今回は最近読んだ「フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器」から現代の新しい戦争"ハイブリッド戦"について書いてみたいと思います。
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フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器 (角川新書)
907円
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1. 戦争の事を知る意味
2. ハイブリッド戦とは
3. ハイブリッド戦を防ぐには
1. 戦争の事を知る意味
「戦争を知らない者に戦争は防げない」という言葉があります。
例えば、交通事故を防ぐには、車の仕組み、道路・交通状況、運転者や歩行者の心理を知る必要があると思います。
犯罪であれば、犯罪の内容、地域の傾向、犯罪者や被害者について知ることが、防犯につながります。
ところが、"戦争"となると、日本では第二次大戦に関する情報が多く紹介され、"現代の戦争"がいつ、どこで、だれと、どうやって起こるのかという議論が非常に少ないと感じます。
戦争を防ぐには、「戦争の悲惨さ」とともに、「現代の戦争のあり方」を知る必要があると思っています。
2. ハイブリッド戦とは
ハイブリッド戦とは、1999年に中国軍の将校が「超限戦」という本で提示した概念で、政治、経済、宗教、心理、文化、思想など社会を構成する全ての要素を兵器化するという考え方です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E6%88%A6%E4%BA%89
実はこの考え方自体は新しいものではなく、孫氏の兵法でも「戦わずして勝つこと」が重要視されています。
古今東西の戦乱の世の中では"調略"というものが、非常に重要視されてきました。
では、現在のハイブリッド戦では具体的にどういった手段が使われるかというと、例えば次のようなものです。
1)マスメディアを設立し、対象国を混乱させる情報を発信する(真偽を混ぜて発信)
2)対象国の議員を買収
3)対象国で自国に親和性のある組織を支援し増やす
4)ネット工作員をWebサイトやソーシャルメディアのコメントで心理戦に活用
5)外国の政府、会社、マスコミにサイバー攻撃を行なう
【参考】ウクライナ危機に見るロシアの介入戦略
ハイブリッド戦略とは何か
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwidgeOexeLgAhUKV7wKHd9eCH4QFjAAegQICRAC&url=http%3A%2F%2Fwww2.jiia.or.jp%2Fkokusaimondai_archive%2F2010%2F2017-01_005.pdf%3Fnoprint&usg=AOvVaw2Eohf6GVGQhgOeTHkJgaig
特に、注目したいのが4)で、フェイクニュースを混ぜたり、問題意識・不安・怒りをあおるような情報操作を行うことが戦略的に研究され、お金と人員を投資して行われていることです。
フェイクニュース(誇張や一面のみ伝えるも含む)は、その広がりに比べて、それを打ち消す検証や訂正の方が拡散スピード圧倒的に遅いことが実証されています。
ですから、非常に効率的な兵器といえるでしょう。
また、注意点としては、すべての情報操作は、保守と革新どちらの側にも行われるという事です。
結果として、自国の利益になるなら、相手国の敵対勢力への支援することがあります。
(相手国を過激にさせて孤立させ、自国の介入の正当性を保証する等)
3. ハイブリッド戦を防ぐには
フェイクニュースによる情報操作を防ぐには、現在有効な手段がは無いと言われています。
なぜならフェイクニュースは、広がりに比べて、検証や訂正の方が拡散スピード圧倒的に遅いからです。
そんな中でもっとも基本的な対処方法は、個人が情報リテラシーを上げることです。
私が考える、フェイクニュースに対するリテラシーのポイントは3つだと考えます。
①価値観・情報元を偏らないようにする
自分の価値観のみのニュースにしか触れないと、事実一面しか分からず、認識を誤らせます。
様々なイデオロギーの情報に触れつつ、客観性がどの程度かを加味して多面的な情報に接することが。
②情報源を検証する
重要なニュースは、必ず一次情報を確認する必要があります。
特定のまとめサイトや、ネットニュースはイデオロギーが色濃く、切り取った見出しを付けたり、ミスリードしたり、まとめかたに偏りが顕著です。
特に、感情的に気持ちいいニュース(怒りや、道徳、価値観を強化するようなニュース)は、恣意的に加工されている可能性が高く、出どころと元のニュースのニュアンスに注意が必要と考えます。
③誰が得をするか考える
ミレニアル世代のネット環境の影響で考える力が落ちていますので、日本でも学校でこういった考える情報に接する教育が急務と思っています。
リテラシーをもって情報に接することができる人が増えることを願っています。
結果それが平和につながるからです。







