句評論賞では文字数が少ないため(12000字)省略しましたが、その後で省略した自分の意見や発見、他者の引用などを復活させた版(約24000字)では書きました(この部分は3行分)。いつか人に見ていただけるようになればいいなと思っています。また、石原吉郎は『雲』では「石原青磁」「石原せいじ」の俳号を使っていることは把握していましたが、さらに、石原吉郎に職を紹介し雲俳句会に誘った斎藤有思のエッセイでは「大方想太郎」も使っていたことも知りました。65年ほど前の『雲』を見ながらいろいろの発見があり、声を上げそうになるほどの発見の喜びを味わっていました。これぞ、図書館での現物調査の快楽です。

 本の閉架書庫からの出納や依頼したコピーを待つ間に、閲覧室の結社誌を見るのも楽しく、有意義な時間でした。俳人協会は春秋に講座があり、企画展もあります。古い結社誌を見るのも学びと楽しみがあります。

 

 神奈川県近代文学館は港の見える丘公園の南の端にあります。企画展、連句のイベント、ふらんす堂の句会などで行ったことがありますが、資料室へ行くのは2月が初めてでした。目的は石原吉郎の死の前年に詩、短歌、俳句を発表した『詩の世界』第5号を見ることで、国会図書館でここにあることがわかりました。目的は簡単に達成できましたが、同じ号で月村敏行と芹沢俊介の対談があり、読みふけりました。この閲覧室は快適で、開架で雑誌、参考図書、神奈川の文学についての資料、過去の企画展の図録などの資料があります。

 文学館を目指していくと、橋の右側の建物が閲覧室です。

 神奈川県近代文学館 | ここはいいところ (ameblo.jp)

 

 山梨県立文学館の閲覧室には7月に企画展を見に行ったときに閲覧室の存在に気付き、ふらっと入りました。山梨県の文学者、文学団体が中心だろうと思いましたが、司書と思われる方と話をしていて、河原枇杷男の本があるか検索してもらったら5冊出てきました。飯田蛇笏・龍太父子中心で、現代俳句のようなものはないのではというイメージだったので、大変驚きました。ホームページのトップページから所蔵資料を検索できます。安井浩司も10冊あって驚きました。よかったら何か検索してみてください。

 この文学館で9月14日から金子兜太展が始まります(11月24日まで)。講演会などイベントもあります。見学と合わせ、閲覧室にも寄りたいものだと思っています。

 腰痛のため6月で学童クラブのアルバイトを辞めたものの(アルバイトはもうひとつ週1回のものがあります)、別の忙しさが加わってできていませんが、地元の港北図書館の閲覧室でゆっくり雑誌を見たり、市立中央図書館で句集や歌集を見てゆっくり過ごしたりしたいものだと思っています。

 2024年8月に印刷物等に掲載された私の俳句の一部です。

 

■現代俳句協会ホームページ

 俳句ではなく、俳句の評論ですが…。

 第44回現代俳句評論賞佳作「詩人石原吉郎の俳句観‐定型は彼を救った‐」

 トップページ上部の「読む・学ぶ」から「俳論広場」に入ってください。昨年の佳作「河原枇杷男俳句における認識論と存在論」も掲載されています。

 俳論広場 - 現代俳句協会 (gendaihaiku.gr.jp)

 

■『麦』2024年9月号(麦の会 2024年9月1日発行)

「地熱集」対馬康子会長選(7句まで出し5句まで選)

   マラルメの楽園に咲く黒い罌粟

   合歓の花余白に憩う狂気かな

   どこまでも同じ街・人梅雨の空

   言語野の迷宮に咲く仏桑花

「踏生集」(同人の自薦欄5句)

  「自己観察」

   青葉風脳内に吹く隙間風

   前世の記憶交錯花筏

   今日あたり少し死んでる梅雨曇

   わが顔に驚き起きる昼寝覚

   人の世を海月のごとく行きなされ

誌上句会 テーマ「安」野川京選 入選

   油照方位磁石を狂わせる

句会報 麦の会7月例会 対馬会長選 特選

   夏暁や心の鳥は飛べぬ鳥

 

■『楽園』第4巻第1号

  (楽園俳句会2024年5月5日…実際は8月29日)

「個個集」堀田季何主宰選(6句まで出し5句まで選)

