2021.2 NO.146 トラベル VS トラブル
先月14日突然GOTOトラベルの全国一斉一時停止が発表された。その日の深夜女子ゴルフの世界最高峰全米女子オープンで渋野日向子選手が最終日崩れ、彼女が熱望する来季からのGOTO米ツアーは幻となった。だが渋野選手の強さは本物と海外の強豪選手らから再認識された。
一方、菅首相は勝負の3週間が終わらないうちにいきなり全国一斉GOTOトラベル年末年始停止を発表した後高齢者?8人によるステーキ会食に向かったことが発覚。国民から批判を浴びた。
ホテル・旅館や飲食店も、十分な新型コロナ対策がとれても、首相の予測不能な言動には対処不能。書き入れ時にぬか喜びさせられては、何が支援だとGO INTO A RAGEとなっても無理はない。
年末の感染拡大状況は一斉停止の正当化に資するが、検査数、無症状感染者数を知らせない“大本営的発表”では、斜に構える私にとっては半信半疑でしかない。
元旦からカリカリする話をしても。それは次号(1/20予定)にするとして本号は他愛もない我が夫婦の旅行の話でもしてみるか。
私は妻と旅行するのを好む。旅先では妻はしおらしくなるから。副詞を多用した本ブログ昨年の正月号NO.126(「はんなりVSげんなり」)の末尾でそう書いた。
なぜ妻がしおらしくなるのか。家では妻は主導権を握りすべてを仕切り私にお願いすることはない。ほとんど「・・・して!」と「命令」とは言わないが「指示」を私がされるだけ。旅行になると私に任せきりで事前にどこそこ行きたいとも言わない。従順になるしかないのだ。(記憶違いでないなら)番組進行の仕切りが上手いと評判のダウンタウンの浜田雅功さんも我妻と同じで私的旅行になると「次どこ行くの?」と聞くタイプという。
我が夫婦の観光先での定番は、美術館・博物館、城郭(城フェチではないが)、回転寿司店。なぜ回転寿司店か。まず、妻は寿司が好物で寿司だとグズグズ言わない。私も海鮮が好きなので、港に近い町へ行くことが多い(飛騨高山には一度訪れたいと思っているが)。
各地高級すし店があるが、庶民の我々には旅費・宿泊費が嵩む旅先で一回の夕食に夫婦二人で4、5万円もかけられない。例えば、秋田であれば、人気芸能人なら『すし匠』(食べログ3.85)に行くところだろうが、私ら夫婦は回転寿司『市場のすしやさん』(同3.48)に行くだろう。それも回転寿司店は長居出来ないのでランチ時に。夜は居酒屋や郷土料理の店に足を運ぶことが多い。
加えて、平成16年3月中居正広さんが主演のTVドラマ『砂の器』が放映されていた頃金沢駅西口から少し距離のある『金沢まいもん寿司』本店に行き、味、質、コスパ三拍子揃っていることに感動を覚え、それ以降当時のこの本店を凌ぐ回転寿司店があるかと各地回転寿司店巡りと相成った。
妻は旅行が嫌いと言うが、旅行先では絵画、城の資料等私よりも好奇心を滾らせ、じっくりと観察する。どこが旅行嫌いなのか。テンションもMAXとなるとホテルや案内所のちらしやパンフレットを見てどこそこに行きたいとか言い出す。こちらは一年前から行程表を作りそれに沿ってJR等の切符も手配しているので困惑する。(GoToトラベルの泥縄的対応ですっかり陳腐化した)「トラベルがトラブルに」を口にすることになる。
ただ、妻は怒っても切符等全て私が所持しているから一人で帰れない。狐ではなく狸の嫁入りで、黙って雨宿りしていると妻の機嫌は知らぬ間に晴れ間が戻っている。
妻は、本気で怒るとき、体型的に淑やかな仕草は無理とはいえ、せめてしくしく泣けばと思うが、幼子みたいにオイオイと泣く。こちらは逆切れするどころか「そうかそうか。ヨシヨシ」と慰めてしまう。我が夫婦は犬も喰わない痴話喧嘩しかできないのだ。
熟年夫婦の旅となると、クルーズ船の旅を思い浮かべる。数日程度よいので、一度くらいは豪華客船に乗船してみたいと思った。妻に誘いをかけても色よい返事が返ってこない。若い頃道後温泉に泊まるべく神戸から松山までヘリーで行ったことがある。が、船酔いと幼子がおねしょしないか気が気でなく寝られなかったことがトラウマではないが頭から離れないらしい。大きな客船は揺れないと言っても気乗りしてこない。それが、耳の問題で飛行機に乗れない近所に住む妻の幼馴染から再三船旅のよさ聞くに及び関心を示してきた。その矢先新型コロナウイルス騒動が起こりクルーズ船の旅は幻に終わってしまった。
飛行機はANA。JALには基本乗らない。私は35年前銀行の組合専従を数年間務めた。銀行は御用組合だと思われるが、当時は徹夜交渉等それなりに労使対立関係をみせていた。
当時から企業が倒産する10要件の一つに「組合が強すぎること」が挙げられていた。そんなところの飛行機には怖くて乗れないとJALを敬遠していた(再生後組合も変っているだろうし、私の先入観をJALファンに押し付けるつもりはない)。
