2020.6 臨時号 NO.134 ボブ VS ボク(2)
昔は芸人から政治家に転身していた。漫才の故コロンビアトップ、講談の故一龍齋 貞鳳、漫才の西川きよし師匠。最近ではお笑い芸人・タレントの東国原英夫氏ぐらいか。もう辞めて政治評論家という立ち位置と言えるか。
とくに、西川師匠に対しては、小泉首相元秘書官の飯島勲氏によれば、厚生族の橋本龍太郎首相が西川参議院議員に出くわすと首相の方が最敬礼していたという。
「福祉」の為に尽力した西川議員も芸人一人の資力では難しい面があったのか3期18年で政界を引退した。芸人たちは生半可な気持ちでは政治家になれないと悟ったことだろう。
今はSNSがある。芸能活動しながら世に意見を政治的なメッセージも発信できる。
今「# 検察庁法改正案に抗議します」と芸能人が次々とツイートしている。名主の所属事務所の制止を振り切り政権にNO!を突き付ける。農民一揆ならぬ“芸能人一揆”の様相を呈している。新型コロナ対策の無為無策な政権が姑息にも新型コロナに乗じて自らの保身策を謀るのを見て営業自粛が長引くいらだちと義憤が爆発した形だ。これを機に、タブーとされてきた芸能人の政治的発言が欧米化していくのかもしれない。
ダウンタウンの松本人志氏は、もう少し前から積極的に発信している。本人にそういう自覚があるか知らないが、影響力を考えれば「世のご意見番」を担っていると思う。
松本氏の天才的な所は、当意即妙な切り返し、アドリブにあると思う。だが、思いつきやアドリブなら、ツイッター発言は失言に繋がりやすい。
松本氏しかできないと賞賛の声があがる、営業自粛で生活苦の芸人に対する「上限100万円の無利子貸し付け」については、思い付きではなく、前々から松本氏の頭の中で温められていたのであろう。返済期限の定めのない貸付は贈与とみなされても110万円以内なら非課税。無利息で芸人仲間内であっても貸金業法等に抵触する危険性はなしとしないが、その辺は弁護士と詰めた上での発表ということなのであろう。
ただ、その報道がなされた5/4、「善意にケチを付ける人達がいます。あーほー」と松本氏はツイートした。それは、松本氏を支持するネット民が言うことであって、本人が発してよい言葉ではない。才能ある若手芸人を助けたいとの一心なら、他人の評価なんかに動じないハズ。世にインパクトを与えた有徳な功業を成そうとする時に、そういう発言を軽々にするから「善意の衣の下に名誉心・権力欲という鎧が透けて見える」と言われかねない事態を自ら招く(それこそある程度の実績を残さねば、その時は何を言われるか分からない)。
長年ボランティアをし続ける俳優杉良太郎さんは、売名行為だとの心無い声を浴びせられてきたが、「ああ、売名行為ですよ。みなさんもなされたら、どうですか」と言い放つ。
松本氏のあーほー発言があっても、「貸し付け」自体の意義や価値が損なわれる訳ではない。前澤友作氏の5/10「シングルピアレントを支援する基金を創設した」との発表も松本氏に触発されたかも。前からその想いはあったが、世間の風当たりを気にし躊躇していたのを、松本氏に背中を押された形なのかもしれない。
欧米は貧富格差を是として富める者が貧しい者に「施す」ことで神に祝福される。救われる。日本は貧富の格差を良しとしない。富め過ぎる人も貧困にあえぐ人も作らない。よって、人と人が「助けあう」ことはあっても、人に「施す」との概念がなく意識が希薄である。馴れていないから、施す者に対して、違和感を覚え、やっかむ。
日本人でも、サッカーの本田圭佑選手、長友佑都選手は海外生活が長く海外セレブとの交流もあるので「売名行為だ」と批判される前澤氏を擁護している。
日本も小泉政権、安倍政権により貧富の格差が拡大した。それは次の政権により是正されなければならない。が、現実に貧富格差があるのなら、その気のない政府任せにせず、資産家が困った人、貧しい人を「施す」のではなく、「助ける」ことは意義深いこと(意味もなく助け、助けられる側がそれを当然と思うようになってはいけないが)。
それが根付き、資産家個人の「新しい生活様式」の一つになるのなら、松本氏のこの度の行動はそのきっかけを作ったことになり、その意義は大きいと言える。
人は変わる。と言っても、変わらないように見える人もいる。周りの見る目が変わってもいつまでも本人は変わらない人と言えば、明石家さんまさんだ。さんまさんは変わらない。「みんなを笑わせたい。笑顔にしたい」と言うだけで、それ以上でもそれ以下でもない。
浜田雅功さんも、人柄が滲み出た人懐っこい顔は若い時から変わらない。礼儀知らずの若手やぼやぼやした番組スタップには厳しいらしいが。
MBS人気番組『プレバト!!』の「俳句の才能査定ランキング」で、師範の夏井いつき先生がゲストに問いかけするとMCの浜田さんがボソッと独り言ちするが、それが実に当を得ている。隠れた読書家で国語力が高いことを我々に気づかせる。それとなく。
「能ある鷹は爪隠す」と言うが、私は妻に「偉くない者ほど偉そうに言う」と言われる。至言でぐうの音も出ない。私とは対照的と言うより「月とすっぽん」の天才羽生善治棋士と武豊天才騎手は偉そぶることがない。共に勝負師で内に激しい闘志を秘めているが、斯界の第一人者としての自覚から自らを律し声を荒げることはない。他者批判も公言しない。お二人のマネはしたくてもマネできない。敬仰する外ない。
橋下徹弁護士も、政治家を辞めても、良くも悪くも変らない。
ただ、「一回、ここ来いよ! 尾辻!」はアカン。「あなたライオン たて髪ゆらし ほえるライオン・・・私はとまどうペリカン」と唄うほどか弱く見えへんでも、女性に。しかも国会議員の偉い先生に向かって。カッコ悪いで。そんなことより日産ゴーン会長事件でクローズアップされた「日本の刑事司法の民主化」問題に尽力してなぁ。お金にならへんけど。
違う? 怒った? 私にはかまへんけどな。「一ぺん、ここに来い! オマエ!」と言うても。