2020.8 NO.136 ナナコVS ヒナコ
女性の時代と言われて久しいが、スポーツの世界はそう呼んでもおかしくないか。
競馬界では、天才武豊騎手が1987年にデビューした以降、競走馬では、オグリキャップ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴルなどスーパーホースが何頭も誕生した。しかし騎手では武騎手に続くスター騎手が出現していない。そんな中で、日本人女性騎手として史上初でJRA重賞を勝利した、ナナコこと藤田菜七子騎手の人気が沸騰している。近い将来大きなG1を勝ち日本の“ミシェル・ペイン”(女性騎手では勝てないとされた豪競馬の聖杯メルボルンカップを2015年に制した)と呼ばれることが期待される。
競馬界はかわいいだけでは通用しない。馬主が騎手に支払う報酬は賞金の5%と決まっている。いきおい勝てる上手い騎手に依頼が集まることになる。だが、藤田騎手は実力も備わっている。昨年はJRAだけでベテラン横山典弘騎手と並んで堂々のリーディング26位。43勝をあげ獲得賞金は608百万円。賞金面からの年間収入だけで30百万円を超える。22歳の若さで(今年2月初め落馬骨折したが3月中に早くも復帰。4/25に女性騎手として史上初のJRA100勝を達成した)。
“美人過ぎる”と形容詞がつく仏のミカエル・ミシェル騎手が数年後の中央競馬(JRA)での騎乗を望んでいる。足掛かりとして、2018年72勝の仏女性騎手年間最多勝利をひっさげ、新春から短期免許で地方競馬に参戦した。1/27~3/31の2か月で30勝し、地方競馬短期免許での外国人歴代最多勝記録を樹立した。「腕」も確かなところを見せJRA参戦も単なる夢物語ではなくなった。将来ナナコとの対決が実現すれば競馬界はより盛り上がる。
そのナナコに憧れて、昨年騎手試験で27年振りに競争率15倍の難関を突破して女性が3名合格 順調にいけば2023年には女性騎手が7名になるとか。
競走馬も歓迎だ。女性騎手はあたりが柔らかく、斤量2㎏減のハンデもある。
日本ゴルフ界も女子ツアーが熱い。昨年は黄金世代が台頭の中その一人渋野日向子選手が42年振り海外メジャー全英女子オープンを制しシブコフィーバーが湧き起こった。
百花繚乱とはいえ、渋野選手は今や日本女子ゴルフ界の宝。なのに来年渋野選手が米ツアーに転戦と言われていた。だが、東京五輪が1年延期となったのに続き、今年の米ツアーQスクールも中止となった。来年も日本でプレーする公算が高くなった。渋野選手本人にとっては残念だろうが(それでも海外メジャーに優勝すれば米ツアー参戦が可能となるが)、渡米を心配するシブコファンにとっては朗報と言えるだろう。
鈴木愛選手らの参戦に加え渋野選手が初挑戦する女子最高峰の全米女子オープンも12月に延期となった。過去の同オープンにおいて、1998年の朴セリ選手優勝を皮切りに、2005年~19年の15年間で、韓国女子選手8人(9回)が優勝しており(米国選手は4名のみ)、その内6人が初出場で勝利している。内訳は、05年バーディーキム、08年朴仁妃(13年も)、11年ユソヨン選手、15年チョンインジ選手、17年パクソンヒョン選手、19年イジョンウン6選手となる。それは、何を意味するのか。米ツアーで揉まれ強くなり勝ったのではない。新人は無欲で怖い物知らず、勢いがあることを差し引いても、元々韓国選手の実力が突出している。または米国選手らがレベルダウンしていることを意味していないか。
言い換えれば、韓国には完全実力主義の国家代表選抜システムがあり、その熾烈な競争に勝ち抜き国家代表になった者が言わば刺客のように米ツアーに送られ、その刺客に米選手らは歯が立たないのでは(代表とも言えぬ日本選手が憧れや夢で行くのとは訳が違う)。
昨年度5年連続で韓国選手が米ツアーの新人賞に輝いたが、そのイジョンウン6選手も「韓国ツアーで3年間やってきたことが、とても役に立ったと思う。」と言っている。
