Ψ(さい)のつづり -33ページ目
時間を
追いかける
時間を
巻き戻すことはできなくても
あの場所にいけば
あのときの時間が
流れていて
あのころの
わたしが
待っている
いまは
ずっとずっと
いいよ
いまは
もっともっと
たのしいよ
でも
いまも
あのころの
こころの
よじれは
覚えているし
息ができないくらいの
かなしみも
くるしみも
覚えているよ
ちゃんと
記憶としては
残っているけれど
それは
いまは
もう
わたしを
直接
苦しめることは
ない
だから
なかったことに
する必要はないんだよ
だって
あったことに
大切な意味が
あるんだから
残っていても
それを
冷静に
扱えるように
なるときが
きっと来るから
だから
泣かないで
いいえ
そうじゃない
たくさん
泣いて
いいんだよ
いまがどうなっているのか
伝えることはできないけれど
あのころの
続編は
もっとよくて
これから創り出す
未来は
さらによくなる

ぞうさんの
お鼻が長いのは
知っていたし
タイのぞうさんの
背中の
籠に乗せてもらったことは
あったけれど
ぞうさんに
ごはんをあげられる日が
くるとは
思っていなかった
らくだ
ろば
うま
たくさんの動物に
乗せてもらったけれど
ご褒美の
ごはんは
あげるようになっていなかったから
さぞかし
働き損だいっ
と
思っていたに
違いない
ごめんね
ぞう
らくだ
ろば
うま
きっとそのあと
ごはんは飼い主から
もらっていたはずだけど
乗せてもらった
わたしから
あげられたら
よかった
ぞうさんの
お鼻は
お鼻だから
中が
ふたつに
分かれている
ぞうさんの
お鼻は
お鼻だから
ちょっと荒い
鼻息も
そのふたつに分かれた
お鼻の先から
出てくる
ぞうさんのお鼻は
お鼻だけど
水を飲むとき
かけるとき
そのお鼻をストローみたいにするから
中に
水が残っている
それとも
ひょっとして
鼻水かも
とにかく
にんじんや
バナナを
あげたら
手に水がつく
それを知ってか知らずか
手の平を頂戴の形にするときみたいに
お鼻の先だけ
上に返してお皿みたいに
する新時代仕様の
ソーシャルディスタンスぞうさんも
いてくれて
ごはんが
あげやすい

生きとし生けるものが
同じ空の下で
毎日
励ましあう
空飛ぶ鳥も
地を歩くカニも
瞬間移動できる猫も
川に泳ぐハヤも
その川に落ちていく
どんぐりも
お寺のお線香のけむりさえ
なにひとつ
無駄なものはなく
毎日が
毎日が
まったく
違う日々で
ありながら
かならず
呼応しあって
活かしあっている
当たり前なんて
なにひとつなく
知らず知らずのうちに
お互いの存在が
お互いを補い合っている
自分の意図でありながら
世界を織りなす糸
自分の意思でありながら
世界を築く石
自分の希望でありながら
世界の喜望

かぼちゃが
走る
馬車に
なって
シンデレラは
日付が
変わる前に
帰らないと
いけないけれど
そのミステリアスさが
魅力を増しに増した
ガラスの靴は
いつまでも
ガラスの靴
履いて踊っても
痛くない
すばらしい
靴
普段の木靴とは
大違い
かぼちゃが
照らす
未来への
みち
囚われの
奴隷状態から
プリンセスへ
働き者には
服がある
福がある

聖なるミッションを
たずさえて
わたしたち
ひとりひとりは
地上に
降りてきた
どんな課題も
どんな困難も
すべて
乗り越えられるから
乗り越えた先には
またもっと別のなにかが
待っているけれど
息つく暇もないように
思えるときも
あるけれど
そんなことはない
ずっとずっと
いつだって
すぐそばには
喜びが寄りそい
愛もある
どんなにひとりぼっちに思えても
決してひとりぼっちじゃない
だから
渦中にあっても
少し俯瞰してみよう
この道こそが
祝福であり
地上に描く
神々の軌跡
わたしたちに
託された
希望


