『GANTZ』を観ました 後編
じゃあ今日も偏見をまじえて。
「ここはちょっとなあ」と思う点。
あくまでも僕の観点で、ですよ。
ディティールでツッコミ所は少々あったけど、まあそれはご愛嬌で。
でも二宮君のキャラが安定していないのは終始「何で?」って感じだった。
冒頭部分で彼は、
“就活がうまくいかず、自分の存在価値が見出せない、
でも自分という人間に与えられた役割が何かを知りたい「少々ズルい人間」”
という草食キャラ。
それが星人(作中での敵キャラ)と、
たった二度戦っただけで(実際に彼が拳を交えたのは一度だけだ)、
“自分の存在理由を理解し(もちろん勘違い)、
自分がヒーローであるという自覚を持った(勘違い)「けっこうイヤなやつ」”
という俺様キャラ。
そしてまた星人と一度戦い、
ぼっこぼこにやられ、大切な人を失い、
“人は一人では生きてゆけないということ、
そして戦うことの意味を深く理解した「かなりの善人」”
という真のヒーローキャラ。
こんな感じで、極めて短期間にころころ変わる。
二宮君のセリフの端々に現代っ子的な言い回しが使われていることから、
「現代っ子だからこういうものでしょう。
現代っ子だからころころ変わってもしょうがないでしょう」
という、製作者側のかなり強引で説明的な処理が施されている気がする。
まあその変化が展開上必要なのはわかるけど。
それを成長、と取るには説得するだけのファクターが少ないし、
二時間で説明し切れていない感が否めない。
いかにもコミックス的、説明的だった。
極めて重要な部分だけに、どうにも納得ができなかった。
でも気になったのはその辺だけで。
あとはもうワクワク楽しめた。
最後の山田孝之が登場するシーンもイイし。
つまりはまあ、
絶対にパート2は見に行くだろなあ。
『GANTZ』を観ました 前編
いろいろ書く前に一言。
GANTZスーツを着た夏菜ちゃんに死ぬほど萌えた。
ええもう。
それはもう死ぬほど。
着た姿も萌えたし、
全裸で着るもんなくてしょうがなしにGANTZスーツ着た時の。
あのどぎまぎした表情。
それはもう死ぬほど。ぬふ。
ああ可愛かった。可愛かった。うおお。
……ちょっとすっきり。
で、ですね。
まず面白かったかと言うと。
きっちりと面白かったです、僕的には。
いやあ、わっくわくしたなあ。
以下、偏見をまじえて書かせて頂きます。
まず「良かったなあ」と思う点。
映像がキレイ。
アクションシーンのCGも、邦画の場合どうしても
「なんでこんなに金と手間をかけらんねんだよっ!」
と言いたくなるお粗末なものが多い。
同じ松ケン作品でも、
『カムイ外伝』はCGシーンでズッコケそうになった。
(サメの動きと漁師の動きが全然合っていなかったんだもの)
折角演者の芝居がいいのにねえ、と残念だったのだ。
でもGANTZの場合はその辺りがかなり自然で、
すっ、と世界に没入できた。
そして演者のアクション。
近年ハリウッド映画によく見られる、
やたらカンフーチックなもんじゃなくて良かった。
だってGANTZスーツ着て運動神経が良くなったとしても、
カンフーができるようになるわけないはずだからね。
素人が「スーツ頼りの馬鹿力で戦ってますよ」って感じが好きだな。
あとは製作的な部分で、
冒頭からぐいぐいひっぱってゆく演出と脚本はすごくいいと思った。
大いに謎を孕んでいるのは大前提として、
とりあえずはじまっちまったもんはしょうがねえだろ、
という感じで二宮君と松ケンが戦い始める。わけもわからず。
その辺り、息もつかせぬシーンの連続だった。
でもシーンのすべてが必然で、
明らかに「単に盛り上げるためのシーン」ではない。
そこんとこのさじ加減の計算があざとく、そして賢いなあと思った。
ストーリーを話すのはやぼだから、
どのシーンがそうか、とは言いにくいけど。
ええ、以下ネタバレ少々ありですが、
「ここはちょっとなあ」と思う点を書かせて頂きます。
あ、明日書こうっと。
カセットテープ その3
「気持ち悪っ」
曲がはじまって数秒で店長は顔をしかめた。
「まあまあ。こっからがいいとこですよ」
O君はそう言ってにやにやした。
画面がなく、曲だけを聴いている時というのは、
人間なぜか一点をじっと見つめてしまう。
僕とO君、そして店長の三人は、
その時プレイヤー内の回転するテープを見ていた。
そうして曲の性質上、
ぼんやりとしながら無念無想の状態になっていた。
僕はすぐに異変に気付いた。
いつの間にか、客がもう一人いる。
カウンターの一番端。
入り口を入ってすぐの席。
つまり、プレイヤーの前の席。
おそらく髪の長い女性。
おそらく白っぽいワンピースのような服。
おそらく、と書いたのにはわけがある。
なぜか、そっちを見ることができないのだ。
僕の眼は、
いや僕達三人の眼はプレイヤーから離れなくなっていた。
もっと言うと、体も動かなかった。
正確には金縛りのように動かなかったのではなく、
体がだるくて動かす気になれなかったのだ。