   『我』というミステリーにいる今朝の春

   亀鳴いて溜息つくや夜の沼

   春風が君の臓器を嘗めて行く

   春塵や人魚釣るため針に夢

「球体集」堀田季何主宰選 お題「穴」しばり

  佳作(佳作は作者名が出ません)

   春愁出るから入れる穴もある

   花の雲の隠す地球の非常口

「過日の果実」…会員による前号の鑑賞。

   橋本牧人様。ありがとうございます。

   決着は雪合戦にしませんか

 『楽園』は楽園俳句会のホームページからビジターとして登録すると(無料)、閲覧できるようになります。 

  

 8月下旬、三度山梨県身延町の下部温泉に行きました。7月に行った下部ホテルの低温の源泉がとても気に入ったのですが、私にとっては少し高価な宿で、もっと安い宿を探して行きました(安い宿を探すくらいですから高速の利用も少なめです)。

 もちろんそのためだけではなく、山梨県立文学館の開館35周年特設展「文学はおいしい」と山梨県立美術館の「没後100年 冨岡鉄斎‐鉄斎と文人書画の優品‐」を見に行きました。両方とも9月25日で終了しましたので、このブログで紹介はしませんでした。

 

 前者は作家や団体・流派などでなく、「文学はおいしい」という山梨の食と作家に関するテーマで、「やまなし・葡萄のめぐみ」「甲州のうまいもの」「食卓の風景」「お酒のシーン」「料理する作家たち」「いのちを食べるということ」の項目で、原稿、額、色紙、短冊などを展示していました。「お酒のシーン」では山崎方代関係の酒瓶3本、林真理子関係のワイン2本などを展示していました。この文学館は展示室での筆記物は鉛筆のみ、撮影は一切禁止ですが、酒瓶のコーナーだけなら許してくれるかなと聞きましたがダメでした。ショップに酒かうまいものを売っていれば買ったのですが(当日は素泊で、見学後スーパーで購入しました)、この文学館はそういうところではありません。

 後者は展示作品の数点で撮影可がありました。チラシに紹介された作品などです。

 

 また、今回も曇ときどき雨で、富士山は見られませんでした。もしかするとどこかで見られないかと国道469号を走りましたが、全く見られませんでした。

 

 なお、山梨県立文学館では9月14日から企画展「金子兜太展 しかし日暮れを急がない」(11月24日まで)を開催します。井上康明氏の講演会、佐佐木幸綱氏の講演会、高野ムツオ、高山れおな、佐藤文香氏の座談会、その他講座や映画会も予定されています。

山梨県立文学館 | YAMANASHI PREFECTURAL MUSEUM of LITERATURE

 

 

 7月中旬に、山梨県韮崎市の韮崎大村美術館に行きました。ノーベル生理学・医学賞受賞者の大村智さんが故郷である韮崎市に設立し、館長となっている美術館です。

 前日は久保田一竹美術館に行き、下部ホテルに行きました。

山梨の久保田一竹美術館 | ここはいいところ (ameblo.jp)

山梨県見延の下部ホテル | ここはいいところ (ameblo.jp)

 

 入口には大村博士の胸像があります。

 展示は企画展「韮崎大村美術館名品展 華麗なる巨匠たち」でしたが、写真は撮れません。大村智記念室、画家の鈴木信太郎記念室もあります。

 2階には展望室があり、八ヶ岳が見えるはずですが、雨で烟っていて、ほとんど見ることはできませんでした。

 

 所蔵する絵画は絵葉書になっています。

 堀文子の「名もなき草達」です。

 片岡球子の「富士」です。

 三岸節子の「小運河にて」です。

 裏側も素敵です。

 帰ってからリーフレットを見て、失敗に気づきました。「ごあいさつ」の下の「蛍雪寮」は美術館から200mくらいしか離れていなかったのです。大村博士が山梨大学を卒業するまでお住まいだった明治の家屋だそうで、見てみたかったです。

 また、リーフレット内側の「韮崎大村美術館サテライトスペース」は韮崎市民交流センターニコリ1階とあり、駅前で、立体駐車場があると記載されていましたが、駅前と知っただけで面倒くさいと思ってしまいましたが、きっと横浜の方の駅の前とは違うのでしょう。3km弱くらいなら行ってみればよかったです。

