2019.7 NO.116 おもろい VS おもろな
私がかつて在籍した社団のトップは若い頃関西出身の上司に「ホカして」と言われ、大事に保管して呆れられたという。東京人は「捨てる」の関西弁「ほかす」が分からない。
「おもろい」(おもしろい)はさすがに関東の人でも分かるのではないか。「おもろい」の否定形は「おもろない」。末尾の「い」を除き「おもろな」とも言う。穴党の競馬ファンが「何や、全然荒れへん。銀行レースか、おもろな!」と言うように。
度量も狭く、文句たれの私は今とくに「おもろな!」と思っていることが3つある。
1つ目は、正義がまかり通らないこと。日本体操協会のパワハラ問題、協会はパワハラのバーを恣意的?に上げた第三者委員会の後の特別調査委員会の報告を受け、宮川紗江選手が主張した問題につき、塚原千恵子女子強化本部長や塚原光男副会長に追加処分をせず(共に退任)、宮川選手には反省文の提出を求めた。これに対し、ネット記事によると、宮川選手を支援する高須クリニック高須院長は番組で「パワハラしたかどうかという問題検証での反省文は、加害者側とされる方が書くべき。被害者側に反省文を書かせるのは筋が違うのではないかと思う」と持論を述べたという。まったくもって高須院長の意見に賛同する
宮川選手の主張を認めることは本ブログ2018年10月号103号(「ぼうこうVSぼうそう」)で書いた「塚原夫妻の主導か否かは別にして体操協会が異端の二人を追放しようとしたと見られても仕方がない」に繋がりかねない。従って協会側が認めないとは思っていたが、宮川選手に反省文を書かせるまでのことをするとは。“盗人猛々しい”の語句を思い出した。
被害者が加害者にされてしまう。その意味では、NGT48のメンバーでファンに暴行されたことをSNSにあげ、事件に蓋をするばかりの所属会社から加害者呼ばわりされた山口真帆さんも同じ。「正しいことをしている人が報われない世の中でも、正しいことをしている人が損をしてしまう世の中ではあってはいけないと私は思います。」と言ってNGTを卒業した。準強姦事件での被害者伊藤詩織さんが相手側から逆提訴されたのも同じだろう。
日本はいつからこんな不条理な国になったのだろうか?
2つ目は、趣味の話で、日本競馬界の至宝ディープインパクト(以下ディープ)の後継問題。強い巨人の時代にはファンも多いがアンチも多かった。同じようにディープのアンチたちが次の切り口で貶してくる。まず、ディープの産駒は早熟のマイラー(1,600m前後)だと。しかし、産駒のサトノダイヤモンドが菊花賞(3,000m)と有馬記念(2,500m)を、フィエールマンが菊花賞と天皇賞春(3,200m)を勝利した。早枯れの代表格として2歳チャンピオンのダノンプレミアムがやり玉に挙げられた。が、古馬として臨んだ今年の金鯱賞を初め連勝した(それでもアンチは明日の安田記念で後述牝馬アーモンドアイに負けると負けてない)。
そして、アンチはディープのサイアー(種牡馬)ラインを継ぐ大物の牡馬が出ていないと攻撃する。痛い所を突かれた、netkeiba の掲示板における主導的立場みたいなファンも感情的になり、明らかにヘイトしているアンチやアンチでないと言いながらファンの神経を逆なでするアンチらに引きずり込まれ場外乱闘に及ぶ。心あるファンは、「これが、日本競馬界の至宝ディープの掲示板なのか!?」と嘆いた。
ディープの後継候補として、今年産駒がデビューするキズナを筆頭にリアルスティール、サトノダイヤモンド、現役だが期待の上述ダノンプレミアムとフィエールマン等がいる。
ただ、シビアな生産者サイドは待ってはくれない。サイアーランキングでディープに次ぐNO.2の座にあった一歳上のライバルのキングカメカメハ(以下キンカメ)はロードカナロアという後継種牡馬をすでに得ている。ロードカナロア産駒には早くも牝馬3冠を達成し昨年の年度代表馬となったアーモンドアイという名牝がいる。牝馬だけかと思ったら、今年の皐月賞(2,000m)を無敗で制した牡馬サートゥルナーリアをも誕生させた。