これはのちに店長もO君も言っていた。
誰かに、何かに、知らないうちに神経を支配されている。
その事実がとてつもなく恐ろしかった。
とはいえ何もできない。
いや、する気になれない。
女はじっと動かない。
テープは回り続けている。
それどころか、
明らかに何度か同じところで勝手にリフレインしている。
もうこのテープが終わることはないんじゃないか。
そして僕達は。
そう思いかけた時、
ばあん、と派手な音を立ててドアが開かれた。
「あれえ。マスター、先客ぅ?」
派手な化粧をした女の子二人が入ってきた。
酔っ払った女の子達は体当たりするようにドアを開けたのだ。
店内に密集していた厚く重い空気は、
その一撃でかき乱された。
心臓が激しく鼓動を打っていた。
気付くと、髪の長い女の姿はどこにもなかった。
あっけにとられる女の子達を尻目に、
「お前らもう変なもん持ってくんな!」
と怒鳴りながら店長は僕達に拳骨をくれた。
そのカセットテープはずっと僕の手元にあったのだが、
ある日ふっとなくなった。
テープを保管していた箱から、
まるでテレポーテーションでもしたみたいに。
歯が抜け落ちたように、ちょうど一本分の幅が空いていた。
もうカセットテープを聴くための設備もうちにはない。
どうやら開放されたようだ。
カセットテープ その2
「このテープをベースにして、とにかく不気味な音を作ろう」
というのはO君の提案だった。
僕はそういう提案が大好きなので、とりあえず乗ることにした。
リズムマシーンで作った木琴のような音、
歪ませてチューニングを狂わせたギター、
シンセサイザーで作ったハウリング音などを組み合わせ、
僕とO君は世にも怪奇なテープを作り上げたのだ。
できた音は、これはもう実に不気味なものだった。
どこに国にも属していない。
何のジャンルにも属していない。
計算して作っていなかったとはいえ、
僕達はこの偶然の産物に恐怖し、
また新しいものを産んだことに喜びもした。
それから数日後。
僕とO君は馴染みのバーに行った。
店長が元ミュージシャンで、
O君や僕といった音楽をやっている若い奴らを可愛がってくれていたのだ。
その人は当然様々な音楽や楽器にも精通していて、
僕達が拙いテクニックで作った曲をよく聞いてもらっていた。
僕も新曲ができると、
そのバーでたまに弾き語りなんかさせてもらっていた。
その日、バーに持ってきたのはもちろんあのテープだ。
「店長。面白いもん持ってきましたよ」
O君はテープを指でつまんでひらひらさせると、
すぐにカウンターの端にあるプレイヤーの中に入れた。
お客は僕とO君だけだったので、
彼は遠慮なしに<PLAY>のスイッチを押した。
僕達の産み落とした不気味なサウンドが、
カウンターしかない小さな店内に流れはじめた。
<つづく>
カセットテープ その1
O君は今、大阪の某クラブでDJをしている。
彼とは学生時代からの付き合いだ。
ファッションに敏感で、
日本ではまだ流行っていない音楽にも詳しかった。
当時からずっとバンドをやっていたし、
そんな音楽好きが高じて今はレコード回しに精出しているのだ。
彼が当時参加していたバンドは、
当時関西アンダーグラウンドシーンではわりと名が通っていた。
O君はギターを担当していたが、
作曲はもっぱらO君の仕事であり、
おのずとサウンドコンポーザー的立場も担うようになっていた。
彼の自宅にはMTR(マルチトラックレコーダー)という、
当時の僕達のバイト代水準ではかなり高価といえる機械もあった。
今もこういった専門機器があるのかどうかは知らないが、
まあつまり多重録音できる機械だ。
リズムマシーンで作ったリズムをMTRで再生しながら、
そこにベースやらギターやらをどんどん重ねてゆけるワケだ。
一人録音、という言葉に“一人録音=クラい奴”という意味を重ねて、
“タクロク(オタク録音)”と言われていた。
こんな言葉ももうないかもしれない。
なにしろ二十年前の話である。
僕達がO君の家にタムロしている時に、
彼が
「面白いテープを手に入れた」
と言いながら、
ケースが傷だらけの古いカセットテープを見せた。
O君がよく出入りしていたライブハウスの、
常連のバンドマンから回ってきたものだという。
最初に誰がどこで手に入れたものかはわからないが、
アフリカの司祭音楽らしい。
その時そこにいたメンバーは僕とO君、
そして去年の六月頃にこのブログで紹介した、
『幽霊について』という話に出てきた霊感の強い男・Kもいた。
三人でその司祭音楽を聞いた。
遠い場所から響いてくる単調な太鼓のリズムに、
低い笛の音と高い笛の音が重なっていた。
笛の音は前に行ったり後ろに行ったり、
ふわふわと不安定で不思議な旋律を奏でていた。
僕とO君は、
聞いたことのない珍しい音楽に興味深々だった。
ただKだけが渋い顔をした。
「これはあんまり縁起のええもんやなさそうやなぁ」
そう言ったきりテープには興味を示さず、
そっぽを向いてマンガを読みはじめた。
<つづく>