手紙 -5ページ目

挟まれ

ボスは爪に挟まった汚れを黒いマニキュアでごまかしていくことに決めた。決定した。この方針は決して覆ることはない。

そう強く心に誓いながら電車に乗った。東十条に行くためだ。

すれとどうだろう。ドア閉まりますのアナウンスとともに、急に急ぎ出す人々がいるではないか。
そしてその人々、何が楽しいのか、ドアが閉まり始めると、ドアにいざ挟まらんとばかりに全力疾走してくるではないか。

人々はこんなにもドアに挟まりたい生き物だったか。ボスは、人間を見る目が少し変わりそうだと思った。人間不信になるかもと思った。

ネイル

顔を掻く。痒いから。すると、掻いた爪に黒い汚れが溜まる。顔が汚かったからだ。
はたして、顔だけか?汚かったのは。
ボスは最近こうなのだ。忙しくてなかなか風呂にも入れない。すると、どんどん爪が黒くなっていく。一度こうなると、洗っても洗ってもこの汚れは落ちなかったりする。
部下も、爪の黒い上司の言うことだから素直に聞こう!と俄然やる気になる、なんてことはまずない。
ボスは風呂に入らずにこうなってしまったことを呪った。己の軽薄さ加減にほとほと嫌気がさした。

ハガキ職人へ

左目の睫毛が痛い。こんな理由で学校を休む強者をご存知か。わざとらしい仮病にもほどがある。やめちまえ、と言われても仕方ないというものです。カドワキの後輩はいつもこの調子だ。風邪だって認めやしない。俺の咳は、喉が痒いのを掻いているだけだ!などと言ってそういう時に限って休まない。病原菌を広めに来ただけなのかと疑ってしまうのも無理はなかろう。そんなカドワキの後輩にも名前をつけてやろうと思います。つきましては、何かいい案があったらハガキで送ってください。