日本代表として米ツアーに今挑戦する資格があるのは開幕戦も優勝争いの鈴木選手だけと思う。万全ではなく気持ちだけで米ツアーに行き揉まれれば、移動の大変さや言葉・人種の壁(親日台湾人と米国人とは違う。大リーガー田中将大投手でさえ新型コロナで人種差別か?身の危険を感じ日本に避難した)と相まって、身も心も“勤続疲労”を起こすだけに終わるかもしれない。“花嫁の介添人”では自他ともに許されない立場であれば、なおさらに。
米賞金女王で全英女子オープン2度制覇の申ジエ選手が日本に転戦し、好成績なのにエビアン選手権チャンピオンのキムヒョージユ選手も日本への転戦希望を表明している事実にもっと目を向けるべきではないか。全英女子オープン勝利の渋野選手なら、あわてて行く必要はない。国内20勝、賞金女王をひっさげ30歳で米ツアーに参戦し米賞金女王となるレジェンド岡本綾子さんも「海外に行くとゴルフがうまくなるっていうのは勘違い」と言っている。黄金世代の勝みなみ選手、原英莉花選手ら、プラチナ世代の安田祐香選手、古江彩佳選手らと切磋琢磨し、日本ツアーをよりlevel upさせる中で成長していけばよい。なぜそう言わないのか。協会や日本のマスコミは。
渋野選手の究極の目標が5大海外メジャー制覇であれば、残り4つの海外メジャーを日本にいても制覇可能と思うファンは多いのでは。日本で走り海外G1だけ挑戦して勝つJRA年度代表馬名牝アーモンドアイやリスグラシュー(競走馬も牝馬の時代か)のように。
来年の五輪においても、政財界の男達を冷ややかに見ている私は男子アスリートにもやや懐疑的な視線を向け、女子選手の方に期待をかける。上述のゴルフでは、安定力の畑岡奈紗選手に加え、実力NO.1の鈴木愛選手か爆発力の渋野日向子選手(両名とも1年延期で世界ランク15位以内の維持は簡単ではなくなったが)に金メダルへ大きな期待を寄せる。
他は、シブコの恋人上野由紀子投手率いるソフトボールチーム。日本に恩義を感じ日本国籍を選択したテニスの大坂なおみ選手。柔道の阿部詩選手。同最重量級素根輝選手。空手・形の清水希容選手。レスリングの川井梨紗子選手。自転車の梶原悠未選手。トランポリンの森ひかる選手。バトミントンのダブルスペア等に「金」をとくに期待する。
スポーツ界と較べて政財界は女性の時代には程遠い。大塚家具の父娘の経営方針をめぐる親子喧嘩騒動で大塚久美子社長の経営手腕に注目が集まったが、結局のところ、無借金優良企業を身売りさせてしまった。とくにピンチに陥ったときの女性経営者の限界を露呈したに終わる感がある。パリコレの冨永愛さん、女性指揮者の西本智実さん、三ツ橋敬子さん、バイオリニストの木嶋真優さんとか世界で活躍している日本女性は多い。
日銀清水季子名古屋支店長が初の理事に就任した。ニッポン放送の檜原麻希氏が在京キー局初の女性社長になった。他の気鋭の女性経営者はいないのかとネットで検索し、気になるタイトルを目にしたが、そのサブタイトルに美人経営者、ママさん経営者と書かれていたので、クリックするのを止めてしまった。
その点、作家の世界は、男女平等、同権だ。新人作家の登竜門芥川賞、直木賞の直近15年間の受賞者(2005年上期~2019年下期)において、それぞれ男17名、女17名、男21名、女14名となっている。もっと女性の受賞が多いと思っていたが、それでもほぼ拮抗していると言えるか。女流作家には容姿は問われない(今時容姿も端麗だが)。完全な実力の世界だ。
政界は経済界と同じか。もう少し酷いとも言えるか。かつて小渕優子議員、稲田朋美議員らを女性首相候補と持ち上げた。本気でそうなると思っていないから軽々に口にする。上川陽子元法務大臣はその可能性があるから、口にされないし重用もされないのか。
男性議員は女性議員が大同団結などできないと高を括っている。国際的に見て女性議員比率が低いとは言え、衆参両院で100名前後女性議員がいる。男性議員の代弁や男性議員にいいように使われるのではなく、真に日本の女性の地位向上を目指す志があるのなら(三原じゅん子議員、杉田水脈議員等は固辞するかもしれないので)とりあえず20人程度でよいから女性党を立ち上げてはどうか。週刊新潮2020.5.7・14特大号『変見自在』で辛口の高山正之氏も褒めた?上川陽子議員を代表、野田聖子議員を幹事長として。