フライドチキンと海のおと。 -28ページ目

トイレの中 後編

「あれ? じゃあトイレの人は誰よ」


キッチンからはお母さんが忙しそうに動き回る音が聞こえてくる。


他にこの家には人はいない。


状況を理解した瞬間、Rさんは短い悲鳴をあげた。





「お父さん。トイレに誰かいる」
「まさか」


お父さんは疑わしげにそう言うものの、
確かにトイレに入る音がしたのだ。
Rさんは手にお父さんのゴルフクラブを持ち、
お父さんの後ろに隠れながらトイレに近づいた。


トイレの電気は点いている。
中に気配は感じられない。


Rさんは意を決し、トイレのドアに手をかけると、
勢いよく開いた。


はたして、中には誰もいなかった。




「ほら見ろ。いるわけがない」


お父さんはやれやれ、といった感じでドアを閉めた。
Rさんはがっくりと疲れた。




しかしトイレから離れようとしたRさんの耳にもう一度、
聞こえるはずのない音が聞こえた。


かちゃり、という音だ。



トイレのドアを見ると、内側から鍵がかけられていた。



トイレの中 前編

Rさんの実家はかなりの頻度で出るという。


郊外の古い一軒家なのだが、
あまりに家鳴りが激しいので一度神主さんにお祓いに来てもらったらしい。
そしてありがたいお札をもらい、
家の東西南北にそれぞれのお札を貼った。
すると家鳴りはぴたりとおさまった。


そのまま何年もお札は貼りっぱなしだったのだが、
Rさんが京都で一人暮らしをしはじめてから一年過ぎ、
久しぶりに実家に帰ったらはやり家鳴りがする。
前ほどひどくはなかったのだが、
それでもぴしぴしと軋むように鳴る。
見るとお札は貼りっぱなしなのだが、かなり古びている。


効力を失っているのかもしれない。
そう思い、また神社に話したほうがいいのかしら、
とRさんはぼんやり考えた。




実家に帰って三日目。
Rさんは居間でテレビを見ていた。
と、玄関の戸が開いて、ぺたぺた廊下を歩く足音が聞こえた。
あの歩き方は父だ。
そう思っていると、乱暴にトイレのドアを開け閉めする音が聞こえた。
その音があんまり大きかったので、


「お父さん。もうちょっと静かにドア閉めてよ」


とRさんはトイレに向かって声をかけた。


「何だ?」


ぬっ、とキッチンから顔を覗かせたのは、
他でもないRさんのお父さんだった。
<つづく>

体は重いし肌も荒れる…

ありがたいことに、最近、仕事がけっこう忙しい。
九時前に家を出て、夜帰るのがだいたい十一時半くらい。
で、メシ食って風呂入って、ブログ更新して。
タイミングによっては小説書いたり。
ノッてきちゃったら寝るのが三時半とか四時とか。


なので?今、肌がぼろぼろになってきている。
大好きなスイーツも控えめにしてるんだけどな。
やっぱり寝不足からきているのかな。


だから今、デトックススープというやつを飲んでいる。
トマトとキャベツとニンジンと玉ねぎが入ったやつ。
セロリも入れたほうがいいらしいけど、
キライだからパス。
コンソメとか鶏がらとか、
ベースとなるスープは何でもいいそう。


で飲んでみたら、やっぱりこれが旨い。
旨いというか、
なんか体が欲しがってたんだな、という味だ。
そういやマクドナルドのハンバーガーが大好きなはずなのだが、
先日食った時にはどうも旨く感じなかった。
なんだろ?この感じ。
うん、馴染みある味だし、旨いはずなんだけど、なんだかな。
あれは体が拒否ってたからなんだろな。
デトックススープは体にしゅわわと染み入る感じがした。
100パーセントのグレープフルーツジュースにもハマッている。


「ああ、ビタミンうめー。苦いのうめー」


って思うのだ。
これで少しは体調(体もすごく重く感じるのだ)改善できるといいけどな。
ほんと、健康にはうといのだ。

けったいな夢 #.4

天才バカボンのパパが、


「君に伝えたい気持ちがあるのだ」


と言い、
誰そ彼る放課後の教室でとっておきのラブソングを歌ってくれた。
フォークギターをつま弾きながら。


しかしそのテクニックはあまりにも稚拙で、
ラブソングの内容は浅かった。
そこに僕は胸が締めつけられ、泣いた。





という夢を見た。

起きたら、本当に涙が流れていた。

竹を有効活用

いつの頃からか、耳かきに情熱を傾けるようになった。
厳密に言うと、かゆいから掻く、のではない。
耳垢がたまりやすい体質なのだろうな。
かりかりの耳垢が、
気がつけばすーぐに存在を主張するのだ。
耳かきをそっとポイントに差し込むと、
先端部分が「かりっ」という感じで固いものに触れる。
かさぶた状に、壁面にこびりついているのだ。
こいつの存在を発見した時の喜びったらない。


「むふふ。よーし今すぐ取っちゃるけんね」


と小さく呟きつつ、耳かきの角度のベストを探る。
ここだ! と決めたらあまり掻かず、
耳垢と壁面の隙間を見つけてそこに耳かきの先端を滑り込ませる。


くっ。くっ。くっ。 ぐぐっ。


入った。こっちの勝ちだ。


後は耳垢が途中で折れたり千切れたりしないよう気をつけつつ、
壁面からゆっくりとはがすのだ。
このスリルもたまらない。
そして「ばりっ」という音が耳中で響き、
小指のツメ半分くらいの大物が取れる。
最高の瞬間だ。
そうしていっつも取られるもんだから耳のヤツもこころもち緊張して、


「耳をまもらねば」


と組織液みたいなもんを過剰に分泌する。
そしてまたそいつが耳垢を組成する。
僕が嬉々として取る。
液を出す。堂々巡りである。
いや、オーナーは僕なのだから、独り相撲か。


バカだな。
でもやめられない。


丸一日しないと、耳の中ががさがさ音を立てる。
頭を振ると、ぽろっと出てくる。
うお。たまらん。となるのだ。
よもや脳が溶け出しているとか。ないだろうな。

そんな僕なので、
竹の耳かきが見当たらないと半狂乱になる。
いつか病気になるかな。
いや。もう病気みたいなもんか。
ああ耳かき愛。
竹の有効活用。