ピーター・ペレットの50年
The Only Onesは、1976年にロンドンで結成されたイギリスのグループ。
もろパンク時代に、ミンク・デヴィル、ジョニーサンダース、ルー・リード的なサウンドを出していて、ロンドン・パンクよりニューヨーク・パンクに近い。
パブロックとニューヨーク・パンクが混ざった、どこか影のあるシンプルで独特にポップなロックンロールバンドという感じで、昔から気に入っている。
いつ最初に聞いたのかは忘れたがリアルタイムではなく、何かの雑誌で名前を知ってベスト盤を買ったのが最初だった。
やる気なさげで態度の悪いロックバンド。でもバカな感じはしない。独特のポップさと、ルー・リードみたいな、マーク・ボランみたいな、へなへなボーカルがとても良い。
1977年の「Lovers of Today」が、最初のシングル。
Lovers Of Today
バンドメンバーはボーカル&ギターのピーター・ペレット、ギターのジョン・ペリー、ベースのマイク・ケリー、ドラムのアラン・メアーという4人組で、解散まで変わることはなかった。
曲を作っているピーター・ペレットは、15歳と16歳のときに素行不良で2つの学校を退学になり、直後に彼女と家出してからずっと音楽を続けているそうだ。
1978年にリリースされた最初のアルバム『The Only Ones』に入っている「Another Girl, Another Planet」は、ヘロインについての曲という話もあれば、別の女の子とのセックスについて曲という話もある。
Another Girl, Another Planet
1979年には、セカンドアルバム『Even Serpents Shine』をリリースした。アルバムとしては、これが一番いいと思う。
シンプルなロックナンバーが多い中で、「Someone Who Cares」は聞きやすいミドルナンバーになっている。
俺たちは永遠に幸せになれたかもしれないが
俺は一人ぼっち
運命が俺たちを引き寄せたことを忘れないでくれ
砕けた夢はお前に直せない傷を残してしまった
お前を気にかけてくれる誰かに出会うことを願っている
Someone Who Cares
1980年の『Baby's Got a Gun』が最後のアルバムになった。ちょっとだけ売れ線に走っていて、悪くはないけどいま一つかな。でも彼らのアルバムは3枚ともそう違いはない。この少しダウナーなへろへろボーカルがあればOK。
The Only Onesは、1982年に解散した。理由はいろいろあるが、ピーター・ペレットのドラッグ問題も大きかったらしい。バンドのリーダーだったピーターは、自身のキャリアをドラッグで棒に振ってしまったようだ。
その後のピーター・ペレットは12年後の1994年に新バンド、The Oneで1枚だけアルバムをリリースしたがすぐ解散し、初のソロ・アルバムを出したのは、そこからさらに23年後の2017年だった。
この頃に10代の頃からのドラッグ問題からようやく抜け出したらしいピーターは、2019年、2024年にもソロ・アルバムをリリースしている。
2024年の『The Cleansing(浄化)』に入っている「Fountain Of You」は、16歳で家出をしてからずっと一緒にいる奥さんのジーナのことを歌っているようだ。
Fountain Of You
最近のニュースによると、2025年8月にピーターはロンドン中心部でパレスチナ・アクションの抗議活動(イスラエルのジェノサイドに反対する運動)に参加して逮捕された。
彼の父親は戦後のパレスチナで警察官をしていて、母親はオーストリア系ユダヤ人だという。
セカンドアルバムに入っている「Out There In The Night」は、女性に対するラブソングかと思いきや、家出してしまった猫のことを歌っているらしい。
ピーター・ペレットは、声だけを聴くとドラッグ中毒の変な奴にしか聞こえないけれど、彼のキャリアや歌詞をよく見てみると、とても良い奴でもあることが分かる。
The Only Onesの音は、当時のイギリスの音楽シーンとは少し離れていて大きく売れることはなかったが、忘れ去られることもなかった。
それは彼らの曲の人懐っこさと、どこか信用できる感じが理由の一つだったのかもしれない。
あの朝、お前は出ていった
俺に何の前触れもくれなかった
お前は俺の親友だった
お前なしでは生きていけないよ
Out There In The Night