キンカメ系は日本の高速馬場に適しており、しかも日本で飽和状態にあるサンデーサイレンス(以下SS)系(ディープ、ハーツクライ等)とサイアーラインが違う。数多いるSS系名牝を選り取り見取りできる。今首を痛め種付け中止中の17歳ディープ(5年後は人間換算で65歳)の次にその座にカナロアを据えようとするのは理には適っている。ただ、帝国のような生産者サイドの意向に(政界だけではなく)媚び、忖度し、競馬関係者、専門誌、テレビ局等が必要以上にロードカナロア産駒を持ち上げているように見えるのが、おもろない。
皐月賞でのサートゥルナーリアがアタマ差という辛勝(戦後6頭いる三冠馬はすべて半馬身以上の完勝)に終わったのに、ダービー、凱旋門賞へと囃し立てる。私は白けていた。
ダービーはともかく凱旋門へはないだろう。凱旋門賞(2,400m)を勝つには高速馬場の日本の3,000m台のG1を制するスタミナが前提になろう。なにしろ菊花賞も含め3冠戦すべて圧勝したディープやオルフェーヴルでさえタフな馬場の凱旋門賞のゴール前で失速した。
キンカメ系の産駒で3,000m台のG1を勝った産駒はキセキのみ(しかも母の父はディープ)。サートゥルナーリアは結局ダービーは4着。さすがに凱旋門賞へとはもう言えまい。
素人の私が分かることを競馬関係者は当然承知していながらサートゥルナーリアを無理に持ち上げているとしか思えない。新馬が出る度に繰り返されるかと思うと、うんざりだ。
最後は、心臓病ならぬSHINZO病。安倍首相のやることなすことに動悸と息切れでなく憤りが激しい。頭はまだ壊れていない。何にしろ首相が政治家の中で一番働いているとの認識はある。ただ、二階幹事長が何を思ってか3月4選に言及した時、めまいがした。
国会で問われた首相は自民党の内規に触れただけで、続投意志の有無に言及していない。
内心はどうなのか。自民党の支持議員の手前やレームダック化を避けるため、口に出せないが、任期満了でと思っても不思議ではない。モリ・カケ問題、裁量労働制をめぐる首相答弁の撤回。失踪実習生に関するデータ誤り、アベノミクス指標の操作疑惑等ここ数年野党に叩かれ続けてきた。それでなくとも首相の仕事は激務。疲れ果ててはいないか。
レガシーに焦燥なのは任期を意識してのことか。拉致問題も憲法改正もダメ。前のめりになった北方領土問題は、安倍首相が北方領土で暮らす住民の「帰属問題」を持ち出すなど先走りロ国民を怒らせた。首相に反発するだけならまだしもロ国民の怒りの矛先が(支持率回復のテコと目論んでいた)プーチン大統領に向けられたので、プーチン大統領が怒るまいことか(交渉の難航は丸山議員の「戦争奪還」発言に責任転嫁されようが)。すると、根幹の「北方四島は日本に帰属する」が外交青書から消えてしまった。安倍首相の不用意かつ拙速な言動でロ側を怒らしたとはいえ、なぜ消してしまうのだ。
「安倍首相は外交(武器を持たない戦争)が強い」と言うのは、外遊の間違いではないか。
功を焦り、どこのトップにも靴を舐めるがごとく、次は「北朝鮮と無条件で会談」と首相が言い出した(独自制裁も更新し、先般の短距離弾道ミサイルも安保理決議違反と非難した日本がいまさら何を言うかと北朝鮮が本気で相手にするとは思えないが)。
見るに堪えないし、国益も損ないかねない。「もうレガシーは『3期連続9年を初めて全うした総理・総裁』でよいのでは」と安倍首相を諭せるのはゴッドマザーしかいないか。
次の総裁改選期は2年後の2021年9月。東京五輪の反動、消費税増税?で不景気の風が吹き荒れ、また日銀財政不均衡の爆弾が破裂するかもしれない。今般のトランプ大統領との関税密約?による日本農業の大打撃という不安要素もあり、安倍政権の尻拭いをする貧乏くじは引ひきたくないと、自民党の反主流派も二の足を踏むかも。いかんせん石破氏、岸田氏への待望論も湧いてこない。新元号発表時に注目を浴び、「令和おじさん」と人気が上がった、無派閥の菅官房長官にショートリリーフならと思うのかもしれない。森友学園問題が燻り続けている安倍首相も、官僚の手のひら返しも菅氏が首相になるなら安心だろう。
しかし、菅氏が首相ならABE政治の継続を意味し、より独裁的になるかも。それならSHINZO病が治っても、新・SHINZO病に罹るだけ。おもろないと思うより、憂鬱だ。
それにしても、騎士道の国も酷いが、武士道の国も。ひと昔「警察は一流、経済は二流、政治は三流」と言われたが、皆1ランク下がったと言えないまでも政治は四流までに劣化したのではないか。“サラブレットの墓場”と揶揄された日本競馬は今や一流になったが。