 さらに、これを書きながら失敗に気づきました。美術館の向かい側に「白山温泉」という温泉施設には気がついていましたが、その横にそば屋があったのです。「蛍雪寮」を検索していくと、韮崎大村財団という組織が韮崎大村公園という構想のもとに美術館をつくり、温泉施設もそば屋なども作ったそうです。それらの施設の向こう側に蛍雪寮があるということで、一帯が大村家だったようです。ぜひ、そば屋の案内看板、「韮崎大村公園」の地図を作ってほしいものです。

 それにしても、そば屋には入りたかったです。

 7月24日に町田市立国際版画美術館へ行きました。目的は企画展「幻想のフラヌール―版画家たちの夢・現・幻」を見るためです(6月1日~9月1日)。企画展の名称に、「版画家」以外に「幻想」「フラヌール(遊歩者)」「夢」「現」「幻」という言葉が連なっていると、私にとっては大いに魅力的です。また、何故この日かというと、期間中3回、65歳以上の高齢者が無料になる日があるからです。

 ホームページの「展覧会概要」とパンフレットの「はじめに」はほとんど同じですが、「展覧会概要」のはじめの部分は次のような文章です。「展覧会概要」には記名がありませんが、「はじめに」には「藤村拓也」とあり、調べると同館の学芸員であることがわかります。

 「ときに鏡にたとえられる版画は、作者の夢想と見る者の願望を如実に映し出します。版面/紙面の不可思議なモチーフや奇妙なフォルムは想像力を否応なく刺激し、見慣れた現実をも幻想の世界に変容させる版画家たちの精神と手業は既成の概念を揺り動かし、私たちを別の世界へといざなうかのようです。/独自の世界をさまよう〈フラヌール(遊歩者)〉ともいうべき版画家たちの作品は、過去や私たちの内に眠る原初的な記憶を呼び起こしながら現実世界の可能性、すなわち未来の姿をも浮かび上がらせる力を秘めているといえるのです。」

 

 この文章は同美術館の企画展のページの「展覧会概要」から引用したものであり、構成や出品の作家なども紹介されています。この方、パンフレットの方ではさらに魅力的な文章を書かれています。

https://hanga-museum.jp/exhibition/index/2024-560

 

 写真を撮ってもいい作品もありますが、チラシを紹介します。

 チラシ裏、左上部の星野美智子の「バベルの図書館‐詩人の薔薇」というリトグラフにはボルヘスの横顔が組み込まれています。チラシ裏の柄澤齊の作品の少年はランボーです。バタイユの『眼球譚』や『マダム。エドワルダ』の挿絵を描いたハンス・ベルメールの作品もあります。それぞれの作家の、夢や作者を通した<現>、記憶や幻想という世界には大いに刺激を受けました。

 

 この美術館は芹が谷公園の一角にあり、子どもたちが水遊びをしていました。

 

 2024年7月に印刷物等に掲載された私の俳句の一部です。

 

■『麦』2024年8月号(麦の会 2024年7月下旬発行)

「地熱集」対馬康子会長選(7句まで出し5句まで選)

   春の風ニライカナイにいるランボー

   どこにもないここという場所鳥雲に

   言語野を土竜が掘ればオノマトペ

   東京タワーのっぺらぼうの春の月

「踏生集」(同人の自薦欄5句)

   「春愁

   いぬふぐり「あたし」はあなたとミスマッチ

   泥動き見たくなかった蟇登場

   花びらが涙目に降るライオンの

   沈丁花憂鬱股に漂いぬ

   万緑の「風に吹かれて」「街へ出よう」

 

■『現代俳句』8月号(現代俳句協会 2024年8月1日発行)

「風を詠む」…会員が年に4句、句を出せる

   切られたるわたしの根っこ花卯木

 

■現代俳句協会ホームページ

 トップページの「現代俳句協会からのお知らせ」で第44回現代俳句評論賞の結果が報告されています。応募作「詩人石原吉郎の俳句観―定型は彼を救った―」は佳作でした。昨年も佳作で、佳作コレクターのような気がします。

 

 

 写真は、7月中旬、山梨へ行ったときの中央高速の双葉サービスエリアのフードコートで食べた幅の広いそばです。そばの香りが強くておいしかったです。名前を確認したくてインターネットを検索しましたが、出てきません。季節限定商品だったのでしょうか。そのとき迷った「つけめんほうとう」も「ホルモンラーメン」も見つかりません。