1985年3月イラン・イラク戦争の折紛争地に取り残された邦人がトルコの救援機に助けられた。トルコの大統領が自国民をさておき昔の大恩に報いようとの男気を見せた。一方当時大蔵大臣が50%前後の大株主という半官半民の航空会社日航が救援機として救援に向かうことを拒んだ(本ブログ2016年11月号NO.65「アイヒマンVSアイスマン(1)」参照)。
昨年“紛争地”でない武漢への救援についてANAが名乗りを上げた。TVドラマ『半沢直樹2』の帝国航空と違い、経営破たんした際(銀行団が87.5%にあたる3,830億円を債権放棄した上)公的資金(国民の税金)3,500億円が投入された恩返しとしてJALが名乗り出ると私は期待した。武漢への路線がなく難しいとしても男気だけでも見せるかと思ったが、メディアを通じて伝えられて来ることはなかったのは残念(『半沢直樹2』での銀行の大和田常務は「施されたら施し返す。恩返しです!」と口癖のごとく言っているのをJAL幹部はなんと聞いたか)。それなのに新型コロナ禍で大幅減収の中社員に特別手当最大15万円を支給するのは報じた。国民がそれを好感するとでも思うのか。
国が救済するのは当然のことなのか。親方日の丸の気風から抜け出せていないということか。そんな日航が好きになれない(会社より役員の保身の為内部で処理すべき問題を世間に晒し会社を大きく棄損しておきながら、政投銀からの1,800億円の融資のうち1,300億円もの異例の政府保証を受ける日産ほどではないにしろ)。
ただ、パリに短期留学していた長男ファミリーに一昨年6月末夫婦で会いに行った際(パリ初訪記は152号にて掲載予定)長男がJALのマイルを使って航空券を用意してくれた。シャルル・ド・ゴール空港に着き荷物が廻って出てくるのを待っていたらベテラン?女性CAがたまたま私を見かけ「席の下にハンカチを落としていましたよ。少し待っててくださいね」と言って、たかが安物のハンカチなのに忘れ物預り所へ走って取りに行き手渡してくれた。
トイレが近い私は飛行機の真ん中のトイレに近い席の通路側に座っていた。何度もトイレに行くのを見られていたかもしれないが、多数いるエコノミー席の一人に過ぎず(アンチJALということなど知る由もない)飲食物の選択時しか声を発さない私を覚えていて親切に対応してくれた。少し感動を覚えた。私は、耐用年数を過ぎた脳コンピューターに「JALはJALでしかない。今後とも乗らない。しかし、女性CAは優秀のようだ」と上書き保存した。
海外へは、業界団体での視察(中には妻も同伴)もあり卒職する前の10年ほどは公私に亘って東アジアに旅行する機会が多かった。それでこれまで上海(3回)、台湾(数回)、韓国(数回)、シンガポール(1回)、香港・マカオ(1回)、ベトナム(1回)を訪れたことになる。
ANAカード(VISAカード)で決済し、ANAかそれとアライアンスを結ぶ外国航空に乗りマイルを貯めて、夫婦国内の往復航空券分が貯まれば国内旅行をしていた。
卒職してからは海外に行くことがほとんどなくマイルが余り貯まらなくなった。それで夫婦2人分の片道のマイルが貯まれば、もう片道はJR『大人の休日倶楽部 ジパング』(3割引)を利用する。
一昨年末は京都、松江に宿泊の後出雲大社に行き、歌手竹内まりやさんの実家の旅館『竹野屋』(料理自慢)に宿泊した。翌日ANAで帰るべく米子鬼太郎空港に向かう。直行せず、わざわざ境港に足を延した(水木しげるロードがなければ行かない。天才漫画家が郷土の町興しに貢献している)。
次回(2022年新春)は、羽田から大分に飛び、そこから未訪の佐伯城、小倉城、備中松山城、小田原城への列車の旅を予定。小倉で一泊した後神戸北野ホテルに泊まり「世界一の朝食」を摂る。大分の河豚、知り合いの娘さん夫婦が営む三宮『アヒル』の焼鳥、小田原のおでん以外は各地の回転寿司店を巡るつもり。
70歳にもなると日本ならどの県も足跡ぐらいは残しているハズと思っていたが、佐賀県だけは行ったことがあるかはっきりしない。隣の福岡県には飽きるほど行っているのだが。
JRの会誌『ジパング倶楽部』の2020年3月号に温泉の達人山崎まゆみさんが武雄温泉を紹介していた。東京駅、日銀本店を手掛けた“日本近代建築の父”辰野金吾が設計した桜門や樹齢3千年以上という武雄神社の大楠を見上げに訪れてみようか。佐世保の(未訪の)ハウステンボスから近いこともあるし。武雄バーガーというのがあるらしい。佐世保バーガーとどう違うのか食べ較べるのも一興か。
妻は行きたくないときははっきりNO!と言う。行ってもよい時は「知らない」とか生返事しかしない。いつでも「行かない!」攻撃できる権利を留保する。こちらは発動されないよう留意しながら手配を進めるのだが、それでもつい余計なことを言って怒らせてしまう。
もっとも「怒った顔もかわいいね」とか何とか煽てればすぐにも木に登るのだが。あっ! それが一言も二言も余計なんだね。